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★PS2ゲームレビュー★
■ 簡単な操作で高速機動戦闘を実現
同様のアクション系タイトルとしては、「機動戦士ガンダム 連邦VS.ジオンDX」が発売されている。この宇宙戦をさらに高速化し、派手な演出を数多く加えたものが、本作の戦闘シーンに近い。エースパイロットとなって敵を次々と撃破していく感覚は、ファンならずともかなりの爽快感が味わえる。ファンであれば……とは言うまでもないだろう。
■ 戦闘を盛り上げるゲームシステム
敵機もボス級の敵を除き、多くても3、4発の射撃で撃破できるため、あっという間に数機を片付けられる。3Dフィールドでの戦闘と聞くと、シビアな操作が求められそうなイメージをもたれやすいが、本作はあまり難しいことを考えなくても、直感的な操作で遊べる。基本操作さえ覚えれば、あとは触っているうちにゲームになじめる。 メインとなる戦闘システムは「ルートチューブ」と「バトルスフィア」の2種類。「ルートチューブ」は、決まったルートを強制的にスクロールするシステム。シューティングゲームの色が強く、移動方向や速度は自由に変えられないが、要塞内部を破壊しながら進むようなステージで使われている。「バトルスフィア」は完全にフリーな3D空間での戦闘で、こちらがメインのシステムと見て差し支えない。2つの戦闘システムは予めステージに設定されており、プレーヤーが任意に選べるわけではない。操作方法はさほど変化しないので、ステージごとの演出として楽しむとよいだろう。 1つのステージのプレイ時間は、数分から10分程度と短時間。挿入されるアニメーションを加えればもう少し長くなるが、だらだらとプレイさせられていると感じることはなく、かといって短すぎて物足りないとも感じない。集中力が途切れない程度にうまく時間調整されている。毎日少しずつ遊びたいという人には、特にお薦めしたいポイントである。 戦闘システムで気になる点は、死角にいる敵機からの攻撃。ターゲットや攻撃に対するアラートが一切なく、攻撃されてダメージを受けたときに初めて気がつく。ダメージを受けたときも、爆発などのエフェクトが見えにくく、ただアラート表示がなされるだけとなっている。アクションゲームの苦手な人からは、「いつの間にか後ろから撃たれてやられている」という声も聞かれた。3Dフィールドでの戦闘で、しかも敵機が複数いるため、このような状況は頻繁に発生してしまう。にも関わらず、その対処が一切なされていないことには、不満を感じざるをえない。
また本作には難易度設定が存在しない。上記のような死角からの攻撃に対応できないと、どう頑張ってもクリアできないステージもいくつかあり、投げ出す人が出てきてしまわないかという不安を感じる。逆に筆者のようにアクションゲームが大好きなプレーヤーだと、特に詰まるところもなくクリアできてしまうが、これはこれであっけなく終わるためより難しいモードが欲しくなる。操作系の完成度が高いだけに、プレーヤーのレベルに合わせた難易度設定ができない点は残念である。
■ 多彩なゲームモード 「ストーリーモード」、「サイドストーリーモード」、「エースパイロットモード」の3つのモードは、各エースパイロットの視点でストーリーが展開する。「ストーリーモード」は、アニメ「機動戦士ガンダム」のアムロ・レイを主人公とした原作通りのストーリー。「サイドストーリーモード」は、「月刊ガンダムエース」で連載中の「機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…」よりフォルド・ロムフェロー。外伝ではあるが、ガンダム4号機と5号機が登場するサラブレッド隊を描いたストーリー。「エースパイロットモード」には、アニメ「機動戦士ガンダム0083」のコウ・ウラキとアナベル・ガトー、セガサターン用ゲームソフト「機動戦士ガンダム外伝」シリーズのユウ・カジマなどを主人公とした、計8つのストーリーが用意されている。
ステージの数はシナリオごとにまちまちだが、合わせて10通りのシナリオがありボリュームは十分にある。シナリオは全て既存の設定に基づいており、いわゆる「if世界」的なものはない。原作を知るファンならば、素直にストーリーに入っていけるだろう。登場する機体の種類もかなりの数にのぼり、「ユニットビューワ」で機体解説までしてくれる。やりこんでいけば、ちょっとしたガンダムデータベースにもなる。さらに一歩踏み込んで登場人物のデータベースまで作ってくれれば、それを取っ掛かりにしてアニメにも興味を持つプレーヤーも増えたかもしれない。
■ アニメ作品ならではの演出 アニメを原作とするゲームの強みというべきか、本作にはアニメーションがふんだんに使用されている。物語が文字情報だけで淡々と語られるのではなく、キャラクタを強調したアニメーションが随所に配されているため、ストーリーがとてもわかりやすく、主人公となるパイロットへの感情移入も促される。もっとも、これは筆者がアニメ世代であるためかもしれないが……少なくともガンダムファン世代には受け入れられるはずだ。3Dフィールドでの戦闘とアニメを組み合わせても違和感がなく、どちらも浮いて見えない点は評価しておきたい。 ちなみにアニメーションシーンは、大半が新たに作り直されたもの。ファンならばその辺りのクオリティも気になるところだが、筆者の見た限りではなかなかの出来映えだった。ダイジェスト版を見ているような感覚だったが、久しぶりに原作を見直したような充実感もある。また、「サイドストーリーモード」は完全にオリジナルのアニメーションなので、アニメ作品としても要チェックだ。 戦闘中のBGMは、原作アニメの音楽がそのまま使われており、戦況や登場するキャラクタによって変化する。ファンならば音楽を聴いただけで誰が登場したかわかってしまうところが面白い。また戦闘中もキャラクタ同士の会話がひっきりなしに飛び交い、戦闘を盛り上げてくれる。戦闘に集中していると聞き流してしまいがちではあるが、こちらもファンならば逃さずチェックしておきたい。 アニメ素材のほかに、オープニングデモはフル3DCGで描かれたムービーになっている。3DCGで描かれたアムロが似ているかどうかはともかく、ガンダムの雰囲気は色濃く残しつつ、3DCGならではのリアリティを感じさせる映像に仕上がっている。ちょっとしたストーリーに乗せて作られているので、CGアニメーション作品としてじっくり鑑賞して欲しい。
ローディングの遅さや、一部デモのスキップができない点など、システム周りでの不満はいくつかある。しかし戦闘システムの出来は素晴らしく、3Dフィールドを採用したロボットアクションゲームでこれだけの爽快感を味わえるゲームはそう多くはない。ガンダムファンにはもちろん強くお薦めしたいが、ガンダムという要素を抜いても、アクションゲームファンに十分喜んでもらえるゲームに仕上がっている。短時間でスカッとするゲームをお探しの方は、是非一度お試しいただきたい。
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□バンダイのホームページ (2003年11月11日) [Reported by 石田賀津男]
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