セガ、Dreamcast製造中止!
他社フォーマットへソフト供給の具体策を発表

1月31日 発表



佐藤副社長、香山特別顧問、永井、大山両専務、中村専務執行委員、山崎執行役員が出席
ムービー(59:30)
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 株式会社セガは、31日、都内ホテルで「構造改革プラン説明会」と題した記者会見を開いた。会場では取締役会長兼社長・大川 功氏名義の「家庭用ゲーム機の製造中止および通期業績予想の修正に関するお知らせ」と題したプレスリリースが配布され、Dreamcast本体の製造中止と、コンテンツ事業への特化が正式に発表された。

 会見には佐藤秀樹代表取締役副社長、香山 哲特別顧問(2月1日付けで共同最高執行責任者に就任)、永井 明、大山俊道両専務取締役、中村俊一専務執行委員、執行役員の山崎昇一氏が出席した。



■ 年末の商戦期に大きく勢いを失ったDreamcast
今回の撤退は「世界一のコンテンツプロバイダーになるための決定」

Dreamcastハードウェア製造中止を発表するセガ・佐藤副社長
 冒頭、佐藤副社長から「2001年3月31日をもって、Dreamcastの製造を中止する」と公式にハードウェア事業からの撤退が宣言された。今回の撤退は、「世界一のコンテンツプロバイダーになるため」の「利益回復を確実にするための決定」としている。原因として、「ハードウェアビジネスとソフトウェアビジネスの維持が難しく、収益構造が成立しにくい」ことを挙げ、これに伴って「今期の損失は800億円にのぼる」が、一方、現在病気療養中とされる大川氏からの「約850億円の個人資産を受贈されたことにより、資金の不安はない」としている。

 続いて、香山特別顧問から、「収益回復策」の説明があった。まず、Dreamcastの在庫は現在、日本28万台、アメリカ120万台、ヨーロッパ46万台、アジアで9万台。欧米で2000年9月に行なったDreamcast本体の値下げ直後は非常に好調であったハードの売り上げは、年末のクリスマスシーズンにおいて大きく勢いを失ない、今期の本体販売台数は日本28万台、アメリカ135万台、ヨーロッパ56万台、アジア13万台の計232万台に留まり、期待通りの結果が出せなかったと分析。

 来期に持ち越すDreamcast本体の在庫は、「家庭への最終的な普及を目的とした施策をとっていく」とした。「再び値下げはあるのか」という記者の質問に対しては、「エリアごとに最もベストな施策をとっていく。具体案は2月に発表する」とコメント。

 これにともない、セガ本体の組織見直し、コスト削減を始めとした合理化、海外を含めた関係会社の総点検を行ない、経営のスリム化を目指す。


■ ハード、ソフトとも継続して販売
周辺機器も在庫は確保済みでユーザーサポートは十分

「収益回復策」具体案を発表する香山特別顧問
 また、「収益回復策」の具体的対策案として、「セガはコンテンツ事業とアミューズメント事業に集中する」とし、実績のあるソフトウェア開発と、業界トップの施設を持つアミューズメント事業へ集中することを明らかにした。

 Dreamcast用ソフトに関しては、今期、全世界で900万本の売り上げを見込んでおり、来期も今期と同程度のタイトル数を送り出すことで、ほぼ同じだけの売り上げを見込んでいる。とくに香山氏は、「ネットワーク専用ゲームをDreamcast、PC向けに10タイトル開発している」と公表。「ソニー・コンピュータエンタテインメントとネットワーク対応アプリケーションやサービス、および将来のブロードバンド対応に関し相互に協力を検討することについて合意に達しており、具体的な話し合いに入っている」と、コンテンツ事業を柱にしたネットワークゲームに対しての期待を語った。

 同時に、「あくまでソフトはパッケージでの供給ありきで、ネットに対応していく必要はあるし、将来はどうなっていくかわからないが、市場は確実に大きくなる。それでも、今回の発表によって、ユーザーや流通サイドからのアゲインストがあるかもしれない」とし、Dreamcastソフトを開発しているサードパーティへのロイヤリティの見直しや、流通への施策を行なうことも公約した。特にサードパーティに対しては、「個人的には申し訳ない」と気づかいも見せた。

 また、「ユーザーに対しての本体や周辺機器などのアフターケアは継続していくのか?」という質問には、「周辺機器を含めて十分な在庫を確保している」とコメントした。


■ 「VF4」はDreamcastでの発売未定!
今期中にプレイステーション 2、ゲームボーイアドバンスにソフト供給開始

 「収益回復策」の大きな柱の1つとして、他社フォーマットへのソフト供給に関して具体的なタイトルも示された。今回発表されたタイトルは以下の通り。

    【プレイステーション 2】
  • 「バーチャファイター4」
  • 「サクラ大戦」シリーズ
  • 「スペースチャンネル5」シリーズ
  • 「つくろう!」シリーズ2タイトル

    【PS-one(欧米向け)】

  • 「ソニック」シリーズなどのセガサターンソフトをリニューアル移植

    【ゲームボーイアドバンス】

  • 「チュ-チュ-ロケット!」
  • 「ぷよぷよ」
  • 「ソニック・ザ・ヘッジホッグ アドバンス(仮)
    (アメリカでのGBA発売と同時に日米で同時投入)
神妙な面持ちで会見に臨む経営陣
 「サクラ大戦」をはじめ、1月24日の既報通り、「Dreamcast用タイトルは継続して開発していく」としたのとは対照的に、まだAC版も未公開の「バーチャファイター4(VF4)」に関して香山氏は、「NAOMI2基板で開発中であり、Dreamcastへの移植は現在のところ未定」とコメント。「VF4」をかわきりに、セガのゲームがセガハードで発売されなくなる可能性も遠い未来ではないことを伺わせた。

 また、「Xbox」「ゲームキューブ」向けのソフト供給については、「現在両社と協議中。ただし両ゲーム機の開発環境に関しては、両社のご協力ですでに整っている」とし、準備はすでにできており、あとは合意を待つのみであることを明らかにした。これらの次世代ハードに関して、「開発陣曰く、世間一般とは違う評価をしている。はっきりいってどれも一長一短。ハードの特性に合わせてソフトを開発していく」とコメント。

 さらに、同社のシステム開発研究所の手によるミドルウェア「NINJA」「SHINOBI」をプレイステーション 2向けに開発しており、ソフトを開発している関係各社に供給することも発表した。

 また、PCや携帯電話などのモバイルコンテンツ向けのソフト供給も、子会社を中心に行なっているものをセガ本社がまとめ、より積極的に有力企業との連携も視野に入れて行なっていくとしている。


■ 「原点にもどる」アミューズメント事業
「ダービーオーナーズクラブ」のような新機軸のタイトルを3~4ラインで開発中!

 もう1本の大きな柱であるアミューズメント事業に関しては、「ダービーオーナーズクラブ」のような新機軸のタイトルを3~4ラインで開発中。業界最大手のアミューズメント施設の閉店は完了し、ショッピングセンターやファミリーレストランなどと共同で、従来にない新しい「ファミリーエンターテイメントスペース」を開発、提供するとしている。

 また、全世界で70%のシェアを誇る業務用ボード「NAOMI」のネットワーク対応、他社のアーキテクチャーを含めた新基板の開発(ネット対応も含む)を進めていることも明らかにした。この基板開発をはじめ、アミューズメント施設のネットワーク武装も改めて宣言。

 それから、「数少ない収益をあげているネットワークショップビジネス」としての「ドリームキャストダイレクト」についても触れ、「Dreamcastユーザーにハード、ソフトを届けるプランを重点的に投入し、強化する」とした。


■ 「構造改革推進本部」を設置
構造改革推進本部長に香山特別顧問が就任

会見後も各マスコミに取り囲まれた佐藤副社長。「セガも変わらなきゃ。ネットワークから何が生まれるかわからないよ」とコメント
 今回のこの構造改革は、1月31日付けで決議され、設置された「構造改革推進本部」本部長に就任した香山氏によるところが大きい。大川氏は別紙で「今後、佐藤氏と香山氏を中心とした若い経営執行体勢のもと、株主様はじめ、ユーザー様各位のご期待に応えるべく努力してまいります」と述べているとおり、新体制のセガが具体的に動きだしたということだろう。

□セガのホームページ
http://www.sega.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sega.co.jp/sega/corp/news/nr010131_2.html
□関連情報
【2001年1月24日】セガ、コンテンツ事業、アミューズメント事業を柱とした構造改革を検討
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010124/dc.htm
【2001年1月24日】セガ、未発表Dreamcastタイトルを一挙に公開!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010124/sega.htm

(2001年1月31日)

[Reported by 佐伯憲司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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