★ Xboxゲームレビュー ★

家庭用でハードSFの世界を十分堪能できる3Dシューティング
「HALO(ヘイロー)」

  • ジャンル:SFシューティングアドベンチャー
  • 発売元:マイクロソフト株式会社
  • 価格:6,800円
  • プラットフォーム:Xbox
  • 発売日:発売中(4月25日)

【ゲームの内容】
 謎の環状惑星を舞台にしたエイリアン(ゴヴナント)と地球人の戦争を描く主観視点3Dシューティング(FPS)ゲーム。北米版はXbox発売と同時にリリースされ、すでに100万本以上を売り上げている。コントローラのアナログ操作をうまく移動と視点関連に振り分けており、PCに近い環境を実現している。また、乗り物に乗るなどのフィーチャーも用意されている。



対コヴナント用特殊装甲部隊の開発という軍事計画「SPARTAN-II」。最後の「SPARTAN-II」こと「マスターチーフ(プレーヤー)」の目覚めからゲームがスタートする
 北米では発売前からかなりの盛り上がりを見せ、前評判が高かった超期待作。そして発売後は4カ月という、ゲーム機本体と同時発売のソフトとしては北米最短記録で100万本以上を売り上げた、北米市場ではまさにXboxのキラーソフトとなったのが「HALO(ヘイロー)」だ。日本ではややネガティブな情報が目立ってしまったXboxだが、ゲーム機が盛り上がるかどうかは、ひとえにキラーソフトの存在にかかっている。外国では人気ジャンルとして確立している3Dシューティング(FPS:First Parson Shooting とも呼ばれている、いわば自分視点でバンバン撃ちまくるゲーム)ではあるが、3Dシューティングにほとんどなじみのない日本で、はたして受け入れられるのか? 不安と期待をこめつつレビューしてみた。

 海外の、特にPCゲームでは定番ジャンルである3Dシューティング。日本でも一部のコアなPCゲーマーの間では人気があり、特に最新の3Dシューティングを快適にプレイしたいがために、毎年何万円もするビデオカードに金をかけたりしている人もいる。とはいえコンシューママシンでゲームを遊んでいる多くの人にとっては、あまりなじみがなく、取っつきにくいジャンルであることもたしかだ。理由は、“酔うから”とか“操作が煩雑”とか“慣れるまで自由に動けずイライラする”などさまざまであろうが、とかく日本ではウケのよろしくないジャンルなのである。しかし、ここでいきなり結論から書いちゃうと、このヘイローはそんな理由でプレイしないのは、かなりもったいないゲームと断言する。いや、ほんと当初の予想に反して(失礼)超面白かったんです!

 そもそも筆者は、3Dシューティングは嫌いな方じゃない。いやむしろ大好きな方だったりする。だからこそ、最初はゲーム機で3Dシューティング? 一般ユーザーに受け入れられるかなぁ……とか、この手のゲームは山ほどプレイしてきたわけだから、わざわざコンシューママシンで遊ばなくても……といった、かなーり冷めた目でプレイを始めたのだ。「まぁコンシューママシンの3Dシューティングとして、冷静に客観的に分析しましょう」とか気楽に思いつつ遊んでいるうちに、いつしか大熱中時代へ突入。もう少し、もう少しだけ、と気がつけば16時間連続プレイで右手首は痛くなるわ、目はショボショボになるわで、ひさびさにコンシューママシンのゲームで寝食を忘れてハマってしまった。


 操作性こそ、3Dシューティングのキモとなる要素

主観視点による3Dシューティング(FPS)の操作系は、PCゲームならキーボード+マウスが一般的だが、Xboxのコントローラでのプレイも悪くない
 この手の3Dシューティングでは、操作性がかなり重要だ。操作に慣れて、ゲームの世界を自由に歩き回れるようになると、観光気分でウロウロしているだけで楽しくなってくる。逆に言うと、操作性が悪いゲームはそれだけで面白さが半減してしまう。
 3Dシューティングが人気ジャンルとして確立しているPCの場合では、通常はキーボードとマウスを使った操作が一般的となる。左手でキーを操作し前進、後退、左右平行移動といった移動系を担当。右手でマウスを操作し、上下、左右旋回といった武器照準系の操作をするわけだ。これに慣れると、ターゲットを捕捉、その周囲をグルグル回り込んで敵弾をかわしつつ射撃、といった高度な動きもラクに行なえ、ジョイスティックやパッドといったデバイスではとてもゲームを楽しめなくなる。

 本作の場合、正直Xboxのコントローラではかなり遊びづらいのでは? と思っていた。以前、ほかのコンシューママシンの3Dシューティングをプレイしたときも、ゲーム自体はよくできていたのだが、結局コントローラの操作が合わずあまり遊ばなくなってしまったので、本作もそれをちょっと心配していたわけだ。

 ところが実際にゲームをしてみると、これがかなりしっくりくる。もちろん、Xboxのコントローラは日本版を使ったが。Xboxのコントローラには左右にアナログスティックがあり、左で移動系、右で照準系を操作する。これはちょうどPCのキーボード+マウスと同じ配置と操作感覚だ。
 さすがに操作性の自由度としては、PCのキーボード+マウス操作にはかなわないものの、コントローラにはこれでしか楽しめない独自の手応えがあり、それがかなり良い感じだった。実際の銃器のように、人差し指でトリガーを引き発砲する操作が心地よく、振動機能が連動し、射撃時のブローバック感がダイレクトに伝わってくる。特に連射系ライフル銃を撃ちまくる際の、電動エアガンを撃っているような手応えと爽快感は、キーボードとマウスでは再現できないものであり、開発チームが“パッドの操作方法に特にこだわった”と言っていたのもうなずける。

 3Dシューティングは操作が難しくて……という人は、どうか我慢してプレイしてみて欲しい(筆者の場合、操作に慣れるまでが2~3時間くらいだった)。慣れてくればコントローラでもわりと自由に動けるようになる。そうなると、ゲームが俄然面白くなってくるはずだ。


 演出面とストーリー展開について

最初のステージでは敵に襲撃された船内から、なんとか脱出艇まで逃げ延びなくてならない。途中、宇宙船の窓からは射出される脱出艇の姿が
暗い場所ではライトを付けることもできる。右上にフラッシュライトインジケータが表示され、これが切れるまでは使用可能だ。ライトを消せばインジケータは自然回復していく
 グラフィックはスクリーンショットを見ての通り、さすがにXboxだけあってかなりのレベルである。キャラクタのモデルや地形など、ゲームっぽくカクカクした部分がまったくなく、最近のPCゲームと比べても、遜色ないどころか数段上をいっている部分もある。濃いめのカラーが多用されたヘイローの世界は鮮やかな色彩が特徴的で、暗闇の洞窟から木漏れ日の大地までクッキリと明暗がわかれ、メリハリのきいた世界を作り上げている。ちなみに、この手の3D系ゲームは動いている画面を見ないと、どうしても迫力不足というかショボく見えがちなので、実際にプレイするとここで紹介されているスクリーンショットの数倍は迫力がある、と思っておいていただきたい。それはドルビーデジタルの5.1chに対応したサウンドも同様のことがいえる。

 基本的にゲーム前半は地球人側と「ゴヴナント」と呼ばれるエイリアン側の戦いがメインとなる。独自の文化、テクノロジーを持つゴヴナントは、は虫類系の形態をしており、ヘイローと呼ばれる環状惑星(内側に大地がある巨大リング状施設)を舞台にストーリーが展開していく。宇宙船からの脱出、味方部隊の援護、要人の救出、敵施設破壊、消息を絶った部隊の探索とさまざまなミッションをこなしていくのだが、ゲーム終盤に近づくと、あっと驚くとんでもない方向へと進展。ここでは詳しく書けないが、やっとゴヴナントとの戦闘に慣れた頃にいきなり急展開をみせるので、最後まで飽きずにストーリーに引き込まれてしまった。

 当初は、本作が海外製3Dシューティングということもあり、海外のPCゲームっぽい展開、良くも悪くも大ざっぱで突き放した内容を予想していたのだが、遊んでみると意外と細部まで丁寧に作り込まれており、コンシューマタイトルとしてもよく配慮されていると感じた。特にストーリーやイベントなどの演出面が映画的で凝りまくっている。ドロップシップで味方部隊と共に敵のまっただ中へ降下したり、続々と襲ってくるゴヴナントから自軍キャンプを守ったりと、映画「エイリアン2」や「スターシップ・トゥルーパーズ」のようなSF映画好きにはたまらないシーンも多い。

 例えば、雨が降り薄暗く数メートル先も見えないようなレベルステージで、味方部隊と共にグロテクスクな敵集団に襲われるシチュエーションがある。探知機(レーダー)には無数の敵が取り囲み、接近してくるのがわかる。周囲は味方の叫び声と悲鳴、ライフルの連射音など、まさに阿鼻叫喚地獄絵図。とにかく周りが暗く敵が認識できず、どっちへ逃げればいいかもわからず、うかつに撃ちまくれば味方に当たってしまう乱戦状態。泣きそうになりながら走って逃げるものの、周囲からはウジャウジャと敵が現れ、後方では逃げ遅れた味方の悲鳴が次々と……ってなシーンで、ほんと身震いしましたヨ。

エアロックドアが突如吹っ飛び、周囲を守っていた海兵隊員が吹き飛ばされる。ドアからは敵が次々と……。こんな演出でスタートから大盛り上がり


 さまざまな武器、乗り物を駆使したバラエティ豊かな戦闘

 地球人側は火薬系の武器が主流で、特徴は弾丸の着弾が速いこと。ライフルやロケットランチャー、ショットガンといったおなじみの武器を構え、ゴヴナントに対抗する。逆にゴヴナント側は地球人とは全く違ったテクノロジーを持ち、レーザー系の武器が主流。ゲーム中は、敵が使用してくる武器を奪って活用できるので、武器に関してはかなりのバリエーションにのぼる。

武器にはそれぞれ特徴がある。最初から持っているM6Dハンドガンは、照準が小さいため命中精度が高く、右スティックをグッと押す事で2倍ズームも可能
プレーヤーが持っている青い銃は、敵のプラズマライフル。連射が超強力だが使いすぎるとオーバーヒートする。序盤は操作方法を練習させるようなシーンも多く、例えば遮蔽物の手前で、まさにグレネードを投げてください、と言わんばかりのシチュエーションも。ええ! 投げますとも!

脱出艇から大地に降り立つといきなり襲ってくる対地攻撃戦闘機、バンシー。アサルトライフル撃ちまくりでなんとか撃墜する。ゲーム中盤からは、このバンシーを奪ってプレーヤーが空から敵を攻撃する事もできるようになる
 また、乗り物に搭乗し、操作できるのが本作の大きな特徴。しかも特筆すべきは、ゲーム中に登場するほとんどの乗り物が、自分で操作できるという点だ。ジープや戦車といった地球人側の乗り物のみならず、エイリアン側のガンプラント(固定砲台)やゴースト(ホバーバイク)、バンシー(小型戦闘機)なども奪って操作できてしまう。巨大な戦車に乗ってガンガン砲撃しながら進んだり、小型戦闘機で空中戦をしたりと、それぞれの乗り物は操作や特徴が大きく違うので、未知の乗り物が登場するたびに新鮮でプレーヤーを飽きさせない。

ドロップシップから降下されるバギー、M12LRVワートホグ。搭乗者は3名で、プレーヤーが運転席に座れば、近くにいる海兵隊員が助手席、砲座に乗り込み攻撃をサポートしてくれる。タイヤのグリップが悪くスリックカート並に滑りまくりで、まさにアメ車を壁にぶっつけながらワイルドに操作している感じ。自在に動かすには慣れが必要だ。ゲーム中では脱出艇を探すミッションで乗り込む

先へ進んでいくと、人間とエイリアンが戦闘しているシーンによく出くわす。ボーッと見ているとたちまち人間側が全滅してしまうので、腕に自信のある人ならうまく援護して味方の犠牲を最小限で済ませたい
 それから、戦闘といえば敵のAIもしっかり作ってあり、ひとつひとつの動作も凝っていた。ゴヴナントは攻撃されると悲鳴を上げながら逃げたり、仲間を呼びに走ったり、左右に側転で逃げたり、物陰に隠れたり、グレーネードで牽制してきたりと、いろいろな行動をとってくる。周囲を警戒している敵はちゃんと音を聞きつけてやってくるので、近くで銃撃戦をやっているのにボーッとしているような頭の悪いやつはいない。戦闘が始まれば、別の通路から回り込んでプレーヤーの後方から挟み撃ちにしてきたり、階段を上ってきたりドアを開けて突撃してくるやつもいた。
 特に戦っていて面白かったのが、AI同士の戦闘シーンに出くわした時だ。複数のキャラ(例えば海兵隊対ゴヴナントなど)が集団で戦っている場面も多く、各キャラの細かい動作が凝っているせいか、そういった戦場をやや遠目から眺めているだけでも、映画の戦闘シーンを見ているようでとても楽しかった。

グレネードが爆発すると、付近の敵が手足をバタバタさせながらすごい勢いで吹き飛び、大笑い。グレネード爆発の際、もし付近に他のグレネードが落ちていれば、それも誘爆して大爆発吹き飛びショーがご覧頂けます
 ちなみに、各キャラの動作で一番愉快だったのがプラズマグレネード(手榴弾)の効果だ。通常、この手の3Dシューティングでは、爆発系の武器は敵をミンチにするパターンが多かったが、本作では爆発と共に、敵がハデにすっ飛んでいく。しかも手足をバタバタさせつつ悲鳴をあげるという、ハリウッド映画のスタントマンのようなオーバーアクションですっ飛ぶのだ。通路の先などで複数固まっている敵にグレネードを使うと、爆発と同時に数匹まとめて飛びあがり、そりゃもうすごいことになる。映画でよくある爆破シーンそのままでかなり痛快であり、大笑いしながら調子に乗って何度もグレネードを使っているうちに、すっかりグレネードの使い方が上達してしまった。


 日本版の完成度と、気になる難易度は?

 日本版としての完成度は上々で、ゲーム中のセリフやメッセージはすべて完全にボイスオーバーされているため、海外産のゲームと意識することはなかった。

 また、本作は日本版として移植されるにあたって難易度が海外版より、若干簡単になっている。この配慮は嬉しい。しかし、いくら若干簡単になったとはいえ、3Dシューティングに慣れていない人がいきなり難易度ノーマルで遊ぶと、ゲーム中盤あたりからちょっと厳しいかもしれない。シングルプレイのキャンペーンモードは各ステージレベル(章)ごとに難易度が選べるので、ちょっとキツくなってきたかなぁ、と思ったら難易度を下げて再挑戦することもできる。

 筆者はPCの3Dシューティングにはかなり自信がある方だが、本作は難易度ノーマルくらいがゲームを楽しむにはちょうど良いくらいだった(それでも途中で苦戦するマップがいくつかあった)。操作に慣れてない人なら、まずはビギナーでチャレンジした方がいい。ちなみに、ゲーム自体のボリュームはかなりのもので、楽しみつつみっちり遊べば、エンディングを見るまで15時間~20時間くらい堪能できる。

ゲーム中のセリフはすべて日本語に吹き替え、もちろんメッセージも日本語化されているため、ストレスなくゲームを楽しめた。新しい乗り物が登場すれば、その操作方法もヘルプとして表示される


 唯一残念な点、マルチプレイが通信対戦に対応していない!

 マルチプレイは画面分割方式で4人まで対戦できて(画面が4分割される)、4台のXboxをHUBを介すなどしてつなげることで合計16人まで対応している。また、協力プレイモードもあり、シングルプレイ(キャンペーンモード)をふたりでプレイすることも可能だ。ただ、残念ながらインターネットなどを使った通信対戦には対応していない。

 さすがにXboxを何台も持ち寄って対戦するというシチュエーションはちょっと現実的でないし、そもそも小さな分割画面では敵と自分がどこにいるのかお互い一目瞭然で、本来の3Dシューティング対戦時の緊張感が半減してしまう。こればっかりはさすがにどうしようもない。まぁ、通信対戦に対応していないのは、まだXboxのネットワーク関連の環境が整備されていない現状では当然なわけだが、豊富な武器と多彩な乗り物といった、ゲームシステムがよくできているだけに、インターネットでの大規模(30人程度?)チーム対戦はぜひともやってみたかった、というのが正直なところで、今後、ネットワーク関連の状況が進展した際には、アップデータなどで対応してほしいところだ。


 Xboxを買っているユーザーなら、きっと洋ゲーや3Dシューティングといったクセのあるタイトルに興味を持ってる人も多いでしょ? ね? そんな人なら絶対買いのタイトルです。そうでない人でも、この記事を読んで3Dシューティングにちょっとでも興味を持ってくれたなら、とりあえずダマされたと思ってプレイしてみて欲しい。

 ゲーム機で遊べる3Dシューティングとしては、間違いなく傑作です。これ。なんだかホメまくりで恐縮だが、それほど3Dシューティング好きでSF好きで映画好きで電動エアガン好きという、筆者の琴線に触れまくったわけですな。3日間に渡る徹底プレイの後、ひきつる右腕としょぼくれた目でエンディングを見ながら、達成感と満足感でかなりご満悦になれたゲームでありました。



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HALOは米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における登録商標または商標です。

□Xboxのホームページ
http://xbox.jp/
□「HALO」のページ
http://xbox.jp/software/halo/
□関連情報
【4月15日】Xboxの期待作「HALO」発売直前、その魅力の一端を紹介
http://watch.impress.co.jp/docs/20020423/halo.htm
【4月15日】マイクロソフト、Xbox「HALO」プレス向け体験会を開催
話題の16人対戦を体験
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020415/ms.htm

(2002年4月25日)

[Reported by 三須隆弘]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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