★ PCゲームレビュー ★

ミッションチャレンジモードが秀逸!
すべての信長ファンがハマれる新たな野望

信長の野望 嵐世記
パワーアップキット

  • ジャンル:歴史シミュレーションゲーム
  • 発売元:コーエー
  • 価格:5,800円(本体セットは13,800円)
  • 対応OS:Windows 95/98/Me/2000
  • 発売日:8月3日(発売中)


 「信長ファン」お馴染みのパワーアップキットがついに発売された。シリーズ9作目となる「嵐世記」は、内政システムを旧来のコマンド選択制に戻し、その一方で槍兵や騎馬隊が精密なマップ上で激しく動き回るリアルタイム制の合戦システムを導入するなど、近年まれに見る激しい仕様変更が施された作品だった。現在鋭意開発中の第10作もどうやらとんでもない作品に仕上がりそうだが、先の話はひとまず置いておいて、本稿では「信長の野望 嵐世記 パワーアップキット」の全容を一気に紹介していく。


■ 史上最強のパワーアップキット。“三本柱”はもはやおまけに

追加シナリオ「1599年 関ヶ原前夜」。自分含め武将4人で全国制覇を狙う立花宗茂。堅城熊本城を擁する加藤清正を潰せるかどうかがカギ
 コーエーのパワーアップキット(以下、PUK)といえば、新シナリオ、新武将(+家宝)、各種エディタの三本柱プラスαといった印象が強い。世界中を見渡してみても、拡張キットのたぐいはおおむねこれに準拠した内容だが、毎作まったく同じ素材を扱う「信長の野望」シリーズでは、この3要素は当たり前すぎて、もはや新鮮味はないと言い切っていい。

 そこで同社では「信長の野望」「三國志」の両シリーズで、このプラスαの部分に関してさまざまな試みを行なっている。まだまだ試行錯誤の段階のようで、固定化した人気モードというのはないが、それでも作を重ねるごとに確実に中身が充実してきており、作品全体におけるPUKの比重も徐々に増してきた印象で、ここ数作PUKの発売が非常に楽しみになっている。中でも「三國志 VI」以降(→烈風伝→VII→嵐世記)、急激に充実してきたのが、シナリオに「サブシナリオ」を挟んで、短期間で遊べたり、中身をより充実させるといったもので、達成期間が設けられていたり、普通はやらないちょっと意地悪なミッション内容だったりして、本編を相当やり込んだ人でもふたたび新鮮な気分でゲームが楽しめるのである。

 嵐世記のPUKでは、それらの集大成ともいえる「ミッションチャレンジモード」と「歴史イベントエディタ」を搭載。特にミッションチャレンジモードは、「嵐世記」という豪壮華麗な土台に、賞品付きの刺激的な遊びをおっ被せたような仕様で、その賞品に新シナリオ2本が含まれていることもあって、かなり夢中で遊ばせてくれる。一方の歴史イベントエディタは、イベントを自作してゲーム内に挿入できるというもので、これで「あの有名な挿話が入っていない」という不満も綺麗に解消される。今回のPUKはまさしく史上最強の内容なのだ。

【各種エディタ】
今回のエディタは、大名、武将、城、諸勢力、姫、家宝の6種類。ゲーム中に「機能」コマンドから適宜呼び出して自由に修正できる。新設の「姫エディタ」は、顔CGを変更できる以外の実効はほとんどない


■ パワーアップキットの中身を一気にチェック

シナリオ選択画面
 ここでPUKの内容を簡単にまとめておこう。

・新シナリオの追加
 「1546年1月 信長元服」「1560年5月 桶狭間合戦」「1573年4月 信玄死す」「1585年6月 四国征伐」「1599年 関ヶ原前夜」+2本(ミッションチャレンジモードの賞品)

・ミッションチャレンジモード
制限期間付きのミッションをクリアしていくモード。達成すると、新しい武将や家宝、顔CG、新シナリオなどが手に入る。

・歴史イベントエディタ
歴史イベントを作成して、ゲーム中に発生させることができる。ユーザー間での歴史イベントデータの交換も可能。

オプション欄に燦然と輝く「超級」の文字
・追加武将
関ヶ原合戦や大坂の陣で活躍した戦国末期武将130名

・新武将/家宝登録機能
武将は1ボタンで全自動作成が行なえる。顔CGの取り込みも可能。

・ゲーム難易度に「超級」の追加
さらに強化されたAIに加えて、各種コマンドの効果、成功率も渋めに設定されており、限界に挑戦したい人に最適なモード。

・各種エディタ機能(大名、武将、城、諸勢力、姫、家宝)
各種データのパラメータを自由に変更できるエディタ。

統率110の義弘率いる島津家もおもしろそうな大名家だ
 ここで要注目なのは、新シナリオ「1599年 関ヶ原前夜」。「天翔記」のように大名家が軍団として東西軍に編入されておらず、従属関係ではあるもののそれぞれプレーヤー大名として選択可能となっている。豊臣方では島津義弘や立花宗茂、鍋島直茂、徳川方は加藤清正、福島正則、伊達政宗など、戦国末期を彩る有名武将率いる大名家がごろごろしている。時期を見て独立を宣言し、天下統一を狙う、という実に興味深い“IF”が試せるわけである。

 また、新武将登録の全自動作成も便利。プレイ回数が多すぎて、すべての登場武将が見飽きてきた、なんて場合は、これを使って30人ぐらいまとめて作成し、シナリオに登場させると、また違ったおもしろさが味わえるはずだ。一方、配下武将が少なすぎて、どう頑張っても勝機が見いだせない小大名家でプレイする場合に用いるのもいいだろう。

 ちなみに、追加武将は戦国末期で活躍したいわゆる一般武将のほかに、北条早雲や太田道灌など戦国の創世期に輝かしい治績を残した武将や、大祝鶴(おおほうりつる)など、伝説的な武将も登場する。これらはすべてミッションチャレンジモードで獲得できるわけだが、このモードは具体的にどういうふうにゲームが進むのか、以下で詳しく紹介しよう。

【武将登録】
とにかく自動作成機能が便利。20人程度なら数分で作成できる。姫武将が作成される可能性もあるが、それはそれでおもしろい

【データベース】
エディタに加え、歴史イベントの作成も可能になったため、「信長データベース」としても使える。左から順にイベントスチル一覧、家紋一覧、武将スチル一覧(姫)


■ とことん遊べる「ミッションチャレンジモード」

ミッション選択画面
 ミッションチャレンジモードは、「群雄の章」から「夢幻の章」まで各7つずつ全35ミッションが用意されている。ひとつクリアするごとにさまざまな賞品が獲得でき、7つすべてをクリアすると次の章に進むことができる。ミッションごとに目標はもちろん、プレーヤーが担当する大名家も異なり、より手広く遊んでいるユーザーの方が有利に遊べるだろう。

 各ミッションごとに設定される期限は、序盤は比較的ゆるやかな設定になっているが、ミッション終了時に達成までの期間や内容によって厳しくランク付けされるので、もたもたしてはいられない。「これなら金賞だろう」と思っていても銀賞だったり、かなり厳しめの線引きがなされているようで、自己の限界に挑戦できる楽しみがある。また、ミッションによってはコマンドに制限が掛けられている。たとえば、ミッション1「骨肉の戦い」は、プレーヤーは織田信長で、弟信行を滅ぼすという内容だが、「勢力」コマンドは使用不可となっており、諸勢力の与力なしに独力で目的を達成しなければならない。

新武将を獲得すると「ボーナス」欄に追加される
 ちなみにミッションチャレンジモードでは、難易度はすべて固定となっており、「群雄の章」は初級、最終章の「夢幻の章」は超級といった具合に、章を経るごとに徐々に難しくなっていく。プレイ時間は、1ミッションあたり短くても30分、長くなると数時間は掛かりそうな長期に渡るものも用意されている。

 ミッションチャレンジモードは「賞品目当て」という部分も確かにあるが、期限を気にしつつプレイしている最中に、なんともなしに心の底から沸き上がってくる“遊び心”は、「嵐世記」という壮大な遊び場をフルに活かし切れた結果生まれたものではないか、という気がする。嵐世記ユーザーにはもちろんだが、嵐世記未体験者にも遊んでもらいたい傑作PUKである。

【四国の覇者】
「群雄の章」最後となるミッション「四国の覇者」は、長宗我部家で四国を統一するというもの。期間はたっぷりあるが、「金賞」を獲得するために軍備もそこそこに連戦に次ぐ連戦。こういう嵐世記もおもしろい。でも、結果は最低の「銅賞」。えー、なんで?

【大祝鶴(おおほうりつる)】
余談だが、「四国の覇者」で入手できる新武将大祝鶴(おおほうりつる)は、「1534年 信長誕生」の伊予でのみ登用できる。齢12にして、統率74、「軍神」「激励」「収拾」スキルを持つ文字通りの“軍神”。弱小大名西園寺家の救世主となりそうだが、寿命が短いのが難点。しかし、そこはエディタで補おう。これぐらいの反則は許される

(C)2001 KOEI Co.,Ltd.


【動作環境】
  • CPU:Pentium 233MHz以上(Pentium II 333MHz以上を推奨)
  • メモリ:64MB以上(128MB以上を推奨)
  • HDD:50MB以上(本編と合わせて300MB以上)
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上 (起動時必須)
  • 解像度:800×600~1,024×768ドット


□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□「信長の野望 嵐世記 パワーアップキット」の公式ページ
http://www.gamecity.ne.jp/products/products/ee/Rlranseikipk.htm
□関連情報
【7月12日】デジキューブ、「信長の野望 天翔記 with パワーアップキット」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010712/nobunaga.htm
【6月22日】8月発売決定! 「信長の野望 嵐世記 パワーアップキット」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010622/koei.htm

(2001年8月7日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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