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Vivendi Universal Games ASIA GAME SUMMIT
~TRIBES VENGEANCE~よみがえるTRIBES

9月16日開催(現地時間)

会場:Asia Civilization Museum

  チームベースの3Dアクションシューティングゲーム「TRIBES」シリーズの最新作が、今回のGAME SUMMITにて初公開となった。

■ あのTRIBESが復活!

マルチプレーヤーゲームの旗取り合戦(CTF)では、旗を確保したプレーヤーを追いかける必要性が出てくるわけだが、その追跡の攻防も他のFPSと違い、非常に立体的なものになる。この起伏に富んだマップ構造も「TRIBES」シリーズの魅力

 「TRIBES」は、知名度こそ「QUAKE」や「Unreal」ほどではないものの、「チームプレイ」、「乗り物に乗って戦闘」といったゲームデザインコンセプトが斬新であったことから業界に多大な影響を与えた。現在、3Dシューターの間で人気の「Planet Side」、年末発売予定の「Unreal Tournament 2004」などは、ゲームファン達からも「TRIBES」シリーズからの影響が指摘されている。

 今作は、正当な「TRIBES」シリーズの続編としながらも、「TRIBES3」は名乗らず、タイトルは「TRIBES VENGEANCE」としている。これには様々な理由があるようだが、前作「2」発表から時間が2年ほど経過しており、世間の「TRIBES」に対する認知度が低くなっている点、開発元がIRRATIONAL GAMESスタジオとなった点、そして、シリーズを知らないプレーヤーに続編という先入観なしにユニークなゲーム性を楽しんでもらえるように……といった狙いがあるようだ。

「TRIBES VENGEANCE」の展示コーナー。「立体的な攻防。あの『TRIBES』独自のゲーム性を進化させたのが今作なんだ」(写真右 IRRATIONAL GAMES Multiplayer DesignerのMichael Johnston氏)

 今作は、時間軸的に「TRIBES」で描かれた時代よりも前になり「TRIBES2」よりも科学文明の進化度は低く設定されるという。とはいえ、TRIBESの最大の特徴である、各キャラクタが背負うことになるバックパックジェットシステムは健在。右クリックでジェットを噴射してジャンプ、スペースキーで滑空(スキーイング)が可能だ。

 この滑空は本作において攻防の要になるアクション。慣性力を味方に付けて滑空することで通常よりも高速に移動でき、さらにこの状態でジャンプすると通常よりも高く飛び上がることができる。このアクションを使えば、遙か敵の頭上から高速に先制攻撃を与えられ、また速やかに撤退といった電撃作戦も遂行可能になる。「TRIBES VENGEANCE」でも、かつてのTRIBESシリーズ同様に、立体的かつスピーディなプレイ感覚が健在なのだ。

■ ゲームシステムは前作までを踏襲

 今作では、3つの種族が登場し、それぞれが性別を持つ。キャラクタを選択後は装着するアーマースーツを軽量、標準、重量級の3タイプの中からの選択する。このあたりは「TRIBES2」のシステムを踏襲しているといっていいだろう。

 軽量タイプは運動能力に長け、移動スピードやジャンプ能力に長けるが装甲が薄い。逆に重量級は装甲が厚く耐久力が高いが運動能力に難がある。しかし、他アーマータイプが所持できない火力の大きな武器を携行できる。標準タイプは前述2つの中間的な性能を持つ。

 「TRIBES VENGEANCE」では前作まで以上にアーマーに強い長所、短所を持たせており、それぞれの短所をチームワークでカバーし、それぞれの長所を最大限に生かす戦術が求められるという。基本的な戦術としては重量級アーマープレーヤーは拠点防衛を受け持ち、軽量級は遊撃行動、標準型は前線の押し上げを担当……といった形になるそうだが、チームワークの連携がうまくいけば重量級と軽量級の混成部隊で進軍するといった戦術も面白くなるとのこと。

 各アーマーには特有のアイテムスロット(パック)があり、プレーヤーはこのアイテムによって各自特有の特殊能力を発揮できる。その内容はジャンプ能力の持続時間を延長させたり、装甲回復、弾薬増強といったもので、戦局を左右するものではないが、自キャラの行動を優位にし、その局面の不利を軽減できる。

 シリーズの最大の特徴であった乗り物システムは残念ながら開発中とのことで見せてもらえなかったが、コンセプトは確定しており、2種類の地上車両と2種類の飛空挺が登場することが決定しているとのこと。

 登場武器は全部で12種類。このうち5種類が「TRIBES VENGEANCE」で新登場となる。

帝国軍軽量型アーマー

帝国軍標準型アーマー

滑空移動が「TRIBES」シリーズの魅力。あの動きは健在

■ シングルプレーヤーモードはインタラクティブシネマ風

荒廃した都市。多彩なロケーションで繰り広げられるスペースオペラ風シングルプレーヤーゲームは現在鋭意制作中

 ゲームモードは、シリーズの看板モードであるマルチプレーヤーゲームは今作も最大32人同時対戦がサポートされる。また、特筆すべきなのは、今作ではシナリオベースのシングルプレーヤーゲームモードが追加される点だろう。

 シナリオはIRRATIONAL GAMESの最近作「Freedom Forces」のストーリーを担当したスタッフが担当。前作の十数分で終わるトレーニング的なミッションとは違い、総プレイ時間は20時間を超える壮大なストーリーが提供される予定だ。

 主人公は帝国の王女ジェシカ。物語は彼女の幼少の時代から、成長した時代までが語られ、いわゆるスペースオペラ的な展開となる。

 Johnston氏は「TRIBES VENGEANCE」のシングルプレイゲームモードを「インタラクティブシネマ」というような表現を使って説明する。ユニークなのはキャラクタシステムで、シナリオの進行に合わせて操作するキャラクタが随時変わっていくスタイルを採用している。

 ストーリーの進行は映画のように線形な一本道だが、プレーヤーはシーンごとに出演してくるメインキャラクタを操作することになる。たとえばジェシカの冒険ステージを3ステージプレイしたとすると、次のステージでは、彼女に敵対する主役級悪役キャラクタでプレイするような展開となる。かなりアドベンチャーゲーム的要素を取り入れてはいるが、基本的にFPSスタイルでゲームは進行していく。

 Johnston氏によれば、同じ場所を行ったりきたりするようなアドベンチャーゲームではなく、突き進んでいくことで次の局面を切り開いていくハードボイルドアクション映画のような爽快なものになる、とのことだ。最近のタイトルで言えばXbox用「Halo」のようなイメージになるのだと思われる。

 なお、主人公のジェシカ王女にはスタースポーツ選手という裏設定があり、この設定に基づいた、スポーツ・ミニゲームも用意されるらしい。そのミニゲームの結果がゲーム展開にどう影響するかは未定とのこと。

【コンセプトアート】

■ カスタマイズ版「Unreal」エンジン採用

 前作までは100%自家製の「TRIBES」エンジンが採用されてきたが、今回は「Unreal」エンジンをベースにIRRATIONAL GAMESが独自拡張したカスタマイズ版「Unreal」エンジンベースで制作が進められている。

 ゲーム内物理や人体のRagdoll物理は「Unreal」内エンジンが活用されているが、プレーヤーの制御物理は、IRRATIONAL GAMESの完全オリジナル物理エンジンに基づいているとのこと。

 ゲーム内物理とはゲーム内に登場する様々な小道具、大道具オブジェクトに効いている物理を指す。たとえば椅子や樽などを銃撃したときにそれらが相互に干渉しあって吹っ飛ぶ様などはこの物理エンジンで処理されることになる。そしてプレーヤーの制御物理はジェットパック挙動制御や、特殊な車両の制御に用いられる物理だ。

 AIエンジンも独自のものを開発。注目は味方のAIシステムで、プレーヤーには何体かのAI制御の味方(というか部下)を付けることができ、これらがプレーヤーの行動を自動支援する動きを取る。ただし、ゲーム性が複雑になることを懸念し、現段階ではコンバットシムのように部下達へ命令を伝達するシステムのような要素は考えていないのだとか。

 グラフィックスに関してはまだまだ調整中ということだが、ゲームの発売が来年末予定と言うことで、DirectX 9テクノロジ(具体的にはプログラマブルシェーダー技術)をふんだんに活用したものになるとのこと。既に今回公開されたバージョンでも、随所にハイダイナミックレンジ(HDR)レンダリング・ライクなグレア効果エフェクト(シーン内の高輝度物から光がにじみあふれる表現)が随所に見られ、プログラマブルシェーダ技術への対応姿勢をアピールしていた。なお、プレイ視点は、今作も前作同様、三人称、一人称の随時切り替えに対応する。

 「TRIBES」といえば、「起伏に富んだ地形」というのがまず連想されるが、今作でも、砂漠や草原、雪原、空中都市などなど、全7箇所のロケーションが登場する。そのどれもが遙か遠方までがエピックスケールで描かれるリアルタイム3Dビジュアルで表現される。しかもJohnston氏によれば今作ではそれだけでなく、シングルプレーヤーに限り、インドアのシーンも盛り込むことも思案中だとか。もしかすると「DOOM III」のように閉塞空間のなかでの戦闘……といったシーンも楽しめるのかもしれない。

 開発チームは25人体制で、アメリカ・ボストンスタジオでストーリー制作が、オーストラリア・キャンベラスタジオでゲーム制作が行なわれている。今回公開されたバージョンは開発進行度60%。発売は前述の通り2004年第4四半期を予定。来年のE3ではかなり完成版に近いものが出展される予定だとのことだ。

影はプロジェクションシャドウ技法によるもの。セルフシャドウはなし

プレーヤーにはAI制御の味方がつくことも

最近ではお馴染みとなってきたグレア効果が「TRIBES VENGEANCE」でも!

「TRIBES VENGEANCE」のシングルプレーヤーではシーンでは屋内シーンも多数用意される?

エピックスケールで描かれる起伏に富んだユニークな屋外地形。どんな乗り物が登場するのかも楽しみだ

 
【TRIBES VENGEANCE ムービー】
画像を右クリックし、「対象を保存」を選択してください
[WMV形式]

TRIBESシリーズの特徴である滑空(スキーイング)アクションは今作でも健在
[12.1MB]

立体的な攻防が本作のゲーム性の特徴
[6.62MB]

最大32人が同時にプレイ可能。MMO-FPSといっても過言ではないほどの規模の大きい大勢対大勢のチームプレイが楽しめる
[8.53MB]

 

マルチプレーヤーゲームモードはデスマッチの他、旗取り合戦(CTF)などのモードも用意される
[14.3MB]

Unrealエンジンで描かれる高品位グラフィックスにも期待。「TRIBES VENGEANCE」は3人称視点プレイが可能なので、日本人にもなじみやすい
[8.33MB]

 

(C)2003 Vivendi Universal Games

□Vivendi Universal Gamesのホームページ
http://www.vugames.com/
□関連情報
【2001年6月22日】PCゲームレビュー
広大なフィールドを縦横無尽に駆け巡り敵対勢力を蹂躙せよ!
TRIBES 2
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010622/tribes2.htm

(2003年9月17日)

[Reported by トライゼット西川善司]


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