“あの”ソラカ先生と学ぶ!? やさしい「League of Legends」初心者ガイド

【連載:第4回】対人戦にコツってあるの?

【第4回】

10月19日 公開

 これから「League of Legends」(以下、LoL)を始めたい方向けに「『LoL』とはなんぞや?」というところをやや駆け足気味でお伝えしてきた本連載も今回で最終回。テーマは「対人戦」だ。

 繰り返しお伝えしているように、対人戦は「LoL」のメインコンテンツだ。これまでが「練習」ならば、対人戦は「試合」にあたる。お互い「勝ちに行く」プレイをするので、当然、簡単には勝たせてもらえない。

 言うまでもないが、AI戦と対人戦の最も大きな違いは「味方や相手の動き」だ。マップの形やユニット、アイテムの性能に違いは一切ない。それでも毎回異なる"ドラマ"が生まれるのが、オンラインゲーム、そしてMOBAの特徴だ。

 対人戦にはいくつかのモードがあるが、今回も前回までと同じマップ「サモナーズリフト」を舞台とした俗に「ノーマル」と言われるモード「ブラインドピック」を前提に説明する。

「サモナーズリフト」の1番上に位置する「ブラインドピック」。5人対5人の対人戦の入り口となるモードだ

 まず、対人戦できわめて重要になる要素のうち、AI戦ではほとんど意識する必要のなかった部分として「ジャングル」の存在が挙げられる。前回も少し言及したが、ジャングルとは最初の段階である程度視界が確保されている「レーン」の外側にある領域のことを指す。

 ジャングル内には強力だが見返りの大きい「中立モンスター」が配置されており、チームのうちジャングルに行くメンバーは「ジャングラー」と呼ばれる。ジャングラーは試合最序盤において、中立モンスターを狩って成長する。

 また、ゲームの中盤以降は討伐するとチームメンバーにバフ(強化)効果がかかる、より強力な中立モンスター「エピックモンスター」に"とどめを刺す"のもジャングラーの重要な役割になる。エピックモンスターから得られるバフは、ダメージの蓄積にかかわらず「とどめを刺したプレーヤー、もしくはプレーヤーのチーム」につくので、モンスターを倒す直前で敵チームが介入してくることがありうる。

 このとき、ミニオンやモンスターに対して固定ダメージを与えるサモナースペル「スマイト」を持つジャングラーには、きっちりととどめを刺してバフを確保することが期待される。

中立モンスターに固定ダメージを与えるサモナースペルのひとつ、「スマイト」。これで中立モンスターに確実にトドメを刺すのがジャングラーに求められるテクニックの1つ。なお、特殊なアイテムを購入することで、チャンピオンに対してもダメージやデバフを与える効果を付与できる
倒すとバフ(もしくは一時アイテム)が得られる中立モンスターの一例。バロンナッシャー(左上)、リフト・ヘラルド(右上)、ブルーセンチネル(左下)、レッドブランブルバック(右下)

 ジャングラーの役割は、大きく分けて2つ。先に述べた「中立モンスターの討伐」と、「ギャンク」(Gank)である。

 ギャンクとはまた聞き慣れない言葉だが、直訳すると「盗む」とか「ボコる」というスラング寄りの英単語だ。「LoL」における行為としてのギャンクは、ジャングラーがレーン外の領域から各レーンに攻め込み、一時的に数の優位を取って、そのレーンでのキルを狙うことだ。要するに囲んでボコるのである。

 では逆に、レーンにいるときに囲んでボコられないようにするにはどうしたらいいのか?最も有効な策は「視界を取る」ことである。敵の位置がわかれば、奇襲を受けないように距離を取ることができるからだ。

 視界を取る方法はいくつかあるが、最もお手軽なのは、0ゴールド(無料)で購入できる、再使用可能な「ワードトーテム」で置ける「ワード」を使うことだ。効果時間に比べて再使用までのクールタイムが長いため、常時視界を取ることはできないが、何しろ無料で使えるので、積極的に置いていきたい。

【「ワード」の効果】
「ワード」を置いていないと相手ジャングラーが目の前に現われ、奇襲されることになる!
「ワード」を置いておくことで、相手ジャングラーの接近を察知することができる。これだけ距離があれば一旦引く余裕もあるだろう

 主に序盤、中盤でギャンクを成功させる(≒キルを取る)と、そのレーンが金銭面、レベル面で大きく有利になる。もちろん、ギャンクしたからといって必ずしも有利になるわけではなく、チャンピオンの相性次第では、手痛い反撃を受けてキルを取られてしまうこともありうる。ジャングラーは状況判断力も要求されるので、ある程度ゲームに慣れたら挑戦したいロール(役割)とも言える。

 ジャングルを回るジャングラーのロールが増えるだけで、各レーン担当はより慎重に序盤のレーン戦を行なう必要が出てくる。ギャンクを防ぐために「ワード」を刺す(「LoL」界では「ワード」を使用することを"刺す"という)。そしてマップを常に見る。これは初心者脱出の重要な第1歩となるので、しっかりと徹底しておきたい。

ジャングラーがチーム全体にバフのかかる「ドレイク」を狩っているところ。討伐に参加する人数が多ければそれだけ速く倒すことができるが、敵の視界に入るチャンピオンの数が減るため、狩っていることがバレやすくなる

 さて、このゲームで勝つために最低限必要なことははっきりしている。それは「知識」と「コミュニケーション」だ。

 ここでいう知識とは、チャンピオンのスキルやアイテムの性能など、ゲーム仕様にかかわる部分のこと。チャンピオンであればスキルの内容や効果範囲、持続時間、再使用までのクールタイムなどがそれにあたる。重要なのは、敵味方チームのメンバーが、それぞれどのようなスキルを持ち、それぞれどのような効果があるかを把握することだ。

ゲーム内では動画付きでチャンピオンスキルの確認ができる
「OP.GG」ではレベルアップごとの上昇数値など、細かなデータが見られる

 また、アイテムの中にも任意のタイミングで特殊効果を発動するものがあるので、これはスキルが1つ増えたようなものと捉えることができるし、持っているだけで得られるアイテム自体の性能もいずれは把握しておきたい。こうした知識には、「これらの基礎知識を踏まえたうえで、自分とチームメンバーがどう振る舞うべきかを知っていること」も含まれる。

 だが、いきなりこれらをすべて把握した状態でゲームを始めろというのも酷な話だ。知っていれば攻め時、引き際を判断するのに有利なのは確かだが、それではゲームを始める前に疲れてしまう。それに本稿執筆時点で141体いるチャンピオンの性能について、すべて予習するというのも現実的ではないし、たぶんそんな人はいないと思う。

 実際のところは、とりあえずゲームを始めてみて、スキルやアイテムの効果を目の当たりにしながら把握する方が手っ取り早い。試合の回数をこなし、「敵のスキルを1度自分で受けてみる」ことは、ある意味最も簡単な学習方法でもある。

 試合には負けてしまうかも知れないが、そういったほかのプレーヤーとの格差は、始めたばかりのゲームではあって当然。ほかの対戦ゲームにもある「負けて覚える」側面が、「LoL」にもあるというだけの話である。いずれその敗北が勝利のための1歩になるので、今は何も気にする必要はない。

 以前にも紹介しているが、座学的な知識に関しては、「OP.GG」や「LoLBuild.JP」といったビルドサイトや、「LoL」公式のLINEアカウントから学ぶのもありだ。

 大事なのは、敗北に向き合い、反省し、研究し、理解し、また挑む勇気を持つことだ。もし「よくわからないが勝っていた」ならば、「なぜ勝てたのか」を自分なりに分析するのも良い。「LoL」は「対戦履歴」において、試合開始から終了までの流れが見られる「リプレイ」機能を標準で内蔵(ただし対人戦のみ対応)しているので、敵の動きや自分の判断、我ながらナイスなプレイ、防げたはずのミスなどを振り返ることができる。毎回、何かしらの発見があって意外と面白いので、ぜひ活用してほしい。

「対戦履歴」の右端でリプレイをダウンロードできる。ダウンロード済みのリプレイには三角形の再生マークが表示され、試合の経過を追うことができる。画像下の矢印マークは、まだダウンロードしていないリプレイ。1番上はAI戦のためリプレイを利用できない

 続いて、勝つために必要なもう1つの要素、「コミュニケーション」について。

 「LoL」はとにかく忙しいゲームだが、レーンで戦っている段階では、相手に関する色々な情報を得ることができる。例えば相手のスキルやサモナースペルの使用状況(クールダウン中かどうか)であったり、どの位置にワードを置いたかであったり、あるいは自分の視界から消えていることであったりと様々だ。こうした情報は常に意識して把握しておきたい。

 そうした情報をいち早く味方に報せるには、「ピン」(Ping)を使うとわかりやすい。ピンはホットキーを押すことで警告を出すことができる機能。ホットキーを押しながらマウスボタンの左ドラッグで出す警告の種類を選ぶこともできる。

ホットキー長押しとマウスドラッグの組み合わせで出せるピンの種類を選べる
それぞれのピンはホットキーを設定できる

 テキストチャットでも情報を共有することはできるが、タイプしている時間がもったいないし、マップ上の任意の位置に直接警告を出せる点で、ピンの方がメリットが大きい。ゲーム中のコミュニケーションは、基本的にピンだけで事足りる。対人戦においては、敵チームの情報を共有するのにほぼ必須のテクニックなので、忘れずに使っていこう。

 なお、「LoL」には「リーグボイス」という内蔵ボイスチャットも備えているので、あらかじめフレンドなどほかのプレーヤーとグループを組んでいる場合は活用してみてもいいだろう。

 重要なのは、自分の意思をチームに伝えることだ。チームメンバーはプレーヤーとしての経験値も違うし、その時考えていることも違う。自分がその時やりたいこと、やるべきと考えていることを、必ずしもほかのメンバーが察してくれているとは限らない。というかそれはありえないので、ピンやチャットによって1つの方向性を示し、チームとしてまとまるきっかけを作るのは大切なことだ。これはプレイを重ねるほどにいやでも実感することになる。

 また、テキストチャットの使い方にも注意したい。対人戦では負けがこんでくると機嫌の悪くなる人も出てくる。確かにチームとしていくつかのミスが不利な状況を招いているのは間違いないが、まっとうにプレイしている限り、ミスをしてしまうのは誰にでもあることだ。それを責め立てるような言動は、やめておいたほうがいい。

 自分のプレイに非はないのに負けるかもしれないというのはかなりのストレスなので気持ちはわからなくもないが、その心情の吐露は基本的に何の役にも立たないただの感想だし、それで状況が好転することはまずない。

 あまりにひどい場合はゲーム終了後にその言動を報告され、それを繰り返した場合はチャット制限やログイン制限などのペナルティを受けることになる。もし自分がそうした言動に晒されている場合は、発言者のチャットをミュートする設定も選択肢に入れるべきだ。よく「LoL」が「こわいゲーム」だと言われてしまうのは、こうしたプレーヤーによるところも大きい。

ミュートはチャット欄にコマンド「/mute (サモナー名)」を入力するほか、Tabキーのスコア画面からも行なえる

 「LoL」は油断すると、いや油断していなくても、うっかりすると簡単にキルを取られるゲームだ。移動ルートや間合いの取り方をひとつ間違えるだけで、動けなくされてサンドバッグにされる、あるいは瞬間的に溶かされる。

 特にゲームを始めたばかりの段階では、敵が使うスキルの範囲や性質に詳しくないだけでなく、「敵のチャンピオンがこの間合いでしてくる可能性のあること」を察知できず、判断が遅れてキルされてしまうことも多々ある。こればかりは知識だけではどうにもならない。1人でプレイしているならば教えてくれる人もいないし、試合後にリプレイを見て、どうするのがベストな動きだったのかを自分なりに省みることの積み重ねで、知識と経験が結びつき、血肉になるのは実際のスポーツとよく似ている。

リプレイを見ると、プレイ中には気付かなかった自分以外のプレーヤーの意図が見えてくることもある

 最初のうちは「よくわからないがなぜか勝てた」、「いつのまにか負けていた」ということもあるかと思うが、知識と経験を積めば、それも減っていくはずだ。こちらがより有利になるだろうと考える動きは、相手もしてくる可能性が高い。そこを想像できるかどうか。それはAI戦だけプレイしていてはわからないことだ。

 まずはボコボコにされてみて、気になることがあったら調べる。これをめげずに繰り返し、どう対策すればいいのかを考えることだ。1番いいのは使えるチャンピオンを増やすことだが、どうあがいても楽な道はない。だが使えるようになってみると、新しい道が開けたような気持ちになるので、新しいチャンピオンの練習は、日々続けていくことをおすすめしたい。

1体のチャンピオンをある程度使えるようになったら、別のチャンピオンに手をつけてみるのもいいだろう
「OP.GG」の「チャンピオン分析」画面の右端には、チャピオンごとの勝率、ピック率、そしてTierなども表示されている。Tierの高さは"現パッチ・現時点での"相対的な強さを示すものなので、次のチャンピオン選びの参考にするのもいい

 最後に、対人戦に慣れてきたら「ランク戦」に挑戦してみるのも一興だ。ランク戦は、サモナーレベル30以降に挑戦できる、戦績によって順位付けされるモードだ。「ブラインドピック」のノーマル戦は、良くも悪くも気軽にできるゲームモードなので、人によってはチャンピオンの練習に来ていたりもして、負けたところで気にしないプレーヤーも多い。言ってしまえば気軽に遊べるカジュアルなモードでもあるということだ。

 だがランク戦となると話は別だ。約1年区切りのシーズンごとに戦績が残り、絶対的に格付けされてしまうし、ランク戦に来るプレーヤーは皆、上を目指して参加しているので基本的にガチンコの真剣勝負となる。

 ランク戦はシビアで要求されることが多い代わりに、常にヒリヒリするような全力の試合が楽しめる。さらに概ね同じようなランク=実力の相手とマッチングするようになっているので、腕を磨くにはもってこいだ。一方で全員が"ガチ"であるがゆえにチーム内での諍いが発生やすかったりはするのだが……これは前述のミュート機能をフル活用して、穏やかな心で試合に臨むようにしたい。

 ちなみに、ランクは下から「ブロンズ」、「シルバー」、「ゴールド」、「プラチナ」、「ダイヤ」、「マスター」、そして最高位の「チャレンジャー」の7段階が存在しており(2018年10月現在)、ランク戦にハマったプレーヤーは真剣勝負を求めて、あるいはランクをひとつでも上げるために試合を回し続けることになる。ランク戦のシステムこそが「LoL」が"沼"と言われるひとつの所以なのだ。レベル30になったら、是非恐れずランク戦にチャレンジしてみてほしい。

ランク戦で採用されるドラフトピックの画面。両チームで順番にチャンピオンをピックしていく
バンの画面。最大10体のチャンピオンが使用できなくなる……つまり、バンされたり相手に取られたりしても大丈夫なように、複数チャンプを使えるようにしておく必要がある
「ゴールド」以上のランクになることができれば、シーズン終了時に「勝利の栄光」シリーズのスキンを手にすることができる。なお、今年のチャンピオンは「オリアナ」

 さて、本連載ではかなり駆け足で「LoL」について解説してきたが、基本的には知識とハンドスキル、そしてコミュニケーションを駆使することで、勝ち筋を引き寄せるゲームだと言ってよい。本連載ではごくごく基本的な部分をご紹介してきたが、最新動向や各論的なテクニックなどはアップデートごとに目まぐるしく変わっていくので、常に動画サイトやビルドサイトなどで具体例を探していくのがいいだろう。

 「LoL」は始めたての段階ではわけもわからずボコボコにされるし、対人戦である程度勝てるようになるまでには、ある程度のプレイ時間と経験、そして知識が必要だ。これは正直言ってかなり高いハードルだと思うが、それを乗り越えて勝てるようになってくると、急速に面白くなってくる。

 高いハードルがあるにもかかわらず、世界中で遊ばれているのには、きちんと理由がある。本稿を読んでいるみなさんには、ぜひこの領域を目指していただきたい。この連載がその一助になれば幸いだ。