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★ PCゲーム ファーストインプレッション ★
これは何というか……強烈な作品だ。これまでにも童話や伝説、小説などをモチーフに作られたゲーム、あるいはオマージュとして作られた作品は数多くあったし、奇抜な発想のものも決して少なくはなかったと思う。しかし、そのどれもがこの作品の前にはかすみ、色あせて見えてしまう。それくらい、この「アリス・イン・ナイトメア」は鮮烈なインパクトをプレーヤーに投げつけてくる。そう、「投げかけてくる」という程度の生やさしいものではなく「投げつけてくる」という表現が極めてしっくりくるタイトルなのだ。世界中で愛されている、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」の時計を下げたウサギや、ニヤニヤ笑いのチェシャ・キャット、トランプの兵隊など日本でもおなじみの夢の世界のキャラクタたちが、悪夢の世界へとその身を移して登場するこのゲーム。グロテスクな中にも制作者のセンスがうかがえる作品だ。
■ ゲームを始めるとそこは悪夢の世界 ゲームを始めると、やはりその世界観の異様さに、最初は驚かされることになるだろう。不気味というか悪趣味というか、タイトル通り悪夢 (ナイトメア) のような世界がそこには展開される。ゲーム内のみならず、メニュー画面やオプション画面、ゲーム終了の確認画面にいたるまで、このセンスは浸透しているので、いろいろと試して隅々まで悪夢の世界を堪能してみるといいだろう。 「QUAKE III」の描画エンジンを使用したこのゲーム。そう聞くと、同エンジンを採用した多くのゲームがそうであるように、このゲームも「QUAKE」ライクなシステムだと思われる方もあるかもしれない。しかし、どちらかといえばこのゲームは「トゥームレイダー」シリーズに近い“アクションアドベンチャー”と呼んだ方がいいのではないかと思う。それは、キャラクタの背後にカメラを置いた三人称視点や、場面に応じて必要になるジャンプアクション、また、ロープにつかまって高いところに上ったり、対岸に渡ったりといったアクション要素を挙げれば理解していただけると思う。ただし、アイテムを使うという概念は存在せず、回復アイテムなどは手に入れたその場で使用、先に進むためのキーアイテムも、入手すれば先へ進めるというシステムなので、アドベンチャーというほど謎解き要素が強いわけではない。
■ おもちゃを貴重とした豊富な武器
アリスの武器は全部で10種類。基本武器のナイフのほか、追尾能力もあるトランプ、クロッケーの木槌、びっくり箱ボムなど、おとぎ話では定番ともいえるアイテムが武器として登場する。中には悪魔を召喚して敵と戦わせる悪魔のサイコロや、時間を止めてしまう不思議な時計などの特殊な効果を持つものもある。武器の多くはメイン攻撃とサブ攻撃の2種類の攻撃方法をもっているので、それぞれの武器の特性を知り、状況に応じて使いわけられるようにしたい。 また、武器を使用する際には勇気レベルを消費する必要がある。勇気レベルは画面内に青いゲージで表示され、ナイフ以外の武器を使うことで減少していく。勇気レベルは時間とともに徐々に回復するが、速度はかなり遅いので、マップ内に配置されている回復アイテムを利用したり、敵を倒したときに現れるメタエッセンスを取って回復していく必要があるだろう。特にメタエッセンスは、勇気レベルとともにアリスの悪夢世界での体力ともいうべき意識レベル (赤いゲージで表示) も回復してくれる。敵の攻撃を受けたり、毒の泥の中に踏み込んだりするとアリスの意識レベルは低下し、これがゼロになるとゲームオーバーなので、意識レベルの回復アイテムやメタエッセンスは逃がさずに拾うようにしたい。
■ クセのある操作方法
問題があるとすれば、レバーの操作とロープにつかまるときだけはENTERを押さなければいけないことだろうか。これだけは、“Q”など手近なボタンに変更した方が操作性を上げられるのではないかと思う。
■ 力の入った日本語ローカライズ 個人的に気に入っているのが、このゲームのローカライズ方法。一般的に「日本語版」と呼ばれるものは、音声やテキストを日本語化することでストーリー進行を親しみやすいものにする程度なのだけれど、「アリス・イン・ナイトメア」ではグラフィックにもローカライズをほどこし、店の看板なども全て日本語化されているのだ。また、インストールする際に「全て日本語」「音声は日本語」「表示は日本語」「全て英語」から環境を選択することができる。映画を字幕で楽しむか、吹き替えで楽しむかのような感覚でプレイ環境を選べるのはユーザーにとってありがたいことだと思う。グラフィックにまで手を入れるのは大変かもしれないが、こうしたユーザーフレンドリーな対応を施したソフトが数多く登場することを望みたい。 欲を言えば、インストール時だけでなく、プレイ中にも気分次第でこれらの環境を変更できればもっとよかったのだけれど、これは望みすぎだろうか。フルインストールによってハードディスクは圧迫されるかもしれないけれど、ユーザーによる選択肢で、そこまで可能になれば何もいうことはなかった。
■ 付属の小冊子も雰囲気満点
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□エレクトロニック・アーツ・スクウェアのホームページ http://www.japan.ea.com/ □「アリス・イン・ナイトメア」のページ http://www.japan.ea.com/alice/main.html □「アリス・イン・ナイトメア」DEMO版ダウンロードページ (80.1MB) http://www.japan.ea.com/alice/downloads.html □関連記事 【2000年12月26日】開発者 特別インタビュー 心の傷と戦う異色のストーリー「アリス イン ナイトメア」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20001226/game.htm (2001年1月19日)
[Reported by 山城 宏] |
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