1シーンあたり100万ポリゴンの超細密&新感覚RTSや |
1C COMPANYブース |
ここでは「1C Company」がワールドワイドマーケットを狙って特に力を入れているタイトルを紹介する。
【PERIMETER(開発:K-D LAB) ~PERIMETERはRTS=リアルタイム“テラフォーミング”ストラテジー】
遠い未来。二大勢力に分かれての度重なる戦争の末、人類は母なる地球を自ら滅ぼしてしまい、外宇宙への移民を開始する。新たな新天地を見つけた時、人類は同じ過ちを別の場所で繰り返す……といった、とてつもなく暗くて壮大なSF背景を舞台にしたRTSが、この「PERIMETER」だ。
一般に“RTS”とはリアルタイム・ストラテジーの略語だが、PERIMETERは「リアルタイム・テラフォーミング・ストラテジー」だという。テラフォーミング(Terraforming)とは“惑星地球化”の意をなすSF用語だが、現在では絵空事でなく、NASAはもちろん日本企業も火星のテラフォーミングを研究しているほどで、現実の宇宙開発用語として定着している。
テラフォーミングがテーマというと、なにやら難しそうなイメージがあるが、ルール自体はシンプル。舞台となる未知の惑星を地球化していき、最終的にその惑星全体を自軍領域として制圧するか、敵勢力を全滅させることを競う。
このゲームでは、資源としての“お金”はなく、地形を平坦化し清浄化していくことでエネルギーが得られ、そのエネルギーを元手に様々な施設やユニットを製造していく。つまり、領地を広げていくことが勢力拡大につながり、逆に敵の勢力を増大させないためには、この領地拡大を妨害する必要が出てくるわけだ。その妨害を防ぐために、防御側は防衛ラインを展開することになる。PERIMETERというゲーム名は、PERIMETER=国境付近での戦略性が重要になることからつけられているのだ。
プレーヤーは基本的にマネージメントを中心に指示するだけでよく、突発的な戦闘は各ユニットのAIが自動判断で行なう仕組みになっている。もちろんプレーヤーが各ユニットを操作することもできるが、見ていない前線の攻防はAIが処理してくれるため、プレイ中の操作は一般的なRTSほど忙しくはないという。
《“ボクセル”テクノロジーを採用したオリジナル3Dエンジンを搭載》
PERIMETERで注目すべきは、その超細密に描かれた3Dグラフィックスだ。地形を掘ったり埋めたりして変形させていくことがこのゲームの“キモ”になっているわけだが、こうした地形の変形表現が非常にリアルなのだ。
土地を盛り上げればその起伏に応じたキャストシャドウがリアルタイムに生成されるし、地中ユニットが穴を掘れば、通った所の土地が盛り上がる。大規模な爆発が発生した場合は土が舞い上がりクレーターができるが、そのすり鉢の中にも正しい影が生成される。
視点は無段階でズームインアウトでき、回転も自由。地形表示は遙か彼方まで描画され、地表を視点が動いても“ポッピング”と呼ばれる頂点の増減によるちらつきもない。開発元のロシアK-D LAB社長Andrey Kouzmine氏によれば「PERIMETRの地形処理はボクセルベースで処理されているため、そうした問題が起きないのだ」という。とはいえ、頂点数はやはり膨大なものになるようで、各種ユニットが多数登場することもあり、1シーンあたりのポリゴン数は100万ポリゴンに達するという。これはベンチマークソフト「3DMark2001SE」のHIGH POLYGONテストに匹敵するポリゴン数であり、一般的な3Dゲームの10倍の量に相当する。
Kouzmineは「ポリゴン数はスケーラブルに増減するため、ハイスペックPCは不要だ」とコメントしているが、最高クオリティ設定で快適に動作させるには、少なくとも2GHzクラスのCPUとGeForce 4Tiクラスのビデオカードが必要になりそうだ。
シングルプレイはストーリーラインに沿って進むキャンペーンモードスタイルで、もっとも盛り上がると思われるマルチプレーヤーモードは、LANやインターネットを使った最大4人までの同時プレイが可能。発売時期は2003年予定。プラットフォームはPC。
ポリゴン表示状態 | ワイヤーフレーム表示状態。長距離視点状態が膨大な頂点数で表現されていることがわかる |
「ラジコンカーに乗ってみたい」……子供の頃、こう思ったことが一度くらいはあるはず。そんな夢にゲーム的エッセンスを加えて実現してしまったのが、この「RC CARS」だ。
実車系のレーシングゲームではなく、ましてやラジコンカーのシミュレータでもない。あくまでも「ラジコンカーに乗る」という視点でゲームがデザインされているのが本作最大の特徴。
コースもちゃんとしたラジコンコースではなく「近所のあそこらへん」というアバウトさもまた魅力。たとえば、ビーチコースは海水浴客でにぎわう砂浜が舞台。プレーヤーをはじめとするラジコンファンたちが勝手にレースを始めてしまったという設定で、砂浜を歩く人にぶつからないように走らなければならない。
ミスをして海に入ってしまえば、当然多大なペナルティを被ることになる。乱暴な子供は走行中のラジコンを蹴りにくるし、野良犬は飛びかかってくる。突発的な障害に見舞われるレーシングゲームはこれまでにも存在したが、このゲームでは、そういった数々の災害イベントにドラマ性と必然性が盛り込まれているのが非常にユニークといえる。
コースは全部で10種類。ラジコンカーは全部で3タイプ。操縦は左右、前進後退のプロポコントローラを模したシンプルな操作系。このほか、障害物回避、敵車への攻撃のための「ジャンプ」や「ターボ」といった、いかにもゲーム的な特殊操作も盛り込まれている。発売は2002年末を予定。プラットフォームはPC。
■ Cenega Publishing~今、東欧が熱い! 実力派ゲームスタジオが続々登場
Cenega Publishingブース |
東欧はロシアと並んでゲーム開発力の進化が著しく、既にその技術力はアメリカや日本にも劣らないと言われている。今回は、なかでもひときわ存在感の強かった2作品を紹介する。
【Shade:Wrath of Angels(開発:Black Element Software)】
人智を越えた超自然的現象は、「奇跡」と呼ばれもてはやされる。トーマスは、そうした不可思議な現象が「本当に奇跡なのか」を調査するバチカン教会所属のエージェント。ヨーロッパの名もない山村の小さな教会の神父から調査依頼が舞い込んできたところから、悪夢のような物語が始まる。
このバックストーリーからも察しが付くように「Shade:Wrath of Angels」は宗教色が色濃くフィーチャーされた三人称視点のホラーアクションアドベンチャーゲーム。日本のゲームファンには初耳かもしれないが、実はこれ、登場前からヨーロッパ中のゲームファンの間でリリースが待ち望まれているタイトルなのだ。
開発元はチェコ、プラハに拠点を置くBlack Element Softwareというゲームスタジオ。なぜ期待されているかというと、その開発チームがAmiga系の著名ハードコアプログラマたちで構成されているからだ。ゲームエンジンは彼らの持つ技術の全てが注ぎ込まれ、開発には2年もの歳月が費やされたという。この生い立ちを聞いて、あのカルト的な人気作で知られるスウェーデンの「REMEDY ENTERTAINMENT」制作の「MAX PAYNE」を連想する人も多いだろう。
Shadeエンジンは、競合するゲームエンジンに優るとも劣らぬ革新的な設計。Direct X8.1完全対応でプログラマブルシェーダにフル対応しているのはもちろんのこと、珍しいところではベジェ曲面(N-PATCH)にも対応、動的なライトマップ生成技術を駆使したラジオシティ(相互反射)にも対応しているという。
同じ三人称アクションシューティングアドベンチャーということで「MAX PAYNE」と比較されることも多いが、Shadeの方は「MAX PAYNE」では導入が見送られたリアルタイムシャドウ生成を採用している分、フォトリアリティ度が格段に高い。また、「MAX PAYNE」では同じく省略されていたモーションキャプチャーも導入されているため、人体アニメーションも自然だ。リリース時期は2003年初旬頃を予定。プラットフォームはPC。
「第二次世界大戦時」という時代設定、主人公は傭兵、そしてゲーム画面の印象から「COMMANDOSライクなゲームか」と思ってしまうかもしれないが、ゲームシステム的には「ディアブロ」に近い作品。
ならば、ただ戦闘を繰り返していけばいいかというと、そういうわけでもない。NPCと会話をしてヒントを集め、謎を解き、クエストをこなしてストーリーを進めていくアドベンチャーゲーム的な要素も多分に含まれている。ゲームはストーリーベースで進行していくシングルプレーヤーモードのみで、マルチプレーヤーモードは搭載されていない。
ゲーム画面は一見すると3Dっぽいが、実は全てプリレンダリングされた3DCGで、ゲームエンジンそのものは2Dベース。よって、ノートPCでも十分にプレイが可能だ。
世界の広さは、800x600画面で1,000枚分にものぼるという。登場武器は、時代考証を綿密に検討して設定された全120種。登場する敵の数は500以上。ストーリーはフィクションでオリジナルの書き下ろしだが、ノルマンディ上陸作戦をはじめとした史実イベントが随所に盛り込まれているという。
ストーリーの完成度と臨場感の演出には非常に自信を持っているといい、RPGファンはもちろんのこと、「第二次世界大戦マニア」には是非ともプレイして欲しいという。チェコ、ポーランドでは発売済みだが、アジア、北米、西ヨーロッパでのリリース時期は未定となっている。
(2002年8月30日)
[Reported by トライゼット 西川善司]
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