レビュー
「STAR OCEAN THE SECOND STORY R」レビュー
2023年11月1日 00:00
一新されたバトルシステム! オリジナルの良さを残しながら戦略性とスピード感が格段にアップ
本作のもうひとつの基盤となるのがバトルシステムだ。今回のリメイクでは以前の「スターオーシャン2」にはない様々な追加システムがあり、すべからく満足度が高くスピード感や爽快感も格別だったので順に紹介していきたい。
基本的なバトルシステムはオリジナル版の「スターオーシャン2」と同じく、奥行きのある疑似3Dのフィールドを自由に走り回って様々な攻撃を行えるアクション性が強くなっている。最大4人で構成したパーティーで、プレイヤーはその中の1人を操作してバトルを楽しめる。パーティーキャラは前線に立って敵エネミーに直接攻撃をしかける「戦士」タイプと、詠唱が必要な代わりに高火力の紋章術や回復を扱える「術師」タイプの2つの分かれており、それぞれMPを消費して必殺技と紋章術と呼ばれる技を駆使して様々なアクションが可能だ。
バトルの基礎は直感的に理解できるほどわかりやすく、プレイヤーが操作時に設定できる必殺技/紋章術も2つまでなため、プレイする際に迷う事はないだろう。バトル中に使用する必殺技/紋章術は「バトルポイント」を消費する事で強化する事が可能で、強化するたびに技のエフェクトが派手になりながら、着実にそして強力に進化していく。さらに戦士タイプのキャラは必殺技を繋げて発動できる「リンクコンボ」を途中から使えるようになるなど、システム自体はシンプルながらプレイヤーの使い方次第で大きく戦い方を変化させられるような作りになっていた。
そして今作のバトルにおいて重要になるのが敵エネミーに設定されている「シールド値」だ。バトル中に攻撃を当て続ける事で敵の「シールド値」を削っていき、全て削りきる事で相手を一定時間行動不能にする「ブレイク状態」にできる。「ブレイク状態」になると全ての攻撃が防御力を無視しつつ必中で確定クリティカルという性能となるため、基本的にバトルではこの「ブレイク状態」を積極的に狙っていく事になるだろう。
「ブレイク状態」は対ボスに対しても有効なので、強大な敵が現れた際はまず味方と連携して「ブレイク状態」を狙う戦術がベターだった。リメイクから導入されたシステムだが、アクションの方向性がわかりやすくなり、ブレイク後に大ダメージを与えられた際の達成感も凄まじいので個人的には好きな要素だ。
他にも、「ボーナスゲージ」の追加が大きな要素だろう。バトル中に特定のアクションを行う事で「ボーナススフィア」が蓄積されていき、溜まったパーセンテージに応じて「隊列」で決めたフォーメーション毎のボーナスを獲得できるのだ。攻撃力を上げたり回復してくれる等の純粋に戦闘をサポートしてくれる効果もあれば、戦闘後の経験値やFOL(お金)を増加させたり、アイテムの消費を確率で抑える事ができる効果など多種多様な「隊列」が本作には用意されている。
この効果上昇がかなりバカにならず、隊列のバフがしっかり機能してるかどうかでボス戦の難易度は大きく変化するし、普段の戦闘で経験値を多く稼げる「隊列」にしてると想像以上にレベリングできてしまう事があったりなど絶大な効果を発揮するのだ。
さらに今回のリメイクではバトル中のアクションも大きな進化があり、相手の攻撃を回避する「ジャストカウンター」と、バトルメンバー以外の仲間を召喚して追撃を行う「アサルトアクション」が追加された。
「ジャストカウンター」は相手の攻撃に合わせてボタン入力することで敵の背後に周り込み、「シールド値」を1つ削りながら自身のMPを回復できるといった破格の性能となっている。特にゲーム序盤はバトル中にMPが枯渇してしまう事が多く、敵をブレイクするための必殺技も習得できていないため非常に重宝するアクションである。
その代わり、入力タイミングを間違えて攻撃を被弾してしまうと逆に自分が「ブレイク状態」になってしまい、溜めた「ボーナスゲージ」を全て失った上で一定時間動けなくなる重すぎるデメリットが発生してしまう。ハイリスクハイリターンで上手く決められたら最高にカッコいい。
個人的に物語後半になると装備やアイテムリソースが潤沢になることで通常バトル等では無理やり狙いに行く事は無くなったが、ボス戦などゴリ押しが通じない相手にはしっかり「ジャストカウンター」を狙う戦略が最後まで有効だった。リメイクを象徴するアクションの1つだと筆者は感じている。
「アサルトアクション」は予め十字キーに設定したキャラクターを呼び出して、各キャラクターの必殺技や紋章術で追撃してもらうサポートアタック的なシステムとなっている。
「ブレイク」や「HP」タイプを持つ技で一緒に畳みかけても良し、強力な代わりに詠唱が長かったり、MPの消費が激しい紋章術を設置して不意に飛ばせるダメージリソースとして使っても良し、最悪の事態に備えて回復技をセットしておいても良しと多くの使い道が想定される。
このシステムをフルで発揮するために序盤から積極的に仲間を集めたまであるほど今作の戦闘における「アサルトアクション」の重要度は高く感じた。自身の「リンクコンボ」と繋がる様に「アサルトアクション」を上手く差し込んで攻撃を繋げたりなど、単純ながら技の繋がりを意識したオリジナルティあるコンボを生み出せるため、アクション好きにはとても刺さるシステムだ。
「アサルトアクション」にセットできるのは基本的にバトルメンバー以外のパーティーメンバーとなっており、各キャラクターが習得した技をどれでも1つだけ設定できる。さらにパーティーメンバー以外にも、特定の「ジュエル系アイテム」を入手することでなんと歴代「スターオーシャン」シリーズの主人公が「アサルトアクション」でサポートしてくれるのだ。バトル中に呼び出した際にはしっかりボイスも用意されており、2Dドットがなかった最新作のキャラクターなども本作の雰囲気に合わせてしっかり2Dの姿で登場するのはファンにとっては嬉しいところだろう。
全体的にアクションの選択肢が増えながらも、シンプルで奥深いコンセプトは崩さずにスピード感は出たような印象がある。現代のアクションゲームに慣れ親しんだプレイヤーでもダレる事なく没頭できるほどの完成度だった。
アクション性の強いRPG作品として「スターオーシャン」が上げられることが多いが、多くの追加要素でバトルの感覚が大きく変化していながらもしっかりその強みは発揮できていると感じた。
圧倒的にユーザーへ配慮したUIと独自のグラフィック表現が凄すぎる……!
今作の面白さの根幹は紹介できたと思うので、最後にプレイ中に感動したリメイクならではの数多の要素をまとめて紹介したい。
まず全体的なゲームUIについてだが、随所で本作を隅から隅まで遊んで欲しいのだなと感じ取れる作りとなっていた。一瞬で好きな街やダンジョンに移動できる「ファストトラベル」機能の追加によって、メインストーリーの最中でもサブイベントや「PA」を回収しに飛び回る事ができるし、その際にサブイベントや「PA」等が発生する場所には地図にマークが表示されてわかりやすくなるなど、ストーリーを進行してしまってイベントの取り逃しが発生しないような作りとなっている。RPGプレイヤーにとって時期限定のイベントを逃す事がどれほど苦しいモノなのかをしっかり理解してくれているようで素直に嬉しいポイントだ。
また、本作独自のグラフィック表現にも注目したい。今までの「スターオーシャン2」の移植作品にはない2Dドットキャラクターが3Dグラフィックの世界と融和している「HD‐2D」に近いような表現が使われており、ロケーション毎に用意された圧巻の3D光景に目を奪われながらも、そこに2Dのキャラクターが実際に存在しているかのような絶妙なバランスの世界観が構築されているのだ。
2Dピクセルのキャラクターが日光に当てられれば違和感なく影が生まれたり、フィールドを進んでる際も情景に合わせてマップとキャラクターの陰影が変化したり等、よくよく観察してみると職人技が随所に光っている。美しく生まれ変わった「スターオーシャン2」の世界を見せながらも、多くの人が思い出として残しているキャラクター達は大きく変化させないといった、強いこだわりを感じるグラフィック表現だなと筆者は感じた。
結果的に筆者は今回の先行プレイで本作にドハマりしてしまい、辞めるタイミングを失って3日間ほどぶっ通しでプレイしてしまった。次にやるべき事や各種サブイベントの発生ポイントがわかりやすくなってる事で次々に冒険したい場所が増えていき、王道ながら独自の世界観をフル活用したストーリーと魅力的なキャラクター達にどんどん愛着が湧いて辞め時を失ってしまうほどのめり込めた。
加えて現代風にチューンナップされたバトルシステムと育成・冒険の自由度の高さがあまりにもRPGとして完成度が高かったのはポイントが高い。「ファストトラベル」でゲームのテンポも良いので一切ダレる事がなく、本当にノンストップで駆け抜けてしまえた。
伝説のRPGと呼ばれる本作のポテンシャルを筆者が侮っていた部分もあったが、リメイク要素とも噛み合ってその称号に恥じぬ満点の完成度だったと感じている。
過去に「スターオーシャン2」を遊んだ事のあるプレイヤーにはストレスフリーかつ全く新しいバトル体験を味わえるようになっている事でオススメできるし、RPGは好きだけど「スターオーシャン2」には触れて来なかった若者ゲーマーにも強くオススメできる完成度となっていたので、気になる人は是非プレイしてみては如何だろうか。
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