★ PCゲーム ファーストインプレッション ★

心の闇と戦う10年後の“アリス”の物語
アリス・イン・ナイトメア

【ゲームの内容】

 火事で父や母を亡くしたアリスが精神病院での10年間の闘病を経て、変わり果てた不思議の国を舞台に自分を取り戻す戦いの冒険に再度出る。美しいグラフィックとエフェクト処理を多用した3人称視点のアクションアドベンチャー。グラフィックエンジンは「QUAKE III」を採用。



 これは何というか……強烈な作品だ。これまでにも童話や伝説、小説などをモチーフに作られたゲーム、あるいはオマージュとして作られた作品は数多くあったし、奇抜な発想のものも決して少なくはなかったと思う。しかし、そのどれもがこの作品の前にはかすみ、色あせて見えてしまう。それくらい、この「アリス・イン・ナイトメア」は鮮烈なインパクトをプレーヤーに投げつけてくる。そう、「投げかけてくる」という程度の生やさしいものではなく「投げつけてくる」という表現が極めてしっくりくるタイトルなのだ。世界中で愛されている、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」の時計を下げたウサギや、ニヤニヤ笑いのチェシャ・キャット、トランプの兵隊など日本でもおなじみの夢の世界のキャラクタたちが、悪夢の世界へとその身を移して登場するこのゲーム。グロテスクな中にも制作者のセンスがうかがえる作品だ。

メニューやオプション設定の画面も病的な雰囲気を漂わせる。終了確認のメッセージが妙に挑戦的


 ゲームを始めるとそこは悪夢の世界

 ゲームを始めると、やはりその世界観の異様さに、最初は驚かされることになるだろう。不気味というか悪趣味というか、タイトル通り悪夢 (ナイトメア) のような世界がそこには展開される。ゲーム内のみならず、メニュー画面やオプション画面、ゲーム終了の確認画面にいたるまで、このセンスは浸透しているので、いろいろと試して隅々まで悪夢の世界を堪能してみるといいだろう。

 「QUAKE III」の描画エンジンを使用したこのゲーム。そう聞くと、同エンジンを採用した多くのゲームがそうであるように、このゲームも「QUAKE」ライクなシステムだと思われる方もあるかもしれない。しかし、どちらかといえばこのゲームは「トゥームレイダー」シリーズに近い“アクションアドベンチャー”と呼んだ方がいいのではないかと思う。それは、キャラクタの背後にカメラを置いた三人称視点や、場面に応じて必要になるジャンプアクション、また、ロープにつかまって高いところに上ったり、対岸に渡ったりといったアクション要素を挙げれば理解していただけると思う。ただし、アイテムを使うという概念は存在せず、回復アイテムなどは手に入れたその場で使用、先に進むためのキーアイテムも、入手すれば先へ進めるというシステムなので、アドベンチャーというほど謎解き要素が強いわけではない。

オープニングのムービーでは、アリスが悪夢の世界に迷い込むまでが描かれる。両親の写真や懐中時計、開かれたままの「不思議の国のアリス」の本に、うさぎのぬいぐるみ等々、小道具がふんだんに配置されているのにも注目したい


 おもちゃを貴重とした豊富な武器

武器となるトランプは、敵の中にも投げてくるものがある。なれるまでは、このシーンで何度もゲームオーバーを迎えることになるかもしれない
 「不思議の国のアリス」のオマージュだからといっても、このゲームが決してほのぼのしたスラップスティックな世界観を持ったゲームではないのは画面を見てもわかるとおり。アリスに敵対する赤の女王が率いるトランプの兵隊は容赦なく襲いかかってくるし、そのほかにもアリスの前に立ちふさがるキャラクタたちを倒しながら進んでいかなければならない。

 アリスの武器は全部で10種類。基本武器のナイフのほか、追尾能力もあるトランプ、クロッケーの木槌、びっくり箱ボムなど、おとぎ話では定番ともいえるアイテムが武器として登場する。中には悪魔を召喚して敵と戦わせる悪魔のサイコロや、時間を止めてしまう不思議な時計などの特殊な効果を持つものもある。武器の多くはメイン攻撃とサブ攻撃の2種類の攻撃方法をもっているので、それぞれの武器の特性を知り、状況に応じて使いわけられるようにしたい。

 また、武器を使用する際には勇気レベルを消費する必要がある。勇気レベルは画面内に青いゲージで表示され、ナイフ以外の武器を使うことで減少していく。勇気レベルは時間とともに徐々に回復するが、速度はかなり遅いので、マップ内に配置されている回復アイテムを利用したり、敵を倒したときに現れるメタエッセンスを取って回復していく必要があるだろう。特にメタエッセンスは、勇気レベルとともにアリスの悪夢世界での体力ともいうべき意識レベル (赤いゲージで表示) も回復してくれる。敵の攻撃を受けたり、毒の泥の中に踏み込んだりするとアリスの意識レベルは低下し、これがゼロになるとゲームオーバーなので、意識レベルの回復アイテムやメタエッセンスは逃がさずに拾うようにしたい。

アリスを不思議の国へと誘ったうさぎや、ニヤニヤ笑いのチェシャ・キャット。彼らはこの国では数少ないアリスの協力者たちだ。チェシャ・キャットは必要に応じて呼び出し、助言を仰ぐこともできる
イベントシーンが挿入される場面もある。独特の、取り込まれてしまいそうな世界観が魅力的だ


 クセのある操作方法

ロープにつかまっているときは、“W”と“S”キーでロープを揺らし、ジャンプで対岸に飛び移ることができる。目測をあやまって落ちてしまわないように
 デフォルトでの基本操作はキーボードのW・S・A・Dで前後左右への平行移動、マウスで振り向きや上下への視点移動と、メイン/サブの攻撃という、多少クセのある配置になっている。けれど、これはできるだけ変更しない方がいいだろう。なぜなら、スペースバーでジャンプ、SHIFTで走る/歩くの切り替え、フルキーの1〜0が武器の切り替えになっていて、なれれば左手だけで全ての操作ができるようになり、右手をマウスから離す必要がなくなるからだ。もちろんカスタマイズは自由にできるので、どうしてもなじめない方は変更してもいいだろうけれど。

 問題があるとすれば、レバーの操作とロープにつかまるときだけはENTERを押さなければいけないことだろうか。これだけは、“Q”など手近なボタンに変更した方が操作性を上げられるのではないかと思う。

かなりリアルなトランプの兵隊。ナイフで切りつけるとスッパリと……
最初は武器を持たないアリスが、はじめて手にするのがナイフ。武器はマップの各所に配置されているので、取り忘れないようにしたい


 力の入った日本語ローカライズ

 個人的に気に入っているのが、このゲームのローカライズ方法。一般的に「日本語版」と呼ばれるものは、音声やテキストを日本語化することでストーリー進行を親しみやすいものにする程度なのだけれど、「アリス・イン・ナイトメア」ではグラフィックにもローカライズをほどこし、店の看板なども全て日本語化されているのだ。また、インストールする際に「全て日本語」「音声は日本語」「表示は日本語」「全て英語」から環境を選択することができる。映画を字幕で楽しむか、吹き替えで楽しむかのような感覚でプレイ環境を選べるのはユーザーにとってありがたいことだと思う。グラフィックにまで手を入れるのは大変かもしれないが、こうしたユーザーフレンドリーな対応を施したソフトが数多く登場することを望みたい。

 欲を言えば、インストール時だけでなく、プレイ中にも気分次第でこれらの環境を変更できればもっとよかったのだけれど、これは望みすぎだろうか。フルインストールによってハードディスクは圧迫されるかもしれないけれど、ユーザーによる選択肢で、そこまで可能になれば何もいうことはなかった。

看板の表記が日本語化されているのに注目。グラフィック部分にまで手を入れるソフトは少ない。それだけ移植に力の入ったタイトルであることがうかがえるはず


 付属の小冊子も雰囲気満点

攻撃力を一時的に上げる「怒りの箱」を取ったアリス。このグラフィックはかなり……コワイ
「アリス・イン・ナイトメア」には、マニュアルのほかにもう1冊、小冊子がついている。表紙に「CASEBOOK ラトレッジ精神病院 症例記録」とあり、患者名には「アリス」と書かれている。実は、このゲームのヒロインであるアリスは火事で両親を失い、本人は奇跡的に助かったものの、1年近く昏睡状態にあった病人だったのだ。この小冊子には医師による現実世界でのアリスの治療記録が綴られているが、ところどころにある医師の走り書きなど演出も多彩で、モダンホラーを思わせる内容も一読の価値ありだ。こうした小冊子やマニュアルを読まずにプレイされるユーザーも多いと聞くが、もしもこのゲームに興味をお持ちなら、ぜひ本編とあわせ、この小冊子にも目を通されることをおすすめしたい。そして、ここからはプレーヤーであるあなた次第。アリスを悪夢から救い出すか、アリスの悪夢に取り込まれるか……。今日も、アリスは悪夢の世界であなたの訪れるのを待っている。

(C) 2000 Electronic Arts Inc. All rights reserved.


【動作環境】
  • CPU:Pentium II 400MHz以上 (Pentium III 500MHz以上推奨)
  • メモリ:64MB以上 (128MB以上推奨)
  • HDD:580MB + セーブ容量 (620MB以上推奨)
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上 (8倍速以上推奨)
  • ビデオカード:16MB以上のビデオRAMを搭載のOpenGLに対応しているドライバを備えた、 DirectX7.0a以降に対応しているグラフィックカード


□エレクトロニック・アーツ・スクウェアのホームページ
http://www.japan.ea.com/
□「アリス・イン・ナイトメア」のページ
http://www.japan.ea.com/alice/main.html
□「アリス・イン・ナイトメア」DEMO版ダウンロードページ (80.1MB)
http://www.japan.ea.com/alice/downloads.html
□関連記事
【2000年12月26日】開発者 特別インタビュー
心の傷と戦う異色のストーリー「アリス イン ナイトメア」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20001226/game.htm

(2001年1月19日)

[Reported by 山城 宏]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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