★ピックアップ アーケード★

頭文字D Arcade Stage
連載:第7回

  • ジャンル:ドライブゲーム
  • 発売元:セガ
  • 開発元:セガ・ロッソ
  • 料金:1プレイ200 or 100円(カード購入時は別途100円が必要)
  • 稼動日:稼動中

【ゲームの内容】

 「頭文字D Arcade Stage」は、人気コミックを題材としたドライブゲーム。峠を舞台に行なわれるレースの臨場感が再現されている。原作でおなじみの仲間たちやライバルも登場し、それぞれ4種類の峠(コース)で対決する。本作にはカードシステムが搭載されており、カードに愛車のデータ、獲得ポイント、チューニング、自己最速タイム、勝敗結果などが記録できる






「頭文字D Arcade Stage」プロデューサーの新井氏に直撃インタビュー! (前編)

 前回の八方ヶ原で「頭文字D Arcade Stage」の攻略は一段落。ゲーセンでは昼夜を問わず、公道最速伝説、タイムアタック、対戦と、各所で熱きレースバトルが繰り広げられている。

 そんなシチュエーションを見て、攻略担当の石井ぜんじと記者は、ふと思った。ゲーセンでこれほど熱い注目を集めたドライブゲームは、久しくなかったのではないか、と。筐体に並ぶ客層も幅広く、学生、サラリーマン、OL、それぞれが思い思いに愛車のカードを差し込んで、楽しそうにハンドルを握っている。もちろん、自分たちを含めて。

記者:(カウンターをあてつつ) やっぱ、話、聞きたいよねぇ?
石井:(4連ヘアピンをクリアしつつ) ……そうだよねぇ

 某キャラクタをブッチぎる石井と、樹に負けてヘコむ記者。ドライバーズ・スキルこそ雲泥の差があるふたりだが、このゲームに魅せられた点において優劣はない。MR2で妙義ヘアピン直後の壁に激突しながら、記者は思う。「これは偶然ヒットしたゲームじゃない」と。
 翌日、広報の小林さんにインタビューを希望する旨を打診。快く了解をいただけた。ドライブゲームをとりまくシチュエーションと、ドライブゲームを愛するクリエイターの苦悩が生み出した良作「頭文字D」プロデューサー新井氏のインタビューを、ここにお届けしよう。


ハイテンションで新井氏ご登場

新井健二氏:「ダークエッジ」、「セガラリー」、「セガラリー2」、「セガツーリングカーチャンピオンシップ」、「EA SPORTS NASCAR ARCADE」そして「頭文字D Arcade Stage」などの開発に携わる。元々は「CAR GRAPHIC」系の人だったが、ラリーに目覚めてランエボVIを購入。ドライブゲームを愛してやまない人
新井健二氏(以下敬称略): 先週、ちょっと出張に行っていたもんですから。まだテンションが高いんですよ、なんかねー(笑)

-- どちらに出張されていたんですか?

新井: 国内ですけどね。最近、外回りしているもんですから。浜松行ったりとか、京都行ったりとか……。

-- 場所柄、やはりコースとか?

新井: そうですね。この前は日光に行ったりとか、もう……最近は普通のサラリーマンしてますね。

-- それって、もしかして次回作の……。

新井: あの……なんですかね。ゲーム作るのが決まってから取材すると時間がなかったりするんで。とりあえず撮っとく、って感じですか。いっつも取材に時間がかかって、例えば今度このコース作ろうとか、このサーキット作ろうとかいって、そうやると大変なんすよねぇ。そんでまぁ、折りあるごと……例えば鈴鹿いったりとか、モテギサーキットいったりとか。取材がてら「何かあったら、コレ使おうよ」みたいな感じですねぇ。

-- では、手持ちの素材から決めるパターンが多い?

新井: そうですね。手持ちの素材があって……まぁ、素材の中から決めるというよりも、何かのときのために引き出しを一杯用意しておく、ってことですよね。新しい車が発表されたら資料集めるとか、乗りにいったりとか。

-- 現場は、自分で走って確認するんですか?

新井: 実際に走ったりしますよ。自分の車を持っていって峠を走って、アスファルトの質の違いとか、ヒビが割れていたりとか、砂の道があったりとか。それを覚えておいて。

-- まず雰囲気を覚える?

新井: 僕は雰囲気を。デザイナーとかは、ちゃんと写真とかとって。僕はバァーッと走って。

-- チームのみなさん全員で一緒に行かれるんですか?

新井: 行くときは、ま、みんなでバァーッといきますね。10人くらいで。

-- みなさん自分のクルマで?

新井: ん~、そうですね、僕はクルマでいって。みんなもクルマで行くんですけども、会社でクルマを借りて、バァーッと乗って。で、ドアの横から顔を出して、みんなでこう、ゆっくり走って路面をバシバシ撮ってたりとか。

-- 異様な光景ですね

新井: 異様ですよ、かなり(笑) ハコ乗りして、みんなでやってましたけど。デザイナーはテクスチャの資料とか、そういう感じでとってますね。

-- なるべく現場の風景は忠実に再現する方向で?

新井: もちろん、もちろんです。

-- 日光とか、今回出てこないようなコースも?

新井: そうですね、行きますね。結構とってますよ、色々、あちこち。箱根の取材とかもいったりしてますし。出てくるトコは、どこか全然決まってないですけど。

-- 走り屋さんの間で有名なところは、一通り回られたんですか?

新井: 北関東に関してとか、近場では。まだ西日本のほうとかは行ってないですね。

-- 東北や九州にも、有名なところはありますよね。

新井: あります、あります。西日本でも、大阪のほうとか九州でもありますしね。とりあえず、今のところは近場、クルマで3~4時間でいけるところに、なんとか限定していってますけども。

-- では、時間があれば全部まわってみたい?

新井: そうですね。いきたいっす、いきたいっすね。

-- 将来的には、そういった場所がゲームに反映することもありえる?

新井: いや、全然あると思いますよ。フツーにあると思いますけど。本当だったら、全国の人が「あ、うちの近所の峠だ」みたいな感じでできたら面白いと思うんですけどね。


厳しい状況だった開発スタート時

小林令奈さん:同社タイトルの広報業務とホームページ運営を手がける。「レナッチニッキ」は、小林さんおよび同社スタッフの素顔が垣間見られる楽しい不定期更新コーナー。同社ファンは必見
-- 「頭文字D」の開発がスタートしたのは、いつ頃から?

新井: 開発は、いつでしたっけ?(と隣の小林さんに確認) ……話が出たのは2000年の年末でしたかねぇ。2000年の11月とか、12月とかじゃなかったすかねぇ。

-- 実際に作っていたゲームとしては、いつぐらい?

新井: 「EA SPORTS NASCAR ARCADE(NASCAR)」が終わりたての頃に、ボクと松本と話していて「何つくろうかねぇ」みたいな話をしていて。でまぁ、ボクらレースゲーム好きなもんですから「作るならレースゲームだよねぇー」とかいって。F1とか、ラリーとか、GTとか、色々なレースのカテゴリを見てたんだけど「……あー、ピンとこねぇなぁ」とかいってて。ま、色々あったんですけどもね。そしたら、松本が「頭文字Dとかどうですかねぇ」みたいな感じで。

-- それでは、クルマとか峠などのコンセプトが先にあったんじゃなくて、まず作品があったわけですか?

新井: そうです。「頭文字D」はボクも読んでて。そうだねぇ、やってみるのも面白いかもねぇ、みたいな感じで始まったんですよ。初めから凄いコンセプトがあったわけじゃなくて。なんとなく。

-- 雰囲気で「良さそうだよねぇ」っていう感じだったんですか?

新井: そうですね、初めはホントふたりだけの話で。松本とボクだけで勝手に盛り上がってて、軽く、こう、企画書を。ホント軽くザクっと書いたら、ウケが良くって。で、だんだん話が大きくなっていって……って感じですね。

-- では、初期段階で具体的に見えていたものではないんですね。

新井: 全然ないですね。全然。

-- 形が大きくなってきてから、じゃぁ動けそうだなっていう雰囲気になって、初めて具体的な動きが出てきた?

新井: そう……それが1月くらいすか。2001年の1月か2月くらい……1月でしたかね。じゃぁ、やろうって話になって。

-- 人づてに聞いた話なんですが、「セガラリー2」あたりで、ゲームセンターのポリゴンドライブゲームがかなり広まって、それからちょっと、ドライブゲーム自体がパッとしなかった時期がある。ナムコさんも、アーケード版でリッジを出したものの反応はイマイチだった。そのあたりは、レースゲームをずーっと作り続けようというスタンスからは、結構厳しい状況かなぁと感じられたのですが。

新井: 状況、厳しかったですねぇー。幸か不幸か、うちのロッソというのは“ドライブゲームを作る会社だよね”っていう話になってまして。ま、セガ的にもそうなってまして、対外的にも「あそこレースゲーム以外作ってんのか」みたいな感じで見られている部分があって。それでまぁ、色々な各部署、関係各社さんから「次、レースゲームは難しいよねぇ」みたいな話を、色々とされてて。確かに市場的に見ても厳しいですし、今はコンシューマとアーケードと性能差もなくなってきてますから。厳しかったことは、厳しかったですねぇ……。だから、「頭文字D」は、果たしてOKが出るのかなぁ、みたいな時期もありました。

-- レースゲーム自体が存亡の危機だった?

新井: そうですね。あの頃はもうダメでしたねぇ……。「NASCAR」を作ったときも、台数的にはそれほど出ずに……。それでも1,700~1,800はいったんですけど。日本でのインカムも悪くて。

-- 「NASCAR」は、日本国内での知名度で「F1」などに及ばない部分があります。

新井: 最近はF1とかもダメですからね。ラリーとかもダメじゃないですか。コンシューマでも出てますけど。

-- コンシューマのレースゲームは、レースゲームファンの評価が高くても、一般層までは……。

新井: ダメですね。

-- 以前は、世界の有名な題材を取り上げて、ポリゴンというハードで売るという手法がありました。

新井: 以前は、4、50万売れても、なんかあまり売れてないねぇみたいなことを言っていたのに、最近だとねぇ。この間出たコンシューマのラリーゲームとか、ぼく個人的に買っちゃったんですけど、すっごい面白いんですよ、あれ。ぼく的にはですけどね。面白いけど、全然売れてないじゃないですか。そんなこともあったりして……今もそうですけど、あの頃は、自分自身も結構ドライブゲームに関して、凄く懐疑的な部分があって。もう(プレーヤーが)いなくなっちゃったのかな、ゲームセンターには。家にこもっちゃったのかな、みたいな。

-- そういう流れが全体に見えていると、ますますマイナス思考に陥ってしまうのでは?

新井: そこで「NASCAR」を作っているときにぼくらが思ったのは、「NASCAR」自体のゲーム性に関しては、かなりの自信を持っていて「何で売れなかったのかなぁ」と。で、しばらくたってからアメリカでの評判が聞こえてくるわけですよ。数値でインカムがくるんですけども、インカムはいいんですよ。てことは、やってもらえれば「これ、面白い」ってことがみんなわかってくれたんだなぁ、と。あと、ぼくらはゲームに対する「つかみ」(がたりなかった)。最近はもう、ゲームセンターにゲームをおいても、お客さんがやってくんないんすよねぇ。昔って、ぼくらが子供のころとか、何か入ると、とりあえず座ってやってみるんですけど。最近はそういうお客さんがいなくて、すわりもしないんですよね。

-- 中をバーッと見て、雰囲気で帰っちゃう人もいますよね。

新井: そうなんですよねぇ。それで、なんかこう……「つかみ」ってなんだろう。もう「F1」とか「WRC」は「つかみ」にならないことがわかってますから。ということで「頭文字D」がぼくらのなかでピーン! ときたっていうのがあったんです。座ってみようかな、と思わせる要素があるんじゃないかなぁと思って。はい。

-- 今でこそプレーヤーは当たり前のように「頭文字D」を遊んでいますけど、作る側としては、今まであまり、こういう路線がなかったですよね

新井: そうですね、キャラものですからねぇ。嫌悪感を抱かれるか、大好評かどっちかかなぁと思っていたんですよ。作っている最中は、結構ビクビクしながら作ってましたよね。それでまぁ、さらにゲーム性も深めようってことで。お客さんをキャッチしたら次はゲーム性で楽しませなきゃいけませんから。それでカードシステムっていうのを採用して、座ったらお客さんを放さないみたいな感じで、考えて作りましたけどね。


カードシステムとチューニング

-- カードシステムは最初から採用しようと決めていた?

新井: それは、もう当初からですね。

-- 「頭文字D」だから、というわけではなく?

新井: そうです、そうです。なにかね、こう「クルマの格好が変わったらいいよね」とか。「頭文字D」の読者は、クルマが好きな人がきっと多いでしょ。もちろんクルマが好きじゃない人も多いと思うんですけど。ま、クルマが速くなったら面白いよねー、とか。その頃、ぼくが自分のクルマをいじってて、チューニングの面白さをわかってきた頃なんですよ。で、これゲームにしたら面白いんじゃないのかなぁ、って。ゲームのなかでマフラーが変わって、音もかわったら結構嬉しくないか? とか、そういう単純な話から始まって。

-- 見た目もしかり、ということですね。

新井: そうですね。自分のクルマをチューニングして、見た目も変わって、今まで勝てなかったライバルに勝てたら、ちと嬉しくないか? とか。そういうヨタ話からどんどん話がふくらんでいって、固めていったという感じですね。

-- チューニングのお話が出ましたけども、今のシステムって最初にチューニングコースを決めますよね。企画段階ではユーザーが選べるような形なども検討されましたか?

新井: もちろんしましたね。ボクは初めは、好きなパーツをつけられるようにしたかったんですよ。マフラーを変えるにしても、いろいろなメーカーのが10本あって選ぶようにしたかったんですよ。ただ、それをやるにしては、まだお客さんのレベルがわかんなかったんですよ。どれくらいのマニアなんだろう、みたいな。

-- 「頭文字D」は、キャラクタのファンも多いですからね。クルマには詳しくないけど作品は好き。その一方で、クルマにいれこんじゃってて、さらに作品も好きっていう人。そうなると、パーツに対する認識も変わりますよね。

新井: そうなんですよ。マフラーつけたから、どうなの? どうかわるの? ってのも、あると思いますし。

-- 極端な話「エアロってなぁに?」とか、そういう人もいるかもしれない。

新井: いると思うんですよ。そういうのもあって……あとまぁ、ゲームセンターのゲームですからね。家みたいに、周りのお客さんを気にせずにできる環境じゃないじゃないですか。選んでいる最中に、後ろから「う~ん」って言われたりするのとか、ありますからね。あとは、ちょっとおこがましいですけど、お客さんを教育する、じゃないですけど。チューニングコースを作って、だんだんこういうふうに変わっていくんだよ、という。

-- ただ、原作やゲームに対する理解が深まってくると、カスタマイズに対する欲求が……。

新井: 高まってきますねー。

-- 今までのドライブゲームに比べると、システム的には“大胆”ですよね。最初の企画からお客さんを惹きつけよう、という意図がすごく……。

新井: そうですね、それはありましたね。今回、ドライブゲームというのも先にあったんですけれども、その次に「ゲームの継続性」というものを考えていたんですよね。ゲームセンターのゲームというと、どうしても“ちょっとよって、ちょっとやって、帰っちゃう”っていうのがあったじゃないですか。で、今は中古でもゲームが買えますから、ゲームセンターで200円のゲームを10回やったら、中古が買えちゃうじゃん、と。学生さんは、そんなにお金もってないですからね。ゲームセンターに何万円もつぎ込むんだったら、PS2とゲーム買うっていうのがあるじゃないですか。

-- ゲームに限らず、携帯などにもお金がかかりますし。

 それで、ゲームセンターのゲームに継続性を持たせなきゃいけないなっていうと、カード。カードのなかに自分の成長したものが入っていて、ちょっと今日は時間があるから3ゲームだけやって、ちょっとクルマ成長させて帰るかー、みたいな感じの継続性を持たせようと思ってやったんですけど。結果的には、大胆というふうに思われる部分もあると思うんですけど、ぼくらからしたら、まだこれでもかなり保守的で、もっと初めは大胆なものもあったんですよ。初めからこれやったら、お客さんは引くだろうなぁとか思って、だんだんこう、少しひよっていった感じになったんですけど。

-- 今出てきた、最初の頃というのは?

新井: パーツを自由に選べて、もっともっとチューニング要素が多かったりとか。

-- ユーザーさんが「どうしたらいいんだ!?」っていうくらい?

新井: そうなんです。でまぁ、そんなに情報があったらダメでしょー、みたいな話になったりとかしたんですよね。

-- それを削り落として、現在のシステムになった?

新井: かなり削りましたね。ボクなんかクルマが凄い好きですから、当初松本がやったときに「コレ削りすぎだろー、オマエ!」っていう。クルマの車種も、もっと一杯あったんですよ。今の倍くらいあったりとかして。パーツの数も3倍くらいあったりとかしたんですよね。

-- それだけでも相当な数ですよね。

新井: そうですねぇ……クルマをもっといれて、峠も一杯いれて、でも初めだからちょっと削って、って感じにしたんですけど。

-- でも、現在の完成形は十分なボリュームに見えなくもないんですけど。

新井: 作ってる側からすると、もうちょっと、もうちょっと、と思うんですけどね。

-- では、全然“納期”の問題ではなく、やろうと思えばやるだけやれた?

新井: そうですね。でも、独り善がりに作っちゃうとマズイじゃないですか。クルマとかも車種を増やしたいんだけど、本当にお客さんってこんな車種欲しがってるのかなぁ、と。コンシューマのゲームは数百車種とかいってましたけど、そんないらねぇだろ、みたいな。

-- こんなクルマ乗らないだろう、というものまで入れても意味がない?

新井: そうなんですよねぇ。もちろんボクなんかクルマ好きですから、たぶん「グランツーリスモ」のプロデューサーの山内さんとは、クルマの趣味があうと思うんですけども。選んでいる車、相当ぼくと趣味があうんですよ。あ、わかってんじゃん、みたいな。だけど一般の人はねー、みたいな感じのクルマがいっぱい入ってたりとかして。で、いっつも考えるんですけど、せっかく労力をかけて作ったんだけど、やってくれなかったら意味がないわけで。で、どんどんしぼりこんでいって濃縮した感じにしたんですけどもね。パーツもそうですよね。こんなパーツをつけるかなぁ、とかあって。

-- パーツも実在メーカーですよね。

新井: あれ、全部ホンモノなんですけどもね。ぼくなんかの趣味だと、見た目的に地味なパーツが好きなんです。だけど、お客さん的には、やっぱ派手なやつが好きだろうなぁとかいって、こう、おっきなハネがビュッって生えたりとか。

-- パーツの効果は、見た目の印象をそのまま反映させているんですか? それとも実際のパーツの精度に近い?

新井: ん~、見た目ですね。そんなに厳密にはやってないですね。これつけるとダウンフォースが増える、とか。

-- パーツの影響は、そんなに強くは反映しない、と。

新井: あくまでも雰囲気といいますか。「頭文字D」の世界観を楽しむための補助材料みたいな。初めからチューンされたクルマが出てくるよりも、拓海に勝つために、オレはこういうチューンをした、っていうほうが面白いかなぁ、とかっていう、そういう補助的な部分。あくまでもメインじゃないです、はい。

-- ゲーム的な部分での“ドライブゲームマニア”は、自分のテクニックという部分と、回数をこなして伸びていく部分というのは、納得感としてはかなり微妙だと思うんです。このあたり、相当苦労されたのでは?

新井: しましたねぇ。やっぱり、自分でも一番ムカつくのは、勝ったんだけど“クルマに助けられちゃった”みたいな。あれアタマくるじゃないですか(笑) いや、俺の腕で勝ったんだ、というふうにしたい。バランスはね、相当苦労しましたよねぇ。速すぎず、遅すぎず、みたいな。投資額、プレイ数にあった丁度いい頃合のチューンナップみたいなとこで。

-- 自分が上手くなったのか、クルマが良くなったのか判らないくらい?

新井: そうなんですよ。あれが、あんまり速くなっちゃうと、特にタイムアタックをするお客さんたちが、ちょっとどうなのかなぁ、みたいなとこがあったんですよね。

-- 劇的に変化すると嬉しい反面、やり込んでいる人に対しては、ちょっと微妙ですよね。数やれば速くなるんじゃないの? とか、投資金額で買っちゃうみたいな。

新井: あと、なんですかねぇ、ゲーム性も変わっちゃいますしね。例えば最高速が10kmかわったら、もう違うゲームになっちゃいますからねぇ。

-- ドライブテクニック自体が、同じクルマでも最初と後でかわってしまいますし。

新井: 今回は、ホントに「頭文字D」の雰囲気を味わってもらう、っていう方が強いですねぇ。


趣旨は「頭文字D」ごっこ

-- そうなると、基本的な質問になっちゃうんですけど……本作は決して「リアル志向」ではないですよね。

新井: そうです、そうです。今回の趣旨は「頭文字D」ごっこ。誰でもカンタンに拓海のようにドリフトができて、誰でも須藤とか、ああいう強いキャラクタに勝てる。漫画の中に飛び込んでいくような感じにしたかったんですよね。ですから、今回はあえて自分が「藤原拓海」とか、キャラクタになれない。あくまでも「頭文字D」の世界観の中に個人が入っていくっていうスタンスにしたんですよね。ぼく、ちっちゃい頃にウルトラマンごっことかしたんですけど、ウルトラマンになっちゃう奴って、ボクら結構引くんですよね。ウルトラマンかよー、みたいな。勝つに決まってんじゃん、オマエ、みたいな(笑) ちょっと、それは無しでしょーみたいな。それを、ずーっとひきずっているんですよ。

-- 絶対勝てるキャラを選ぶかよ、って? (笑)

新井: 拓海は無しでしょー、みたいな。そりゃ勝っちゃうもん。ぼくらはあくまでも怪獣とかで、なかなか勝てない相手に勝つのが面白いんじゃん、みたいな。今回は、そこ、揉めましたけどもね。やっぱり「拓海になりたい」って連中もスタッフのなかにいて「それどうなのよ、新井さん」みたいな。いや、俺は絶対ダメだ、と。色々すったもんだあったんですけど、押し切って、何とか。

-- キャラクタの役をやりたいという意見は多かったんですか?

新井: 結構いるんですよ。いまだにファンからメールがきたりしますし。で、今回はそういう「拓海になりたい」という人たちの救済策が「拓海仕様のハチロクになる(チューニングコースがある)」ってとこなんですよね。これで勘弁してください、あとは自分で頑張ってね、みたいな。ちょっと譲っているとこなんですけど。

-- 作っているほうの考え方としては、原作の世界の中に自分が飛び込めるという部分で楽しんでほしい、と。

新井: 漫画の新しい登場人物に自分がなる、みたいな感じですね。来週のヤングマガジンに、自分がライバルとして登場する……それぐらいの気持ちでやってくれると、面白いなぁと思うんですけどもね。

-- ユーザーさんから、他に具体的な要望はありましたか?

新井: クルマが多いですね。あと、峠を増やしてくれ。峠は、もちろん漫画の中に出てきた峠を出してくれ、と。あと、今回出てないキャラクタもいるんですね。それを出してくれ、と。

-- やはり「原作」を通した要望が多いんですね。

新井: 実際のクルマよりも、そっちのほうが多いです。漫画を前提とした話ですね。拓海がちょっと早すぎるとか、樹がこんな早いわけがないとか、漫画をフィルタとして通した意見が多くて。

-- ゲームから入って、ここをこうしてほしいという感じではないですね。

新井: ないですね。あとはもう、クルマに対する思い入れが強い人たちの意見。違うマニアの。今回のゲームは、かなり走行性能をディフォルメしているので、例えばヘアピンを4速で曲がれたりとかするじゃないですか。そこは2速で曲がらなきゃおかしい、とか。あと、ホンダのV-TECエンジンは6,000回転からが勝負だ、とか書いてあって。大将~、勘弁してくださいよ、それは「GT3」買ってください、みたいな(笑)

-- ある意味、「現実の走行性を忠実に再現する方が、一般の人たちにも絶対判りやすいはずだ」と思い込んでいる人たちとのギャップというか。実際、ゲームからクルマに入った人たちとは、受け入れ方が違うわけですし。

新井: ゲームだと、みなさんブレーキ踏まないじゃないですか。上手い人たちは、初めブレーキ踏んで、だんだん曲がっていくんですけども。一般の人たち、たぶん「頭文字D」をパッと見て入ってくる人たちってのは、そんなに……ま、右足が俗に言う重たい人? 踏みっぱなしという人たちが多いと思うんですよ。それを考えると、シビアに2速に戻してとかやるよりも、ハンドルを「えいやっ」て切ったら、ぶつかりながらも何とか曲がっていけちゃう、というほうが面白いかなぁと思いますし。

-- 「頭文字D」の難しさについては、色々微妙な意見があるんですけど、路肩をこすると「加速しなくなる」という……私は凄く好きなんですけど。

新井: そこはねぇ、相当気をつかったんですよ。うちのプログラマの森が作ったんですけども、壁ターンとかできちゃうとマズイ、と。かといって、今までみたいに壁にぶつかると、もうホント“トリモチ”か何かにくっついたみたいにベタッて止まると、イライラするじゃないですか。それで、ぶつかった一定時間、加速しなくなるのはどうか、なんて。「あぁ、いいねぇ」と。

-- 壁ターンの解決策として、極端に遅くするのはイライラする……そういうところから生まれた?

新井: 舞台が峠なんで、ぶつかる確率が高いじゃないですか。で、それ、相当イライラするよなぁ、とか思って。八方ヶ原とか、たぶんキレると思うんですよ、きっと。ふざけんな、みたいな。ただ、頻繁にバンバンぶつかる人ってのは上手くないんで、加速しないことに気付かないですね。上手くなると「わー、加速しねぇー!」とかイライラするんですけど。丁度いいとこで。一般のライトユーザーには気づかれにくいペナルティ、って感じで作ってますね。

-- 最初の頃に八方ヶ原を走っている人たちは、確かにそういうケースが多かったですね。加速していないことに気づかない。一見クリアできているんだけど。八方じゃなくても気づかなくて、とりあえず1速ギアを落としてみて「ん?」と首をひねる。

新井: 速度アップしねぇ、みたいな。あれも速度に比例してて、凄い速度でぶつかるとペナルティが大きくて、ちょっとこすっただけだと、大したことがないようにしてあるんで。相当気ぃ使いましたねぇ。

-- 実際走っていると「あ、やっちゃった……かな?」と感じるときが多いです。で、これが全部ガッコンガッコンぶつかって止まると仮定すると、峠ということを考えると相当厳しい。

新井: 他社さんのドライブゲームでもそうです。結構ゲーセン行くんですけど、そういうドライブゲームをたくさんやって「もっとこうだったらいいのになぁ」と、普通にレーサーとして、ゲーマーとしての不満みたいのが、色々とあるじゃないですか。実際にお金をつぎ込んで、あーイライラする、と。俺だったらこう作るのになぁというのが、みんなでドワッと出た、みたいな。

-- そういう感情を形にできる立場ですからね(笑)

新井: そうですね、結構ありますよ。格闘ゲーム作るならこうしたい、とか、久しぶりに縦シュー作りてー、とか。ありますよ。縦シュー好きなんで。

-- 作り手であり、なおかつ遊び手でもあるから、ユーザーさんの意見を肌で感じられる。

新井: ユーザーさんだけの立場になると難しいですけど、まぁゲームセンターに行っている価値はありますよね。家のそばにあるもんですから、なんとなく行くんですけど。あと、ゲーム待ちのときとか「ったくコイツよー!」みたいな悪態(本音)が聞けますし。


ゲーセンで好評を博すも、出る前は賛否両論

-- 「頭文字D」は、ゲーセンで順番待ちの列を久しぶりに見ました。悪態じゃないですけど、1レース終わってコンティニューしようとすると、後ろからの視線が痛い(笑)

新井: 久しぶりっすよねー。ドライブゲームでは、ほんとひさかたぶりですよねー。「デイトナ」以来とかじゃないですか? あとは「セガラリー2」とか。

-- 人が多いところ、競合相手が少ないところは200円が相場ですね。

新井: ボクたちは本当にユーザーのことを考えて、たぶん高校生とかは学校帰りにやるんじゃねーの? とかいって、やっぱ100円だよねー、みたいに思っていたんですけど。

-- そのぶん、1プレイを大切にしているという姿勢を久しぶりに見ました。大事に走ってる。

新井: それはありましたね。あと、ポイントもありますしね。頑張って走るとポイントがもらえるっていうのもあるんで、捨てゲー(捨てゲーム。失敗した途端にゲームを投げ出すこと)がしにくい。

-- 途中で終わるよりは完走、完走するよりは勝つなり、コースレコード出したいほうがいい。そのあたりでも、ただやればいいというゲームではない点、実に良かったと思います。

新井: ドライブゲームでタイムアタックをやっている人たちは、捨てゲーやるじゃないですか。1コーナー失敗したら、もう捨てゲーみたいな。あれがちょと、作っている側としてはいたたまれない気持ちになるんですよ。でもまぁ、完走すれば1,000点でも2,000点でももらえるよ、みたいな。そういうのは、今回狙ってましたね。なるべく捨てゲーさせない。

-- そういう意味では、相乗効果があったと思うんです。キャラクタで入ったユーザーさんがいて、なおかつゲーム自体が入り込みやすく、さらにみんな捨てゲーせずに走ってる。これには、新しいドライブゲームのユーザー層ができるかな? という感慨さえ抱きました。

新井: まぁ、たまたま今回は上手くいきましたけどねー。出す前まではヒヤヒヤでしたけどねー。やっぱり、賛否両論でしたからね。

-- でも、キャラクタものは初じゃないですよね? 素材としては、過去に「スター・ウォーズ」などもありましたし。賛否両論というのは、どんな意見があったんですか?

新井: いやもぉ「カードってどうなんだよ、オマエ」とか、「チューンナップなんかしたら、ゲーム性が変わっちゃうだろ」とか。途中からはスタッフの中からも「チューニングは止めたい」とか「止めたほうがいい」とか。クルマとかも、「頭文字D」に出てくるクルマだけで「チューンナップできなくてもいいじゃん、キャラクタがいっぱい並んでて“じゃぁ、俺は藤原拓海”とか“俺は須藤京一”とか、選んでやるだけでいいじゃん」っていわれて、それはダメだ、とかいって。まず、キャラクタ以外のクルマを出すのはどうか、原作に出てこない“昼”を走るのはどうか、とか。チューンナップ、パーツ、カード……いっぱいありましたね。


クルマの性能について

-- クルマ自体の性能の違いっていうのは、絶対的に早いクルマと遅いクルマって、ある程度出てきますよね。極論として、走行性能を変えながらほとんど同じに揃えることも可能だと思うんですけど、そうすると「ランエボが遅いわけねぇ!!」みたいな意見も出てくると思うんですが?

新井: 元々「頭文字D」1巻、2巻の頃っていうのは、今でこそ「ハチロク」って「頭文字D」人気で凄いクルマっていうふうになってますけども、ぼくらが高校生とか18~19歳の頃、ハチロクっていうのはシルビアが買えなくてしょうがないから買うクルマだったんですよ。今から12~13年前。こーんなポンコツ買って! みたいな感じだったんですよ、俺らからすると。原作者のしげの秀一先生も、そういう風に思ってらっしゃって「こんなポンコツでFDやランエボに勝っちゃう」ってのが凄いと。今回、クルマの性能に差をつけて、あえてハチロクで勝つのがエライとか、MR2で勝つのが凄いとか、そういうふうにしたかった。だから、あえて平等にはしていない。ちょっと差をつけて。でも、これで勝つのが面白い。タイムアタックで差が出ちゃいますけど。「えー、オマエMR2でアレに勝ったの!?」とか、そういうのがあるじゃないですか。本人の愛着があるから、こんな薄っぺらいカードでも「なくしちゃったらどうしよう!?」とか。

-- 実際、無くしてガッカリしている知り合いがいます。

新井: そういう話をきくと、カードに愛着をもってくれて嬉しいというか。そういう意味もあって、あえて差をつけました。クルマにキャラ付け。そうじゃないと、みんな「ハチロク」選んじゃいますからね。

-- そのあたり、ユーザーが主人公や人気のあるライバル車を選びがちだと思うんですけど、それは意識されましたか? みんなが選びそうなクルマは使いやすくしよう、とか。

新井: しました、しましたね。FDとかハチロクとか、まぁそのへんはみんなが使うと思ったんで、ニュートラルな走行性能でやりやすいように。ちょっと走ってもそこそこ面白いし、極めれば速いし、みたいな。それで、ちょっと極端なミッドシップ系とか、6速とかを“スパイス”みたいな感じで。飽きたらコレで遊んでみてよ、これはこれで面白いよ、と。味付け的には。

-- ギアの5速、6速はアクセント的な位置付けでしかない?

新井: 6速でも早いですけどね。ただ、6速って攻略方法がまたガラッと変わるので、またイチから攻略しなおしみたいなのがあるじゃないですか。ここ、どうやって曲がるんだろう、スタートダッシュはどうするんだろう、とか。

-- 最初、5速と6速の存在に気づいたとき、ドライブゲームの一般論というか「あ、コレが一番速いんだ」と。「6速が一番速いに違いない」という先入観を抱いたんです。

新井: あれは、違うんですよ。丁度こう、ゼロから1の間を刻んでいる数が違うだけで。6速だからって、上限が増えるわけじゃないですよね。だから、コーナーとか、今までは4速で曲がっていたんだけど、6速だったら3速で曲がれるかもしれない、とか。

-- 最終的には自分もそう思いましたけど、一縷の可能性にかけているユーザーさんもいまだ少なくないような……。

新井: それは、あのー、まぁ……クルマを勉強してもらうっていうのもあるんですけども。あと、6速に気づかない人もいましたね。5速でずっと走ってて。「アイテテテテ」みたいな。言ってあげよっかなー、みたいな時がありましたけどね(笑)

-- ゲーム的な位置付けで、6速はテクニカルだから少し有利にしてあげるとか、そういうことはない、と。

新井: それはないっすね。実車も6速だし。絶対性能は変わらない。280馬力を、5で切るか6で切るかの差。


ユーザーが熱望するチューニング

-- ユーザー間の噂話のレベルで恐縮なんですけど、原作に出てくる「ミスファイアリングシステム」がどうこうとか、「レビンにターボはつかないのか」とか、そういった反則っぽいチューニングはどうなんですか?

新井: それは……例えば、今出てきた「ミスファイアリングシステム」、あと「レビン」や「インテグラ」のターボとかあるんですけど、ぼくらが作ってるとき、拓海の車だけエンジンの載せかえがあって早くなるんですけども。そのときは……ちょっと、あんまり……やりたくなかった。

-- 原作では重要なポイントでしたが?

新井: できるとかじゃなくて、やらなかったんですよね。ただ、あまりにも反響が大きくて……うちのホームページにメールがくるんですけども。「なんでつかないんじゃぁ」みたいな。

-- 楽しみにしていたのに、と?

新井: えぇ。で、次作るなら「入れなきゃいけないね」みたいな話はしているんですけど……今回は、あえて入れなかったんですよねぇ。あくまでも、先ほど話していたように(原作の登場人物が)プレーヤーのキャラクタにならない。インテグラターボはスマイリー酒井だけとか、ミスファイアリングシステムは須藤だけとか。そういう特別なものだよ、と。次はもっと間口を広げて、そういうチューニングの方法もありかなぁ、とは思っているんですけど。

-- 一応、キャラクタの顔が出るチューニングコースはあるけれど、そこまでなりきるっていうものではないと。

新井: そうなんですよ。次はやんなきゃいけないのかなぁ、とか思ってますけどねー。

-- 難しい部分ですよね。100%反映すると、それはそれでいかがなものかという話になりますし。

新井: そこまで思い入れが強いと思わなかったんですよねー。このゲームを出す前って、さっきぼくも言いましたけど、セガ社内でまったく評価がなかったんですよ。まぁ、ちょっと国内で売っとくかぐらいの感じで、それで期待値も高くなく。それでぼくらも肩の力を抜いて作っている部分もあって。ま、ある意味、好きに作らせてもらった。

-- その“楽しく作った部分”がユーザーに受け入れられたところでもありますよね。

新井: そうですね。あんまり制約がなかったものですから。蓋を開けたら大人気、みたいな感じで。ぼくらが思っている以上に「頭文字D」マニアの人たちが一杯いて、ゲームをやってくださって、意見もいってくださって。逆に、反響の大きさにビックリして「ヤベー」みたいな感じがありましたけど。メールがすっごいきたんですよ。もう収まりましたけど。一時期アンケートをお願いしたんですね、ホームページで。そしたら、ドワーッて、すっごいきて、みんなで「ヤベー」って(笑)

-- それだけの注目を集めたわけですが、これまで「頭文字D」の名を冠したゲームが世に無かったわけではないですよね。

新井: あれとかも……ぼくらももちろんやりましたけど。ま、単純にぼくはそういうときユーザーになっちゃいますから。おいおいおい、と(笑)

-- 私も同じゲームを持ってます。“溝落とし”はできるんですけど……ねぇ。

新井: でもねぇ、ゲーム作っている人たちとかって、是非ねぇ、自分でお金出してゲーム買ってみるといいですよね。ぼくもたまに、今でもヘコみますからね。わー、6,000円払っちゃったー、とか(笑) そういう気持ちを……ぼくなんか社会人だからアレですけど、高校生とか中学生が、お小遣いをためて買った日にはアナタ、みたいな。100円の重みっていいますかね。そういうのは気を遣いますよね。ホント思いますよー。ぼく最近……半年くらい前にPS2やっと買ったんですけど、たまにあるんです、スッゴイのが。

-- そこでユーザーさんが一度引いてしまうと、他にも影響が出ますよね。

新井: そうなんですよねぇ。ゲームって、ぼくもそうですけど、月に3本買えないですよ。今、だいたい6,800円だから、3本買うと約21,000円になる。そうなると、練りに練って選んだ1本とか。

-- それで外すと鼻血出ますね。

新井: 今ゲーム作ってる連中とかって、ゲーム買わないっすよ、結構。ゲームやらない人もいますからね、マジで。何やってんのオマエとか思いますよ。

-- それはまた、随分と極端な……。

新井: いますよ。ゲームのハード持ってないとか、ゲームセンターに行かないとか。ぼくとかよく言うんですけども、無理にでも行きなさい、買いなさいと。だって、オマエら、美味しいと言われるラーメン屋にいってご主人が作るとき「ぼくラーメンわかんないんですけどね」って言われたらヤだろう? とかいって(一同爆笑) やっぱり「全国のラーメン屋を歩き回って修行しました」っていったほうがいいでしょ? って。

-- 前者は、悪い意味で“仕事”って感じですね。

新井: 仕事なんですけど……動向を知るというか、ぼくホント言うんですけど“100円の重み”みたいなの。ぼく自身、ゲームセンターにいって、100円入れて「あー、もうやんない」っていうゲームは山ほどありますから。そこで「つかみ」がないと、30万円する基板のゲームが100円入って終わっちゃうんだぞ、みたいな。だから、アーケードゲームは「出し惜しみしないで、1面に美味しいモノを全部詰め込め」と。コンシューマはひっぱるのもOKですけど、ゲーセンはちょっと不味かったら食べなくなっちゃうんで。


削り落とした要素は、次回作に反映したい

-- そういう意味では、今回はキャッチーな入口があったわけですが、これだけヒットしてしまうと、次以降の作品作りに影響があるように思えてしまうんですが。

新井: 削った部分が結構あるんで、それを足したいなぁっていうのはありますね。また元に戻したいな、みたいな。削って、あれ入れてみない? っていう。だから、ん~、もう少し、こう肉付けしたものを出したいという欲求はあります。作るのをどうしよう、っていうのはないですね。

-- 注目度が高まったことで、外部からのインプットが増えたと思うんですが。こうしてほしいとか、ああしてほしいとか。

新井: 変わりましたよー! セガ社内でも。ホント変わりましたよ。はじめうちは「なんじゃこのゲームはコラァ!」っていわれてたんですけど、売れたら「次お願いしまーす!!」とかいわれて、アレレレ、みたいな。なんか芸能界みたい(笑) 急に変わりますからね。さっきも言いましたけど、以前は好き勝手に作ってたんですよね、いい意味で。ま、期待されていないぶん予算も少なくって、人も少なくってタイヘンでしたけども、あーでもない、こーでもないと。試しにやってみないか、と。今は、逆にセガ本社側とかも……成功しちゃったモンですから。これ、崩さないように、なんとか、とか。

-- 外部とのタイアップ話とかもあると思うんですけど。

新井: ありますね、あります。

-- それがゲームの中に影響する、っていうのは……。

新井: そうですねぇ……基本的に、つまんないことはやらないっていうスタッフですから。勇気をもって(笑)

-- 上から言われても?

新井: いつも、なんとか。まぁ嬉しいですけどもね、無視されるよりは(笑) 世の中、忘れ去られちゃうゲームのほうが山ほどあるなかで、みんなからあーでもない、こーでもないと言われるのはウレシイな、と思いますけどね。


インタビュー後半は、また来週!

 新井氏のドライブゲーム、アーケードゲームに対する愛情とこだわりを、感じていただけただろうか。インタビュー後半は、来週お届けする予定。楽しみにしていてほしい。

(C)しげの秀一/講談社
(C)SEGA ROSSO/SEGA,2002

□セガ・ロッソのホームページ
http://www.segarosso.com/
□「頭文字D Arcade Stage」公式サイト
http://www.segarosso.com/INITIALD/
□関連情報
【4月26日】★ピックアップ アーケード★ 頭文字D Arcade Stage ~第1回~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020426/intd.htm
【5月10日】★ピックアップ アーケード★ 頭文字D Arcade Stage ~第2回~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020510/intd.htm
【5月17日】★ピックアップ アーケード★ 頭文字D Arcade Stage ~第3回~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020517/intd.htm
【5月24日】★ピックアップ アーケード★ 頭文字D Arcade Stage ~第4回~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020524/intd.htm
【5月31日】★ピックアップ アーケード★ 頭文字D Arcade Stage ~第5回~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020531/intd.htm
【6月7日】★ピックアップ アーケード★ 頭文字D Arcade Stage ~第6回~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020607/intd.htm

(2002年6月14日)

[Reported by 石井ぜんじ + 北村孝和]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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