【特別企画】

シリーズ屈指の名作がついに蘇る! 「スターオーシャン セカンドストーリー R」プレイレポート

グラフィックスも大幅に進化したファン待望のリメイク作品

【スターオーシャン セカンドストーリー R】

11月2日 発売予定

※Steam版は11月3日 発売予定

価格:
6,578円(通常版)
22,222円(コレクターズ・エディション)

 スクウェア・エニックスは11月2日、歴史の長い「スターオーシャン」シリーズの中でも特に多くのプレーヤーを虜にし続けているRPG「スターオーシャン セカンドストーリー(以下:スターオーシャン2)」のリメイク作品「スターオーシャン セカンドストーリー R」の発売を予定している。

 「スターオーシャン」シリーズといえばSFとファンタジーが融合した世界観が特徴のRPGシリーズであり、中でも2作目に当たる「スターオーシャン2」は完成されたリアルタイムでのバトルアクションと濃密なストーリーが特に人気のタイトルだ。

 1998年に発売されたオリジナル版、2008年に様々な追加要素が加わって発売されたPSP版、2015年にはそれらのPS4/PS Vita向け移植版が発売。今回登場する完全リメイク版で実に4度目のリメイクと考えるとその人気っぷりを感じられると思う。若い世代のゲーマーやシリーズに詳しくないプレーヤーでもキャラクターのビジュアルを1度は見た事があったり、RPGの一時代を築いた作品の1つとして認知している人も多いのではないだろうか。

 そんな大人気タイトルの完全リメイクとなる本作は、今まで歩んで来た数多の「スターオーシャン2」の要素を詰め込みつつ、既存リメイクとは比べ物にならないほど様々な追加要素が加わった正に集大成のような完成度となっている。

 現代技術によってとんでもなく進化したグラフィックスとバトルシステム、今作の為に新たに追加された新規ボイスやビジュアルアートの数々、それでいてオリジナルのテイストを彷彿とさせる2Dドット表現や新規BGMなどなど……作品として既に完成度の高かった「スターオーシャン2」を現代パワーで大いにブーストした上で味わい尽くせる作品となっているのだ。

【『STAR OCEAN THE SECOND STORY R』アニメーション オープニング ムービー】

 昨今のリメイク作品は古参ファンも新規プレーヤーも両方楽しめるような素晴らしい作りの作品が多いため今作にも大きな期待を寄せてしまう。

 筆者も実はオリジナル版が一大ブームを築いた時代とは若干世代がズレている人間だ。存在は知っていたのだが実際に「スターオーシャン2」をプレイしたことが無かった。RPG作品の黄金時代を築いた名作が如何ほどの物なのか、今回は試遊版を一足早く触る事ができたので早速その内容を紹介していこう。

プレイアブルデモ版は3つの内容から選択可能

 今回筆者がプレイした試遊版は9月21日から開催される「東京ゲームショウ2023」にて試遊できるプレイアブルデモ版と同じ内容となっていた。

 パーティーレベルが高く比較的やさしい難易度でバトルの基本と新要素を楽しめる「ラスガス山脈」、ダンジョンギミックの攻略と歯ごたえのあるバトルを楽しめる「ホフマン遺跡」、この2つのダンジョンを遊べるデータに加えて「NewGame」を選択すれば物語冒頭のストーリーが見れるので合計3つのモードから好きな内容を選ぶ事ができる。TGSの試遊では制限時間などもあるので、本記事でこれらのゲーム内容を押さえた上でどのモードを遊ぶのがベストか参考になれば幸いである。

個人的にはオリジナル版を含めて「スターオーシャン2」をプレイしたことがない人は「ラスガス山脈」、いずれかを遊んだ事のあるプレーヤーは「ホフマン遺跡」をオススメしたい
「ラスガス山脈」でもボスが登場するが慣れないと普通に倒される事がある
進化したグラフィックスや完全初見で本作の世界観を0から知りたい人はNewGameを選択するのも全然ありだろう
主人公の「クロード」が実際にどんなキャラなのかを知らなかったが冒頭の流れで世界観やストーリーに惹き込まれてしまった

 ではこの3つのモードをプレイした上で、筆者が感動した本作の魅力や追加された要素をピックアップして取り上げたい。

2Dと3Dが“融合”した美しいビジュアル表現!

 まずは本作で注目したいのがグラフィックスの進化とその表現方法だ。完全リメイクとなった今作では、今までのリメイクや移植とは異なりフィールドやダンジョンのグラフィックスが全て3Dとなって一新されている。奥行きのある風景や街並みは圧巻のスケールを感じることができ、画面に映る草木や水の表現など全てが非常にリアルな質感に生まれ変わっているのだ。その上でキャラクターはオリジナル版からの風情ある2Dドットをあえてそのまま残してあるため、懐かしさと新しさの両方を感じながらゲームをプレイできるだろう。

 そして2Dと3Dの“融合”という部分に力が入っている点も本作のこだわりを感じるポイントとなっている。ただ単純に3Dのフィールドに2Dドットのキャラクターを配置するのではなく、3D表現によって発生する場面の変化が違和感なく2Dドットのキャラクターと溶けあうような形になっている。わかりやすい例を出すと、例えばフィールドの日の光が2Dドットのキャラクターに当たると場所や周りのオブジェクトに合わせてしっかり各キャラクターの影表現が変化するといった感じだ。一新された美麗な3Dの世界の中でも、2Dドットのキャラクター達が浮いてしまう事無くしっかりそこで生きているような作り込みが成されているのだ。

スクウェア・エニックスが得意とする2D+3Dの美麗なグラフィック表現が今作でも十二分に発揮されている模様。草木の表現とかどうなってるんだ……!?
様々なロケーションを冒険する本作の特性ともマッチしており、ビジュアルの作り込みをゲーム中に何度も感じる事になりそうだ!

ブレイクやアサルトアクションなど新要素も充実のバトルシステム

 次に驚かされたのはバトルシステムの進化についてだ。敵に遭遇すると奥行きのあるバトルフィールドに移行し、フィールドを駆け巡りながら様々なバトルアクションを行なうシステムはそのままに、今作では様々な追加要素によってよりダイナミックなバトルが可能となっている。

 1つ目の新要素「ブレイク」はバトルの方針を大きく変化させるシステムとなっており、今作から追加された新概念「シールド値」を削りきる事で敵を行動不能かつ与えるダメージが増加するスタン状態にできるのだ。隙だらけの相手を一気に袋叩きにする事もできるし、強力なステータスを持つ「リーダーエネミー」を「ブレイク」する事ができれば、周りにいる他の敵にも「ブレイク」の影響を与えることができたりなど、今作のバトルの根幹を担う新要素なのだ。

 このシステムの追加に伴い、各キャラクターの必殺技にも「HP」、「バランス」、「ブレイク」といったダメージタイプが追加されたため、今までのリメイクではあまり注目されなかった技が今作では独自の強さを手に入れていたり、状況や目的に合わせた技チョイスがより重要になったりなど、全体的なゲーム体験も大きく変化するような印象だ。バトル中も「ブレイク」タイプの必殺技を使って敵の「シールド値」を削って「ブレイク」を狙い、その後に「HP」タイプの必殺技を当てる事が基本になるため、おなじみの敵であっても攻略法がガラッと変わり、新鮮味のある戦いが楽しめるのではなないだろうか。

新システムの「ブレイク」はリターンが大きいため積極的に狙う事になりそうだが、バトルの基礎は変えずに使用する必殺技や立ち回りが変化させるオリジナル版のバトルの良さを際立たせるような追加システムだ

 追加された要素は「ブレイク」のようなシステム的な要素だけでなく、プレーヤーがバトル中に行なえる新アクション「アサルトアクション」が追加されている事にも注目したい。これはバトル中に控えメンバーの仲間を呼び出し、各キャラクターに予め設定しておいた必殺技を使用できるサポートアタックのようなシステムだ。コンボが繋がって攻撃を畳み掛けたいときに必殺技でダメージを追加したり、味方のHPがピンチの際に緊急で回復技を使ってもらうなど、様々な用途で運用が可能となっている。

 「アサルトアクション」は十字キーに割り振った最大4人分まで設定でき、登録した必殺技によって使用する際に必要な「アサルトゲージ」のリキャストが異なるため、パーティーメンバーの選出と必殺技の組み合わせによって幅広い戦術を生み出す事ができるだろう。

 「スターオーシャン2」は最大で10名以上ものプレイアブルキャラクターから最大8名までを仲間にして自由に編成してパーティーを組める点も特徴的な作品だったが、バトルに参加できるのが4名までに設定されていたため、パーティの役割やバランス的に抜けてしまうキャラクターが存在した。しかし今作からは「アサルトアクション」を含めると、ある種8人体制でバトルをする事ができるのでより多くのパーティーメンバーにスポットが当たるような作りになっているのだ。

 さらに「アサルトアクション」を上手く扱えば新しい回復手段として活用できたり、相手に有利な紋章術を比較的安全に撃つことができたりなどするため、今まで以上に自由なパーティー編成をすることができそうだ。

最大4キャラクター分の「アサルトアクション」をバトル中に使い分けられるため、回復・攻撃・サポートと設定する必殺技次第で戦略性が無限に広がる

 その他にも今作ではバトルメンバーの「隊列」を変更する事でバトル中に様々なボーナスが発生するシステムが存在する。「隊列」にはそれぞれ陣形名があり、バトル中に何かしらアクションを行なうたびに画面右下のゲージが上昇し、溜まったパーセンテージに応じた恩恵を受けられるのだ。パーティーキャラクターの立ち回りとの兼ね合いや、上昇するボーナスの相性などを考慮する必要もあり、パーティー編成の方針に関わるシステムとなっている。

 また、新たなアクションとして敵との間合いを取りつつ、敵の攻撃に合わせてタイミングよく使えば一気に敵の背後に移動できるバックステップ(ジャストカウンター)が追加されていたりなど、とにかくオリジナル版には無かった新しい要素がこれでもかと投入されている。

 全体的にバトルの戦略性が上がるだけでなく、ゲームのスピード感を上げてくれるようなシステムばかりで、触っていて非常に爽快感が強く、それでいてキャラクターの攻撃を繋げて気持ち良く戦えるオリジナル版のバトルの良さを活かしている絶妙なバランスの新要素になっていると筆者は感じた。

右下に表示されたパーセンテージが溜まるにつれて、設定した「隊列」による効果がどんどん解放されていく
先述した「アサルトゲージ」や「シールド値」なども新たにバトル中の画面に加わり、戦闘における情報が圧倒的に増えていることがわかる
敵が隙のある攻撃を行うタイミングでジャストカウンターを行なうと一瞬で背後を取る事ができる!
ただし、ジャストカウンターに失敗し攻撃を受け自分が「ブレイク」状態になる。その際にはスタンしてしまうだけでなく「隊列」のゲージも0にリセットされてしまうデメリットがある。そのため闇雲には使えないバランスとなっている

演出については好みに合わせて変更も可能に

 ゲームのテンポについては本作からの大きな変更点として、時間が止まりド派手な演出が挟まる「紋章術」の演出部分を戦闘中にカットできるようになっている。グラフィックスが進化して各種必殺技のモーションや演出は非常に美しく派手になっているため是非一度しっかり見て欲しい部分ではあるのだが、元々「紋章術」の演出の長さは賛否両論だった事もあってか今回からは自由に選べるようになった。オリジナル版のようにしっかり演出を見ることもできれば、随時演出をカットする選択にもできるので、自分のプレイスタイルに合わせた遊び方ができるだろう。

 今作のバトルをプレイした端的な感想を言うと、これらの様々な追加要素と合わせて非常にテンポの良いバトルができるなと強く感じた。必殺技や紋章術のエフェクトも派手かつ「アサルトアクション」等も駆使して、味方との連携で上手くコンボを繋げられた時の爽快感と画面のハチャメチャ感は非常に気持ちの良い完成度となっていた。

 敵エネミーを「ブレイク」タイプの必殺技でブレイク状態にし、その瞬間に「アサルトアクション」で味方に援護射撃をしてもらいながら自分も「HP」タイプの必殺技を撃ちまくる。その際に他のバトルメンバーが「紋章術」で他の敵も巻き込みながら連続攻撃してくれた時にはもう脳汁ドバドバである。筆者はオリジナル版をしっかりプレイしたことが無いため細かな比較はできないが、純粋に1つの完成されたバトルシステムとして戦略性の高さとアクションの爽快感を高水準で味わう事ができる作品だったと自信を持って言える。

「紋章術」の演出は現代のグラフィック技術によってより鮮明なモノに!
バトル時の背景やギミックもしっかり3Dグラフィックスで一新されているため、数多の追加要素と合わせて今までにない「スターオーシャン2」を体験する事ができるだろう

過去作品のボイスを一挙に収録! 当時の雰囲気で楽しめる

 最後にファン大歓喜の本作の“あの仕様”についても取り上げよう。

 「スターオーシャン2」はオリジナル版の「スターオーシャン セカンドストーリー」と、後に発売されたPSP版「スターオーシャン2 セカンド エボリューション」以降の作品でキャラクターのCVが変更されているのだが、今作ではなんと両バージョンのボイスを自由に切り替えて遊ぶことができる。

 しかも今回のリメイクに当たって本来オリジナル版には存在しなかったストーリー部分のボイスが新規でとりおろされており、さらにはボイスの切り替えもキャラクター毎に行なえるのだから物凄い。世代を超えてうえだゆうじさんボイスの「クロード」と、水樹奈々さんボイスの「レナ」の会話を見ることができたり、その逆もできちゃったりするのだ。既存のシリーズファンも世代によって慣れ親しんでいるボイスがあると思われるので、好きな声を自由に選択して遊べる本作の仕様は嬉しいプレーヤーも多いのではないだろうか。

 また切り替えられるのはボイスだけではない。今回のリメイクに当たって多くの楽曲が新規で制作されているため、全てにおいて新時代の雰囲気を纏った「スターオーシャン2」を楽しむことができるようになっているのだが、なんと設定で旧作バージョンのBGMに変更する事が可能になっている。どちらも魅力的なため選ぶのが難しいが、懐かしさを感じながらプレイするのも非常に“味がある”ため両方とも聞いて楽しむのが一番ベストだろう。

充実のオプション設定で自分が望む形で「スターオーシャン2」を遊ぶことができる。慣れ親しんだ形で遊ぶも良し、逆に体験した事無いボイスパターンで遊ぶのも一興だろう

 今回試遊できたプレイ範囲だけでも今作にかける制作陣の本気っぷりが伺える完成度だったと筆者は強く感じている。というか冷静に考えてボイスもBGMも新しく撮り下ろし、バトルシステムも新要素を追加し、新ビジュアルでキャラクターを一新させてダンジョンや背景も3D表現に再誕させるってもう殆ど新規タイトルを作るレベルと変わらない手の込みようだ。

 シリーズを代表するタイトルなだけにただのリメイクにはならないと思っていたが想像以上の出来栄えとなっていた。今回初めて「スターオーシャン2」に触れる筆者のような現代ゲーマーでもドップリハマれるシステムに、既存のファンを喜ばせる数多の要素を両立させた手腕はお見事だと感じる。これだけのプレイ環境が整った中で名作と名高い「スターオーシャン2」の物語をついに体験できるのかと考えると筆者も今から楽しみで仕方ない。続報が待ち遠しい所だ。

 蘇った往年の名作に触れる最高の機会となっているので、既存ファンは勿論、少しでも気になっていたプレーヤーは是非この機会に購入を検討してみてはいかがだろうか。