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★ PS2ゲームレビュー ★
「4」ではない「04」。それが今作「ACE COMBAT 04 shattered skies」。今までのシリーズの「大空を飛ぶ楽しさ」をさらに拡大し、イメージを広げてくれる快作に仕上がっている(もう断言しているが)。空を切り裂くジェットの轟音、実写さながらの戦闘機たちのモデリング、あらゆるところに虚実入り交じる圧倒的な説得力を感じるのはなぜなのだろう? 手に汗握る亜音速でのドッグファイトは、期待以上の何かを生み出している。
■ フルにボタンを使うのに、なぜか混乱しない操作系 今回のレビューでは、プレイステーション 2に付属する標準コントローラでのプレイを行なった。左アナログスティックは機体制御(上で下降、下で上昇、左右でロール)に、右アナログスティックは視界移動に、○(ミサイル)、×(バルカン)、△(ロックオン対象切り替え)、□(マップの拡大)、L1/R1(スロットルoff/on)、L2/R2(左ヨー/右ヨー)と、ほぼすべてのボタンがゲーム中に必要になってくるこのゲーム。方向ボタンは視点の切り替えやオートパイロットなどに使うが、まあ戦闘中に使うものではない。
使うボタンは多いのだが、そんなに混乱することなく気がつくと操作に慣れていた。ヨー制御のないイージーモードもあるが、標準設定のノーマルモードでも大丈夫。改めてPS(2)のコントローラの設計のよさに頭がさがった。そしてこのゲームのボタンアサインも、アナログスティックと攻撃ボタン以外は左右にキレイに操作が分かれており、まるで車を運転しているような感覚すらある。また、この“コントロール”がバツグンに楽しいのだ。感圧式ボタンによるフルスロットル、フル制動、そしてそれに伴うデュアルショック2のバイブレーションが操っている感覚にさせてくれる。「くぅ~ここで一気にミサイルから逃げないとぉ~」と言うときに押すR1ボタンの力の入り具合がちゃんと愛機に伝わる感覚がよくできているのだ。
■ プリレンダにも負けない飛行機の作り込み、そして舞台演出のすばらしさ このゲームをプレイしてまず思うのは、戦闘機の作り込みの凄さである。寒気すらするたたずまいを持つ各機体。金属の塊としての硬質感はむろんのこと、目に見えるところはよくぞここまで、というレベルで作り込まれている。 そして何より凄いのが、このゲームの主役たる飛行機を盛り上げるべく作り込まれた舞台、つまりステージである。きらめく雲海、太陽の光に細かく反射してみえる海、圧倒的存在感を主張する山。リプレイでだけでなく、通常の視点でもその空気感の演出は今まで例を見ない説得力にあふれている。地面は衛星写真に独自の地形データを合成したもので、そりゃ高度200メートルぐらいになればアラもでてくるが、4~5,000メートルも上昇すれば下は豆粒になってしまう。対地ミッションでは気になる人もいるだろうが、個人的にはまったくといっていいほど気にならない。むしろ激突しそうになるときに圧倒的迫力に貢献しているかも……と思わせるほどだ。 とにかく、目に映るものすべてが個人的に“PS2になって見たかったグラフィックの進化はコレだ!”というレベルでまとまっている。リプレイも多彩な視点で楽しめるうえ、このグラフィックの魅力をあますところなく引き出している。 それと、発射時にフラッシュし、独特の煙を吐いて進むミサイルや、攻撃されて落下する敵機、アフターバーナー時には陽炎が起こるなどの演出も趣があっていい。一度クリアして、リプレイ画面をひたすら眺めていても飽きない。「グランツーリスモ3」の時にも思ったが、実に“PS2らしい”というグラフィックにお目にかかれた印象だ。
また、ゲーム中にこれでもか、といわんばかりに入電してくる敵味方の通信は非常に気分が盛り上がる。こちらの行動に合わせて反応してくる敵軍の通信、撃破を誉めてくれる味方の通信、1人で遊んでいるにも関わらず、つい力が入ってしまう。字幕もグラフィックを壊さずうまく入っていると個人的に思う。
■ 猛者でないかぎり補給タイミングが重要? 初体験のプレーヤーは、チュートリアルモードをこなせば一通りの操作はマスターできるはずだ。ロックオン→ミサイル発射→当たらなかったらまた再ロックというロジックを繰り返すだけで基本的な攻撃は十分。だが、もっと高度に“らしく”戦おうとするなら、当然機銃を使いこなすといい。近距離でのドッグファイトはリプレイでも見栄えがするし、残弾制限を考えるとどこかで節約するか、途中で一度帰投して補給を受けるタイミングを考えねばならない。今回のカギをにぎるのはやはり機体ごとに設定された“特殊兵装”。同時4ヵ所までのロックオンが可能なミサイルや、広範囲に攻撃ができるナパーム弾など、機体ごとに特色ある武器が用意されている。これをうまく使うと効率よくミッションをクリアできる。 攻略のヒントとしては、対地戦闘では失速しない程度にスロットルをしぼり、重点的に爆撃を繰り返す、もしくはある程度の高度からまとめてロックオンして攻撃するという点が重要。対空戦では、敵機の背後をとってロックオンしたほうが命中率が格段に違うので、まずはレーダーを見ながら背後を取れるよう移動することを心がけるといいだろう。
今回、1ミッションがやや長めになっており、ミサイルを乱発しているとあっという間に弾切れになる。帰投のタイミング、敵をせん滅するコース取りを考えつつ(当然クリア目標も計算に入れながら)プレイしていると、あっという間に時間が過ぎてしまった、という感じだ。着陸(艦)、発進(艦)はオートでもできるし、マニュアルにしたほうが気分を味わえるが、当然ミスするとクラッシュしてしまうので、何度か序盤で訓練したほうがいいだろう。ダメージのクリアも補給と同時に行なわれる。
■ 祝! 復活のVSモード VSモードは、「お互いをジャマしながら、目的のオブジェクトを撃破してポイントを争う」、「大型の輸送機を撃破する」などのいくつかのルールにのっとって対戦する。このモードではミサイルシーカーまわりの情報表示位置が1Pプレイ時点と変わるため、しばらくは慣れが必要だが、ある程度乗り慣れた状態での対戦はかなりアツイものがある。MAP表示は□ボタンを押しているときだけなので特に注意が必要だろう。
なにしろ、“ジャマをする”というのもなかなか難しく、こまめに△ボタンでロックオン対象を切り替えつつ対戦相手を攻撃、そのスキに標的をロックして攻撃、さらに敵の攻撃を避けるという忙しさ。これがとにかく楽しい。加減速でメリハリをつけ、移動しながら標的に的をしぼりつつ、敵の攻撃をひらりとかわして……といけばいいのだが、“もっとやりこまないとダメかなー”ということで奥の深さが感じられたモードであった。
■ 潔さが好印象につながる見本みたいなゲーム モード数はそれほど多くないし、「飛行機で飛ぶだけ」なのだが、このゲームのシンプルさは個人的にはとても好感触だった。グラフィックもその潔さがうまく機能していると思う。グラフィックで何が一番大切なのか? それは戦う主役の飛行機であり、それを引き立てるものだ。主役たる飛行機のグラフィックはできるだけハードにディテールを出し、そしてそれが飛ぶ地表、空中にあるものは柔軟に、必要なものをきちんと配置する。そのコントラストがさらに主役を引き立てる。サウンドもしかり。ジェット音、アフターバーナー音、いわゆるマシンノイズが主役。ギターサウンドをうまく取り入れた壮大なB.G.M.は決して尖ることなく、メインのSEとグラフィックに融合している。 個人的には初代「エースコンバット」から「2」の路線、そしてアナザーワールド的な独自の世界観を持つ「3」とこのシリーズを捕らえてきたが、今回の「04」は、PS2になってバージョンアップした初代の雰囲気、という印象だ。「エースコンバット」シリーズの新たなスタートは総じてうまく発進することができているんじゃないだろうか? それから、PS2のHDDシステムにもふれておこう。インストールは「ファイナルファンタジーX」のようにモードから選択する方式で、データキャッシュ対応。ミッションスタート時のロードはゼロ感覚になり、DVDからのロードでも気にならなかったレベルのロードタイムはさらに短縮され、ゲーム展開が完全にシームレスになる。また、HDDにプレイデータのセーブができるが、これもほぼ一瞬で終わる。非常にスムーズなプレイが可能なのでHDDを購入した方はぜひ試してもらいたい。
このゲームで惜しむらくは、リプレイのセーブができない、という点だ。ゲームを最後までプレイできていないので、ひょっとしたら……という期待もあるのだが、アドバタイズデモですらカメラの切り替えが効き、このゲームのアピールポイントであるリプレイがセーブできないのは少々悲しい。ゲーム中にポーズをかけていつでもリプレイが見られるというのは非常にユニークで、つい“カッコイイ”と思ったシーンはリプレイするクセがついてしまったぐらい気に入った機能だっただけに、セーブが……。 (C) NAMCO LTD.,ALL RIGHTS RESERVED
□ナムコのホームページ (2001年9月14日)
[Reported by 佐伯憲司] |
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