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ゲームオン、「眠らない大陸クロノス」記者発表会を開催 |
会場:ネッカ秋葉原店
株式会社ゲームオンは、6月19日、ネッカ秋葉原を会場に「眠らない大陸クロノス」のプレスカンファレンスを開催した。すでに5月30日よりオープンβテストを開始している同作だが、有料化までの今後の展開についての説明が行なわれた。
マーケティングチーム「眠らない大陸クロノス」担当の山本純子氏 |
「眠らない大陸クロノス」プロデューサーの神津晃氏 |
日本国旗のデザインをしたギルドフラッグ。ちなみにギルドフラッグは6月25日のバージョンアップで実装される |
プレスカンファレンス後は、プレス対抗の「プチColosseum」が開催された。わずか1時間でレベル20に達した強者もいたようだ |
山本氏の発表はほとんど公開済みの内容で、特筆すべき情報はなかったが、同作を同社が取り扱うことになるまでのエピソードが興味深かった。同作は、韓国メーカーからの数あるMMORPGの中から「日本市場でやる価値がある」として選ばれた作品で、プロデューサーの神津氏はクロノスにたどり着くまでに軽く40~50タイトルはプレイしたという。日本では総ざらえしても40タイトルものMMORPGは存在しないだけに、MMORPG大国韓国ならではのエピソードといえる。
また、同作のウリとして、「ユーザーの期待を裏切らないMMORPG」ということも改めて強調された。同作はすでにクローズドテスト期間中に、プロデューサー神津氏自身がサーバー内にアクセスし、身分を明かした上でディスカッションして、ユーザーの希望や要望を吸収するという前代未聞の試みを行なっている。
同氏はもともとセガの開発出身で、優れた企画をゲームに取り入れるノウハウは豊富だが、いわゆるオンライン指向のゲームファンのユーザーニーズの蓄積はまだ充分ではない。そこでユーザーニーズをダイレクトに取り入れる最善の方策としてゲームサーバー内でのディスカッションを採用したわけだが、不用意なヤジやサーバー負荷増大によるサーバーダウンの危険性、その他諸々のリスクを認識した上で開催するというのは生半可な覚悟でできることではない。ユニークな企画を次々と具現化する「ミュー」プロデューサー小島氏といい、「クロノス」の神津氏といい、同社にはエンドユーザーに確かな期待感を持たせるプロデューサーが揃っているようだ。
続いて山本氏は、6月21日19時より開催予定のゲーム内イベント「The Colosseum」の紹介を行なった。その概要については記事で紹介したとおりだが、開催を決めた理由として「レベル上げ作業が辛い」、「単純作業が多い」といったユーザーの意見をふまえ、新しい刺激剤として、通常のMMORPGでは得られないスピード感と緊張感を備えたゲームイベントとして実現させたという。
ちなみに「The Colosseum」は、正式サービスから1年近くが経過している韓国ではすでに2度実施されており、いずれも上々の反応だという。日本でもクローズドテスト期間中に一度実施されており、好評を博したという。こうした結果をふまえて、日本からの要請で開催が決定したのが、「The Colosseum」のワールドワイド版「World Wide Colosseum(仮)」だ。
「World Wide Colosseum(仮)」の概要説明は同作プロデューサーの神津氏が担当した。今回の主催は、開発元のLizard Interactiveだが、ワールドワイド単位でやることを発案したのは同氏だという。
「World Wide Colosseum(仮)」の概要については別記事を参照してもらうことにして、ここでは会場で明らかにされたこぼれ話をメインで拾っていく。まずこうした大規模なイベントを計画したきっかけとして同氏は、「日本ではMMORPGって実はおもしろくないんじゃないかという空気が漂い始めている」と指摘。その理由として「新規ユーザーの大きな期待がことごとく裏切られ、メーカーとユーザーの間で成立している暗黙の約束が守られない」とした上で「クロノスは約束を守るMMORPGであり、その第1弾としてこのようなイベントを計画した」とコメント。
また神津氏は、日の丸をデザインしたギルドフラッグがいっぱいのスクリーンショットを見せながら、「(そのイベントで)ゲーム大国日本が負けるわけにはいかない」と唐突にナショナリスティックな宣言を行ない、「韓国ユーザーはすでに1年近くやっており、ノウハウの蓄積が違う」とすでにビハインドのある現状を明らかにした上で、「リネージュもいい、FFもいいが、7月26日と27日はクロノスジャパンを応援してくれよ、とそういう風にしたい」と、同イベントにかける意気込みのほどを披露してくれた。
ちなみに大会の賞品は数千ドル程度とし、初回で終了するのではなく、定期開催を予定しているという。初回は日本、韓国、台湾、中国の4カ国限定の韓国主催のイベントだが、これを7カ国にして日本主催にしたり、10カ国にしたりと、最終的にはゲーム世界のワールドカップのような格調の高いオンライン大会にしたいようだ。
ところで、現在同社は、「眠らない大陸クロノス」のほかに、足並みを揃えてテスト運用を行なっている「ミュー ~奇蹟の大地~」と、すでに正式サービスから3カ月が経過した「天上碑」と3つのMMORPGのラインを同時進行で走らせている。外部から見ていると「自社で食い合ってどうするのか」と思わざるを得ないところだが、会場に同社社長キム・ジョンシン氏が視察に訪れていたので、そのあたりの話を単刀直入に伺ってみた。
まず、「クロノス」と「ミュー」の扱いについては、「ミュー」は不特定多数のユーザーとオンライン上での体験が共有できるというMMOタイトルの特性を最大限に活かし、ゲームそのものよりも、サーバーにアクセスすることで何か予期できない楽しさが味わえるようなMMORPGを目指していくという。その代表的な例として「タマちゃんイベント」や「バトルサッカー」を挙げてくれた。いずれも確固たる仮想世界が形成されたMMORPGでは考えられないイベントで、今後も同作はこうした想定外系のイベントをどんどん盛り込んでいくという。ターゲット層も必然的にライト層となる。
一方、「クロノス」は、クオリティの高いコンソールゲームやアーケードゲームで育ってきたユーザーをターゲットにしたMMORPGで、β中に大規模なPKイベントを実施することでもわかるように、PvPメインのMMORPGにしたいという。ゲームシステムに対して、改良を前提にしたディスカッションが行なわれるのも、「PvPがおもしろい、対人戦が充実しているMMORPG」という評価を得たいがためだという。
そして「天上碑」は初心者向けのMMORPGという扱い。MMORPGという新興のゲームジャンルにまったく免疫がないユーザーでも簡単に遊べるのが最大の特徴で、2,3年きっちり遊ばせるということよりも、同作をスプリングボードにして、広大なMMORPGの世界にチャレンジしてもらいたいということらしい。
その選択肢として「クロノス」と「ミュー」という趣向の異なる2タイプのMMORPGがあるというわけだ。MMORPG専門のパブリッシャーらしい割り切った考え方ともいえるし、「日本で『ラグナロクオンライン』が流行すれば私も儲かる」という特殊な立場にいる韓国サムスングループeビジネスの日本方面トップらしいグローバルな発言ともいえる。
(C)2003 Lizard Interactive Co., Ltd. All Rights Riserved
(C)2002 GameOn Co., Ltd.
□ゲームオンのホームページ
http://www.gameon.co.jp/
□「眠らない大陸クロノス」のホームページ
http://www.cronous.jp/
□関連情報
【2003年6月19日】ゲームオン、MMORPG「眠らない大陸クロノス」オンラインイベント
「World Wide Colosseum(仮)」を7月26日~27日に開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030619/gameon.htm
【2003年6月11日】ゲームオン、「眠らない大陸クロノス」8時間耐久イベントを実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030611/coloss.htm
【2003年5月30日】「眠らない大陸クロノス」オープンβクライアント
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030530/demo0530.htm
(2003年6月19日)
[Reported by 中村聖司]
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