★ PCゲームファーストインプレッション ★

D&D 3rd Editionルールを搭載した
ハイファンタジーRPGがついに登場!

Pool of Radiance
Ruins of Myth Drannor

  • ジャンル:ネットワーク対応RPG
  • 開発元:Stormfront Studios
  • 発売元:Ubi Soft
  • 対応OS:Windows 98/Me
  • 発売日:12月6日(日本語版は来春発売予定)


 先週の話だが、米国で「Pool of Radiance:Ruins of Myth Drannor」(以下、PoRが発売されたとき、永遠のトップセラーコンビである「DIABLO II」「The Sims」を抜いて、全米の売り上げ1位に躍り出た。ゲームの内容は、もう完全にD&DユーザーのみをターゲットにしたテーブルトークRPGのデジタル版というようなものであって、日本で言えば「アドバンスド大戦略」シリーズのような、一見さんには近寄りがたいオーラを発しているタイトルなのだが、瞬間風速とはいえ1位になるとは正直言ってびっくりで、米国におけるD&Dの底力を再確認させられた。
 日本での発売まではまだ少し時間があるが、今回は輸入版を用いてPoRの概要紹介と簡単なインプレッションをお届けする。PoRのウリ的な話は抜きにしていきなり具体的な内容に踏み込むので、まだ準備前の人は、以前掲載したECTSレポートを参照してから読み進めていただきたい。


■ テーブルトークRPG「Dungeons & Dragons」の最新コアを搭載した初のコンピュータRPG

オープニングムービーより。サイコロを振って「Myth Drannor」アドベンチャーに興じる警備兵ふたり
 「Pool of Radiance:Ruins of Myth Drannor」が米国で予想外のヒットを記録した理由はいろいろある。ひとつはPoRのゲームコアに昨年リリースされたばかりの3rd Editionルールをいち早く搭載していること、もうひとつは実は'88年に発売されたDOS版「Pool of Radiance」の続編であること、そして最大の理由は、「The Ruins of Myth Drannor」がAD&D(2nd Edition)のボックスセット(数多くのシナリオが詰め込まれた長編用サプリメント)として存在し、多くのD&Dファンに最強最悪のハイレベルキャンペーンとして親しまれているという下地があることだ。

 かつてエルフ族が支配し、約600年前に廃墟と化した都市「Myth Drannor」は、D&Dの中でももっとも人気の高いキャンペーンワールドForgotten RealmsのFaerun地方にある著名なアドベンチャースポット。場所は、The Sword Coast(「Baldur's Gate」の舞台)の真東、Amn(「Baldur's Gate II」の舞台)の北東、Ten Towns(「Icewind Dale」のスタート地点)の南南東に位置する。物語の年代は1369年に設定され、シナリオもこれまでに発売されたMyth Drannorアドベンチャーの延長線上にある。

 今回も例によって、ゲームタイトルにもなっているように“輝く泉”(Pool of Radiance)が再びざわめき始め、邪悪なモンスターが復活を遂げたことがきっかけとなり、冒険者たちをMyth Drannorの地に導いていく。プレーヤーは彼ら派遣団のリーダーとなり、地下に広大なダンジョンの眠るMyth Drannorを探索し、Pool of Radianceから始まった悲劇の元凶を捜していく、というのが本作のおおまかなバックグラウンドだ。

警備兵ふたりはその後、怪しげな煙の渦に襲われ、そのうちのひとりがゾンビと化してしまう。この事件を受け、Forgotten Realmsでお馴染みの魔術師Elminsterが登場し、Myth Drannorへ調査団を派遣する運びになる


■ キャラメイクは3rd Editionをベースにとしたカスタムルールを採用

最初に4人パーティーを作成する。クラスをどれにするか頭を悩ませるところだ
 ゲームを開始する前にまずはキャラクタの作成を行なう。キャラメイク画面には、すぐ冒険に出られるように、あらかじめ数人のキャラが用意されているが、のちのちのことを考えて、ここはじっくり時間をかけて自分好みのパーティーを編成するのが吉だ。PoRは、最大6人パーティーまで組めるが、2人は冒険途中で仲間になるNPCに自動的に割り当てられ、スタート時点ではたったの4人で冒険を開始することになる。

 PoRのキャラメイクは、2nd Editionルール搭載の「Baldur's Gate」シリーズとはもちろん、本家本元の3rd Editionルールとも異なる独自のカスタムルールによって行なわれる。キャラのベース能力はすべて8で、25のボーナスポイントを割り振ることによって初期能力値を決定する。ただし、ひとつのパラメータを15以上に上げる場合は、2ないし3ポイントを割り当てねばならず、たとえば、STRとDEXをいきなり最大の18まで上げてしまうと、残りの能力がガタガタになってしまう仕組みだ。

キャラを作成するとクラスに応じて自動的に装備品が付与される。ちなみに弓はノーマル矢であれば、無制限に放てる
 PoRで登場する種族はHuman、Dwarf、Elf、Half-Elf、Half-Orc、Halflingの6種、キャラの能力はSTR、DEX、CON、INT、WIS、CHAの6つ。ここまでは従来と同じだが、クラス(職業)はBarbarian、Cleric、Fighter、Monk、Paladin、Ranger、Rogue、Sorcererの8つとかなり少なめになっている。BG IIでたっぷり用意されていたクラスキットもないし、ウィザード自体がいないため、スペシャリストメイジも作成できない。このあたりの大幅な仕様変更は3rd Edition縛りによるものが大きいが、その代わり、3rd Editionでマルチクラスに制限がなくなったことで、各種族のメリットを活かした個性的なマルチクラスキャラクタの作成が可能になっている。

 1クラスにつき最大16レベルまで上げられ、1キャラは各クラスに対して最大32まで割り振ることができる。ということはつまり、PoRではマルチクラス抜きでは強力なキャラクタは作成できないことになる。もちろん、ただ闇雲にマルチクラスしまくればよいというわけでもなく、マルチクラスキャラの各クラスのレベルが2以上離れると獲得できる経験値に20%のペナルティが課せられる仕組み。ここで重要になるのが種族で、各種族ごとに「Favored-Class」という項目が用意され、その指定のクラスであればレベルが2以上離れてもペナルティは課せられないという抜け穴が用意されている。これらをあれこれ考えながらキャラメイクを行なうのがPoR最初の楽しみといえる。

キャラメイクでは種族、クラス、アライアメントと順番に決める。最後に定めるミニチュアで男女と服装のカラーを決める


■ いざ冒険開始! 序盤は戦士系で固めるのが得策か!?

キャラのレベルが上がるとこのようなダイアログが表示される。これでFighter以外のところにレベルを割り振ればマルチクラスになる
 ところで、D&Dでパーティー編成を考えた場合、盾役の戦士系キャラがふたり、鍵開け & トラップに役立つローグがひとり、回復役のクレリックがひとり、遠距離から範囲攻撃が可能なウィザードがひとりの計5人はまず確定といっていい。しかし、PoRではすでにこの時点で定員オーバーとなる。で、誰を外すかが問題となるが、とりあえずシナリオを進ませることを最優先に考え、序盤弱々のウィザードを省いてみたら、オールLV1のパーティーに物理攻撃を無効化するモンスターが登場して、いきなり全滅してしまった。

 全滅する理由は簡単で、全キャラLV1からのスタートとなるため、各キャラのHPは、ヒットダイズ(HD)分しかないからだ。たとえばHD12のBarbarianのHPは12、HD10のFighterのHPは10といった具合で、HD6のRogueとHD4のSorcererの2クラスなどは、もっとも下級モンスターの攻撃すら防ぎきれずに一撃で死亡してしまう。廃墟と化したMyth Drannorに死体を生き返らせる場所はどこにでもあるわけではなく、ひとりが死ねば全滅の可能性が飛躍的に高まる。しかも、PoRは純正のD&Dゲームなので、全滅すると前にセーブしたところからやり直しとなるわけだ。これはツライ。

 結局、何度か全滅してわかったが、序盤は将来マルチクラスにすることを前提にさまざまな種族を揃え、思い切って戦士系で固めた方がいいようだ。序盤に登場する敵は回復スペルを攻撃手段として使えるゾンビ系ばかりなので、後衛にひとりClericを混ぜておくのもいいだろう。PoRも従来のD&D系RPGと同様にクエストやトラップをクリアすることよって経験値を獲得するスタイルなので、無駄な戦闘は避けるに越したことはない。戦闘は、フィールドやダンジョンを歩いていて敵キャラがある一定の距離まで近づくと発生するが、イベントモンスター以外はダッシュで逃げられる。

ダンジョンでは当然連戦に次ぐ連戦。序盤は、流れ矢に1発当たっても死なないぐらいのHPを持ったキャラを選ぶことが好ましい


■ 自動作成される新ダンジョン。魅力たっぷりのマルチプレーヤーモード

 PoRは、マルチプレイを前提にしたRPGではないが、インターネットを介して最大6人によるパーティープレイが楽しめる。キャラクタはシングルプレイで育てたキャラがそのまま流用でき、シングルプレイと同じシステムでゲームが展開していく。キャラクタを操作するのはホスト担当のプレーヤーだ。

 最大の特徴は、マップがランダム作成されることで、マルチプレイのたびに新しいダンジョンで冒険を楽しむことができる。また、低いレベルでも楽しめるように、パーティーのレベルに応じてモンスターレベルも合わせてくれるという芸の細かさで、敵を倒すと必ずトレジャーが手に入るというご褒美まで付いている。ただ、PoRのマルチプレイは、BGシリーズの「キャンペーンをマルチで遊ぶ」というものではなく、あくまでキャンペーンとは無関係のランダムマップをみんなで遊ぶという継続性のない仕様だが、DIABLOライクな手軽さがいい感じだ。もちろん、途中セーブに対応しているので、仲間内で週末ごとに集まり、複数回に分けてプレイするようなことも可能だ。

 PoRには、従来のD&D系のRPGにはない3rd Editionゲームならではの要素として、特殊技能となるFeatsや、派手な3Dエフェクトで炸裂する各レベル8までのスペルなど、RPGファンなら間違いなく夢中になれる要素がたっぷり詰め込まれている。序盤はかなりツラく感じたが、比較的ゆっくり考えられるターン制の戦闘システムは、慣れさえすれば実に奥深くて楽しめる。はっきり言って数度の全滅は避けられない辛口のゲームバランスだが、じっくり楽しむにはこれぐらいの難易度がちょうどいい。マイピックが来春発売予定の日本語版ともども、じっくりプレイしたい気にさせる名作RPGだ。

マルチプレイでは最初から6人でプレイできる。画面下のバーのようなものはチャットウィンドウ。戦闘終了後にマジックアイテムがゲットできるのが嬉しいところ

(C) 2001 Ubi Soft, Inc. All rights Reserved. Dungeons & Dragons, D&D Forgotten Realms, and Wizards of the Coast logo are registered trademarks and Pool of Radiance is a trademark of Wizards of the Coast, Inc. a subsidiary of Hasbro, Inc. Ubi Soft Entertainment, the Ubi Soft logo and the SSI logo are registered trademarks of Ubi Soft, Inc. All other trademarks are the property of their respective owners.


□Ubi Softのホームページ(英文)
http://www.ubisoft.com/
□「Pool of Radiance:Ruins of Myth Drannor」の公式ページ(英文)
http://www.poolofradiance.com/
□関連情報
【10月15日】「Pool of Radiance:Ruins of Myth Drannor」DEMO版
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011015/demo1015.htm
【9月3日】ECTSレポート 「Pool of Radiance:Ruins of Myth Drannor」ほか
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010903/ubi.htm

(2001年10月26日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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