SCEI、「ICO」完成披露パーティを開催
試遊台で「ICO」を堪能

11月5日 開催


 株式会社ソニー・コンピュータ・エンタテインメント(SCEI)は、プレイステーション 2用アドベンチャーゲーム「ICO(イコ)」の完成を記念して、関係者向けの完成披露パーティを開催した。会場は、「ICO」の舞台である霧の城に合わせ、シックな外装のレストランを用意。入口からスモークを炊き、まさに霧の城、といった雰囲気の中でのパーティとなった。会場内には多数の試遊台が設けられ、多くの参加者がプレイしていた。

 同社プロモーション企画部・井上氏の司会で始まったイベントは、新たに編集されたプロモーションビデオ、ディレクター・上田氏のあいさつへと続いた。

 上田氏は「長い時間をかけて制作しただけに完成を報告できて本当に嬉しい」と語った。

 会場には、ライブ・ペインティングとして実際に大きなキャンバスに「ICO」に登場する男の子、女のコをモチーフとしたイラストのペインティングが行なわれ、その間に流れたピアノ演奏のB.G.M.やフォルクローレ調の静かだが雄大なテーマ曲を手がけた大島ミチルさんのあいさつもあった。大島さんは「透明感のある歌声を求め、英国の少年団の男の子3人を候補にしました。最初に選んだ男の子の声は企画からレコーディングまでの期間でも声変わりしてしまって、最終的には別の子に唄ってもらいました」と音楽制作の裏話を披露した。

本作のプロモーションを担当するプロモーション企画部・井上氏の司会でイベントは進行 会場のあちこちに「ICO」のイラストが展示されていた「ICOギャラリー」 数多く設置された試遊台。ほかにも「ICOの相性診断」などもあった
プロデューサーの上田氏 ライブ・ペインティングスタート ライブ・ペインティングの間、ピアノの生演奏も
本作のサウンドを手がけた大島ミチルさん 少年と少女に扮した2人も登場 ライブ・ペインティングで完成した絵。巨大なものになった


ファーストインプレッション「ICO」

 海外ではすでに先行発売されている「ICO」は、ジャンルは「アドベンチャー」となっているが、謎解きとアクションの融合した作品といえる。国内では12月6日に5,800円で発売される。ここでは、試遊台でプレイできたこの作品のファーストインプレッションをお届けしよう。

 このゲームの最大の特徴は、まさに抜けるような白い肌を持つ「少女」を主人公である「角の生えた少年」が実際に手を引いて冒険する、というシチュエーションをシステムに組み込んであることにある。

 生まれつき頭に角を持つ少年は、いけにえとしての運命に逆らって、連れてこられた霧の城からの脱出を試みる。その途中で出会った少女と一緒に……。

 R1ボタンを押すことで、少年は少女に「ICO(?)」と語りかけ、2人の距離が離れているときは大声で「おーい!(?)」と呼ぶ。このことで少女は少年の近くまで走ったり、歩いてくれる。基本的に少女は自発的に何かをすることはない。もし、2人の間に障害物があるときは、少年が手を差し伸べて段差を上ったり、ジャンプして落ちそうになる少女を助けてあげなければならない。飛べそうもない穴を飛び越させようとすると、少女はかぶりをふるが、これはあくまで飛距離の問題なので、それより近い場所で呼んであげればOK。

 そして、近距離でR1ボタンを押すことで、少年は少女の「手を握り」、行動を共にする。少年が早く走れば少女は引っ張られてのけぞるように走り出すし、ゆっくり歩いていけばとぼとぼとついてくる。この動きは非常に感情移入がしやすい。「手を握る」のはR1ボタンを押している間のみ、というのも、ともすればあわてて外してしまって、まさに「手を握る」感触が味わえた。

 他の基本的な移動操作はカプコンの「バイオハザード」シリーズに似たものだが、パイプをつたって城壁を移動したり、鎖に捕まり、その鎖を揺らしてジャンプするなど、その動きは独自のものになっている。マップは俯瞰視点を採用しており、カメラアングルは各シーンで非常に計算されたものになっている。

 基本的にB.G.M.は2人の足音や吹き抜ける風、鳥のさえずりなどの自然なものに限定されている。この効果音を城の外壁などで聞くと、その計算されたカメラアングルもあり、非常にスリリングな印象を受けた。足元が崩れたり、大きなショックを受けるような場面ではデュアルショックの振動も感じられる。

 なぜ少女を連れ出さねばならないのか? それはゲームを進めていかねばわからないが、当面の理由としては、城の各所に潜んでいる真っ黒の煙のような魔物たちから彼女を助けなければゲームオーバーになってしまう、ということが挙げられる。魔物は少女を抱えあげ、自らの巣のような場所(異界?)に連れ去っていこうとする。魔物に囚われた彼女は足からずぶずぶと異界へ姿を消していってしまう。彼女が完全に連れ去られる前に、少女の側でR1ボタンを押し続けることで少年は彼女を救い出せるが、魔物にジャマされるとそうはうまくいかない。魔物を攻撃するには○ボタンで手に持った木の棒で殴るしかない。普段を彼女の手を引いて安全な場所まで誘導し、魔物から遠ざけて戦う、という流れが基本になる。

 アドベンチャーということで、ゲーム中に謎解きのヒントがどれぐらいあるのか、が気になる人もいるだろうが、ボタンを押すと説明が出てくるようなヒントらしいヒントはほとんどない。ドアを開けるためにある足元のスイッチ程度だ。あとはまわりにある箱を動かしてみたり、クレーンなどを動かすレバーを押したり引いたりしながら、「探す」行為を繰り返すことになるが、「メチャクチャ難しい!」と感じられるものはあまりなかった。といっても謎解きが中心になるので、骨がないわけではないが。

 筆者が個人的にこのゲームに対して感じたものは、「冒険」。カメラは基本的には固定されているが、アナログスティックの左を使うことである程度の範囲でカメラを自由にコントロールできる。しかし、崖の側ギリギリや、壁の向こう側などは基本的には見えない。次はどこに進めばいいのかを探している間、この見えない先に踏み込もうとして、怖さでドキドキすることが何度かあった。といってもホラー物にあるサディスティックな恐怖ではない。穴のような場所に先に渡り、少女を呼ぶと、ジャンプの飛距離が足らず思わず体ごと手を差し伸べる……といったスリリングなものや、得体の知れない巨大な城の中で、トラップや仕掛けを突破するある種の心細さみたいなものだ。

 これは「沈黙」が主体のサウンド、どこか絵画的、どこか写実的なビジュアルの中で、自分(少年)と少女が2人だけで出口を探して歩を進める、といった演出の統一感が生み出す心地よい緊張感ともいえる。またときには急に視界が開け、鳥のさえずりなどを聴いて心がおだやかになったりもした。PS2のグラフィック、そしてサウンドを統一された世界観のなかに絞り込むことで活かし、すべてをきちんとまとめあげた末の成果なのだろう。

【スクリーンショット】
2人でイスに座るとセーブというのもおもしろい仕掛け

(C)2001 Sony Computer Entertainment Inc.

□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.scei.co.jp/
□製品情報
http://www.i-c-o.net/
□関連情報
【10月12日】【東京ゲームショウ2001秋】
PS2用ソフトを軸に大物タイトルが多数出展
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011012/tgsr1.htm

(2001年11月5日)

[Reported by 佐伯憲司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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