★ Xboxゲームレビュー ★
■ フロム・ソフトウェアが挑むハイスピードメカアクション、登場!! 昨年秋の「東京ゲームショウ」にて初めてデモムービーが公開され、Xboxのキラータイトルとして注目を集めた「叢-MURAKUMO-」が、ついに発売された。フロム・ソフトウェアがリリースするXbox処女作というだけではなく、メカアクションには定評のある同社の新作ということもあり、この夏の話題作として見過ごすことのできない存在感を放っている。本作品は“チェイスアクション”と銘打たれた一風変わったシステムを採用しており、既存の3Dシューティングとは一線を画した仕上がりとなっている。舞台は、近未来の実験都市オリヴァーポート。この世界で主力兵器として君臨する有人機動兵器“A.R.K.”を駆って、様々なミッションを遂行していくのがゲームの目的だ。 突如として制御不能となり、暴走を始めた試作型A.R.K.を巡って物語は展開する。暴走A.R.K.を追うのは、エリートパイロットで構成された特殊部隊チーム“ムラクモ”。各地で勃発する暴走事件と対峙していく彼らに迫るのは、黒い陰謀と、強大な敵。そして待ち受ける、隠された真実……。
緻密な設定に裏付けられた世界観と人物描写は物語に深みを与え、メカだけがクローズアップされがちな「叢-MURAKUMO-」が持つ奥深い世界観に、一層の厚みを与えているのである。
■ マキシマムスピードの領域 ~ついてこれるか、この疾走感に! このゲームのウリであり、また最大の特徴ともいえるのが、超高速で展開するメカアクションだ。3Dフィールドを高速で駆け抜け、逃走するターゲットに攻撃を加えていくという、実にアグレッシヴなハイスピードバトルが楽しめる。このゲームで必要とされるのは、既存の3Dシューティングで用いる攻撃テクニックにくわえ、ターゲットを効果的に追い詰めていく“チェイステクニック”なのである。本作は3Dシューティングでありながら、あたかもレースゲームのようなデットヒートをも楽しめる意欲的な作品なのだ。 プレーヤーがゲームスタート時に選択できる自機“A.R.K.”は、実にバラエティ豊かな機体が揃っており、機体ごとに異なる攻略パターンの構築が、これまた実に楽しいものとなっている。5機の特徴にはかなりの差があり、ゲームを進めるにはそれぞれの能力をきっちりと把握しておく必要がある。 それぞれの機体特性を決定付ける要素は、通常兵器であるメインウェポンと、頻用はできないが高威力を持つサブウェポン、機動性、防御力の4つ。それぞれの能力値が、機体ごとの差異として顕著にあらわれるのだ。
この世界の武器系統は、火薬と弾丸を用いた実弾系兵器と、レーザーなどのビーム兵器といったふたつの属性に分かれている。ミッションによっては、A.R.K.が装備する武器の系統や系統別の耐久力が大きく関係してくる場面も盛り込まれている。このあたりのこだわりも、マニア心を大いにくすぐる要素のひとつと言っていいだろう。
■ Xboxに刻まれる、フロム・ソフトウェアの新たな足跡 “ハイスピードメカアクション”は、フロム・ソフトウェアのお家芸ともいうべきジャンルであり、Xboxというプラットフォームをどのように“乗りこなせているか”を示すには絶好のプレゼン素材ではないだろうか。よって「叢-MURAKUMO-」の仕上がりを見れば、同社が今後Xboxで発表するタイトルの完成度を推し量ることも可能であろう。 現行のコンシューマー機では最高性能を誇るであろうXboxに、フロム・ソフトウェアの技術力とセンスが融合したら……とは、ハードが発売された当初、ファンなら誰もが考えた組み合わせではあるまいか。そして、その答えのひとつが「叢-MURAKUMO-」であり、本作から垣間見えるさまざまな可能性は、今後の躍進を充分に感じさせてくれるものだと、筆者は考える。 重厚なSF世界に浸るもよし、硬派なメカアクションに痺れるもよし。まだXboxの持つインパクトを実感していないかたは、この「叢-MURAKUMO-」をきっかけに、Xboxユーザーへの第一歩を踏み出してみるのもいいかもしれない。
なお、5.1chのサウンド環境をもっているか、あるいは近日中に導入する予定がある人は、是非とも「叢-MURAKUMO-」をそれでプレイしてほしい。敵A.R.K.との位置関係はもとより、都市上空を疾走する感覚が、一般的なサウンド環境とは天と地ほども違うからだ。その臨場感は、いちど5.1chの「叢-MURAKUMO-」を体験したら、もとに戻るのは難しいとさえいえるほど。他タイトルで試してみたものの、いまひとつ5.1chの利点を実感できなかった人がいたなら、ぜひとも本作でその凄さを味わってみよう。
□フロム・ソフトウェアのホームページ (2002年7月25日) [Reported by 田渕健康] |
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