★ DCゲームレビュー ★
■ 「3」をベースにリファインされたゲームシステム 基本的に[4」は、前作「3」のシステムをベースに一層の充実が図られている。シリーズのシステムを知らない人は、前作のレビューや公式HPをチェックすることをオススメする。アドベンチャーパートは、「アナログLIPS(Live & Interactive Picture System)」も継承し、微妙な感情の伝達ができるし、DCのビジュアルメモリを使った「携帯キネマトロン」機能も健在。キャラクタの移動中に起こるイベントにのるかそるかを一定時間内で決める、「イベントキャッチ」も導入されている。前作をプレイした人なら違和感を感じることはないだろう。
今作では13人ものメンバーが登場するだけあって、アドベンチャーパートの分岐にはかなり気を配って作られている。分岐することにより、プレーヤーが選択するパートによって、同じシチュエーションが別のキャラクタによって展開する、といった風味になっている。つまり、何度もプレイしてもらうことを前提とした造りになっているわけだ。キャラクタを掴んでいないシリーズ未経験者には細かいニュアンスでわからないことがあるかもしれない。が、そこはシリーズものの強み、シナリオや脚本によるキャラクタ描写がうまく作用して、予備知識がなくともプレイしている間に「サクラ大戦」の世界を理解することはできるはずだ。筆者はちなみに「1」、「2」はプレイしたが「3」は見るだけだったぐらいのヌルさではあるが、巴里花組の個性的な魅力は伝わってきたと感じた。 逆に、DC版のシリーズをプレイしてきたユーザーには、「サクラ大戦」シリーズのセーブデータを「4」のデータに結合することによって、過去のシーンを垣間見れるというお楽しみが用意されている。「4」をプレイした後でシリーズのデータを作成した場合でも、データの結合は可能である点はうれしい配慮だ。
戦闘パートは、基本的に難易度は高くない。クリアするだけならメンバー選びを慎重に行なえば、サクッと進めるはずだ。前作にあった「隊長コマンド」、「かばう」などは基本的に変わっていない。 今作でもっとも盛り上がるであろう「大神華撃団」の出撃は、全員が出撃することには変わりはないが、大神麾下として参加させられるメンバーは限られている。逆にいうと、圧倒的回復能力を持つ「エリカ」、「アイリス」をメンバーからはずすことで、戦闘に多少の手応えを感じられるはず。自分で難易度の調節をしているようなもので、今までのシリーズでの戦闘パートに物足りなさを感じている人はぜひ挑戦してもらいたい。とはいっても、作戦をきちんと回復できる「風」、「林」、「山」に変更することで、隊員たちは自己回復できるようになっているので、劇的に難しくはならない。自分のお気に入りのキャラクタを大神隊に入れるもよし、数回の戦闘中、わざと入れずにその後のゲーム展開をアドベンチャーパートで挽回してみるもよし、といったところだろうか。ただ、信頼度を大幅にアップさせたいなら、戦闘中が一番、とだけは言っておこう。
■ 「お約束」の嵐がこのゲームのキモ? さて、実際にプレイしてみて感じたのは、全編が「お約束」の嵐であること。筆者が最もピンと来る感覚でいうと、「特撮シリーズものの(別にアニメでもいいですが)歴代のヒーロー(この場合はヒロインだが)が一同に会する回をTVでワクワクしながら見ていたときの感覚」と非常に近い。それぞれの持ち味を活かす脚本、演出(ここが「お約束」)があり、敵と闘っている間にピンチあり、ほろっとする話あり、そして今までにあり得なかったコラボレーションがあり、というファンなら安心するであろう展開が怒濤のように展開する。 怒濤のように、と書いたのは、1つの話は結構短いため、展開が結構急だったりするあたりを指しているが、これ位勢いがないと、ズバーッと最後まではこれだけのメンツで繰り広げられるドラマを見届けるなんていうのはなかなか難しい。「どんなことが起こるんだ?」という期待は、決して悪いようには裏切られていない。「このタイプのゲームでユーザーが何を求めているか?」ということを十分わかっていて、「このキャラクタはこんなことはしない、言わない」といった禁じ手をちゃんと理解しているスタッフだからこそできる展開は、シリーズものを制作するにあたってあたりまえのことなのだろうが、見事といえるものになっている。 それぞれのお気に入りキャラを目立たせたいなら、プレーヤーが自分で戦闘を盛り上げてあげられれば十分だし、アドベンチャーパートでも最優先で意中の人に声をかけてあげればいい。誰にでも、このプレイ感覚を味わえる調整になっているあたりが、シリーズを重ねてきたノウハウだろう。それから、筆者のように恋愛アドベンチャーに興味のあまりない人間にも、「正義を守る」といったわかりやすいテーマ、そして男性陣のキャラクタの掘り下げが行なわれている本作は、プレイしていて不快感を感じさせることはなかった。
■ DCラストを飾るには手堅い良作
ある意味、「4」は、対象とされるユーザー層に対してストーリーとゲームのバランスが非常に取れているゲームだと感じさせるだけに、「もうちょっと」と感じてしまうのは致し方のないところ。だが、次作(があるとすれば)以降、13人の共演はもうありえない(?)のだから、それまで「4」をしゃぶりつくせ、というのが正解の楽しみ方といえるだろう。
(C)OVERWORKS/SEGA,2002 (C)RED 2002 イラスト:藤島康介
□セガのホームページ (2002年3月20日) [Reported by 佐伯憲司] |
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