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E3会場で「グランツーリスモ4」の詳細が明らかに |
会場:Los Angeles Convention Center
ソニー・コンピュータエンタテインメントは、先日のプレスブリーフィングで発表された「グランツーリスモ4」の詳細を、同作品のプロデューサーであるポリフォニー・デジタルの山内一典氏を迎えて行なった。価格などは不明だが、発売日はこの冬と発表された。
発表会に先立ちブースで体験してみたのだが、収録されているコースは筑波、ニューヨーク、グランドキャニオンの3コース。それぞれサーキット、公道コース、ラリーコースを代表する形で収録されているようだ。いずれもこれまでのシリーズに比べ若干コースが長く設定されている。
車の挙動に関しては、山内氏がメディアブリーフィングで語ったように、確かにこれまでのシリーズなどにくらべると走りやすくなっている。E3バージョンではコースの選択後、車種の選択(もちろんコースによって走れる車が違うためそれぞれ違った車種が登場する。その中から選択)、そしてAT/MTの選択、最後にドライブアシストの選択をASM TCM、TCM、OFFから行ないレーススタートとなる。
背景グラフィックスに関しては、実にリアル。エンジン自体に大きな変化はないようだが、ブラッシュアップされ、実に美しい背景に仕上がっている。とくにグランドキャニオンの遠景は美しい。ラリーコースに登場する沿道の人たちは2Dグラフィックだが若干立体的に描かれている。当然動くことはなく、あまりに周りの風景がリアルなので、逆に浮き立って見え寂しいくらいだ。それだけグラフィックは進化していると言うことなのだが。
今回は、ショーバージョンでスタート時にシングルレースとネットワーク対戦を選択してスタートすることができる。ネットワーク対戦と記されているが、サーバーを介したネットワーク対戦ではなく、i.Linkによる接続のようだ。
今回確認できた登場車種は、発売されたばかりのMAZDA RX-8をはじめ、Pontiac Vide GT、MITSUBISHI LANCER Evolution VIII GSR、Chevrolet SSRなど新しい車種から、Subaru Impreza WRX STi、Honda Prelude Type S、など定番モノ、FIAT 500 F、Chevrolet Camaro Z28 302、Nissan Fairlady 240ZGといった渋いものまで収録されている(もちろんこれは現状であり、これから収録車種に変更があるかもしれない)。
会場内の試遊台にはすべて今回発表された「GT FORCE Pro」が設置されており、最新の環境でプレイすることができる。このステアリングコントローラが実によくできており、やはり「グランツーリスモ4」はコントローラでプレイしなければ本当の楽しさ、リアル感は得られないのではと思えてしまうほどだった。
■ 山内氏、「グランツーリスモ4」を語る
山内氏は発表会の冒頭「今回はプレイステーション 2で2作目となる作品なので、ハードウェアは進化していない。でも当然新作において進化させたいという想いはあるので、作る側の性能を上げることで制作手順を見直し工夫することで、対処している」と語り始めた。
コースの作り方は、従来の作り方とはまったく違い、40km四方をフルモデリングし収録しているという。この方法はスタートさせるまで「可能なのか?」と考えられたが、やってみるとできてしまったという。こういった斬新な手法を使うことでコースの長さもこれまでに比べ約1.5倍の長さとなっている。山内氏は「グラフィックについては、プレイステーション 2でできることはまだまだあるとわかった」と語っている。
収録コースについては、グランドキャニオンに関しては「これまで収録したラリーコースに比べ道幅が狭くなっている。これまでは車の操作精度が低く狭い道を縦横無尽に走らせることが難しかった。しかし、今回シリーズ初ともいえる自動車物理エンジンのメジャーバージョンアップでついにそれが可能になった」としている。
また、筑波のサーキットコースについても同様の理由で、「筑波のコースはこれまでにも収録されていても不思議ではないコースだった。それが収録されていなかったのは実は避けてきたから。ゲームで走ったタイムと、同じ車セッティングで走った車のタイムが僅差のレベルで同じでなければそれはかっこわるいことだ。今回は、テストとしてラグナ・セカにおいてRX-8で出したタイムアタックが誤差1秒という結果になるなど、ようやくレベルをクリアできた」ということで、収録されることになったようだ。
また、山内氏は「リアルなだけではダメで、ゲームとして乗りやすくなっている」としている。その一例として「これまでのシリーズ作品や、他のレースゲームにしてもそうだが、まっすぐの道をまっすぐに走っていると、案外不安で揺れてきてフラフラ走ってしまうことがある。特に初心者はそうだが、それは間違っていると思う。ハンドルに手を添えるだけで車はきちんと走るもので、そういった点を見直している」とコメントした。そういった精度の向上からシミュレータとして向上しており、「このソフトがきっかけでF1選手を生むことができるかも」としている。
車のAIエンジンも手が加えられる予定で、単純に速いだけでなく人間らしからぬ走りは削っていくという。収録車種は「グランツーリスモ2」の500台を超えて収録したいとしている。これについては、「10倍の手間がかかる」ということだが実現させたいという。選択の基準としては市販車、チューンドカー、ラリーカーなどを始め多岐にわたるが、これまでの過去の車を多数収録していきたいという。これには車の誕生にまでさかのぼっていきたい様子。インタラクティブなレースゲームとしていまここで、改めて集結させることに意味があるという。
すでにネットワークについても対応が発表されているが、山内氏は「グランツーリスモ4」について「車のテーマパークを目指す」とコメントし、「単純に対戦だけでなく、そこにみんなが集まってくるテーマパークを目指したいし、そういったサービスを目指している」としている。今回具体的な発表はなかったが、「速く走るだけではない要素が詰まっている」としており、そういったことがネットワーク対応のキーワードとなっているようだ。
「GT FORCE PRO」については「非常に強力なフォースフィードバックを生み出す。MAXで出すと手首を痛めてしまうほど。なので、単純にフォースフィードバックを使うのではなく、タイヤを替えたときの違いや、ステアリング、サスペンションの違いを今回の幅広いフォースフィードバック機能で表現していきたい」としている。
さらに細かい内容としては、壁ターンなど衝突などに関するペナルティについて「衝突エネルギーに関する計算はこれまでもやっているが、車のグラフィックの変化は今回もない。これは車会社との契約によるもので、1社がNOといえばすべて壊すことができなくなる。ただ、壁ターンはいけないなどフェアプレイも尊重しなければならない。なので、ゲーム内で、故意なのか偶然なのか、判断させてペナルティを課していきたいと思う」と語った。
ちなみに現状の進捗度については「65%かな?」との返答を得た。「E3時点でこんなに作業が進んでいることはなかった」ということで、これまでにない順調な展開を見せているようだ。もちろん、ゲームは最後の調整に時間がかかるためまだまだわからないが、完成が楽しみだ。
今回、山内氏は小さなディスプレイを指さし「この車の車高が10mm変わっただけですぐわかりますよ」と語ってくれた。以前どこかで「グランツーリスモ3」の調整時に「縁石に乗り上げたとき、この車はもう1cm沈むんだよね」といったこだわりを見せたという話を聞いている。筆者にはその違いを体感できないのだが、制作者側がその違いにこだわることが、わからない人が走っても「何となく気持ちいい感覚を生む(山内氏)」ことに繋がるわけだ。そのこだわりの頂点にある「グランツーリスモ4」の登場を楽しみに待ちたいと思う。
□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.playstation.jp/
(2003年5月15日)
[Reported by 船津稔]
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