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カプコン、「鬼武者」完成イベントを開催 |
最初に登場した稲船敬二プロデューサー。「3年作っていて、完成して正直ホッとしている」とコメント |
最初に登壇したプロデューサーの稲船敬二氏は「制作に3年間かかったが完成してホッとしている。お金も人も投入したし、カプコンだけでなく多くの人たちの技術の結集となり、いい作品となった」とし、「ゲームは高い商品なのでハズレたからごめんなさい……と簡単には言えない。ただ、『鬼武者』の完成度には自信がある。ぜひ一度体験してから買って欲しい」とコメントした。
さらにクリエイターが次々に登壇し、制作秘話などを披露した。最初にステージに登場したのはシナリオを担当したフラグシップの杉村昇氏で、「シナリオはシンプルにした。これは他のゲームにも言えることだが、ユーザーがゲームに熱中した時に複雑だとストーリーを忘れてしまうかもしれないし、そうなってはいけないと思う」とコメント。歴史を取り込みながらも、ゲームを面白くする上でファンタジックな要素を織り込みバイオハザードなどのソフトとの差別化を図ったという。また、明智左馬介秀満を主人公に据えたことに関しては、「歴史を違う視点から見ることができたと思う。色の濃い (特徴のある) 人物ではないので、ユーザーによってどのような色にも染まると思う」と理由を明かした。
音楽の佐村河内守氏は過去のゲームの音楽との違いについて「まずスケール感を大切にした。総勢205名というクラシック音楽でも例を見ないほどの人数を駆使した作品となったことでスケール感が出たと思う。2つ目は歴史観の追求で、和楽器をたくさん使用した。だが、和楽器は規制が厳しくこの規制との戦いには大変苦労させられた。3つめは音楽的な統一感で、ゲームを通してイメージを統一したかった」とコメント。「今回の音楽は、流行の癒やしの音楽とは対極の戦いの曲だが、癒やすためには戦いが必要で、戦いには勇気が必要。誰もが日常生活で戦っていることがあると思うが、その時の勇気の支えとなって欲しい」と締めくくった。
CG関連のクリエイターとしては、オープニングを担当した佐藤嗣麻子氏と劇中ムービーやエンディングを担当した金田龍氏が登場。佐藤氏はCGの賞としては最高の賞となるシーグラフの受賞理由となった“6人同時キャプチャ”に関して「大変だけど一人一人キャプチャしたら人間同士の絡みを描くことができない。6人同時の絡み合いを一度にキャプチャすることでラクになった」とコメント。
またCGへのこだわりにも触れ「今回は泣くシーンはなかったけど、泣くシーンをモーションキャプチャするとき本当に泣かなければ肩が震えないため、リアルではない。今後はレーザーなどで、目玉と瞼のデータもキャプチャできるようになって欲しい。目の動きなどで表情は変わるし、感情を表現してくれるから」と熱く語った。また、金田氏は「ぜひゲームを進めていただいてムービーも見て欲しい。“鬼武者”の意味はエンディングムービーを見ることで明らかになりますから」と気になるコメントを残した。
シナリオの杉村昇氏。なぜ明智左馬介秀満を主人公に据えたのか? といった興味深いコメントが展開された | 音楽を担当した佐村河内守氏。総勢205名という壮大なオーケストラを率いての音楽収録となった | 記者会見で太鼓による演奏が繰り広げられた |
最後に登場したのは明智左馬介のモデルとしてだけでなく、ゲストクリエイターとしてゲームの制作にも関わった俳優の金城武氏。稲船氏によれば金城氏は本当にゲームが好きで、どこに行ってもゲームをしているほどだという。今回、好きが高じてゲームの制作に加わったのだが、その作業は大変だったらしい。稲船氏の話で「途中で一度、金城氏の事務所に呼ばれ、『全部変えたいんだけど』と言われたときは青くなった」といった逸話も公開された。
金城氏は「ゲームが好きなので、話を聞いたときは嬉しかったが、自分だけで作っているのではないので、ゲームの他の部分を見たときに自分は違ったものを用意しなければならないと思い作り替えた」と冷静に語った。そのあと、自分の制作したシーンを初めて観て「感じが違うなぁ。色が違う」とクレームを付ける一幕も。稲船氏の「これから直しますか」の問いに「鎧の色変わりますか」といった危ない会話も交わされていた。また、「“鏡張りの部屋”などのアイディアも出したんだけど『無理です』と一言で断わられた」といった話も披露された。
そのあとゲームを実際にプレイしてみたが、「ちょっと難しいところを……」と言うリクエストにボスとの戦いとなった。敵の攻撃を避けうまく戦い、稲船氏も「やっぱりうまいですね」と感心していた。残念ながら倒すことができなかったが、「いや、このゲーム面白いですよ」とアピールすることも忘れなかった。
かなりのゲーム好きとして知られている金城武氏。ゲームクリエイターとしての金城武を垣間見ることができる対談を展開 | 稲船プロデューサーの「素人にもプレイしてもらいましょうか」との問いかけに金城さんは「オレのこと?」といいながらもゲームに熱中 | CGディレクタの佐藤嗣麻子氏 (中央) と金田龍氏 (右) 。「目の玉のデータが欲しい」など、かなり濃いCG談義が繰り広げられた |
クリエイターの方によって行なわれた鏡開き | 鏡開きが行なわれたお酒は、振舞酒として来場者に配布 | 会場に試遊台を設置。数多くの来場者が楽しんでいた |
(2001年1月17日)
[Reported by 船津稔]
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