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東京ゲームショウ2003レポートブースレポート~ネクソンジャパン編~ |
会場:幕張メッセ
韓国大手メーカーのひとつNEXONの日本子会社ネクソンジャパンは、国内大手に混じって単独でブースを確保し、得意分野であるMMOタイトルを中心とした出展内容で、来場者に韓国産MMORPGの魅力をアピールしていた。
同社が東京ゲームショウで大々的な出展を行なうのは今回が初めての試みで、同じく初となるガンホーが、「ラグナロク」ファンで大にぎわいしているのに対し、ネクソンブースは「こんなゲームもあるんだ」とばかりにマウスを手にする一般ゲームファンの姿が目に付いた。
同社もそうした温度差はしっかり把握しているようで、「マビノギ」や「テイルズウィーバー」といった発表したてのタイトルはいきなり日本語版を出展するという気合いの入れようで、同社の意気込みが伝わってきた。本稿では、来年、ネクソンが総力を挙げて展開していくMMORPG「マビノギ」を中心にブースレポートをお届けしよう。
■ 生活に特化したフリースタイルMMORPG「マビノギ」
ライバル会社であるNC Softの「リネージュ II」が、Unreal Engineをカスタマイズしたものを採用し、韓国では最高レベルのグラフィックを実現すると同時に、ハイエンドPCを要求するという、コアゲーマー向けのMMORPGなのに対し、「マビノギ」は現行レベルのPCやノートPCで動作することを前提に開発されている。
同社の話によれば、Riva TNT2レベルのビデオカードでも動作するとしており、ハードウェア的な垣根を低くすることで、MMO初心者からコアゲーマーまでを幅広くカバーしたMMORPGだ。ライバルタイトルはずばり「ラグナロクオンライン」。
ひととおりプレイしてみた感想としては、韓国産MMORPGのトレンドをほぼすべて網羅したカートゥーンMMORPGといった感じで、マス層を狙ったMMORPGとしては「ラグナロクオンライン」以来のポテンシャルの大きさを感じた。それでは、以下、具体的に例を挙げて紹介していきたい。
まず世界観は、古代ヨーロッパのケルト神話をモチーフにしている。これはケルト神話の話が直接ゲームのストーリーに関わってくるというわけではなさそうで、単純に同地がハイファンタジーの聖地であることから選ばれたようだ。基本的にはオリジナルのピュアファンタジー世界が舞台といっていい。
同作のテーマは人間の生活そのもので、これをリアルな形で再現するためにキャラ作成時に年齢設定をすることができ、プレイ時間に合わせて成長するようになっている。この間の生活が体の成長に大きく影響を及ぼし、たとえば、食生活の内容によって、他のキャラよりずば抜けて背が高くなったり、太ったりしてしまう。
プレイスタイルもユニークで、通常のMMORPGなら序盤は街の近くでレベルを上げて力を蓄え、徐々に遠出していくという展開になるが、同作の場合、幼少の頃は、訓練台を使って剣技を学んだり、魔法学校にいって魔法のスキルを学んだりして過ごすことになる。
ところで「マビノギ(mabinogi)」は古代北欧で吟遊詩人に対して歌われていた歌を意味しており、歌に対するシステムが非常に充実している。同作の場合の「歌」は、「EverQuest」でいうBard、「Final Fantasy XI」でいう吟遊詩人とは本質的に異なり、それそのものが街での楽しみのひとつになるように設計されている。
具体的には、まず作曲の概念があり、楽譜に和音を並べて新しい曲をつくり、それを楽器を使って演奏したり、人々に売ったりすることができる。作曲、演奏といった要素はそれぞれスキルとして用意されており、スキルを磨くことで作曲に使える和音が増えたり、上手に楽器の演奏ができるようになる。全員がひとしく吟遊詩人的要素を備えているというのはなんともロマンチックだ。
キャラクター成長の基本システムはレベル制を採っており、それに加えて生活、戦闘、魔法の3系統からなる膨大なスキル群が用意されている。たとえば生活なら、服制作、調理、作曲、演奏といったものがずらりと並び、戦闘や魔法はおなじみのコンバット系のスキルが用意されている。
スキルの上げ方は、単に敵を叩いたり、同じ動作を繰り返すだけではなく、必ず複数のアプローチが用意されている。たとえば、直接攻撃に関係するスキル「コンバットマスタリー」は、敵を攻撃する以外に、「なんでも攻撃する」、「連打で敵をダウンさせる」、「倒れる(死亡する時に上がる)」、「不明の習得方法」といったアプローチが用意されている。
ユニークなのは、スキルを極めるためにはすべての方法でスキルを上げていく必要があるところだ。つまり、敵と戦っているだけでは永遠にスキルを極められない。これは非常に斬新なシステムだ。また、同作にはジョブの概念はない。スキルの総体がジョブを形作るという点では「ウルティマオンライン」にも似た成長システムといえそうだ。
先ほど「不明の習得方法」と書いたが、これは誰が教えてくれるのかというと、「人づてで知った特定のNPC」がその答えになる。一見当たり前のようだが、「人づて」というところに同作最大の魅力が隠されている。
同作ではNPCと会話を行なうことで、次回からキャラクタを覚えて知り合いとして会話ができるようになる。まずは基礎会話から始まり、NPCと親しくなるにつれて会話の選択肢が増え、質問に対しても具体的に答えてくれたり、普通なら出てこない秘密の情報を聞いたりすることも可能になる。
ちなみに「質問する」というのは、会話中に出てくるキーワードを自動でメモし、あとでNPCに対して聞くことができるというシステム。キーワードは「学校」、「畑」など双方にとってなじみ深い単純なもので、NPCによっては質問することにより、意外な話が聞けたりする。こうしたアドベンチャーライクな会話システムも同作の魅力のひとつだ。
最後にグラフィックとインターフェイスについて触れておくと、キャラクタのみならずすべてのオブジェクトがカートゥーン仕様になっており、マウスの右ドラッグとマウスホイールを利用することで自由に視点を変えることができる。家の中に入ると自動的に屋根が取り払われ、戦闘時など画面操作が煩雑になるケースを想定して、視点を自動操作に切り替えられるなど、シームレスなスタイルが好印象だ。
また、PC向けのMMORPGらしく遠くの景色まで見渡すことができるのもいいところ。こうしたフル3D、フルインタラクティブなインターフェイスは、「リネージュ II」の公開以来、韓国ではデファクトスタンダードになりつつある。
プレイしていて一番驚いたのは、キャラクタの豊かなアニメーションで、それもオーバーアクション気味なところがおもしろい。女の子キャラクタでプレイしたのだが、敵を攻撃するときは大きく足を踏み込んで横斬りにし、クリティカル攻撃を食らうと、中を回りつつ大きくはね飛ばされる。街でとことこ歩いているときは、どこにでもいそうな子供風なのだが、街の外で武器を構えるとイメージが一変する。さまざまな点で、大きなポテンシャルを感じさせるMMORPGだ。
【NPCとの会話シーン】 | ||
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NPCとの会話シーンでは、NPCのイメージイラストだけでなく、表情や雰囲気などがテキストで表示され感情移入しやすい。会話は手元のメモを使って行なっていく |
【街でくつろぐ人々】 | ||
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街でくつろぐプレーヤーたち。モーションや服装、それから顔の表情にも注目したい |
【ダンジョン探索】 | ||
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同作のダンジョンは、自動生成システムを使っており、狩り場不足問題を完全に解消している。パーティー単位でのプライベートゾーンということになる |
□ネクソンのホームページ
http://www.nexon.co.jp/
□「マビノギ」のホームページ
http://www.mabinogi.com/jpn/
□関連情報
【2002年12月13日】オンラインゲーム満載のNEXONブースレポート
カートゥーン採用の新感覚MMORPG「Mabinogi」ほか
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021213/kame03.htm
(2003年9月27日)
[Reported by 中村聖司]
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