|
★PCゲームレビュー★
2月より正式スタートした日本語版「エバークエスト」(以下、EQ)。海外では'98年から、既に5年以上もの歴史を経ているMMORPGである。日本語版は、海外版の歴史を非常に短期間でたどろうとしている。今回のレビューでは、7月に発売された日本語版追加パック、「ザ・シャドウ・オブ・ラクリン」の情報を中心に、じっくりレベル40までプレイした日本語版EQプレーヤーである筆者の「感触」を語っていきたいと思う。 ■短期間で膨大に広がっていく世界 前回のレビューではクレリックを育てていた筆者だが、「もっと殴りたい」という非常に単純な理由からウォーリアーの「らいあん」を作成、コアなプレーヤーからすればはるかに遅い速度で育成中である。 特にウォーリアーやクレリックに言えることだが、「ソロプレイが難しい」というのは、EQの特徴のひとつだろう。「6人のフルグループで戦う」というところに絶妙のゲームバランスがあり、プレーヤー達はそれぞれ自分の役割をわきまえた上での連携を行なわなくてはならない。他のMMORPGでも、プレーヤー間の協力は必須ではあるが、EQはシミュレーションゲームのように戦略が必要になる戦闘システムを持った最初のMMORPGであり、プレーヤーは強くなるに従ってそのセオリーを学習していく楽しさがある。
これをある程度防ぐために、日本サーバーではメンバーを募りやすい「ギルド」が発達したようだ。筆者も「旅人のカノン」というギルドに参加させてもらい、このギルドを中心に冒険を行なっている。もちろん、積極的にフリーの人に声をかけグループを募る人も多く、また、頼りになる「相棒」を見つけて固定グループで戦っている人もいて、プレイスタイルは実にさまざまだ。 「知識」が必要なのも、このゲームの面白いところ。EQは、本当に星の数ほどのクエストと、アイテムがあり、レベルを上げることと共にこれらをこなしていく事が必要になっていく。特にアイテムは頼りになるキャラクタとなるためには必須であり、プレイの大きな目的になる。 どこにいって、どんなクエストをこなせばアイテムが入手できるか。これらを調べるには、プレーヤー間の情報交換ではとても足りない、自らネットで、きちんと調べて行かなくてはならない。日本人プレーヤー達が運営しているサイトは非常に助けになるが、時には海外のページでさらに詳細な情報を集めなくてはならない。 こういった情報を収集するのはやはり才能が必要で、仲間のうちに「生き字引」的な役割をする人が登場してくるのが面白い。また、アイテムを入手するにも仲間の協力は必要不可欠であり、プレーヤー間のつながりの深さを生むこととなる。日本語版EQは少し特殊な環境にあることにも触れておかなくてはならない。海外で5年の歳月を経て進化し、追加パックによって広がったEQの世界を、わずか数カ月でたどっているのである。 EQは非常に広大な世界を持つゲームで、追加パックは「新たな世界を!」というプレーヤー達の叫びに応えるように出てきたものであるが、日本語版は多くのプレーヤーが世界を見て回らないうちに次の世界が追加されていってしまっている。もちろんこれは、日本語版スタッフの非常な努力のたまものであり、賞賛すべきものだ。しかし、この広大な世界を、プレーヤーが充分に満喫しているかと言えば、やはりまだまだであるだろう。
プレーヤーにとって、急激に非常に広い世界と、膨大な情報が与えられているというのは、他のMMORPGにはないユニークな展開である。その広大な世界を、今後、プレーヤーはジグソーパズルのピースをはめ込むように、ちくちく踏破していくこととなる。こういう楽しみ方は、独特のものかもしれない。
EQは、深く、だからこそ濃いゲームなのである。5年の歳月によって広がった世界を、短期間でローカライズして目の前に広げてみせたスタッフには拍手を贈りたい。プレーヤーの前には、あまりに広大な世界が広がっている。この濃い世界を「満喫」するためには、どのくらいの時間がかかるだろうか? 他のゲームの追随を許さないスケールの大きさがこのゲームにはある。 ■冒険者をフォローする新システムの導入 今回の追加パックで新たに加えられた要素は大別すると3つである。 1.数々の新システム 2.新種族バ・シアーと、新職業ビーストロード 3.新世界ラクリン 新システムは、よりプレイしやすいようにするためのアイデアが盛り込まれている。これは、新世界であるラクリンと密接に関係している。ラクリンとは、天空に浮かぶ月のことである。ここに災厄を逃れて人が移住したときから、歴史が始まったのだ。 ラクリンと今までの世界ノーラスをつなぐのが「ネクサス」というゾーンである。ここにはノーラスの各大陸に通じるゲートがあり、これを経由することで、比較的容易に移動することができるようになった。魔法が全く使えないキャラクタも、ネクサスを経由することでグループメンバーとの合流が楽になったのだ。このゲートにはいるためには、アイテムを持っておくことが必要で、テレポートの瞬間には光が広がり、ムードもたっぷりな演出が楽しめる。このネクサスが、新しい冒険者達の出会いの場となっている。 ネクサスに隣接する「バザー」というゾーンは、名前そのまま、プレーヤー達が任意で店を出せる、フリーマーケットのような場所である。プレーヤー達は、アイテムに自由な価格をつけて出品することができる。出品物はリスト化され、検索することができるので、非常に購入しやすい。既に出品されている同じ製品の値段も調べることができるので、価格競争も起きていて、安価に購入できるチャンスも多い。
ここで恩恵が得られるのは、35くらいまでの中堅キャラクタが大半だろう。40以上のキャラクタが望むアイテムは、プレーヤーがまだ主力として使っているものが多く、市場に出回らない上、もし出たとしても非常に高価なものになっている。やはり、上級者は困難な方法でキャラクタを育てていくしかない。
最も特徴的なのが、「アドバンスド・アビリティー・システム」だ。攻撃や魔法を強化させるなど、さらに「超人的」なキャラクタの育成が可能になる。目標とするスキルに、経験値を割り振っていくことでより個性的なキャラクタにすることができるのだ。これはレベル51から可能になるが、専門的なスキルの使用はさらに上のレベルが必要となっていて、レベルの上限に達してしまったキャラクタへのご褒美という感じも強い。これらのスキルを育成させることで、今までとは違った称号を得ることもできる。称号の上でも、強いキャラクタであることを主張できるのだ。 ■新種族バ・シアーと、新職業ビーストロード 「ザ・ルーインズ・オブ・クナーク」のトカゲ人、「ザ・レガシー・オブ・イーキシャ」のカエル人のように、ユニークな新種族は追加パックの魅力のひとつだ。今回は猫型種族とも言えるバ・シアーと、さらに新職業ビーストロードが追加された。 バ・シアーは、月の原住生物のようで、大型の猫科の特徴を持つ。選択できる外見で虎や豹、ホワイトタイガーなどになる。選択できる職業はウォーリアーやシャーマン、バード、ローグ、そしてビーストロードだ。
バ・シアーの街、シャバールは中東をモデルにした感じで、敷物と天幕で作られた露店や、細かい意匠の絨毯、王宮にはハーレムがあったりして、観光地としても楽しい。猫人間達が鎧やドレスをつけ、生活をしているのも面白いし、何よりも自分のキャラがしっぽをふりふりしながら歩いていく様は、単純にカワイイ。
同じようなレベルのプレーヤーがいれば、協力しあって、2、3人で狩りをしていけばそれほど苦労せずにレベル10くらいまでは上げられる。また、怪物達が落とすアイテムの多くはクエストの材料になるので、あまり売らずとっておいたり、ネットで調べてすぐに経験値稼ぎやアイテムに替えてしまうのも得策だろう。 この守護者の「可愛さ」が殺人的だ。もう、身もだえするほどにちっちゃくて、カワイイのである。このちっちゃなトラ君が、一生懸命プレーヤーの後を追いかけ、忠実に戦ってくれるのだから、たまらない。この感触を味わうために、ビーストロードを目指す人は多いのではないだろうか。
ビーストロードが扱う守護者は種族によって異なる。トカゲ人イクサーの扱うペットは恐竜のようだし、オーガーは熊、トロルはワニ、バーバリアンは狼だ。また、レベルが上がることで召喚できる動物は大きく、強力なものになっていく。噂によっては「ビーストロードはペットのおまけ」になってしまうようだが、それはそれで特徴的なキャラクタかもしれない。
また、キャラクタの移動速度を上げるSOWや、敵の目をごまかせる透明化の呪文などシャーマンの有効な呪文を唱えることができるようになるので、グループプレイでも、補助的な活躍が期待できるだろう。 ■ユニークな「月の世界」 ラクリンは30ものゾーンがあるという。しかし、高レベル向けゾーンが多いこともあって、筆者にとってまだ踏破していないところがほとんどである。らいあん自体、「殴って敵を足止めし、魔法使いの強力な呪文を効果的に使わせるための盾」という、ソロ能力も生還率も共に低い職業なため、友人の協力が必須であった。そういった状況下での、いくつかのゾーンを紹介していきたい
ネクサスの隣のシャドウヘイブンはそこそこ大きな街になっている。ここにはいくつかのクエストがあって、買い物ついでに挑戦しても面白い。ネクサスが世界の冒険の中継地点ならば、シャドウヘイブンは月世界での中心地となるところだ。死んだ後に復活できるソウルバインダーもいるので、任意の場所でバインドできない冒険者は、ここでやっておくといいかもしれない。 ここには「Sambata」という猿人もいて、彼らはかなり歯ごたえがある敵。彼らの生息する洞窟は人気の狩り場になっている。ビーストロードやモンクにはそこそこいいアイテムを落とすのもうれしい上に、アイテムの売り場も近い、長時間キャンプができるポイントだ。
ここからさらに先にある「メイデンの目」は、さらにパワーアップした猿人がいて、現時点ではとても探索不可能だった。レベル50オーバーのグループですら、入り口近くで逃げる用意をしながら狩りをしていた。 (C)Sony Corporation,(C)2003 Sony Communication Network Corporation,(C)2003 Sony Computer Entertainment America Inc. EverQuest is a resistered trademark of Sony Computer Entertainment America Inc. in theU.S. and/or other countries. SOE and the SOE logo are registered trademarks of Sony Online Entertainment Inc. in the U.S. and/or other countries. All other trademarks are property of their respective owners. All rights reserved.
□So-netのホームページ
(2003年8月15日) [Reported by 勝田哲也]
また、弊誌に掲載された写真、文章の無許諾での転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2003 Impress Corporation All rights reserved. |
|