レビュー

「STAR OCEAN THE SECOND STORY R」レビュー

RPG好きなら絶対に1度は通るべき不朽の名作がついに現代パワーで完全リメイク!

【STAR OCEAN THE SECOND STORY R】

発売日:11月2日

※Steam版は11月3日1時発売予定

開発元:ジェムドロップ

発売元:スクウェア・エニックス

ジャンル:RPG

プラットフォーム:PS5/PS4/Nintendo Switch/PC(Steam)

価格:
6,578円(通常版)
22,222円(コレクターズ・エディション)

 スクウェア・エニックスは11月2日、「STAR OCEAN THE SECOND STORY R(以下:スターオーシャン2R)」を発売する。

 本作はSF要素とファンタジー要素が絡み合った独自の世界観を持つ「スターオーシャン」シリーズの中でも屈指の名作「スターオーシャン セカンドストーリー(以下:スターオーシャン2)」の完全リメイク作品。色褪せぬ最高峰のストーリーはそのままに、グラフィックやバトルシステム等様々な要素が現代風に追加・パワーアップされている。

 さらには最初のPSP移植作である「スターオーシャン2 Second Evolution」のボイス・追加要素等を網羅しながら、オリジナル版声優による新規ボイス追加や「ボイスの切り替え」など本作ならではの新要素まで用意されており、正に「スターオーシャン2」の総決算と言っても過言ではないタイトルとなっているのだ。

 今回はそんな本作を一足早くしっかりプレイする事ができたので早速レビューしていきたい。

 筆者はこれまであらゆるバージョンの「スターオーシャン2」に一度も触れたことがないため、多少は下調べを行ったモノのオリジナル版やSecond Evolution版と比較するようなレビューはできないのだが、逆に忖度なく現代のゲーマー目線で今回の「スターオーシャン2R」が1本のゲーム作品として完成度が如何ほどなのかを評価できると思うので是非参考にしてもらいたい。古のオリジナル版から数多くゲーマーを魅了し続けている「スターオーシャン2」の見所とはどんな部分なのか、新グラフィックや新システムはゲームと上手く適合できているのか、初見だからこそ感じ取れた部分を紹介していこう。

【『STAR OCEAN THE SECOND STORY R』アニメーション オープニング ムービー】

世界への没入感が半端ない! SFとファンタジーが交差するストーリー

 まず何と言っても本作は、現代でも全く色褪せないほどの高い完成度を誇るストーリーが大きな魅力だ。今作では「クロード」と「レナ」のどちらの視点で物語を進めるかを最初に選択する「ダブルヒーローシステム」が採用されており、「クロード」編の場合は宇宙規模のSF世界の住人視点で、「レナ」編の場合はファンタジー世界の住人目線で物語を味わう事ができる。

 時折別行動をする2人がその時それぞれ何をしていたのか、同じ場面でも視点の違いで思考が異なっていたりなど、事細かい描写が徹底しているため1度で2度おいしい。今回筆者は「クロード」編をプレイしたので、こちらを基準に魅力を紹介していきたい。

 本作は宇宙開拓を行う銀河連邦に所属している主人公「クロード」が、不慮の事故で偶然飛ばされてしまった文明レベルが全く異なる世界「エクスペル」でヒロインの「レナ」と出会い、宇宙へ帰る方法をを模索しながら「エクスペル」で発生している天変地異や魔物問題に巻き込まれていく物語が展開される。

 当初は無事に宇宙へ帰る事だけを考えていた「クロード」だが、冒険していく中で様々な仲間たちと出会い、自身の中に存在していたコンプレックスを克服し使命感や思いの変化によって大きく成長する物語が描かれている。RPG感満載の王道ストーリーながら、それぞれ秘密や謎を抱える「クロード」と「レナ」のボーイミーツガール要素や、どんどん問題の規模が大きくなっていく圧倒的スケールのストーリーラインが素晴らしく、文明レベルの差や各キャラクターの目的で時折交差するSFとファンタジーの要素が絶妙に絡み合って本作ならではの面白さへと繋がっていた。

 本作のオリジナル版は1998年に発売されたゲームであるため、キャラクター性やストーリー等で多少は古臭さを感じるかと危惧していたが、現代でも古さを感じない設定や言い回しばかりで、正に色褪せない名作としてのめり込める物語が構築されている。

リメイク前と同じく本作でも「クロード」編と「レナ」編のどちらかを選択して物語を始める事となる
宇宙を開拓する銀河連邦に属する男主人公「クロード」は、偉大過ぎる父を持った事で周りから自分自身の実力や存在を正しく評価されていないとコンプレックスを抱え込んでいる。焦りと我の強さからからか惑星調査中に周りの忠告を無視して未知の機械に触れてしまい、文明が異なる未探索惑星「エクスペル」に飛ばされた事で物語が始まっていく
物語序盤では未開惑星に飛ばされた直後、魔物に襲われるもう1人の主人公の「レナ」を文明レベルが高すぎる武器「フェイズガン」を使用して助けてしまったことで、この世界に伝わる伝承「伝説の勇者」と勘違いされてしまう
結果的に誤解は解け、この一連の騒動を切っ掛けに2人の冒険が始まる。旅の道中も世界で起きている問題に対して1人だけ宇宙視点の考えを持っていたり、「エクスペル」では一般化されていない機械類を見つけた際に理解を示してしまったり等、「クロード」だけが高レベルの文明人だという状況を活かしたイベントやストーリーが随所で展開されていたのも面白いポイントだ
最初は宇宙へ帰還する方法を模索していたクロードだったが、宇宙から飛来した高エネルギー体「ソーサリーグローブ」の影響で天変地位や魔物の活性化等の問題が頻発している「エクスペル」の問題に徐々に向き合っていく事となり、世界を股にかけての大決戦、やがて最終的には宇宙を巻き込んだ壮大な戦いに身を投じていく……
徐々に徐々にスケールが大きくなっていくストーリーが丁寧に描かれている。プレイ中も「そろそろ終盤かな?」と思っていたタイミングで話の規模が一気に大きくなる怒涛の展開が待っていたりで非常にワクワクしながらプレイできた
RPGといえば忘れちゃいけないのがボーイミーツガール!
しっかりニヤける展開が用意されており、2人の主人公である「クロード」と「レナ」、そこに加えてレナの幼馴染にして兄のような存在である「ディアス」が織りなす絶妙な三角関係が非常にいい
大体ヤキモキしてるのはクロードだけだったりもするが、確実にお互いへ向いてるであろう親愛の矢印を考えながらプレイして悦に浸ることができる。ニヤニヤしたいプレイヤー諸君にはぜひおススメしたい

 また本作では「スターオーシャン」シリーズではお馴染みの「PA(プライベートアクション)」システムが導入されている。この「PA」は、町などで一旦パーティーが解散したような状態となり、各キャラクター達に話しかけてイベントを発生させるシステムだ。パーティーキャラクターの見知らぬ一面や関係性を知れるのは勿論ながら、メインストーリーに関連するイベントで心情を吐露する場面があったり、「PA」のイベント内でアイテムを入手できたりなど本作を楽しむ上で非常に重要な要素となっていた。

 また「PA」やメインストーリーの選択肢などで各キャラクターの関係値が変化しており、親密度が高いとエンディングが変化するようになっているため、様々な意味で見逃せない要素だ。個別で変化するエンディングが80種類以上あるようなので、まさに超大作に相応しいボリュームとなっている。

夜遅くにパーティーメンバーに隠れて宇宙の仲間に向けて交信を試す「クロード」と、その姿を影から見つけてしまった「レナ」……という本来ならメインストーリー内で発生してもおかしくないレベルの重大なイベントが「PA」の中に隠されている事もあるから油断できない
仲間たちとの交流でキャラクターの関係性を知りながら、内容次第ではアイテムをゲットできるときもあるので可能な限りコンプリートしたい要素となっている