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「テイルズウィーバー」開発者インタビュー
8通りの長大なストーリーを堪能できるMMORPG

9月29日収録

会場:ネクソンジャパン本社

 東京ゲームショウ終了翌日の9月29日、ネクソンジャパン本社において、「テイルズウィーバー」と「マビノギ」の開発者インタビューが行なわれた。まず1本目は、韓国大手デベロッパーSoftmaxが手がけるMMORPG「テイルズウィーバー」のインタビューをお伝えしたい。

 今回、インタビューに応じてくれたのは、Softmaxのコンテンツ事業担当取締役チョ・ヨンギ氏。過去の代表作としては「西風のラプソディ」('99年に日本ファルコムが発売)があり、現在は「テイルズウィーバー」の開発総指揮を執っている。


■ 圧倒的なボリュームで展開するストーリー

右がSoftmaxコンテンツ事業担当取締役チョ・ヨンギ氏。左が海外業務担当のキム・ドヒョン氏
主人公のひとりイスピン・シャルル。キャラクタが独り言のようなセリフを喋ることはMMORPGではまず見られないケースだ
キャラクタごとに異なるストーリーが用意されている
若い族長からクエストを受ける
チョ・ヨンギ氏(以下、チョ) まず、私が所属しているSoftmaxの概要から紹介すると、弊社はすでに10年近くゲームの開発に携わっているゲームメーカーです。これまで数々のタイトルを通して、韓国のゲームファンに、ゲームのキャラクタ性やストーリー性をアピールしてきました。

 近年、ゲームを取り巻く環境が変わるにつれて、我々もオンラインゲーム市場を意識せざるをなくなってきました。そこで我々は、弊社のゲーム開発のノウハウと、Nexonのオンラインゲーム運営のノウハウをうまく組み合わせて、強力なMMORPGを提供しようと考えました。

編集部(以下、編) 「テイルズウィーバー」の基本コンセプトから教えてください

チョ 今回我々が一番重視しているのは、従来のMMORPGでは不可能とも思われたストーリーの導入です。「テイルズウィーバー」は、多くのユーザーと行動を共にするMMORPGですが、プレーヤーは従来の(シングルプレイ)RPGのようにシナリオを追いながら、主人公の成長を見守っていくことができます。

 Softmax、Nexonとも韓国を代表する大手メーカーです。今回のような提携は非常に珍しいケースだと思うのですが、どういう経緯から話がまとまったんですか?

チョ 我々としては販売チャネルやプラットフォームはあまり意識していない。常に我々ができることを最大限に表現したいと考えているだけです。「テイルズウィーバー」に関して言うと、我々としては従来の数字だけで展開するMMORPGではなく、きちんとキャラクタを立てて、ストーリーを楽しめるMMORPGを作ってみたかったし、Nexonさんはそうしたユニークなゲーム性を持つコンテンツを揃えたかった。双方のニーズが合致したといえます。

 「テイルズウィーバー」には8人の主人公が登場するということですが、このプレーヤーキャラクタを半固定化したのは、ストーリーを重視した結果でしょうか?

チョ まさにそのとおりです。一番良いのは、プレーヤーに自由にキャラクタを作ってもらって、その上で個性的なストーリーを展開させることですが、それはさすがに無理があるので、キャラクタを8人に固定し、8通りのストーリーをきっちり作るということで、オンラインコミュニティとストーリーの両方の楽しさを味わってもらうようにしました。

 ストーリーを重視しているということは良くわかりました。東京ゲームショウで出展されていた日本語版にはストーリー部分が未実装だったのですが、具体的にどのようなストーリーが展開されるのでしょう?

チョ 現状、すべてのユーザーに対して、別々のストーリーを展開させることはシステム的に不可能に近いので、まず我々は歴史の流れを最初に決めてしまいました。たとえば、勇者がいて魔王を倒すというシナリオがあったとすれば、最終的にそれに結びつくように8人のキャラクタに対して、それぞれの立場にあったシナリオを作っていくということになります。

 もう少しグローバルな話をすると、いわゆるエンディングを終着点に、全部で7つのパートを設け、1パートを10から13のチャプターにわけて、だいたい1カ月に1回ぐらいの感覚で1チャプターずつアップデートしていくプランを考えています。

 ちなみに現在韓国で行なわれているクローズドβテストでプレイできるのは1パートの2チャプター目までです。キャラクタも8人すべてではなく、数人に限定して、いわゆる物語の始まりの部分がプレイできるようになっています。何故彼らは冒険を始めたのか、きっかけのシナリオですね。

 いま“パート”という呼称が出てきましたが、これは「リネージュ」や「ラグナロクオンライン」でいう“エピソード”と同じと考えて良いんですか?

チョ いや違います。「リネージュ」のエピソードがマップやシステムの追加を中心としているのに対して、「テイルズウィーバー」はストーリーそのものの追加を意味します。もちろん、パートの追加に伴い、新しいシステムが導入されることもありえます。

 いきなり壮大な構想を提示されて、どう切り込んでいいのか困ってしまいますが(笑)、製品版発売時は何パートが実装されているんですか?

チョ 基本的には韓国と同じ2チャプターからということになると思います。1パートの1部分のみですね。1パートあたりのボリュームは、だいたいシングルプレイRPG1本分に相当すると考えてください。もちろん、これは選択したキャラクタによって、長く感じたり、短く感じたりすることもあると思います。

 キャラクタ8人とも、まったく別々のストーリーになるわけですか?

チョ スタート地点も違えば、それぞれの生い立ちも異なりますから、序盤は完全に別々のストーリーが展開されていきます。途中からは全員が集合して、ある程度共通した目的の元にストーリーを進めていくことになるでしょう。

 なるほど。Softmaxとしては、1人のプレーヤーに複数のキャラクタでプレイしてもらって複数のシナリオを楽しんでもらいたいと考えているのか、それともひとりに絞り込んで遊んで欲しいと考えているんですか?

チョ 難しい質問ですが、仮に複数のキャラクタでプレイしても、複数のシナリオが楽しめるようには作るつもりです。つまり、全員で挑戦するシナリオでも、キャラクタによって視点の異なるイベントが見られるといった感じです。

 ただ、MMORPGでひとつ言えるのは、実際に運営がスタートしてみると、我々運営側が予想していなかったことが必ず発生するので、最初からコレという遊び方を提示するつもりはないです。

 1パートでシングルプレイRPG1本分のボリュームということでしたが、「テイルズウィーバー」は、何年ぐらいの構想で運営を行なっていくつもりなのでしょうか?

チョ 現時点ではっきり何年ということは考えていませんが、だいたい1月に1チャプターずつ、1年に1パートずつのアップデートを考えていますので、逆算すると優に数年はかかるということになります。ただ現時点ではっきりしているのは3、4パートあたりまでで、あとはユーザーの反応次第といった感じです。


■ アクション性の高いバトルシステム

コンボシーン。コンボはひとりでも複数でも出すことができる。可愛らしいモンスターのアニメーションにも注目
昼夜の概念があり、夜になるとプレーヤーの周囲だけぼんやり明るくなる
ダンジョンでの戦い。15Hit Comboの文字が。比較的ソロでもプレイしやすいMMORPGになりそうだ
系統わけされたスキル群。こう見ると前衛主体のMMORPGなようだ
 バトルシステムに特徴があるということですが

チョ いろいろあります。ひとつはコンボシステム。これは、レベルを上げることで習得できるスキルやそのほかの魔法攻撃などを組み合わせて敵に大ダメージを与えるという内容です。これにより、プレーヤーに多彩な戦闘を楽しんでもらうことができます。

 もうひとつは、2Dキャラクタアニメーションです。我々Softmaxは、2DベースのアクションRPGの開発をずっと行なってきたため、「テイルズウィーバー」では、2Dキャラクタアニメーションの限界に挑戦するという意気込みで開発しています。バトルではコンボシステムの爽快感と、2Dアニメーションの美しさを堪能して頂きたいと考えています。

 韓国では現在クローズドβテスト中で、正式サービスは2004年ということですが、2004年度に2DベースのMMORPGを投入することに対して、どう考えていますか?

チョ 確かに現在は3DMMORPGが全盛で、時期的に遅いというリスクは感じています。Softmaxは時代を逆行していると思われるかも知れませんし、実際、2DゲームはPCのリソースをたくさん消費してしまう。しかし、弊社としては、2Dでも充分な表現ができると捉えています。また、その自信もあります。

 とすると、2Dグラフィックスの採用は意図的なものなのですか?

チョ 確かに我々は2Dグラフィックスに関してはとりわけこだわってきたメーカーですし、これまでSoftmaxのゲームを支持してきたユーザーに対する新たな挑戦という意味合いもあります。我々としては2Dでいかに綺麗に気持ちよく表現できるかということにこだわるつもりです。

 日本のゲーム市場に、MMORPGを投入することに対して、どのように考えていますか?

チョ 弊社にとって日本は比較的なじみ深い市場です。「西風のラプソディ」を日本でリリースしたこともありますし、ある程度日本ユーザーの好みも理解しているつもりです。ただ、MMORPGは我々としても初の試みなので、これから勉強していきたいと思います。「テイルズウィーバー」はワールドワイドでの展開を予定していて、韓国では好調ですし、台湾でもいい成績を出しつつあります。いずれにしてもそれぞれの国にあったマーケティングでサービス展開していこうと考えています。今後ともSoftmaxをよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

□ネクソンジャパンのホームページ
http://www.nexon.co.jp/
□「テイルズウィーバー」の公式ページ
http://www.nexon.co.jp/talesweaver/
□関連情報
【9月27日】ブースレポート~ネクソンジャパン編~
ポスト「ラグナロク」を狙ったフリースタイルMMORPG「マビノギ」を初公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030927/tgs_nex.htm
【9月12日】ネクソン、MMORPG「テイルズウィーバー」を正式発表
東京ゲームショウにプレイアブル出展
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030912/tales.htm

(2003年9月29日)

[Reported by 中村聖司]


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