ECTS 2002現地レポート「Splinter Cell」、「Unreal Tournament 2003」のFPS2作が大人気 |
会場:Earls Court Conference Centre
ヨーロッパ最大のゲームトレードショウ「ECTS 2002」が現地時間の8月29日に開幕した。前日レポートでもお伝えしたように、今年は会場がロンドン郊外から市内中心部に移り、ソニー・コンピュータエンタテインメントヨーロッパ(SCEE)主催のユーザー向けイベント「PlayStation Experience」と併催という形で行なわれていることもあって、会場には昨年の1.5倍から2倍程度の来場者が詰めかけ、実に賑やかなトレードショウとなった。
初日会場を回ってみて強く実感したのは、プレイステーション 2とXboxの2大勢力を中心としたコンソール勢の躍進ぶりだ。特に昨年はヨーロッパ市場ではまだXbox、ニンテンドーゲームキューブともに発売前だったこともあり、昨年の雰囲気とは明らかな変化が見受けられた。また理由は不明ながら、今年はドイツならびに東ヨーロッパ勢の多くが出展を見合わせており、これがPCゲームの少数化に拍車を掛けている印象だ。
現地のトレーダーやリテイラーの反応を見ていると、Xboxタイトルに対する興味が旺盛な様子だった。Xboxは、すでに北米ではゲームファンの間でしっかりと根を下ろしているのに対し、ヨーロッパ市場では日本市場以上の苦戦が続いているが、決して興味がないというわけではないようだ。
さて、ECTSレポート1本目はフランス大手のUbi Soft EntertainmentとInfogramesの2社の新作から見ていく。今回ついにプレイアブルデモが出展されたEidos Interactiveの「Tomb Raider: The Angel of Darkness」は明日以降詳しくお届けするつもりだ。
■ 「Splinter Cell」、「XIII」のXboxタイトルが人気
~Ubi Soft Entertainment
待ち行列ができてなかなかプレイできなかった「Splinter Cell」 |
そのほかに出展されたタイトルは「XIII(サーティーン)」(Xbox)、「Rayman 3: Hoodlum Havoc」(PS2)、「Rainbow Six: Raven Shield」(PC)、「Myst III: Exile」(PS2)で、「Myst III」を除きすべてプレイアブルで出展していた。期待された「Myst Online」や「Lock On: Modern Air Combat」などの出展が見送られていたのは残念だったが、「Tom Clancy's Splinter Cell」と「XIII(サーティーン)」というXbox向けアクションシューティングの人気が高かったのは予想外の収穫だった。
なお、E3では「Splinter Cell」と並んで高い評価を受けた「Rainbow Six: Raven Shield」は、ヨーロッパ初公開ながら、マシントラブルなどで注目度はいまひとつだった。しかし、開発そのものは順調に進んでいるようで、今回はE3で公開されたマルチプレイに加えて、シングルプレイも試遊することができた。
基本的なゲームシステムは「Rogue Spear」シリーズを踏襲していて、Rainbow長官ジョン・クラークのブリーフィングから始まり、隊員の選抜およびチームわけ、装備の選択、平面図を見ながらの作戦プランニングへと続いていく。ミッションがスタートすると、「Rogue Spear」同様スピーディーなゲーム展開で、5分もしないうちにテロリストの殲滅に成功するか、多数の死傷者を出して撤退するかの結果が出る。
ゲーム視点は1人称に加えて、3人称も可能で、自分の勇姿を見ながらプレイできると同時に周囲の状況の把握がラクになっている。ゲームモードまでは確認できなかったが、基本的に「Rogue Spear」のゲームモードはすべて収録されるようだ。近日中にマルチプレイデモが公開されるとのことなので、「Rainbow Six」ファンは楽しみに待っていよう。
【Tom Clancy's Splinter Cell】 | ||
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NSA(National Security Agency、国家安全保障局)所属のエージェントとして、単身サイバーテロに対抗していくというスニーキング系のアクションシューティング「Splinter Cell」。未来ではなく、現代を舞台とし、さらにトム・クランシーのアイデアが詰め込まれているところが最大の特徴だ |
【Rainbow Six:Raven Shield】 | ||
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ブースではいまひとつ調子が悪くまともに動作していなかった「Rainbow Six:Raven Shield」だが、圧倒的なポテンシャルを備えたアクションシューティングの評価は揺るがない。発売は欧米で10月を予定 |
【XIII(サーティーン)】 | ||
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フランスの人気漫画をそっくりそのままトゥーンシェーダーでゲーム化した「XIII(サーティーン)」。出展していたのはXbox版だが、PC版の開発も進められている |
■ ブースを丸ごとシアターに 「Unreal Tournament 2003」が大人気
~Infogrames
まるで映画館のような作りをしたInfogramesブース |
NVIDIAは「UT 2003」の試遊台を8台設置。ゲーム大会なども催していた |
デモ映像に登場したゲームタイトルは「Stuntman」(PS2)、「Unreal Tournament 2003」(PC)、「Unreal Championship」(Xbox)、「Unreal 2: The Awaking」(PC)、「Superman: The Man of Steel」(Xbox)、「Superman: Shadow of Apokolips」(PS2)、「Godzilla: Destroy All Monsters」(GC)、「The Terminator: Dawn of Fate」の8タイトル。なお、これらとは別にムービーの最後に映画「Matrix 2」のプロモーション映像が流された。単なる広告映像なのか、それとも版権獲得によるゲーム化を暗示しているのか、ちょっと気になる終わり方だった。
上記の出展タイトルは、いずれもE3で公開されたものばかりで、映像そのものにも目新しさはなかったが、発売が8月から10月に延期された「Unreal Tournament 2003」の最新バージョンがNVIDIAとIntelの両ハードメーカーでデモ出展され、好評を博していたのが印象的だった。おそらくマスター版に近いもので、スポーツ系FPSとしては現行最高峰のビジュアルによるマルチプレイがゲームユーザーを魅了したようだ。
個人的に特に気に入ったのがバトルアリーナの自然な景観で、従来のゲームがいかに不自然だったかを痛感した。具体的には光源が発するライティングエフェクトと、その周囲に対する影響を全てのオブジェクトに対して適用している。アリーナに一定間隔で置かれているライトはもちろんだし、水面に落ちる光に対しては、周囲の壁に水の揺らめきを描くことによってリアルに表現している。これらの効果により、対戦中に相手との距離感やステージの奥行きが掴みやすくなっているのも見逃せないポイントだろう。
野外フィールドもディテールの描き込みはリアル系のアクションシューティングに匹敵するほどで、シンプルなデザインとスポーツ系特有のすべるような動きがわずかに「Unreal Tournament」を感じさせる。ともあれ、同作の大ヒットはもはや揺るがない、そんな印象を受けた。
【Unreal Tournament 2003】 | ||
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「Unreal Tournament 2003」の最新スクリーンショット。現時点での発売時期は10月とアナウンスされているが果たしてどうなるか |
【Unreal II: The Awakening】 | ||
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最新のUnrealエンジンを使った次世代アクションシューティング「Unreal II: The Awakening」。発売時期は2002年第4四半期となっている |
□ECTSのホームページ
http://www.ects.com/
□Ubi Soft Entertainmentのホームページ
http://www.ubisoft.com/
□Infogramesのホームページ
http://www.infogrames.com/
□関連情報
【5月24日】Ubi Soft、「Rainbow Six: Raven Shield」プレビュー
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020524/e3rs.htm
【5月24日】Ubi Soft Entertainmentブースレポート
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020524/e3ubia.htm
【5月27日】Infogrames、「Unreal Tournament 2003」プレビュー
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020527/e3unreal.htm
【5月27日】Inforgramesブースレポート
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020527/ifg.htm
(2002年8月30日)
[Reported by 中村聖司]
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