Electronic Entertainment Expo 2001現地レポート

失うものなど何もない。死ぬのはおまえらだ
~超弩級PCアクションゲーム「MAX PAYNE」近日リリース予定

会期:5月18日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

■ FinaReality,3DMark2001の3Dエンジンを開発したREMEDYの大作アクションゲーム

マフィアだけでなく警察までがMAX PAYNEを追う。エピックスケール表現が可能なMAX FXエンジンがニューヨークの暗黒街を再現
 今年もGathering Of Developers(GOD)グループのブースはE3のメイン会場であるロサンゼルス・コンベンションセンターに併設された特設会場に設けられた。このGODグループのなかでひときわ注目を集めていたのが、フィンランドのREMEDY Entertainment社のブースだ。

 REMEDYは3Dベンチマークソフト「FinalReality」の制作元として有名で、その3Dエンジン「MAX-FX」は最新3Dベンチマークソフト「3DMark2000」「3DMark2001」などにも使用されている。MAX PAYNEは知らなくても3DMarkは知っている…というPCユーザーも多いと思うが、あの最新3D-CGエンジンを駆使した3DゲームがMAX PAYNEと聞けば、普段ゲームをしないPCユーザーもちょっとは興味がわくはずだ。

■ MAX PAYNEはDirectX8時代のフォトリアリティ・アクションゲーム第1号である

 MAX FXはDirectX8に本格的に対応している数少ない3Dエンジンで、デフォルメなしのエピックスケールな3Dワールドを表現するために5年以上にもわたって作り込まれたという。

 映像はすべてフォトリアリティ(実写映像品質)を目標に作り込まれており、建物を構成する壁ひとつでさえも実際の煉瓦の写真からテクスチャを起こしているという。単なる背景であるビルの壁にさえ人々の生活感を感じ取れるほどのリアリティが漂っているのはそのためだ。

 また、ディテールへのこだわりもすさまじく、最新グラフィックテクノロジーをゲーム中に登場する小道具のひとつひとつに適用している。なんとあまり大映しになることのない、キャラクター達が持つ銃器にも環境マッピングが施されているのには驚かされる。  DirectX8への対応も積極的に行っているようで、空から舞い落ちる雪はポイントスプライト、銃器からほとばしる火花はパーティクルを使い、人物キャラクタの動きには頂点シェーダが利用される。

 物理エンジンも本格的なものを開発、ゲーム中に登場する個々のオブジェクトにこれを適用する。なんと銃器から飛び出た薬莢ひとつひとつに対しても排出、落下、バウンドなどの現象をこの物理エンジンで演算してシミュレートしているとのことだ。

 そしてプレイヤーを取り巻くすべての環境に対してインタラクティヴ性を持たせたという。つまり、プレイヤーがゲームの本筋に無関係なものに対して行動をとったとしても、何らかの反応が返ってくる…というのだ。たとえば木を撃つと木の皮が剥がれるし、テーブルにおいてあるノートPCを撃てば液晶が割れる、部屋の照明器具を1個1個撃って壊すことも可能…といった具合。ここまで徹底した3Dアクションゲームは未だかつて見たことも聞いたこともない。ゲーム性に無関係である部分に凝ったところで「無意味」ななわけだが、「リアル」というキーワードに異常なまでにこだわったREMEDY開発陣にとって、手を抜く部分はもはやどこにもないのだろう。(*1)

 なお、いうまでもないことだがMAX PAYNEを動作させるにあたり、3Dアクセラレータは必須となる。また、AthlonのEnhanced 3DNow!、PentiumIIIのSSEなど、CPU関連のテクノロジーへの対応もすでに完了しているとのことだ。
 テクノロジー面がすごいのはわかった。それではMAX PAYNEとはいったいどのようなゲームなのだろうか。

小道具の拳銃にも環境マッピングと拡散反射処理を適用 テクスチャの解像度が非常に高い。この写真でも看板の文字が読めるほど (*1)キャラクター達の足下に落ちる「影」が光源の位置関係と無関係に表示されているのでシャドウ処理にはまだ妥協点が見える

■ 1対大勢の爽快感、緊張感

 ある日、その悲劇は突然にやってきた。いつものように勤務から帰宅したニューヨーク警察囮捜査官である主人公MAX PAYNEは、その家の中の様子が「いつもと違う」ことに気がつく。家の中は荒らされ、寝室には最愛の妻と幼い娘が頭を打ち抜かれて横たわっていた。そしてなぜかMAX PAYNEはこの殺人事件の犯人とされ、追われる身に。誰も信用できないという、この最悪、絶望的な状況は、MAXを復讐の鬼へと変貌させる。雪舞い落ちる、ニューヨーク。彼の最後の捜査が始まった。

 …と、こんな超硬派なハードボイルドなシチュエーションでゲームは開始する。画面を見るとTOMBRAIDERライクな3人称視点のアクションゲーム…という印象を持つかもしれないがパズル、謎解きよりもアクション…それもシューティングの方にウェイトが置かれたゲームデザインになっている。

 敵への「狙い」は自動でプレイヤーはMAXを敵の方へ向けてトリガを引けばいい。実に単純明快な操作系だ。敵も自分に対して自動照準で攻撃してくるわけだが、これは側転、前転、後転やその他のアクションを駆使して避けることになる。銃弾が雨霰のように飛び交う中、超人的なアクションでかわし、バタバタと敵をうち倒していく…MAX PAYNEというゲームの爽快感はここにある。敵をバサバサ切り捨てていけるカプコンの「鬼武者」の爽快感に近いものがある。

見えるものはすべて敵 敵屋敷からの脱出シーン。このような地形トラップとの戦いもある
戦いの場は屋外、屋内の区別はない。常に敵は多数、味方はいない。このあたりの雰囲気、ハリウッド映画を彷彿させる 物語はムービーではなくコミック調ビジュアルシーンで語られる。「マックスペイン(MAX PAYNE)か…『MAX PAIN(とても痛い)』ってか。へへ。いい名前だ。その名前の通りにしてやるぜ」台詞回しもとてもおしゃれな雰囲気。P&Aはどの程度のローカライズをやってくれるのだろうか

■ マトリックスのバレット・タイムFXをゲーム性として取り込んだ!!

 さて、このゲームの特徴を語る上で、バレット・タイム(Bullet Time)FXを忘れることはできない。バレットタイムFXとは、時間を止めたような状況の中でカメラの視点が縦横無尽動き回る、あの映画「MATRIX」で一躍有名になった特撮手法のことだ。

 MATRIXでは高速に移動する銃弾を超人的な反射神経でよける様子をこの特撮効果で表現していたが、MAX PAYNEではその逆で、自発的にこのモードへ移行することで、銃弾を避けられるのである。ただし、MAX PAYNEはMATRIXのネオ(キアヌ・リーヴス)のような超人ではないので、いつもこのモードへ移行できるわけではない。体力ゲージと併設されたバレット・タイム・ゲージが有効な範囲内でこれが可能になっている。MAX PAYNEにおけるバレットタイムはいわば「瞬間的に行える回避動作」と捉えるとわかりやすいかもしれない。復讐の鬼MAX PAYNEは怒りのあまり時々超人的な動きができる…という感じだろうか。いずれにせよ、あのバレットタイムFXをゲーム性に取り込んだアイディアは非常にユニークだといえる。

 また、これとは別に演出の一環として強制的にバレットタイムモードに移行する場合もある。敵を、地形条件を利用して派手に吹っ飛ばしたときなどは、どのように敵が倒されたのかをプレイヤーが十分堪能できるようにこのモードへ移行する。もちろんこのときはバレットタイムゲージは使用されない。

バレットタイムFX作動中。敵の弾を紙一重で避けてこちらの弾は全弾命中。自分に酔える瞬間 またまたバレットタイム作動中。銃弾が奇跡を描いて飛んでいく様が見える

■ ついに近日発売

 MAX PAYNEはシングルプレイヤーゲームオンリーでマルチプレイヤーゲームへの対応はしないとのことだ。ただ、何度でも楽しめるようにタイムアタックモードのようないくつかのゲームモードを計画中らしい。
 またゲーム本体と同時に「ActorFX」「MaxED」「ParticleFX」といったゲームエディタもリリースされるとのこと。これらでいったいなにができるのかは今のところ不明。
 リリース時期は未定としてながらも「VERY VERY SOON」を連発していたので、これを信じよう。なお、日本国内での販売はP&Aが担当する。

シナリオ、ゲームデザイン担当のSAM LAKE氏。ちょっとMAX PAYNE似? 「失うものは何かありますか」「ボクにはまだいっぱいあるよ!!」 プロジェクトリーダーのPetri Jarvilehto氏。「もうすぐ『本当』に出るよ、PS2版もよろしく」とコメント

(C) 1997-2001 Remedy Entertainment, Ltd. All rights reserved.


□E3のホームページ
http://www.e3expo.com/
□REMEDY Entertainmentのホームページ
http://www.remedy.fi/
□official Max Payne web site
http://www.maxpayne.com/

(2001年5月19日)

[Reported by トライゼット 西川善司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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