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「Project Gotham Racing 2」開発者インタビュー

会期:9月26日~28日(26日はビジネスデー)

会場:幕張メッセ

 今回、東京ゲームショウ2003に合わせて来日している、「Project Gotham Racing 2」の開発メンバーでリードサウンドデザイナーを務める、Bizzare CreationsのNick Wiswell氏と、日本側のスタッフであるマイクロソフトの具島快氏のお二方に、「Project Gotham Racing 2」に関して話をお伺いする機会を得た。そこで、前作との違いや、他のレースゲームに対する「Project Gotham Racing 2」の優位点などについて聞いてみた。


■ Xboxの持つ可能性を引き出すため、ほぼ全てのシステムを作り直した

Bizzare CreationsのNick Wiswell氏。「PGR2」ではリードサウンドデザイナーとして、主にサウンド面の開発に携わった
--「Project Gotham Racing 2」(以下「PGR2」)では、前作からシステム面などが大きく変更されているそうですが、なぜそのような大きな変更を行なったのでしょうか?

 前作は、Xboxの発売に合わせて開発を行なったこともあって、開発終了後に、どれだけやりたかったとが達成できたのか考えたのですが、その結果、Xboxの可能性を最大限に引き出すためには、もう一度はじめからやらなければならないという結論に至りました。そこで今回は、ほぼ全ての面において全く新しいものとなっています。

 グラフィックスエンジンや物理エンジンはもちろん、サウンド関連、「PGR」の特徴である「クードス」システムも大幅に変更されました。そして、Xbox Liveに対応したことでも、ゲーム性が大きく変化しています。シングルプレイモードでも、Xbox Live経由でゴーストカーをダウンロードして、マルチプレイモードに近い感覚で楽しめるようになりました。

--グラフィックはパッと見ただけでも非常に大きく進化していることがわかります。

 そうですね、今回は環境マッピングやセルフシャドウ、光の反射なども含め、細かな部分まで正確に計算して描画されています。他のレースゲームでは、車の影があらかじめテクスチャに描き込まれていてるものが多くなっています。それによって車のモデルを擬似的にきれいに見せているのです。しかし「PGR2」では、車のモデルをしっかりと作って、それに光源からの光が当たって、そこで初めて影が作られて表示されるようになっています。実際に利用されているテクスチャには影が一切描き込まれていません。そのため、違和感のほとんどないリアルなグラフィックが実現されています。

--「PGR2」では、日本の都市として横浜のみなとみらい21地区が選ばれていますが、そちらが選ばれた経緯を教えてください。

 まず、「PGR2」に日本の都市を入れるというのは、マイクロソフトが日本市場に対して約束していることを守るという意味から、開発時点からの前提条件となっていました。前作でも選ばれていた東京(新宿、渋谷、浅草)の別の場所を選択するという案もあったのですが、やはり別の都市にしようということになって、日本のチームやレドモンドのチーム、我々イギリスのチームとの間で様々な意見の交換をしました。候補としては京都や大阪も上がったのですが、最終的に横浜になりました。

 横浜に決定した理由ですが、特徴的な建築物が多いという面もありますが、コースを設定する上で、実際に道路のレイアウトが非常に優れていたという部分が大きいです。ゲームに実装する場合に、ポリゴンモデルを制作できる範囲はデータサイズという点から限られたエリアに限定されてしまいますが、横浜であれば、その限られたエリアの中でもおもしろいコースを設定できると考えたからです。大阪や京都では、狭い道が多くなってしまって、リアリスティックにレースを楽しめるコースを設定するのが難しかったのです。
 横浜みなとみらい21地区は埋め立て地で、幅の広い道路がたくさんあります。また、ランドマークタワーなどの高くて近代的な建物ばかりでなく、開港記念館のような古い建物もあって、非常におもしろいと考えました。

--前作では、各街で4コースずつ用意されていましたが、今回横浜には何コースが用意されているのでしょうか?

 横浜は全部で10コースです。横浜には、これまでのレースゲームにはなかった、超ショートコースも用意されています。100mほどの直線道路を、中央分離帯を挟んでぐるぐるまわるだけ、というジムカーナのようなコースです。この超ショートコースでタイムを競うと、非常におもしろいのではないでしょうか。

--ほかの都市にも、このような特色のある超ショートコースは用意されていますか?

 いくつかは用意されているかもしれませんが、ここまで短いコースはほかにはないと思います。本当は、横浜の赤レンガ道でやりたかったのですが、それは実現できませんでした。


■ 車のポテンシャルを最大限に楽しめるようにパーマネントサーキットを収録

マイクロソフトの具島快氏。日本側のスタッフで、FM横浜関連のDJボイスの収録なども担当
--「PGR2」に収録されている都市とコースは全部でいくつになりますか?

 全10都市で、パーマネントサーキットであるニュルブルクリンクサーキットも含めて全部で92コースとなります。また、収録されている車種は全部で102車種です。

--実際の都市を忠実に再現して、その街を走るというのが「PGR」の基本的なゲームコンセプトだと思うのですが、今回なぜパーマネントサーキットであるニュルブルクリンクサーキットが収録されたのですか?

 前作のプレーヤーからのフィードバックとして多かった意見の中に、「せっかくのスーパーカーのパフォーマンスを最大限に楽しめるコースがない」というものが多かったのです。長い直線やバンクのあるコーナーなどは都市には存在しません。そこで今回は開発当初からパーマネントサーキットを絶対に収録しようと考えていて、マイクロソフトや関係者と交渉を重ねた結果、ニュルブルクリンクサーキットの収録が決定しました。このコースであれば、エンツォ・フェラーリを走らせる場合でも、それがどういったパフォーマンスを発揮するのか、ということを十分に体験できるはずです。とはいっても、やはり「PGR」の基本は市街地を走る、ということに変わりはありません。

--ただ、このようなパーマネントサーキットを1つでも入れてしまうと、次回作に対して、他のサーキットも入れてほしいというユーザーからの要望が増えると思います。しかし、その要望をどんどん取り入れていくと、「PGR」としてのゲーム性が大きく変化してしまうでしょう。今後次回作の開発において、パーマネントサーキットに対する考え方が変わる可能性はありますか?

 今回初めてパーマネントサーキットを収録したので、そのあたりは今後ユーザーのフィードバックを見てみない限りわからないでしょう。もちろん、それによっては、収録するパーマネントサーキットの種類が増える可能性もあるでしょう。しかし、だからといって「PGR」の基本コンセプトは変えません。あくまでも市街地を走る、ということを楽しむゲームで、今後もそれだけは堅持していきます。


■ 実際のFM局の人気DJを起用し、非常に多数のコメントやメッセージを収録

--サウンドに関してですが、横浜コースではFM横浜で実際に活躍しているDJを起用したサウンドが聴けるそうですが?

 はい、現在FM横浜で人気のある3人のDJを選んで収録しています。もちろん、それは横浜だけでなく、全世界のFM局の人気DJが起用されています。
 DJは、曲に対するコメントやメッセージをしゃべりますが、毎回同じしゃべりを聞くのはいやなので、1つの曲に対して20パターン以上のコメントやメッセージが用意されています。また、その時の天候や時節に合わせたコメントも用意されていて、それらを組み合わせて実際に流すようになっています。

 例えば、雨が降っていれば「雨が降って嫌な天気ですね~」といったコメントが入ったり、Xbox内蔵時計をチェックして、クリスマス時期には「メリークリスマス!」、正月には「ハッピーニューイヤー!」といったコメントが入るようになっています。とにかく、非常に膨大なコメントが収録されていて、しかも1つの曲に対しての紹介コメントは20パターン以上あり、さらにこれらが組み合わされます。とにかく、プレイ中に同じコメントやメッセージが繰り返されるということはほとんどないはずです。

 ほかに、各FM放送局の正式なジングルも収録されています。FM横浜には百数十個のジングルがありますが、その多くが収録されています。また、DJの誕生日には、彼らの誕生日に関するメッセージをしゃべるようにもなっています。FM横浜のあるDJは、かなり長いメッセージになっていますので、ぜひ聴いてみてください。

--前作では、自分でXboxに録音した音楽を流してプレイできましたが、それは今回もできますか?

 はい、できます。そして、自分でXboxに録音した音楽を流す場合には、ジェネラルなDJの紹介コメントが選択されるようになっています。つまり、収録曲と同じような感覚で流れることになります。

--Xbox Liveを利用して、サウンド面を強化したり、コメントを変化させるなどの機能があれば、もっと楽しくなると思いますが

 実は、そういったことについても開発段階で話し合ったことがあります。「PGR2」のラジオシステムは、容量がトータルで3GBを占めるほど非常に大きくなっています。曲データは1曲に付き400~500Kバイトほどの容量がありますので、ダウンロードするにはかなり重いです。そのため、実現するのは難しいということになりました。また、ライブストリーミングでサウンドを流すということも話題に上ったことがあります。しかし、それでは帯域幅を食い過ぎるためできないということになりました。


■ 「クードス」システムとXbox Live対応が競合製品に対する優位点

実際に「PGR2」をプレイしながら、終始和やかな雰囲気で詳しい説明を聞かせてくれた具島快氏とNick Wiswell氏
--「PGR2」は、日本では11月20日に発売されますが、これから冬にかけて、他のメーカーからも競合するようなレースゲームがいくつか登場します。それら他のレースゲームに対して「PGR2」が優れている点はどこでしょうか。

 差別化要因としては2つあると思います。まず「クードス」システムです。これは、車に対して改造やチューニングなどを一切行なわずに走らせて、それによって道路上で実際に起こることに対してフォーカスを当てたプレイシステムです。つまり、運転スタイルを楽しむという点を重要視したゲーム性です。

 もう一つはオンラインプレイです。「グランツーリスモ4」でもネットワーク対応をうたっていますが、私たちとは全く別の角度からオンラインにアプローチしていると思います。私たちのオンラインプレイのやり方のほうが、ずっとユーザーフレンドリーで、誰でも簡単に楽しめるようになっていると思います。シングルプレイモードでも、ゴーストデータをダウンロードしてマルチプレイモードのように楽しめますし、オンライン時にはXboxコミュニケータを使って声でコミュニケーションを取りながらプレイを楽しめます。「PGR2」は全世界ほぼ同時に発売されますので、オンラインプレイという点でも非常に有利だと思います。

--「PGR2」の日本語版と海外版の間になにか違いはありますか?

 今回は、ワールドワイドで全く同じコードを採用していますので、違いは全くありません。言語設定を変更すれば、日本語版でも全ての言語が表示されます。

--では最後に、日本のプレーヤーに一言お願いします。

 我々は、「PGR2」をとても楽しく制作できました。それに負けないぐらい、みなさんも「PGR2」を楽しんでもらいたいと思います。

--本日はどうもありがとうございました。


□「Project Gotham Racing 2」のホームページ
http://pgr2.jp/top.html
□関連情報
【9月26日】東京ゲームショウ2003 Xboxブースレポート プレスステージで新作タイトルや新サービスなどが発表される
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030926/ms.htm

(2003年9月28日)

[Reported by 平澤寿康]


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