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中古ゲームソフト訴訟、判決下る |
久保田裕ACCS専務理事・事務局長 (左) と本多圭司エニックス取締役社長 (右) |
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 (ACCS) および株式会社エニックスは27日、東京高裁の中古ゲームソフト訴訟の判決に対する見解を発表した。
今回の訴訟は、'98年10月5日にエニックスが、中古ゲームソフトを販売した「株式会社 上昇 (カメレオンクラブ)」に自社ソフトの差止請求を行なったことに対し、上昇が差し止め請求権不存在確認請求をしたことに端を発している。この件に関し東京地裁は'99年5月27日に、「ゲームは映画に類するものとは認められない」とし、上昇の訴えを容認。エニックスは「判決は夢にも思わないものだった (福嶋康博エニックス代表取締役社長、当時) 」とし、東京高裁に控訴した。
エニックスの控訴に対し、東京高裁は原審の結論を支持しエニックスの訴えを退ける判決を下した。エニックスは「到底承服できるものではありませんので、直ちに最高裁に上告いたします」としている。
本多エニックス取締役社長、久保田ACCS専務理事を中心にズラリと並んだ弁護団 |
弁護団は具体的に「東京地裁ではゲームソフトが『映画の著作物』として認められなかったが、今回の判決では認められた。またその上で、エニックスに頒布権が認められる判決内容となっている。そして、『中古品販売による利益をなんらかの形で著作権者に還元する立法等の措置を講ずる必要性がある』としている点では、前回否定された我々の主張が認められており、今回の判決は評価できる」としながらも、「そこまで認めているのにそれが判決に結びついていないのが問題」としている。
判決では、ゲームは「一つ一つの複製物が多数の者の視聴に供される場合の複製物 (=映画)」ではないとし、頒布権が認められないという結論に至っている。つまりゲームは「映画の著作物」ではあるが、限定解釈 (ACCS弁護団) により頒布権が認められないと言うことになっている。弁護団はこの限定解釈が唐突かつ曖昧であると主張。この背景にはCDなどの著作物に頒布権が認められていないため、ゲームだけ特別に認めるわけにはいかないといった事情もあるようだ。ACCSとしてはCDなど他の著作物も含め「著作者の権利がどこに帰属するのかを明らかにしなければ、立法化もままならない」と主張している。
□ACCSのホームページ
(3月27日現在、この情報に関する情報は掲載されていない)
http://www.accsjp.or.jp/index.html
□エニックスのホームページ
http://www.enix.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.enix.co.jp/info/info010327.html
□関連情報
【'99年5月27日】「ゲームは“映画の著作物”ではない」エニックスが敗訴 (PC Watch)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990527/accs.htm
【3月24日】「ゲームソフトは頒布権の対象外」ARTS側の勝訴会見
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010327/arts.htm
(2001年3月27日)
[Reported by 船津稔]
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