★ PCゲームレビュー★
「信長の野望」、「三国志」など緻密なデータに基づく歴史シミュレーションを得意とするコーエー。そのコーエーがパソコン向けのアクションゲームとして発売した「鋼鉄の咆哮」は、第二次世界大戦の艦隊戦をモチーフに、自分の思いのままに建造した戦艦を操って数々のミッションをこなしていく痛快アクションゲームだ。 緻密な計算が必要となる戦艦建造を画面構成によってわかりやすくし、自分だけの戦艦を簡単に建造できる。甲板を主砲だらけにしたり、機銃だらけのハリネズミ艦で戦うこともできる。プレーヤーが遊びの要素を発揮して、まさに自分だけの戦艦でミッションをくぐりぬけていくことができるのが最大の醍醐味だ。 そんな前作をパワーアップしたのが今回紹介する「鋼鉄の咆哮2~ウォーシップコマンダー~」だ。ある日突然プレーヤーの艦隊は謎の現象により第ニ次世界大戦のパラレルワールドへと時空転移してしまう。その世界では謎の“超兵器”を列強各国が保持し、戦闘を繰り広げているという。プレーヤーの目的は世界各国が保持する“超兵器”をすべて破壊することだ。続編ということで新しいパーツが追加されたり、最大4隻の艦隊を編成できたりと、ミッションをクリアする楽しみが倍増しているのだ。
■ 軽快に艦隊戦を楽しむ愉快なアクションゲーム「鋼鉄の咆哮 2」 シミュレーションゲームのコーエーのこと、戦艦アクションゲームといえば、どんな重厚な展開かと思うかもしれないが、「鋼鉄の咆哮 2」のアクションの操作部分はいたって原始的だ。初めに与えられるのは駆逐艦と2隻の従属艦(従属艦はアクションゲームでいうオプション)だ。移動操作はいまどきのゲームに珍しくカーソルキーで行ない、マウスの左クリックで砲撃をするようになっている。 駆逐艦といいながらもモーターボートのように軽快な旋回をこなしてしまう操作感は、ファミコン時代に時空転移させられたかのようで、初めてのプレーヤーはちょっとびっくりするかもしれない。一方、岸壁に突っ込んでもまったくお咎めなしの寛容さは安心してプレイできる証拠だ。 さて、プレーヤーがまず最初にすることは艦隊の名前と艦船のタイプを設定することだ。アメリカ、ドイツ、日本、イギリスの4カ国から選ぶことができ、それぞれ得意とする艦型が異なっている。たとえば日本型は巡洋艦、航空機と戦艦、アメリカは空母と航空機、航空機性能、イギリスは駆逐艦と戦艦、ドイツは航空機性能のみ。といった感じで、ゲームの難易度とも関わってくるので慎重に選びたい。 ゲームは戦略パートと戦闘パートのふたつに分かれている。戦闘パートでは主ミッションと副ミッションが与えられ、クリアすると戦果に応じた報酬と戦功が与えられる。その報酬で次のミッションに備えるという仕組みだ。戦略パートでは戦艦の設計、技術レベルの向上、部品の購入、航空機の搭載などミッション前のパワーアップができるようになっている。もちろん、すべてのパワーアップには軍資金が必要となるため、ミッションで提示される初期目的達成は必須事項だ。 敵もこちら同様、駆逐艦、巡洋艦、潜水艦、航空機などバラエティ豊かで、かなりのスピードで動き回る。最初のうちは撃沈どころか、敵の弾を避けるだけでも大変だ。攻撃に関しては相変わらずいい加減というかおおざっぱな仕様で、マウスで照準を合わせて撃ちまくるという具合だ。主砲、機銃、魚雷、爆雷などの戦闘装備は最大7つまででき、手動で操作できるのはひとつのみ。あとは自動で撃ってくれる。一応弾数も限られているが、弾数が極端に限られている魚雷や爆雷以外はミッション中になくなることはないだろう。 自艦の耐久度は艦首、艦尾、右舷、左舷、甲板にわかれており、どこか一箇所でも大破すると艦から煙が立ち上ることになる。また、甲板以外のどこか一箇所が完全破壊されると艦は沈んでしまう。甲板は破壊されても沈むことはないが、空母の場合航空機の離着陸ができなくなってしまう。敵艦と衝突したり、魚雷をくらうと被害が大きいのでできるだけ避けたいところだ。
■ 前作を完全に引き継ぐ戦闘パート
またマップにはそれぞれ仕掛けが用意されている。「敵の輸送船団が急に現れた。急行されたし」などといって新たにミッションが加わることがある。たいがいこういうときは撃沈される寸前なのだが、面倒くさがらずにいってみよう。必ずいいことがあるはずだ。ただ戦艦の護衛がいたりして侮れないことも多いので、サブミッションだからといって決して侮らず、自分の戦力を見て戦うべし。 敵艦を撃破すると乗組員が海に投げ出され、これを救助するとわずかながら艦を修復できたり、かと思えば、バナナやラーメン、携帯電話などのアイテムが洋上にいきなり登場する。アイテムは自艦の耐久力を回復したり、予算が増えたりといった効能があるのだが、こうしたコーエーというブランドからするとかなり苦笑を誘うような展開のギャップも楽しめる。 ある程度ゲームを進めていくと、飛行機の襲来には対空モード(対艦攻撃不可)にしなければならなかったり、潜水艦に対しては近づいて爆雷攻撃、後方向きの砲がないと後ろに撃てないなど、緻密なところがあることに気づいてくるはずだ。魚雷を撃ちやすいように敵艦の前で急にターンしてみたり、戦術面でも色々自分で考えていける。そこのところがわかってくると、はまること間違い無しだ。
ただ、奇想天外なゲームには違いないので、初プレイでは思わず「んだよ、これ」と言ってしまう人もいるかもしれないが、やり込んでみるとこれがかなりおもしろい。物を壊すというアクションゲームのプリミティブな快感がストレートに伝わってくる。また自分がカスタマイズした船の性能を試すという面白さはもちろん、設計者として沈没するわけにはいかないという感覚も奇妙に混ざり合うところが心憎い。「やらせはせん、やらせはせんぞぉ」という言葉も自然に発せられてしまったりするのは私だけではないだろう。
■ より緻密により簡単になった戦艦設計が戦略モードの要
ひとつ目は完成品の購入が可能になったことだ。たとえば巡洋艦から戦艦へ乗り換えようとするときに、一から設計するのがめんどくさい時には、戦艦なら「金剛」型など、あらかじめ設計済みの完成品を購入することができるようになっている。カスタマイズするときにはその完成品に足したり引いたりすればいいわけだ。 そしてふたつ目は「簡易設計」モード。たとえば口径の異なる魚雷を入れ替えるだけのときにはこの簡易設計で簡単に入れ替えができるようになっている。もちろん詳しい人のためには前作同様、タービンやボイラーの配置から設計できる「詳細設計」モードが用意されている。また設計画面では同時に部品の購入もできるようになり、設計が楽になったのも大きい変化だろう。初心者でも戦艦の構造に慣れてきたら「詳細設計」モードを使ってオリジナルの戦艦設計にチャレンジすることができるのだ。 今作では駆逐艦、巡洋艦、空母、戦艦、航空戦艦の5種類を設計できる。それぞれの艦にも生産タイプによって2~4つのグレードがあり、グレードが上がれば上がるほど重いものが載せられ、耐久力も増すようになっている。機関、艦橋、武器など合わせて160以上のパーツを組み合わせられる。また特殊研究機関に兵器を預ければ強力なパーツに進化させることも可能だ。 設計は兵装、機関、設備、防御の基本パーツに分かれており、基本的に何をしても良いが、艦の速度を決める動力源のボイラー、タービン、煙を排出する煙突、また艦の指揮や索敵に必要な前後艦橋がないと艦自体が完成したことにならないので注意したい。それ以外では重量限界、設置スペースの中でならどんな装備をしてもよい。最低限の武器を積んであとはすべて防御にまわしたり、逆に防御をまったくせずに積めるだけの主砲、副砲、機銃で甲板を埋め尽くしてもよい。 ところが実際アクション部分をやってわかるだろうが、戦闘になると主砲、副砲のほか、潜水艦に対応するための爆雷、対艦戦闘では圧倒的に強い魚雷や、航空機、敵魚雷を効率的に回避するための機銃など様々な装備が必要になってくる。バランスを考えた設計が一番強いということになるだろう。しかし戦艦の設計はプレーヤーの自由自在だ。「そんな戦艦ありかよ」という局地戦限定の艦が有利に働く場合もある。基本を踏まえたうえで、より個性的な艦を設計して戦ってみよう。 初めのうちは素のままでも大丈夫だが、おそらくいくつかミッションをこなしたあたりで、使える部品を付け足しただけではクリアが難しくなっていることに気づくだろう。資金をつぎ込み技術レベルをアップさせると新しい部品を使って艦を設計できるようになる。そんなときは思い切って技術開発に走ろう。機関レベルはエンジン部分のパワーアップに欠かせない。鋼材レベルは艦の装甲や船体、艦橋のパワーアップや一部兵器の使用には必須だ。どれを優先的に上げるかはプレーヤー次第だが、鋼材レベルをふたつ上げると巡洋艦や空母も作れるようになるので早めに上げておくといいだろう。 技術レベルを上げていくと従属艦もパワーアップできる。従属艦は最大で3隻まで従えることができ、ミッションクリアによって与えられる編成値によって使える艦の種類に制限が加えられる。従属艦にも自艦と同じく耐久度があり、ダメージを受けすぎると沈没してしまう。従属艦は基本的に自艦の操作と全く同じ動きをするが、頭が良く、魚雷などが来ると、避けてくれることも多い。弾数も無制限なのでできるだけ長生きをさせるべし。また従属艦がいる場合には4タイプの陣形を組むことができる。例えば輪形陣は防御には強いが指揮値の低下で自動兵装の命中率が低下するなどの特徴があり、局面によって使い分けることが必要だ。
■ ステージ終盤には未来仕様の超兵器が登場 さて最後にエリアAの9、10ステージあたりに登場する超兵器に向けての戦略を紹介しておこう。超兵器は卑怯なくらいに強いのでこちらも徹底的にカスタマイズする必要がある。最初に言っておくと、駆逐艦でのクリアは無理なのではないかと思われる。なので、技術研究でレベルをあげて少なくとも巡洋艦で戦えるようにしたい。 ステージ9では戦艦シュトルムヴィント。この戦艦はまさに非現実的なスピードでガンガン動き回り、魚雷と主砲をイヤというほど連発してくる。そのため28mm、12.75mmなど口径の違う機銃を用意して魚雷だけでもなるべく遠くから弾幕を張るようにしたい。機雷をなくし、主砲1つを減らしてでも強力な魚雷を積んで連発できるほうがいいかも。 そしてステージ10の潜水艦ドレッドノート。まず潜水艦ということで、ステージ9とは逆に魚雷の数を減らして機雷の数を1、2個増やしておきたい。こいつはスピードはないが、魚雷と誘導ミサイルのようなものを飛ばしてくる。最初はつかず離れず、機雷を落としまくろう。主砲の数を減らすのは問題だ。というのはある程度ダメージを食らうと浮上して主砲を撃ってくるのだ。これに対応するため、主砲は温存しておこう。また防御は甲板防御は0にしても、舷側防御は限界まで厚くしておきたいところだ。
超兵器の圧倒的な強さも呆気にとられるが、このゲーム、第二次世界大戦時というにも関わらず、最終的には原子炉やレーザー、怪力線照射装置なる未来兵器までも作れてしまう。ここからもわかるようにコーエーブランドといっても、設定や時代考証云々よりも、あまりしゃちほこばらずに楽しめる純粋なアクションゲームに仕上がっている。ひとつひとつミッションも30%以上の建物破壊だとか、40%以上の駆逐艦の破壊などいたって簡単でクリアがしやすく、ゲーム自体はサクサクと進むのでまとまった時間が取れない人にもお勧めだ。
(c)MICROCABIN CORP.
□コーエーのホームページ http://www.gamecity.ne.jp/ □「鋼鉄の咆哮 2~ウォーシップコマンダー~」公式ホームページ http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/Rlkuro2.htm □関連情報 【2001年11月26日】あの戦艦アクションゲームに続編が登場! コーエー、「鋼鉄の咆哮2~ウォーシップコマンダー~」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011126/kurogane.htm (2002年8月20日)
[Reported by 嶋村智行] |
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