★ GBAゲームレビュー ★

舞台はヴァレリアからオウィスへ……
あの伝説のタイトルに外伝が登場!

タクティクスオウガ外伝
The Knight of Lodis

  • ジャンル:シミュレーションRPG
  • 開発元:クエスト
  • 発売元:任天堂
  • 価格:4,800円
  • 発売日:発売中


 「スーパーファミコンで至高のRPGと胸を張って言えるタイトルを1本挙げよ」と問いかけられたら、私は即時に「タクティクスオウガ」と答えるだろう。民族紛争を背景に理想と現実の違いの葛藤を描いたシナリオ、地形や天気などさまざまな要素が絡む戦略性の高い戦闘、キャラ育成派の欲望を満たす特殊ステージの存在など、我が生涯のベストゲーム5本に残る優秀作品であった(ちなみに私のゲーム歴は約20年)。そんな作品の外伝である。多くの人が気になってしょうがないその内容、前作との大まかな変更点をズバリ解説しよう。


■ タクティクスオウガが初めての人のために

移動先を決めるマップ画面。未到達エリアは赤で表示され、ほぼ間違いなく敵が潜んでいる。もちろん、このとき目的地とは無関係な方向へ進んでもよい
 タクティクスオウガは'95年の作品なので、いかに名作とはいえプレイしたことのない人のほうが多いだろうから、まずはゲームの基本概要を解説しておこう。ゲームの舞台となるのは「オウィス島」と呼ばれる島で、ゲームはこの島の中に設定された目的地へと進むことによって進展していく。目的地へと到達するとイベントシーンが展開し、また次の目的地が設定されそこへと向かう、という調子でシナリオが進んでいくわけだ。イベントシーンによっては目的地への経由ルートが変わったり、今後のシナリオ展開が変化する選択を迫られる場面もある。もちろん目的地への途中には敵が待ちかまえており問答無用で戦闘が始まるので、その道のりは困難である。特に目的地にはボス級の敵がいることが多く、なかなか一筋縄ではいかない。

 戦闘シーンはタクティカルコンバットシステムだ。おおざっぱに説明するとチェスや将棋に似たシステムで、駒が戦士や魔法使いやドラゴンなどのファンタジーRPG世界のキャラ(ユニットと呼ばれる)となっているわけだ。駒となるユニットはSTRやINTといったパラメータを持ち、経験を積むことによってより強くなったり、ほかの職業へとクラスチェンジしたりすることが可能だ。保有できるユニットの総数は最大32(主人公含む)。お気に入りのユニットを集中して鍛えていくもよし、全員魔法使いに仕上げるもよし、つまりは自分好みの軍隊を作れるわけである。戦闘ステージのフィールドは32×32マス、参加できるユニットは敵味方各8体ずつとなっている。フィールドには高低差があり、高い場所から撃った弓は射程が延びたり、高台から敵を突き落としてダメージを与えたりと戦略的に非常に重要な要素となっている。

セレクトボタンによるヘルプ機能
 ここまで読んでちょっとややこしそうだと思った人もいるかもしれない。が、このゲーム、初めての人でもスムーズにゲームシステムが理解してもらうために搭載されている「オンラインヘルプ機能」が非常に強力なのだ。使い方はセレクトボタンを押して知りたい物を選択するだけなので簡単だし、いつでも使えるのがありがたい。とにかく「?」と思ったらセレクトボタンを押せばなんとかなると思っておいていい。そのほかにもゲームシステムの基礎知識を解説する「かぼちゃメモ」も用意されているので、マニュアルはほとんど無用と言ってもいいくらいである。

戦闘画面はクォータービューによる3D表示が美しい。戦闘場所も城、火山、雪原、湿原、草原、海辺とバラエティーに富んでいる


■ 本編との違いは? 気になるシナリオと戦闘システム

外伝の舞台となるオウィス島。タクティクスオウガ同様に島が舞台だが、こちらの方がやや狭いか?
 「オウガバトル外伝」のシナリオは“外伝”の名が示すとおり、オウガバトル第7章のサイドストーリーとなる(なお、オウガバトルシリーズは「オウガバトルサーガ」と呼ばれる全8章の物語で、第1作の「伝説のオウガバトル」がオウガバトルサーガ第5章、「タクティクスオウガ」が同7章、「オウガバトル64」が同6章となっている)。この外伝の舞台となるのは、ガリシア大陸の西に位置するオウィス島。過去のオウガバトルシリーズでも出てこない初登場の島である。このオウィス島はゲームスタート時の約15年前に大国ローディス教国の宗教侵略を受け、ローディス教国の北西に位置するフェーリス国公領になっていた。主人公はそのフェーリス公国の騎士団の一員として、最近動きが不穏なオウィス島の調査に派遣される場面から物語はスタートする。ローディス教国といえば、タクティクスオウガではいわば敵方にあたる国であり、この点からして前作のプレーヤーには興味津々である。

最近慌ただしいオウィス島の調査のためへ主人公は現地に向かう。が、嵐のため停泊しているといきなり賊に襲われ、主人公は本隊とはぐれてしまう

WT制からターン制に変更。これにより戦略制が大きく変わる。進軍時は固まって行動しないと蜂の巣にされるだろう
 ゲームの肝となる戦闘シーンのグラフィックは前作とほぼ同じ。驚嘆するほどバリエーション豊富だったユニットのアニメーションも健在である。さて、見た目はほとんど同じに見えるが、内部システムは大きく手が加えられている。最も大きな変更点は、前作の「WT」という行動順を決定するパラメータを廃してターン制となったこと。将棋のような1ターン1ユニット行動ではなく、1ターンですべてのユニットを行動させることが可能である。これによりWT調整という戦略性がなくなったのは残念だが、その分すべてのユニットがそれなりに使えるキャラに仕上げないと攻略が難しくなっている。

 WTがなくなった分、キャラを重装備で固めることが可能に見えるが、装備の重量度のパラメータは存在し、重い装備では移動力が落ちるようになっている。WTといえば、前作のドラゴンといったLサイズユニットはWTが悪すぎて序盤でしか使えなかった。が、外伝ではユニットサイズの概念がなくなっており、WTがなくなったことと併せて魔獣系ユニットが非常に頼もしい戦力として使える。魔獣が使えればドラゴンテイマーやビーストマスターの価値も上がるわけで、より多くのクラスを編成する楽しみが増えたといえる。

キャラのステータスには、本文で紹介した以外に、運勢パラメータやほかのユニットの相性影響度を示すメンタルゲージなども新たに搭載されている
 また、「勲章」と呼ばれるユニットの各種能力をアップする要素も追加されている。勲章の効果は、クラスチェンジに必要だったり、パラメータを大幅にアップしてくれたり、命中/回避率が上がったり、なんだかわけのわからないものまで千差万別。その総数は30種類以上にものぼる。むろんプレーヤーとしては「全部ゲットするぜ!」といいたいところなのだが、勲章はユニットごとの管理で受け渡し不可能の上、種類が違えば入手条件も違う。それに条件自体が困難かつ明らかにされていないので、かなりやり込まないとオールゲットのキャラを作るのは厳しいだろう(それゆえにやりがいがあるとも言える)。下の表で私が見つけた勲章をいくつか紹介しておく。これを見れば「なんだかわけのわからない」と書いた理由も理解していただけるハズだ。

 あと、細かいゲームバランスがかなり改良されたことも付け加えておこう。前作では「弓」がいちじるしく強く、近接攻撃が非常に弱かったのだが、外伝では弓の攻撃力が弱くなり近接攻撃が逆に強くなっている。また、背後から攻撃すると反撃を受けないようになった。ターン制への変更と併せて重い武器や鎧をガンガン装備できるようになったので(あまりに重いと移動力が落ちるが)、近接攻撃ユニットの利用価値が上がり、編成のバリエーションが高まっている。私のようなメレーキャラマニアには非常にうれしいところだ。

□勲章の一部
・勲章の名前:入手方法/効果
・騎士の証:正面から攻撃で入手/ナイトへのクラスチェンジに必要
・物欲の権化:アイテム5個回収で入手/効果は?
・ミラクル:HPが少ない状態で攻撃回避を行うと入手/クリティカルが出やすくなる
・聖竜のウロコ:竜族を5匹殺す/竜族の説得率が下がるなど、このほかにも効果があるようだ

■ 新たなやりこみモード「探求」

 ところで、本編を進めているとまれに古文書を発見して入手することがある。この古文書は本編とは別の「クエストモード」で使用するためのアイテムだ。クエストモードは、通信対戦ケーブルを利用してプレーヤー同士の対戦やアイテム/ユニット交換が行なえるほか、アイテム探求のための「探求モード」が利用できる。探求モードは利用するたびに費用がかかるのだが、ここでの戦いに勝利すれば本編では見つからないアイテムがゲットできる可能性がある。戦闘は敵レベル、クリアの制限ターン数、勝利条件などが自由に設定でき、この設定の難易度次第で入手できるアイテムの種類が変わってくるという、なかなかそそる仕様になっている。

 ここまで改良点や追加仕様を紹介したが、逆になくなってしまった機能もある。現在の島の情勢やニュースの紹介、イベントシーンを回想して見ることができたウォーレンレポートが外伝ではついていない。GBAの容量制限のためかもしれないが、ファンとしては非常に残念なところである。

 ここまで読んできて「外伝と言っても結局ゲームシステムが同じだけで、シナリオは前作とあんまり関係ないの?」と思った方。ええ、私もやってる最中にそう思ってました。しかし! がんばってエンディングまで行ってください……これ以上はもうなにも言えません。それではあなたのプレイにフィラーハの御加護があらんことを……。

魔法詠唱シーン。上段が天候を変化させる魔法のクリアスカイ、中段が召還魔法のイグニスファタス、下段が攻撃魔法のアイスフィールド

(C)2001 Nintendo/(C)2001 QUEST


□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□クエストのホームページ
http://www.quest-kk.com/
□「タクティクスオウガ外伝:The Knight of Lodis」の公式ページ
http://www.nintendo.co.jp/n08/atoj/index.html
□関連情報
【5月1日】任天堂、システムなどを継承しつつ進化したGBA版「タクティクスオウガ外伝 The Knight of Lodis(仮称)」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010501/nintendo.htm

(2001年6月26日)

[Reported by 宇野貴教]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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