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Xboxハードウェアキーマン吉岡直人氏インタビュー
■ 「Xbox α2」と製品版の違いは?
吉岡直人氏 ありがとうございます。東京ゲームショウで大がかりに発表できて認知度が高まったと思います。 東京ゲームショウで公開されたものは、現在各メーカーに配布されている「XDK」と呼ばれる「Xbox α2」ですが、現状でも十分すごいグラフィックが展開されています。これが製品版になると倍以上の性能になると言われていますが、具体的にどのように変わるのでしょうか?
吉岡直人氏 ハードウェアの違いで一番大きいのはXbox GPU (Graphics Processing Unit -グラフィックチップ-) の部分です。GPUの中のグラフィックチップ自体はせいぜいスピードがアップしていたりバグフィックスされていたりと言った程度ですが、製品版ではUMAのメモリコントローラが入ってバス帯域のコントロールが十分に行なわれるようになります。
■ 海外のゲームは遊べるのだろうか?
吉岡直人氏 DVD-Videoに対してリージョンコードはもちろん入ります。ゲームに関しては、いろいろな形で調節している途中です。というのも、各国で著作権システムも違いますし、それらをプロテクトするためのものですから、逆にタイトルを供給していただく方々がどのような意見を持っているのかと言うところから決めていくべきものと思っています。現時点ではまだ検討事項と言うことになりますが、Xboxのシステム的には、ソフトウェアでどちらでも対応できるようになっています。 ユーザーの中には、海外のゲームを手軽に楽しみたいという意見もあるようですが? 吉岡直人氏 確かに海外には面白いゲームがたくさんありますし、興味をお持ちの方もたくさんいらっしゃると思います。個人的にも好きなゲームをいくつか上げたら「Wizardry」などが入ってくるんです。でもそれが、リージョンフリーの問題とは本質的に関係ないと思っています。というのは、海外のゲームを遊びたいと言っても、海外のお店で売っているものをそのまま持ってきて遊びたいという意味ではないと思うんです。たとえば、「クラッシュ・バンディクー」は確かに米国製のゲームですが、あれは日本版においてはものすごく作り直しがあって、良いところを残してちゃんと日本人のゲームプレイに合うように徹底的に作り直した結果として大成功を収められたと思っています。そういう意味ではリージョンコードの話は全く別の話と考えていただいた方が良いと思います。
■ クロスプラットフォームで通信対戦は可能か? 最近ではプレイステーション 2とWindowsを使い、クロスプラットフォームで通信対戦が可能なゲームを制作しているメーカーさんなんかも登場していますが、Xboxと他のプラットフォームで通信対戦などは可能となるのでしょうか? 吉岡直人氏 現在、Xboxでやろうとしているオンライゲームのシステムは、Xbox専用です。そのシステムに他のゲーム機が参加できるかと言えば、それはできないと思います。 クローズドと言うことでしょうか? 吉岡直人氏 クローズドです。逆にクローズドを積極的に選択させていただきたい。なぜなら、我々が目指しているのは、ただ通信できるだけのゲームと言うことではなく、本物のオンラインゲームプラットフォームを作っていきたい。その上ですごいゲームをどんどん作って欲しいという気持ちでいます。ですから、『チャットができます』、『対戦ができます』といったレベルで止まりたくないんですよ。 先日のNTTコミュニケーションズさんとの提携発表会で「Xboxのクオリティに達した通信業者とだけ提携する」とおっしゃっていましたが、それと同じことですね。ということはマイクロソフトさんの考えるクオリティに達しているゲーム機はXboxだけということでしょうか?
吉岡直人氏 現状においてはそうだと思います。クロスプラットフォームにすると、お客さんの層が広がると言う意味では有利なんですが、その中で一番弱いところに統一せざるを得なくなってしまいマイクロソフトの理想を達成できなくなってしまう点が一番恐れているところですね。 開発メーカーのほうで仕様を元に自由に作成することは可能なのでしょうか? 吉岡直人氏 我々のほうではすくなくとも接続時の認証の部分はやらせていただきますので、たとえばIPアドレスがわかるのからといってwinsocで接続できるかというとそういった仕様にはなっていません。
■ ハードディスクの使用方法について ハードディスクの使用方法についてですが、「AZURIK - Rise of Perathia」の制作者の方が、ハードディスクにテクスチャを展開しているためこれだけ高速にテクスチャを貼ることができるとおっしゃっていたのですが、1つのゲームがハードディスクを占有してしまいほかのゲームが起動できないと言ったことは起こりうるんでしょうか? 吉岡直人氏 ハードディスクに関してはキチンとパーティションで区切られていて、たとえばテクスチャですとハードディスクの中のキャッシュ領域を使用するのですが、それは1タイトルで使用できる容量が設定されています。つまり予測できない容量オーバーというのはないんです。
■ 起動時間は? ユーティリティ画面は? まだ製品版が上がっていないのでわからないと思いますが、起動時間はどれくらいになりそうですか? 吉岡直人氏 コンシューマゲーム機ですから10秒かかったらアウトですよね。 ユーティリティなどは用意されるのでしょうか? 吉岡直人氏 ソフトなどをなにも入れなければプレイステーション 2のようにユーティリティ画面が起動します。ユーティリティに関しては現在開発中なので何とも言えませんが、我々が作っているのは内部時計の調整ですとか、言語の選択、ハードディスクやメモリーカードにセーブされているデータのマネジメントとかでしょうか。ほかでは、サウンドに関しても強化、調整する機能も入ってきますし、ビデオ出力の調整とかも入ってくる可能性もあります。
■ サードパーティのゲームチェックは行なうのか? 任天堂さんやソニー・コンピュータエンタテインメントさんは、サードパーティのゲームに関して発売前にチェックされていますが、マイクロソフトさんとしてはされるのでしょうか?
吉岡直人氏 やります。理由としてはプラットフォーム自体がキチッとしていないといけないわけです。一番悪いシナリオとしては「Xboxのゲームってすぐに止まっちゃうよね」といった噂が流れると困りますから。
■ 新しいゲームの可能性は? 個人的にプレイステーション 2が発表されたとき一番楽しみにしていたのは「電線」というタイトルで、このタイトルはなにかヘンだけど、これはプレイステーション 2でなきゃできないと思わせるものがあったと思うんです。Xboxにおけるそういったタイトルは登場するんでしょうか? 吉岡直人氏 もちろんドンドンと出てきて欲しいですね。私も個人的に「電線」に期待していましたし、たとえばプレイステーションが発売されたときに、個人的なキラータイトルを挙げるとしたら「麻雀ステーション 麻神」だったんです。こんなのもアリかと思いましたよ。もちろんプラットフォームの立ち上げ時には、強力なタイトルでガンと立ち上げなければなりませんが、その次に来るものの中にはそういったタイトルがたくさん出てきて欲しいし、出てくると思っています。
(2001年4月1日)
[Reported by 船津稔] |
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