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SCEI、「グランツーリスモ4」車両取材を |
30台以上のマシンが集まり、マスコミ向けにパレードランも行なわれた |
今冬 発売予定
価格:未定
コース上では試乗とデータロガーによるデータ収集が行なわれ、パドックそばの駐車場ではエンジン、マフラーサウンドの収録が行なわれた |
E3版からさらに進化した「GT4」の試遊台が3台設置され、自由にプレイが可能となっていた。服部氏のドライビングに盛り上がっているところ |
株式会社ポリフォニー・デジタルのスタッフをはじめ、プレジデントの山内一典氏も来場。実車の撮影、そしてエンジン、マフラーをはじめとするサウンドの収録、各マシンの挙動やフィーリングを掴むためのサーキット走行などを精力的にこなした。サーキット走行には、服部尚貴氏ら著名なプロドライバーも多数来場。ノーマル/レースカー問わずドライブし、マスコミ向けに同乗走行も行なわれた。
また、前日に完成したという、E3バージョンからさらに進化した「GT4」も会場に3台の試遊台が設置。当然E3で発表された新型ハンドルコントローラ「GT FORCE Pro(仮)」とのセットでの試遊環境となっていた。
首都高仕様という愛車のフェアレディZをコースに持ち込んだ山内プレジデント。今回の走りこみでタイヤはツルツルになってしまっていた。パッと見た限りでは、排気系と足回りが強化されている印象。実際にコースを走っているときの排気音は抜けのいい甲高い音で、マフラーエンドはキレイな色に焼けていた |
--今日はどういうカテゴリのマシンが集められたのですか?
山内 ひとつは、「GT3」以降今までに発売された新車たちのグループですね。それから、「GT4」では古い車たちをたくさん収録したいと思っていますから、いわゆる懐かしの'70~'80年代の車たちのグループ。代表的なチューナーさんたちの最新のチューニングカーたち。そしてゲストとしてGTカーが来ています。レーシングカーの速さに関しての僕らなりの知りたいことを今日は明らかにしようと思ってます。
--山内さんから見たGT500のマシンはどういった印象ですか?
山内 想像がつかないんですよ。以前にル・マン仕様のマシンには乗ったことがあるのですが、ダウンフォースの効いている車の動きって、普段我々が乗っている車からすると、想像を絶する動きなんですよね。GT500のマシンもそういう車だろうと思いますから、ちょっと楽しみにしてます。
--今日の取材にあたって、オススメの車ってありますか?
山内 普段お目にかかれないということでは、やはり旧車たちでしょう。
--旧車は直接オーナーに声をかけられたんですか?
山内 そうです。
--旧車を改めて目の前にして、新しい発見はありましたか?
山内 当時「かっこいい」と思っていたイメージと、改めて見てのイメージはやはり違うんですが、今の視点で改めてかっこよさを再発見することもあります。
--今日は曇りですが……。
山内 これはベストのコンディションですね。車の写真を撮影するには曇りが一番いいし、気温もそれほど高くないですからマシンにもやさしいですしね。
試乗したSPOON SPORTSのS2000。ハードトップを装着しており、室内はロールゲージでガチガチのレース仕様 |
さて、試乗できたのは、「GT」プレーヤーのみならず、HONDA車オーナーには有名な、SPOON SPORTSのS2000。岡田秀樹選手たちが十勝24時間レースなどで実際にドライブしたマシンだ。
ヘルメットを装着し、助手席に乗り込む。当然、フルバケットシートに5点式のシートベルトを締める。「よろしくお願いします」と声をかけると、早速スタート。ターボ車ほどではないが、自然吸気エンジンらしいどこまでも伸びていきそうな全域の圧倒的な加速感を体全体をシートに貼り付けられつつ感じながら、ピットを後にする。
同乗走行に使用されたコースは、ツインリンクもてぎのロードコース。東コントロールタワー前からダウンヒルストレートを下り、90度コーナーからセカンドアンダーブリッジを抜けると、軽く左にふたつのコーナーがあり、30Rのビクトリーコーナーからメインストレートへと抜ける。
ダウンヒルストレートは中盤からが下り坂になっており、ストレートエンドでかなりのスピードが乗った状態で吸い込まれるように90度コーナーへの進入となる。市販車ベースとはいえ、かなりのチューニングが施されたS2000だけに、あっというまにストレートは終わり、すぐに強烈な横Gが体を左に持っていく。そしてアンダーブリッジを抜けたところからのふたつの左コーナーで今度は体が右に持っていかれる。5点式のシートベルトを締めているとはいえ、両足を上手くボディに突っ張ってシートに体を押し付けていないと転がってしまいそうな勢いだ。
市販車と圧倒的に違うのは、レースマシンのグリップの高さと、ボディの剛性の高さだろう。コーナーの出口をにらみつけるように視線を固定しているはずが、Gによってコーナー脇に向かって視線が泳いでしまうような状態なのに、車のノーズはぐいぐいと出口方向へと向きを変えようとする。足回りはガッチリ固められているから、ロールも大きくはないのだが、慣れないうちは自分の平衡感覚を疑いたくなるような大きな傾きを感じるほどのGだ。これはサーキットの路面のミューの高さにも起因していることはまちがいないが。
そしてメインストレート。甲高い排気音とエンジンの咆哮がコクピットに充満し、そのままU字型になった第1、第2コーナーへと進入していく。
ガーンッと急に体が前に飛び出すような衝撃を伴うブレーキングで体がシートから浮くような感覚を味わうと、そこからまた左に体が強烈なGで持っていかれる。リアタイアがゴゴゴッという突き上げるような感触と、ズズズッと軽く横にスライドする感覚を同時に伴いながら、S2000のノーズはやはりコーナーの中心に向けてきれいに方向を変えていく。同乗走行時に若干の雨模様のコースコンディションだったせいか、このコーナーから若干テールスライド気味のドライブとなったが、タイヤの接地感は常に失われることなく、スライドしているのか、グリップしているのかがきちんとボディを伝わってダイレクトに乗員に伝わってくるあたりがさすが。
さらに、メインストレートより若干短いストレートを抜け、第3、4コーナー、そしてさらにストレートから第5コーナーへ。クライマックスのS字、V字コーナーからラストのヘアピンへと流れるように滑り込んでいく。S字はまたGで強烈に体を右、左と振られるのだが、ここでもまた次元の違う強烈な安心感とともにマシンはコーナーを抜けていく。
レーシングスピードとは程遠いスピードでのドライブ(メインからのストレートエンドでのメーター読みで140~160km/hのスピードだった)だと思われるのだが、それでも、自分の減速感覚、加速感覚、コーナリングGとは別次元の運動性能が十二分に体感できる。簡単に言えば自分で運転できるジェットコースター感覚とでも言えばいいのだろうか。チューニングカーでのサーキットドライブは数回体験したことがあるのだが、やはりレースマシンの能力の高さには舌を巻く。先ほど挙げた剛性感、そしてブレーキングの強烈な減速、さらにこれでもかというほどの旋回性能。
また、レーシングドライバーのスムーズな操作には改めて感服する。シフトダウン、アップ、ステアリング操作のクイックさとスムーズさ。テールが流れるときのカウンターステアの速さとステアリングの操舵量の的確さ。先ほど「自分で運転できるジェットコースター」と書いたが、レーシングドライバーの手によって、レールの上を走るような安心感に、強烈なGが覆いかぶさってくる、まさに自由に走れるジェットコースターという感覚が得られるのだ。あっという間に規定の周回を終えてマシンを降りたのだが、あのGの中、路面状況を把握しながら何週もコースを走るドライバーのスタミナにも驚かざるを得ない。
試遊台で「GT4」に興じていたドライバーたちが、「実際のコースを『GT』で走っても、ブレーキングポイントやコーナリングラインはほぼ実車同様になる。レースで初めて走るときもゲームでブレーキングの目印などを勉強しているドライバーは多い」と話していた。個人的には、逆にゲームから車にアプローチするプレーヤーには、あの強烈なGとサーキットの安全さをぜひ体験してもらいたいな、と思いながらもてぎをあとにした記者であった。
□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.scei.co.jp/
□プレイステーションのページ
http://www.playstation.jp/
□関連情報
【7月30日】PlayStation Meeting 2003詳報
タイトル収穫期に入り出荷本数の好調な伸びの反面に課題も
期待の新作を5本紹介。「戦国無双」と「FF XII」はタイトルのみ公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030730/psm.htm
【5月15日】E3会場で「グランツーリスモ4」の詳細が明らかに
山内一典氏「開発進行度は65%、発売はこの冬を予定」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030515/sce1.htm
(2003年8月1日)
[Reported by 佐伯憲司]
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