★ PS2ゲームレビュー★
「ユーディーのアトリエ」は、元気な錬金術士の女の子“ユーディー”となり、様々な材料を調合してアイテムを作りながら生活をするロールプレイングゲーム。アクシデントで200年後の世界に飛ばされてしまったユーディーが、元の世界に戻るアイテムを探しながら、各地にある採取地で材料を集め、それを調合して新たなアイテムを作成していく。錬金術士レベルを上げて高度なアイテムをつくり、戦闘で冒険者レベルを上げて、ダンジョンで材料を集めなくてはならない。果たして、ユーディーは元の世界に戻るアイテムを調合できるのか……!? ■ 錬金術士ユーディーの生活を堪能するRPG 「ユーディーのアトリエ」は、アクシデントから200年後の世界に飛ばされてしまった錬金術士の女の子“ユーディー”となり、元の世界に帰る方法を探しながら、色々なアイテムを調合したり、その材料を探して各地を冒険したりするロールプレイングゲームである。 錬金術とは、様々な材料を加工・調合して全く別のものを作る技術。錬金術士であるユーディーは、材料を調合してアイテムを作ることで錬金術レベルが上がっていき、元の世界に戻る高度なアイテムを作るため、どんどん錬金術の知識を高めていく。 調合材料は、お店で売っているものを買ったり、都市のそばの採取地を歩き回ってユーディー自身が拾い集めることになる。採取地にはいろいろな材料、キノコや鉱石、そのほか不思議なものが山ほど落ちているのだが、途中でモンスターと戦闘になることもある。戦闘に勝てば冒険者レベルが上がって強くなり、良い材料を求めてさらに各地を歩き回っていく。
アイテムの調合には錬金術レベルが、良い材料採取のためは冒険者レベルが必要だ。両方をバランスよく育てながら冒険を進めていかなくてはならない。材料を集めて調合し、それでお金を儲けながらさらに高度なアイテムを調合する。この流れを中心に、出会った人々とのイベントや採取地の探索などが絡んでゲームが進んでいくのである。
■ 何かと何かを混ぜ合わせるのが楽しい調合
たとえば……
・生きているナワ+グラビ石+中和剤=「空飛ぶほうき」 といった具合に、化学の実験かお料理のレシピのようで楽しい。 また、レシピで材料がきちんと指定されてるものもあれば、漠然と「粉」とか「鉱石」とだけ指定しているものもある。たとえば、調合レシピに「粉+液体+ほうれんそう」とあった時、粉に何を選ぶのかはプレーヤーの自由だ。小麦粉を使ってもいいし、研磨剤をいれてしまってもいい。色々な効果と品質を持つ材料を混ぜることで、完成したアイテムの効果や品質も変化していく。 調合の材料には品質の良いものと悪いものがあり、それ以外にも「素早さ+1」とか「破壊力+1」といった従属効力がついている。品質の良いもの同士を調合すれば高品質のアイテムができあがるし、従属効力がついた材料を調合に使えば、同じアイテムであっても、これまでにない効果のついたものができるのだ。 調合したアイテムは、店に売ったり宿屋のアイテム調達依頼に渡したりしてお金にすることができる。これで装備品や材料や、レシピの書かれた参考書などを手に入れて、さらに調合の知識を増やしていく。最終目標は、元の世界に帰るための高度なアイテム「竜の砂時計」だ。 調合の材料になるアイテムはお店で買えるほか、都市のすぐそばにある採取地でも集めることができる。採取地の地面には様々なアイテムが落ちており、それらを自分の足で歩き回ってひとつずつ拾い集めていくのだ。いつも決まった場所にあるアイテムもあれば、季節によって採れないもの、ものすごく強いモンスターが立ちはだかる場所にあるものなど様々。
だが、広い場所のあちこちに点在するアイテムを探すのは「おお! こんな所にこんなものが!」といった、宝捜しのような喜びがある。特に、採取地で手に入る材料は、お店売りにはない数多くの従属効力があり、よい材料を求めて繰り返し探索してしまうだろう。
■ 人々との交流と楽しいお引っ越し
また、戦闘で使える特技がキャラクタで異なる。例えば、ユーディーならばアイテムを使用したり、魔法攻撃したりできるが、別のキャラクタは物理ダメージの大きい技を出したり、複数の敵を攻撃したりといった具合だ。戦闘特技だけにかかわらず、アイテムの鑑定や罠の解除といった力を持つ者もいる。どんな人を仲間にするかでも冒険の進み具合が変わってくるだろう。 また、ユーディーの冒険が進むと、最初に工房を構えたヴェルンから、他の都市を訪れることができるようになる。都市によってお店や手に入るアイテムが異なり、新たな人々との出会いも待っている。また、お金はかかるが、別の都市に工房を引っ越すこともでき、腐りやすい材料やよく使う材料を手に入れられる採取地のそばで暮らすことも可能になる。
各地の都市には調合に役立つ施設もある。鉱山の町プロスタークには溶鉱炉という施設があって、武器や装飾品などの装備品をインゴット(金属塊)に溶かすことができる。溶かしたインゴットはもとのアイテムに影響された従属効力を持っていて、それを調合の材料にしたり、別の装備品に作り変えてもらったりできる。そのほかに、痛みやすいアイテムを腐らせずに長期保存できる「氷室(ひむろ)」や、アイテムを埋めて従属効力をもった野菜を収穫できる「畑」といった施設もあり、調合がいっそう奥深いものになっている。 ■ 前作「リリーのアトリエ」との違い 今回のユーディーのアトリエでは、これまでのシリーズ作品とはゲームシステム面で異なる部分が多い。プレイしていて「おっ」と思った主な相違点をまとめると以下のような感じだ。
・時間が経つと腐る材料がある 材料を調合してアイテムを作るという大基本はそのままだが、調合の材料は元素別ではなく、食料や鉱石といったような分類をされている。そして、材料には劣化したり腐ったりするものもあり、材料を集めるだけ集めてから調合といったスタイルが適さないアイテムも存在する。どこで手に入れてどこで調合するか、長持ちしないアイテムをどう扱うといったことが工房の引越しとも絡み、ゲームが単調にならず、熱心に調合にとりかかれる。
もうひとつ大きな変更点は、ゲームをクリアするための期限が設定されていないこと。これまでの作品ではゲーム開始から何年かすると自動的にエンディングがやってきたが、ユーディーのアトリエでは終了期限が設定されていないため、思う存分、調合や探索をすることができる。 ■ 調合の喜びと材料採取の楽しさがパワーアップした今作 「ユーディーのアトリエ」の楽しさは、色々な材料を集め、それを調合することで新たなアイテムを得られるところだ。さらに今作では、自分の足で歩いて採取地を探すので、良い材料を拾った時には宝でも掘り当てたような喜びがある。とことん高品質の素晴らしい従属効力を持つ材料を揃えて調合する時は、どんなに良いアイテムができるかとわくわくしてしまう。 そしてもうひとつ忘れてならないのは、ゲームを盛り上げてくれるBGMや効果音の力だ。調合が続く時は工房にこもりっぱなしになりがちなのだが、一定の画面を見続けることがあってもプレイが単調にならないのは、音楽の良さに負うところが大きい。プレイしていないときでも頭の中に流れてくるような、中毒性のある軽快なメロディラインで、長時間のプレイも楽しく過ごせる。 声優陣による力の入ったキャラクタボイスも、ゲームの臨場感を高めてくれる。サウンドトラックがゲームに先駆けて発売されているので、プレイした人はぜひ購入してもらいたい。また、ムービーサウンドはドルビーデジタル5.1チャンネルに対応し、BGMもプロロジックIIで楽しむことができる。さらにHDDにデータをインストールして通常より快適にプレイすることもできる。 「ユーディーのアトリエ」の調合システムは従来のものより、すっきりとシンプルになっているため、アトリエシリーズが初めての人でも遊びやすいし、従属効力をどう組み合わせれば良い効果が得られるのかという部分は深く、やり込みがいのある要素だ。また、「アイテムを合成する」というちょっと聞いただけでは小難しそうなゲームシステムが、可愛らしいグラフィックとユーディーが暮らす世界の絶妙な生活感によって、非常に親しみやすいものとなっている。美味しいシチューから空飛ぶ魔法のほうきまで作ってしまうこのゲームをぜひプレイしてみてほしい。
(c)GUST CO.,LTD. 2002 / Illustration : 双羽 純
□ガストのホームページ (2002年7月11日)
[Reported by 西尾ゆき] |
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