★ Xboxゲームレビュー ★
海外の、特にPCゲームでは定番ジャンルである3Dシューティング。日本でも一部のコアなPCゲーマーの間では人気があり、特に最新の3Dシューティングを快適にプレイしたいがために、毎年何万円もするビデオカードに金をかけたりしている人もいる。とはいえコンシューママシンでゲームを遊んでいる多くの人にとっては、あまりなじみがなく、取っつきにくいジャンルであることもたしかだ。理由は、“酔うから”とか“操作が煩雑”とか“慣れるまで自由に動けずイライラする”などさまざまであろうが、とかく日本ではウケのよろしくないジャンルなのである。しかし、ここでいきなり結論から書いちゃうと、このヘイローはそんな理由でプレイしないのは、かなりもったいないゲームと断言する。いや、ほんと当初の予想に反して(失礼)超面白かったんです!
そもそも筆者は、3Dシューティングは嫌いな方じゃない。いやむしろ大好きな方だったりする。だからこそ、最初はゲーム機で3Dシューティング? 一般ユーザーに受け入れられるかなぁ……とか、この手のゲームは山ほどプレイしてきたわけだから、わざわざコンシューママシンで遊ばなくても……といった、かなーり冷めた目でプレイを始めたのだ。「まぁコンシューママシンの3Dシューティングとして、冷静に客観的に分析しましょう」とか気楽に思いつつ遊んでいるうちに、いつしか大熱中時代へ突入。もう少し、もう少しだけ、と気がつけば16時間連続プレイで右手首は痛くなるわ、目はショボショボになるわで、ひさびさにコンシューママシンのゲームで寝食を忘れてハマってしまった。
■ 操作性こそ、3Dシューティングのキモとなる要素
3Dシューティングが人気ジャンルとして確立しているPCの場合では、通常はキーボードとマウスを使った操作が一般的となる。左手でキーを操作し前進、後退、左右平行移動といった移動系を担当。右手でマウスを操作し、上下、左右旋回といった武器照準系の操作をするわけだ。これに慣れると、ターゲットを捕捉、その周囲をグルグル回り込んで敵弾をかわしつつ射撃、といった高度な動きもラクに行なえ、ジョイスティックやパッドといったデバイスではとてもゲームを楽しめなくなる。 本作の場合、正直Xboxのコントローラではかなり遊びづらいのでは? と思っていた。以前、ほかのコンシューママシンの3Dシューティングをプレイしたときも、ゲーム自体はよくできていたのだが、結局コントローラの操作が合わずあまり遊ばなくなってしまったので、本作もそれをちょっと心配していたわけだ。
ところが実際にゲームをしてみると、これがかなりしっくりくる。もちろん、Xboxのコントローラは日本版を使ったが。Xboxのコントローラには左右にアナログスティックがあり、左で移動系、右で照準系を操作する。これはちょうどPCのキーボード+マウスと同じ配置と操作感覚だ。 3Dシューティングは操作が難しくて……という人は、どうか我慢してプレイしてみて欲しい(筆者の場合、操作に慣れるまでが2~3時間くらいだった)。慣れてくればコントローラでもわりと自由に動けるようになる。そうなると、ゲームが俄然面白くなってくるはずだ。
■ 演出面とストーリー展開について
基本的にゲーム前半は地球人側と「ゴヴナント」と呼ばれるエイリアン側の戦いがメインとなる。独自の文化、テクノロジーを持つゴヴナントは、は虫類系の形態をしており、ヘイローと呼ばれる環状惑星(内側に大地がある巨大リング状施設)を舞台にストーリーが展開していく。宇宙船からの脱出、味方部隊の援護、要人の救出、敵施設破壊、消息を絶った部隊の探索とさまざまなミッションをこなしていくのだが、ゲーム終盤に近づくと、あっと驚くとんでもない方向へと進展。ここでは詳しく書けないが、やっとゴヴナントとの戦闘に慣れた頃にいきなり急展開をみせるので、最後まで飽きずにストーリーに引き込まれてしまった。 当初は、本作が海外製3Dシューティングということもあり、海外のPCゲームっぽい展開、良くも悪くも大ざっぱで突き放した内容を予想していたのだが、遊んでみると意外と細部まで丁寧に作り込まれており、コンシューマタイトルとしてもよく配慮されていると感じた。特にストーリーやイベントなどの演出面が映画的で凝りまくっている。ドロップシップで味方部隊と共に敵のまっただ中へ降下したり、続々と襲ってくるゴヴナントから自軍キャンプを守ったりと、映画「エイリアン2」や「スターシップ・トゥルーパーズ」のようなSF映画好きにはたまらないシーンも多い。 例えば、雨が降り薄暗く数メートル先も見えないようなレベルステージで、味方部隊と共にグロテクスクな敵集団に襲われるシチュエーションがある。探知機(レーダー)には無数の敵が取り囲み、接近してくるのがわかる。周囲は味方の叫び声と悲鳴、ライフルの連射音など、まさに阿鼻叫喚地獄絵図。とにかく周りが暗く敵が認識できず、どっちへ逃げればいいかもわからず、うかつに撃ちまくれば味方に当たってしまう乱戦状態。泣きそうになりながら走って逃げるものの、周囲からはウジャウジャと敵が現れ、後方では逃げ遅れた味方の悲鳴が次々と……ってなシーンで、ほんと身震いしましたヨ。
■ さまざまな武器、乗り物を駆使したバラエティ豊かな戦闘 地球人側は火薬系の武器が主流で、特徴は弾丸の着弾が速いこと。ライフルやロケットランチャー、ショットガンといったおなじみの武器を構え、ゴヴナントに対抗する。逆にゴヴナント側は地球人とは全く違ったテクノロジーを持ち、レーザー系の武器が主流。ゲーム中は、敵が使用してくる武器を奪って活用できるので、武器に関してはかなりのバリエーションにのぼる。
特に戦っていて面白かったのが、AI同士の戦闘シーンに出くわした時だ。複数のキャラ(例えば海兵隊対ゴヴナントなど)が集団で戦っている場面も多く、各キャラの細かい動作が凝っているせいか、そういった戦場をやや遠目から眺めているだけでも、映画の戦闘シーンを見ているようでとても楽しかった。
■ 日本版の完成度と、気になる難易度は? 日本版としての完成度は上々で、ゲーム中のセリフやメッセージはすべて完全にボイスオーバーされているため、海外産のゲームと意識することはなかった。 また、本作は日本版として移植されるにあたって難易度が海外版より、若干簡単になっている。この配慮は嬉しい。しかし、いくら若干簡単になったとはいえ、3Dシューティングに慣れていない人がいきなり難易度ノーマルで遊ぶと、ゲーム中盤あたりからちょっと厳しいかもしれない。シングルプレイのキャンペーンモードは各ステージレベル(章)ごとに難易度が選べるので、ちょっとキツくなってきたかなぁ、と思ったら難易度を下げて再挑戦することもできる。 筆者はPCの3Dシューティングにはかなり自信がある方だが、本作は難易度ノーマルくらいがゲームを楽しむにはちょうど良いくらいだった(それでも途中で苦戦するマップがいくつかあった)。操作に慣れてない人なら、まずはビギナーでチャレンジした方がいい。ちなみに、ゲーム自体のボリュームはかなりのもので、楽しみつつみっちり遊べば、エンディングを見るまで15時間~20時間くらい堪能できる。
■ 唯一残念な点、マルチプレイが通信対戦に対応していない! マルチプレイは画面分割方式で4人まで対戦できて(画面が4分割される)、4台のXboxをHUBを介すなどしてつなげることで合計16人まで対応している。また、協力プレイモードもあり、シングルプレイ(キャンペーンモード)をふたりでプレイすることも可能だ。ただ、残念ながらインターネットなどを使った通信対戦には対応していない。 さすがにXboxを何台も持ち寄って対戦するというシチュエーションはちょっと現実的でないし、そもそも小さな分割画面では敵と自分がどこにいるのかお互い一目瞭然で、本来の3Dシューティング対戦時の緊張感が半減してしまう。こればっかりはさすがにどうしようもない。まぁ、通信対戦に対応していないのは、まだXboxのネットワーク関連の環境が整備されていない現状では当然なわけだが、豊富な武器と多彩な乗り物といった、ゲームシステムがよくできているだけに、インターネットでの大規模(30人程度?)チーム対戦はぜひともやってみたかった、というのが正直なところで、今後、ネットワーク関連の状況が進展した際には、アップデータなどで対応してほしいところだ。
Xboxを買っているユーザーなら、きっと洋ゲーや3Dシューティングといったクセのあるタイトルに興味を持ってる人も多いでしょ? ね? そんな人なら絶対買いのタイトルです。そうでない人でも、この記事を読んで3Dシューティングにちょっとでも興味を持ってくれたなら、とりあえずダマされたと思ってプレイしてみて欲しい。
ゲーム機で遊べる3Dシューティングとしては、間違いなく傑作です。これ。なんだかホメまくりで恐縮だが、それほど3Dシューティング好きでSF好きで映画好きで電動エアガン好きという、筆者の琴線に触れまくったわけですな。3日間に渡る徹底プレイの後、ひきつる右腕としょぼくれた目でエンディングを見ながら、達成感と満足感でかなりご満悦になれたゲームでありました。
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□Xboxのホームページ (2002年4月25日) [Reported by 三須隆弘] |
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