あなたにとって「LoL」のどこがどうおもしろい?

【第4回】プロゲーマーの立場から語る「LoL」Unsold Stuff Gamingインタビュー

「ファンとの交流は『次戦も頑張ろう!』という気持ちになれる」

10月12日 公開

 「League of Legends(以下、LoL)」に様々な立場で関わる方々に連続インタビューを行ない、「LoL」の面白さや魅力、「LoL」はどのようなゲームで、どんな環境におかれているかなど、様々な角度から「LoL」のアレコレを追究していく本連載。

 第4回となる今回は公式プロリーグである「League of Legends Japan League(以下、LJL)」で活躍するプロチーム「Unsold Stuff Gaming(以下、USG)」のゲーミングハウスを訪れ、apaMEN選手、Tussle選手、Gariaru選手、Gango選手、Enty選手の5名に話を聞くことができた。年々更なる盛り上がりをみせている競技シーンを牽引してきたチームの1つであるUSGは、2015年に「LoL」のチームを発足。現在は日本人選手4名と、韓国人選手2名が所属している。

 今年は惜しくもLJL準優勝となったが、長い雌伏の時を経て、遂にチーム史上初の決勝進出を決めたUSGの選手たち。そこに至るまでには一般のプレーヤーとは一線を画す、血の滲むような練習に取り組んでいることが容易に想像できる。「遊び」ではなく「仕事」として「LoL」をプレイする彼らは、一体どのような経緯でプロを目指し、今現役のプロとして「LoL」に向き合っているのか。彼らが暮らすゲーミングハウスで行なわれている練習はどのようなものか。そして彼らが人生をかけるに値する「LoL」の面白さとはどのようなものなのか、話を聞くことができた。

左から、apaMEN選手、Tussle選手、Gariaru選手、Gango選手、Enty選手

プロとしてプレイする「LoL」

――まず、皆さんはどうして「LoL」を始め、どのような経緯でプロになったのでしょうか?

apaMEN選手:僕は友人に誘われて「LoL」を始めました。1度難しくて辞めてしまったのですが、その後初心者の友達と一緒にプレイして、協力している感じが楽しくてどっぷりハマって……という感じです。プロにはチームに声をかけて頂いたのがきっかけで挑戦しました。

Enty選手:僕も友達に誘われて「LoL」を始めました。高校生の時にapaMENと大会に出ていましたが、企業への内定も決まっていたのでプロに進む気はありませんでしたし、周囲にもその意思は伝えていました。でも、卒業1カ月前に改めて声がかかり、「LoL」のプロシーンの規模が大きくなった時期でもあったので「やらずに後悔するよりやって後悔しよう」と思ってプロになりました。

Gariaru選手:僕も就活が転機になりました。大学生3年生の時に「LoL」の大会に出場していて、それが切っ掛けになって挑戦することになったんです。「LoL」自体はやっぱり友達に誘われて、教えてもらいながらやっていました。ずっと「イレリア」や「リヴェン」といったかっこいいチャンピオンを使っていたのを憶えています。

――プロになる前に大会経験があり、それがプロへと繋がっていったのですね。日本と韓国では「LoL」を取り巻く環境が異なりますが、韓国出身のお2人も友達に誘われて「LoL」を始めたのですか?

Gango選手:確かに韓国では皆「LoL」をやっています。シーズン2の時に「LoL」が流行ったので、僕が友達を誘って皆でプレイしていました。それからストリーマーとして活動していたら名前が知られるようになって、「Samsung White(現Gen.G)」から声がかかってプロに挑戦しました。

Tussle選手:僕は1人で始めました。僕はキャラクターが可愛いゲームしかやらないんですが、「LoL」ではヨードルのチャンピオンが可愛いなと思って始めたんです(笑)。そしたら今までやってきたMMOの様なゲームとは全然違う奥深さにハマってしまい、ずっとプレイしていましたね。「LoL」を始める前からゲーム関係の仕事に就こうと思っていたし、自分の腕ならいけると思いプロに挑戦することに決めて、アマチュアで活動しているときに日本のチームから声がかかり入団しました。

Tussle選手が特に好きだというトリスターナとランブル

――プロになる前となってからで、「LoL」のプレイスタイルや楽しみ方も変化したと思いますが、具体的にどのような変化がありましたか?

Enty選手:他チームのプロも含めて、「LoL」はプロになってからは趣味ではなく仕事、という感覚になった選手が多いと思います。僕も「LoL」は仕事だと思ってプレイしています。他のゲームをプレイしていた方が気軽ですし、楽しいですね。プロになる以前は勝てるのが楽しくてしょうがなくてプレイしていましたが、今では絶対に勝たないといけないので。

Gango選手:確かに、僕もプロになってからは仕事と割り切っています。アマチュア時代はランクで勝つだけでいいし、1人のチャンピオンを使えるだけでいい。でも、プロはプレーヤーやコーチ、他の関係者の方々が関わってくるので、そういうわけにはいきません。

Gariaru選手:俺はまだ楽しいですね。プロになってからはより戦略的なチーム戦という今までにない楽しみもあるし、ファンコミュニティからの声援もあるので、アマチュア時代とは違う形で楽しんでいます。

apaMEN選手:僕なんかは、1人でゲームができないし、協力することが楽しいので、日々の練習も楽しんでいます。Tussleなんかはずっと「『LoL』やろうよ!」っていっていますし(笑)。

Tussle選手:昔から全然飽きないんですよね。アマチュア時代はなにも考えずにプレイしていましたが、プロになってからは物凄く考えてプレイしています。チームゲームだからこそ、考えることを楽しめていますね。


横に並んでのゲームプレイはプロならでは。取材時はシーズン終了後ということもあり、和やかな雰囲気で様々なゲームをプレイしていた

日々の練習は非常にハード

――皆さん、色々な考えで「LoL」に取り組んでいるんですね。先ほどから「チーム」に関する言及が多いですが、普段はどのようなスケジュールで集団生活をしているのでしょうか?

Enty選手:皆昼前には必ず起きて、15時までソロランクなどでアップをします。その後は日が変わるくらいまでひたすらチーム練習ですね。今はオフシーズンにはそれぞれ別のゲームをやっていたり、実家に帰ったり、それぞれの過ごし方をしています。

apaMEN選手:チーム練習では、1日10試合以上やります。ハードですが、ゲーミングハウスでの生活そのものは、同じ趣味の人と一緒にいられるので楽しいです。

――確かにかなりハードな日程ですね。具体的な練習内容を、できる範囲で教えて頂けませんか?

apaMEN選手:海外チームとのスクリム(練習試合)とコーチを含めたメンバーでミーティングが中心です。チーム練習の中で戦略を試したり、課題を見つけたりしています。今のメタについても話したりしますね。

Gariaru選手:ほかにも、他のチームの試合を観て強いチャンピオンや構成を探したりもしますね。

――韓国出身のみなさんは、競技中やミーティング、日々の生活において、言葉等で困ることはありませんか?

Gango選手:僕もTussleも生活の中で自然に、独学で日本語を覚えてきましたが問題は感じていません。試合でも練習でも、コミュニケーションはよくとります。試合中は同じBotレーンなのでEntyと日本語でやりとりしますし、コーラー(司令塔)なのでTussleとの会話も多いです。

Tussle選手:僕も生活面で困ったことはないですね。とても楽しいです。チームの中心であるジャングラーだし、コーラーだし、よく声を出します。練習でもコーチやメンバーと話し合う機会は多いです。

――確かに、お2人とも日本語がお上手です。話を戻しまして、そういった日々の練習が、今期準優勝という結果に繋がったんですね。

Gariaru選手:そうですね。もちろん、ファンの方々の支援のお陰でもあります。試合中にも応援は聞こえてきますし、ファンミーティングも励みになりますね。ファンとの交流は「次戦も頑張ろう!」という気持ちになれます。

Tussle選手:最近ではコアなファンの方々が増えてくれているのを感じています。今期は特にセミファイナルでとても緊張しましたが、ファンのお陰で乗り切れました。

Gango選手:実際、ファンの方々との交流は増えましたし、スニーカーとか、色紙をプレゼントしてもらって……ありがたい限りです。応援は気持ちいいですし、力になりますね。

Enty選手:「LoL」のゲーム内でマッチングしたプレーヤーさんにも「本物のプロだぁ……」みたいな反応をされることがあります。みんな勝ちたいから、マッチング画面で退出されることもありますね(笑)。最近は「LoL」のプレーヤーも増えてきた印象がありますし、今後LJLを見ている人も多くなっていくと思うので、そういうことも増えてきそうですね。

Tussle選手:新規プレーヤーが増えて、巡り巡って僕たちのファンが増えてくれたら嬉しいです。

Gango選手がファンからプレゼントされたというオリジナルの色紙

プロが伝える「LoL」の楽しさ

先のLJL Final終了後のファンミーティング。USGは熱心なファンに囲まれていた

――今、新規プレーヤーの話が出ましたが、これから「LoL」を始める人、始めたての人に向けて、「LoL」の楽しさを教えていただけますか?

Gariaru選手:「LoL」は他のゲームと違って1人で無双できるシーンがあるんですよね。僕はそれが楽しいんです。上手いプレイをした時や、サポートなら自分が育てたADCが活躍したときとか、面白さは人それぞれですが、そういう楽しみを感じてもらえたらなと思っています。その為にも、既存プレーヤーが友達を誘って、教えてあげることが大事なんだと思います。

Enty選手:僕は試合に勝てる事が楽しくてずっとプレイしていました。もちろん、負け試合でも成長を感じることができていればそれだけで楽しいですね。当時はgosu選手(NAサーバー出身のプロ選手。マークスマン、特に「ヴェイン」の名プレーヤーとして有名)という有名なプロの追っかけをやっていて「hi im gosu suport」って名前でプレイしていたんです(笑)。そういう風に、プロやストリーマーの配信などを見て目標ができたらいいですね。

Gango選手:僕も練習すればするほど面白くなっていったので、みんなもそういう楽しみ方をしてほしいですね。練習して、上手くなってを続けている時はレーン戦が楽しくて、ずっと「LoL」を続けてきました。僕みたいに、1人のチャンピオン、「ドレイブン」だけみたいなプレイスタイルでも楽しめる良いゲームなので、皆も長くプレイして欲しいです。

Tussle選手:僕だけちょっと視点が違うけれど、自分の好きなチャンピオンを見つけて欲しいですね。かわいいとか、かっこいいとか、見た目でもいいですし。プレイの感覚でもいいので。プレイ以外の面でも、「LoL」には面白いと思えるところはたくさんあるので。

apaMEN選手:やっぱり、プレイする楽しみはもちろんだけれど、Gariaruも言ったように友達と一緒にやることが大事なんだと思います。既存プレーヤーにも友達を誘って、優しく教えて欲しいですね。そんなに厳しくするよりも、初めは協力し合って、みんなで騒いで楽しむくらいがいいと思うので。

――本日はありがとうございました。

USGの皆さん、ありがとうございました