★ DCゲームレビュー ★

強力な敵AIとオリジナルカードが嬉しい
カードゲームの元祖がDCで堂々登場!

MAGIC:The Gathering

  • ジャンル:トレーディング・カードゲーム
  • 発売元:セガ
  • 価格:6,800円
  • 対応周辺機器:VGAボックス
  • 発売日:6月28日(発売中)


 「待ちに待った」というファンも多いのではないだろうか。昨年から発売が延び延びになっていたDC版「MAGIC:The Gathering」(以下、マジック)がついに発売された。ゲームの概要は、以前GameJamレポートで触れたとおりだが、今回、製品版をじっくり触ってみたので、詳細レポートをお届けする。


■ 初心者から上級者まで楽しめる間口の広さが魅力

DC版のタイトル画面
 まず、DC版「MAGIC:The Gathering」の内容について簡単におさらいしておこう。カードセットは、CLASSIC(第6版、全354枚)をベースに、過去の拡張セットからピックアップされた強力なカード9枚、さらにDC版オリジナルカード10枚、計373枚が収録されている。ちなみに現行流通している基本カードセットは、今年の4月に発売されたSeventh Edition(第7版)だが、基本カードセットは、毎回それほど劇的に変化するわけではなく、取っつきやすさを第一に考えられた内容になっているため、マジック未体験者や第7版から始めた初心者プレーヤーでも無理なくプレイできる。

 DC版のゲームモードは、「はじめから」「つづきから」「マジックについて」の3つと非常にシンプルになっている。「マジックについて」では、ムービーとナレーションでマジックの基礎の基礎が学べる。が、ゲームの流れの説明に特化したつくりで、マジック未体験者や初心者プレーヤーは、専門用語の連発でわけがわからないかもしれない。特にスタックの概念やクリーチャーの能力に関する説明などは、もっと詳しいほうが良かったのではないかと思う。さいわいマニュアルの半分以上を割いてマジックのルール説明や用語集などが用意されているので、それを熟読するといいだろう。

「マジックについて」。プレイ中の映像をムービー再生しているので少し画質が荒くなる
 余談だが念のために付け足しておくと、DC版に収録されているムービーだけではマジックの1/10も把握できない。これはムービーの作りの甘さというより、単純にマジックの奥深さに起因するもので、仮にムービーを見てさっぱり理解できなくても心配しなくていい。この点、コンピュータ相手なら、どれほどまごついても怒られないし、そもそも出来ないプレイはあらかじめシステム側が注意してくれる。ともあれ、ゲームプレイ中に不明な単語が出てきたら、すぐ用語集で確認するぐらいの丁寧さがないと、マジックは一生覚えられないと思っておいて間違いない。

 ところでゲームの操作は、DCコントローラを使って行なうが、これが実によく考えられている。正直言うと、私はPC版「MAGIC:The Gathering」のマウス操作に慣れきっていたこともあって、コントローラによる操作にはいくらか懐疑的だった。が、実際には方向ボタンと4つのボタンだけでほとんどの操作が行なえたので驚いた。指先だけで複雑なマジックのカード操作ができるのは、ちょっとした感動がある。さらにいえば寝っ転がってできるぶん、マウス操作より優秀とすら言えそうで、総じて操作周りに関する不満は一切感じられなかった。


■ デュエルで世界を救うストーリーモード

デュエル画面。必要な情報が見やすくまとまっている
 本編となるストーリーモードは、辺境のプレーン(次元)「セレスタ」を舞台としたRPG仕立ての物語が楽しめる。ゲームは、魔法の防御円で守られたプレーン唯一の安全地帯「マジック・ハート」から始まる。最初に初期デッキを5色のうちから選ぶことになるが、プレーヤーはこの単色デッキを元手に、6つのエリア(5色+ラストボス)の解放を目指してデュエルを繰り返していくことになる。

 全員倒せばゲームクリアだが、当然そう簡単にはいかず、よわよわの初期デッキのまま敵と戦うと、まず間違いなくコテンパンにやられる。そこで重要になるのがカード集めだ。マジック・ハートでは、長老ヤゴチェと「訓練」と称した模擬戦を繰り返すことができる。これにより新しいカードを獲得し、これを既存のデッキに含めることで、手持ちのデッキの強化を図っていくわけだ。ただ、このゲームでは敵に負けるとカード没収といった激しいルールはなく、一切のペナルティがないばかりか、負けても新しいカードが貰える。そういう意味では、負けを覚悟で揃えたいカラーのエリアにいきなり踏み込んでもいい。

 各エリアごとに、タスクメイジが2体とボスであるアプレンティスが1体いる。タスクメイジは敵の中では雑魚であるはずだが、これが思いのほか強い。ただし、40枚の単色デッキしか持っていないので、嫌なカードの対抗カードをデッキに混ぜてデュエルを挑めば、かなりの確率で勝てる。問題なのは各色のアプレンティスで、こいつらは単色ながらカリカリにチューンされた60枚デッキを2組持っており、さらに倒すためにはどちらのデッキにも勝たなければならない。さらに恐ろしいことに、強力な効果があるDC版オリジナルカードをバンバン使ってくるため、こちらもがっちり組み上げた自慢のデッキで勝負しないと勝てないだろう。

 マイデッキの強化に有効なのが「魔法石」だ。タスクメイジを倒すと「ジェム」が手に入る。ジェムはマジック・ハートに収められ、メニューの「魔法石」を選ぶと、倒したタスクメイジと再戦することができる。こうしてどんどん強いデッキを組み上げていくわけである。ちなみに最終ボスは、手札も含めライブラリー(カードの山)全体を積み込みしているらしく、滅茶苦茶に強い。

プレーヤーの行く手を阻むアプレンティスたち


■ ハルマゲドンは空から巨大隕石が降ってくる! 新鮮なデュエル画面

所有カードリスト。ぜひコンプリートを目指そう
 さて、メインとなるデュエル画面についてだが、ご覧のとおり実際の対戦中の模様をそのまま3D化したようなプレーヤー視点で描かれている。対戦相手のグラフィックが出ないのは少し寂しい感じもするが、場の見やすさを第一に考えられた設計となっているようだ。カードを場に出す(これを“プレイする”という)と、地中から円形の光の幕が張られ、パーマネントが回転しながら浮き上がり、最後にゆっくりと場に置かれる演出が見られる。

 そのほか土地をタップしてマナを得る際やクリーチャーが攻撃する際など、派手な3Dエフェクトと共に楽しい演出が見られる。このあたりがDC版の最大の特徴といえそうだが、強力な効果があるソーサリーなど唱えると、視点までが変わり、ド派手な演出が見られる。敵にやられると、それだけガッカリ度も大きいが、自分が決めると抜群の爽快感がある。

カードを拡大したところ。そっくりそのまま取り込んでいるのが素晴らしい
 細かいところでは、カードをライブラリから1枚引いたときやプレイしたときに、英語音声で読み上げてくれる。おそらく、DC版が海外への出荷を前提に開発されたことによるものだと思われるが、ちょっと格好いい。その一方で、キャラクタのモデリングはアメリカナイズされすぎで(これも同様の理由だろう)、子供が遊ぶには少々アクが強すぎる。DC版オリジナルカードを含む、カードの拡大画像が、VGA画面でプレイすると文字情報までくっきり読める精度で再現されているだけに、この点は残念である。

 残念といえば、ネットワーク対戦非対応なのも残念だ。発表時点ではネットワーク対戦は実装される予定だったが、Wizards of The Coasts側の都合で急遽非対応になった。そのため、システム的にはマルチプレイモードは組み込まれているので、次回作でひょっとしたらという期待は持たせる。もっとも、DC版はシングルプレイ専用でも成立するように、AIをとことんまでチューンナップしているので、そういう意味では、逆にシングルプレイに特化したスタイル、そしてDCがVGAで表示できるメリットを生かしたデジタルコレクション的な要素を深めて、CLASSIC以降の拡張カードセット(Urza's Destiny、Mercadian Masques、Nemesis、Prophecy、Invasion、Planeshift)をそれぞれ単体でいいからどんどんリリースしてくれることを希望する。このDC版マジックのシステムとAIをこの1作で終わらせるのはあまりにも惜しい気がするので、ぜひとも実現をお願いしたい。

【オリジナルカード 白/緑】
白は「アーデンの天使」「トーネランの庇護者」の2枚。アーデンの天使は文字通り不死身の粘りを見せる。敵に回すと悪魔のような強さ 緑は「レイダルのドルイド」「レイダルの象」の2枚。出たとこ勝負のレイダルの象がおもしろい

【オリジナルカード 赤/青】
赤は「アシュザーのブレス」「ヴェルカン・ドラゴン」の2枚。使い勝手に優れたソーサリーと重量級の飛行系クリーチャーとバランスの良さが光る 緑は「サジィの激流」と「カマローの斥候」の2枚。インスタントは外れがあり、クリーチャーの渡りは地形タイプをこちらで決められないので使いにくそう

【オリジナルカード 黒】
黒は「マーギッシュの霊園」「ハパトゥの力」の2枚。エンチャントはマナコストが高いのが難点だが、うまく決まると恐ろしいことになりそうだ



□セガのホームページ
http://www.sega.co.jp/
□「Magic:The Gathering」の公式ページ
http://www.sega.co.jp/dreamcast/software/mtg/
□関連情報
【4月14日】GameJamレポート その1 「Magic:The Gathering」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010414/magic.htm

(2001年7月5日)

[Reported by 中村聖司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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