レビュー

「ELDEN RING」レビュー

この絶望的で広い世界を隅々まで楽しみたい。数多の死を迎えながら、折れない心を携えて

【ELDEN RING】

2月25日 発売予定

価格:
スタンダードエディション 9,240円(税込)
デラックスエディション 9,900円(税込)

 2022年2月25日に発売予定の「ELDEN RING(エルデンリング)」。本作は、「ダークソウル」シリーズや「SEKIRO」などを手掛けたフロム・ソフトウェアの宮崎英高氏がディレクターを務めており、「ソウル」シリーズの名前こそついていないものの、「ソウル」シリーズの王道進化とも呼べる作品で、2021年11月に行なわれたネットワークテストでその片鱗が明かされた以降も、”死にゲー”ファンの注目を集めている。

 ネットワークテストは、”オープンワールドのようなソウルライクアクション”を存分に堪能できる内容となっている一方で、「ネットワークテストの段階でここまで解放してしまって良いのか」と製品版を案じてしまう程のボリュームが、話題を呼んだ。そしてついに触れることができた製品版に近いレビュー版は、ネットワークテストで案じたことなど、全くの杞憂であった。

【ELDEN RING ゲーム紹介トレーラー【2022.2】】

 あまりに広いフィールド。移り変わる景色は、美しく、陰鬱、醜悪で、進めど進めど、見入ってしまう。あえて街道を外れた場所を探っていると、いつの間にか傍らにある洞窟の入り口。まるで、あえて目立たないように置かれているようだ。

 敵はデザインも多彩ながら、繰り出す攻撃は雑魚ですら様々な戦技を織り交ぜてくる。そのため必然的にプレーヤーは翻弄される。そして、数えきれないほどの死を迎える。ボスに至れば、その攻撃手段はより一層強力かつ豪胆かつ派手さを増す。

 正直に述べると、筆者は30時間プレイしているものの、まだまだ本作のレビューを書けるような段階にはないのでは、と思ってしまう。それほど、本作の全貌は計り知れない。スケールが大きすぎて、進んでも進んでも、たとえストーリーをクリアしても、本作の深淵には届かないようにすら感じてしまう。ならばまずは、筆者が見て感じ取れたことをできる限りお伝えしようと思う。

 ゲームの操作方法や本作の大まかなゲーム性、登場する用語などについては、ネットワークテスト先行プレイレビューの記事内にて述べているため、本レビューではその多くを割愛する。”オープンワールドのようなソウルライクアクション”についての詳細は、下記記事も参照してほしい。

自らジャンルを“オープンワールド型ソウルライクアクション”にアップデート

 重要な部分なので改めて説明するが、本作はオープンワールド(に近い性質)と、これまでの「ソウル」シリーズと同様のクローズドなダンジョンという、二つの面を併せ持っている。「どこから好きに進んでも良い」という攻略の自由性は「ソウル」シリーズと共通しているが、本作は広大なフィールドから次の目的地を探索で見つけ出すゲームデザインのため、これまでの「ソウル」シリーズ等とは体験そのものが似ているようで大きく異なっている。

まずはオープンフィールドを探索していくこととなる

 本作を”オープンワールド型ソウルライクアクション”というジャンルに纏めるとして、気になるのは探索と攻略のバランスだ。広大な世界を旅していくにあたり、常に緊張感のある気の抜けないプレイを求められては、時間も心もすり減ってしまう。その点、本作は序盤からオープンフィールドでは馬に乗ることが可能で、移動が非常に快適になっている。

 また、オープンフィールド上では、”敵の生息地”がある程度決まっている。何かしらの拠点やエリアに固まった数で配置されていることが多く、稀にポツンと放浪している敵が配置されていたり、ボスタイプの敵が配置されているが、筆者が現在行ける範囲内では、オープンフィールド上の敵はそこまで多くない印象だ。

 「祝福」と呼ばれる拠点を見つけると、ワールドマップでワープポイント(ファストトラベル)として使えるようになるのだが、祝福はオープンフィールド上のほか、ダンジョンの入り口や中間地点にあって攻略の拠点となる場合もある。オープンフィールドの祝福は何気ないところにあることも多く、見落としてしまうことも多い。

祝福の光は、とても小さい。あえて光を見つけやすい夜まで時間を進めてから探索するのも良い。時間は、祝福で休めば、朝、昼、夜のいずれかに調整できる。

 祝福の数は過去のフロム作品と比べてかなり多めで、オープンワールド型ゲームのファストトラベルとしても多すぎる程の設置数だ。だが、本作はそもそも戦闘や攻略の難易度が高い。その点から言えば、祝福の設置数はそれ以外のストレスを極力なくすような、プレーヤーの痒いところに手が届くような配慮を感じられる。

 たとえば、ある場所にはマップ上で隣り合ったように見える祝福があるのだが、よく見ると落下ダメージで死亡してしまうような高低差を挟んでいたりする。本作はジャンプアクションが増えており、過去作より落下ダメージが抑えられているとはいえ、落下ダメージそのものがなくなったわけではない。「ここは2つあったら確かに便利」という場所にあり、祝福の場所ひとつでも綿密にデザインされていることが伝わってくる。

 便利と言えば、ダンジョンの祝福も同じだ。ダンジョンは入り口付近に祝福があることが多く、一度光を灯せば、オープンフィールドから直接ダンジョン入り口の祝福にワープすることができる。入り口付近なので、そのままオープンフィールドに出て移動の拠点として使ってももちろんいい。ただし、ダンジョンの奥深くからは他の祝福にワープすることができない。一度入ったら簡単には戻れない。その緊張感が堪らなくいい。

 ポイントは、こうしたダンジョンも、オープンフィールド上の祝福も広い世界を探索しなければたどり着けないこと。「まずは探索していかなければ、何も進まない」ということを念頭に、少しずつ祝福を探しながら、まだ行ってなかったり「ここはなんだろう?」と思う場所があったら、とりあえず足を踏み入れてみてほしい。他にやりたいことがあったり、どうしても深入りする勇気がなければ、入り口の祝福だけ灯して出てくれば良い。

黄色い「◎」のようなマークが、発見した祝福の場所。ちなみにこのマップはまだほんの序盤のもので、ネットワークテストで遊ぶことができたあたりとほぼ変わらない程度のものだ。

ダンジョンは、歴代の「ソウル」シリーズとほぼ同様の作り

 ダンジョンには、洞窟、城、塔など様々な形態がある。ダンジョンはオープンフィールドからそのまま地続きとなっているためフィールドの一部ではあるのだが、広大な城などもエリアの区分けとして、ここではダンジョンと総称する。

 小さなダンジョンは主に街道から外れた岩壁などにポツンと入り口があることが多く、注意深く探索をしていないと気づかないようなものが多い。

 小ダンジョンの多くは、メインストーリー上は訪れなくとも問題がないようだ。内部も比較的短めなものが多く、ボスを倒すと装備品や戦技などの貴重なアイテムを入手できる場合が多い。

 小ダンジョンは鉱山、墓所、自然発生したような狭い洞窟などいくつかのタイプがあるが、鉱山では特に武器の強化に必要な楔石を大量に入手できることが多い。敵がとても強くて勝てないという場合でも、落ちている楔石だけダッシュで回収して死に戻ることもできるため、鉱山はできる限り入っておくのが良さそうだ。

最奥にいるボスは、後回しでも良い。武器の相性が悪いと全くダメージが通らないこともあるので、その時は潔くルーンは捨てる覚悟で楔石だけでも回収したい。

 一方で、世界にどっしりとそびえ立つ非常に広大なダンジョンもある。序盤に訪れることになるだろう「ストームヴィル城」はそのひとつで、これが他と比べられないほどにあまりに広大。城の中だけでも、祝福がいくつもある。また分岐が複数あり、攻略の仕方もひとつではない。進むルート次第では、ボスを倒して尚、全く気付かないままスルーしてしまう祝福やエリアもあるだろう。こうした大ダンジョンは、フロム作品の真骨頂、といったところだろうか。

ストームヴィル城の内部は、豪華な部屋から不気味な部屋まで、多種多様。ルートも、非常に複雑だ

 ダンジョンの攻略難易度自体は、ダンジョンが広ければ広いほど迷いやすいという違いはあれど、敵の配置などについては大きな差は感じない。むしろ小ダンジョンだからこその見えにくさを意識したような、いやらしい敵の配置も多く見られる。その点、ストームヴィル城は広いため、敵がどこにいるのか解りやすい(もちろん、しっかり死角にもいるし、ひとりひとりが恐ろしく強い)。

 要は小さくても大きくてもダンジョンそれぞれでちゃんと“死にやすく”なっているが、ダンジョン最奥に潜むエリアボスに関しては、小ダンジョンの方が比較的倒しやすいように感じる。その分、アイテム集めなどはしやすくなっている。だが……メインストーリー上必ず戦わなければならないボスや、フィールド上を闊歩しているボスたちはかなり強い。このギャップが、メインボスたちの強大さを際立たせているように思う。

 ちなみにメインストーリーに限らず、祝福の導きがあるような強力なボスのエリア前では、NPCを協力プレーヤーとして召喚できることが多い。ただし、ボスの前にそのNPCと会話をしておくなど、なんらかのフラグを立てていないと召喚サインが現われないようだ。NPCの助けがほしかったり、NPCとのイベントを進めたい人は、気をつけておくといいかもしれない。

小ダンジョンのエリアボスは、初見でいきなり倒せてしまうことも多い。とは言え、あまり自身の現在のレベルに見合っていないエリアに進むと、全く歯が立たないこともあるので、油断は禁物だ
メインストーリー上のボスは、アイテムやらNPCやら、使える手段をかたっぱしから使っても何十回と負け続け、最終的には「強化が最適解」ということも……

巡って、得て、希望を灯すために世界を回る

 本作はそのゲームデザインからも、何を主目的とするのか、臨機応変に考えて進めていきたい。ボスはダンジョンの奥地だけではなく、フィールド上のあちこちに存在している。そのボスを倒せるようになるまで挑み続けるのか。メインストーリーを追うのか。あるいは、オープンフィールドをどこまでも探索していくのか。

 ネットワークテストの段階でも「やれることがあまりに多い」と感じていたが、製品版ではその世界が更に広がっている。だからこそ、ひとつのことにこだわりすぎると、ただ何もできないだけになりかねない。ルーンは失っても、取り戻すものだ。しかし無為に失い続けていれば、やがて理想の形すら見えてこなくなるのではないだろうか。メインストーリーが思うように進まないのならば、せっかくだから他のエリアを探索しにいきたい。まずはひたすら祝福を探して、行ける場所をどこまでも、愛馬と共に進んでいくのも良い。絶望で塗り潰されてしまう前に、希望は他の場所にあるのだと、知ってほしい。

 ふらふらと彷徨う道中でも、明らかに敵が強すぎて、どうにもならなさそうな場面にも多々(本当に多々)遭遇する。だがそれは、今の自分にはまだ少し早いだけだ。まだ至らないけれど、いつか至る場所だ。その時のために、そっと祝福だけ灯して、その場を後にする。いつか至ったその時に戻ってくるだけのことだ、嘆くことではない。繰り返すが、これは希望の旅だ。彷徨って、巡って、得て、絶望を忘れかけた頃、再び打ち砕かれた場所へと戻ってみてほしい。何かが変わっているかもしれない。

 ……などと少々真面目に語ったが、「こんなに丁寧に作られた広くて怖い世界を、隅々まで楽しもう!」というこの一点に尽きるのだ。すでに話題になっている「鉄拳アレキサンダー」のように、NPCには鮮烈な印象を残してくるような奴がたくさんいる。

「見ての通りと言われても」、というレベルで目を疑った光景だ。

 せっかくのオープンフィールドなのだから、やはりその特性が活かされた世界は周りまくってほしい。沸点の低い敵ばかりのため、いきなり背後から襲われることも多いが、舌打ちせずにまずは戦ってみよう。意外なところで意外な敵が、ルーン稼ぎや素材稼ぎに役立ってくれることもあるかもしれない。

 一見、「ソウル」シリーズとはまるで違うゲームになったように見えるが、根底にあるのは変わらず、地道な強化と、そして折れない心だ。このふたつを持ち続けていれば、いつかきっと、今は目の前に立ちはだかる分厚い壁も、打ち破れるだろう。あまり難しく考える必要はない。

 ちなみにこの原稿を書いている最中、長らく筆者を足止めしていたストームヴィル城のボス「接ぎ木のゴドリック」をようやく倒せた。ストームヴィル城入り口にいる「忌み鬼、マルギット」に続く2体目のメインボスだが、まだたった2体目なのに目頭が熱くなった。夜中なのに思わず「やった!」と叫んでしまった。まさに、巡って、得て、希望が灯った瞬間だった。

 つまるところ筆者も、様々な地を巡って強化アイテムを見つけ、ひたすらルーン稼ぎに精を出したのだ。一気にレベルを10ほど上げて、ようやくゴドリック攻略に手が届いた。

敵の群れも正面から突っ込めば即死ものだが、戦い方さえわかればそこまで苦戦しない。
本作はしゃがむことでかなり気配を消されるため、背後から致命の一撃を入れやすい。場所や相手にもよるが、かなり一方的に敵を倒すことも可能だ。上手く活用して、ルーン稼ぎに役立てよう。
夜中に叫ぶこととなった「接ぎ木のゴドリック」との対戦

地獄か天国か? 美しい世界の片鱗を紹介

 世界を巡る間、様々な風景や、様々な戦い、様々なダンジョンが待ち受けている。悲しい出会いもあるかもしれないが、心躍る出会いもある。どのようなでき事がプレーヤーを待ち受けているのか、ほんの一部を紹介しよう。

各地に残された教会跡には、貴重なアイテムが残されていることが多い
手に入れた絵画の場所を探せ、という、謎解きのような要素もある
現時点では謎のものも多々あるが、遭遇した時に何かしらのアクションが可能であれば、しておくに越したことはないだろう
フィールド上で突然、NPCに敵対侵入されることも
黄金樹と月の対比に見惚れてしまう。視界が悪く強敵も現れる夜の旅は危険を伴うが、夜ならではの景色との出会いもある
巨大な亀のような、謎の生物。その背中には何か建物が乗っているようだが、どうやって入るのか。そのヒントは、どこかに必ず隠されている
本稿を書き終わる寸前でかろうじてたどり着くことができた、ストームヴィル城を抜けた先のエリア。空を覆うような黄金樹と、光を弾く水面が美しい。

 そしてまだまだ……本稿ではお届けできないエリアが、たくさん存在する。そして恐らくその大半は、筆者もまだ目にしたことすらない場所だ。

 30時間。筆者がこの時間を掛けてたどり着けたのは、ここまでだ。それでもようやく、ここまで至ったとも言える。

 短いとは言えない時間、この世界で様々なでき事に触れてきた。強敵に倒されて何度も死に戻り、また無謀に特攻をかけたはいいものの、やはり敗れ、それでもこの世界の旅を楽しんでいる。いや、正確には楽しんではいないのかもしれない。死んだら死んだ分だけ、この世界へのあらゆる敵、あらゆるギミックへのヘイトは高まる。それを”楽しい”という言葉で表現するのが適切なのかは、解らない。だが、やはり楽しいのだ。その歪さに憑りつかれ、狂ったループを繰り返し続け、そしていつかそのループから脱却する。

 本作は「ソウル」シリーズのように、ひたすらひとつの目的に向かう作品ではない。確かにエルデの王になるという目的はあれど、どのように核心に迫っていくのか、本当に核心に迫っているのか、今の時点でもわからない。

 わからないが、わからないからこそ、死んでも、死んでも、模索せずにはいられない。地獄から地獄を経て、死に体ながらもこれまで勝てなかった強敵を倒し、思わず朽ちかけていた心を一気に奮い立たせてしまう。

 時には、足を止めても良い。引き返しても良い。噛み合わない時は、誰かに頼るのも良いだろう。

今回はレビュー版でのプレイだったため、協力プレイができなかったのも辛かった。筆者は元々アクションゲームが大好きな割にアクションが上手いわけではないため、マルチがあるならばマルチを使う、というタイプだ

 最後になるが、本作のオープニングムービーの一部を紹介したい。OPでは、エルデンリングが砕け、女王マリカが隠れ、マリカの子であるデミゴットたちがエルデンリングの破片を得てその力に狂い、破砕戦争を起こしたという、本作の物語の始まりが語られる。なお、本作も断片的な情報から様々な事象を推測していくことになるのだろうとは思うが、ストーリーはフロム・ソフトウェアのゲームらしい重厚さが感じられる。

筆者を足止めし続けていたボス、ゴドリック。デミゴットと呼ばれる、女王マリカの子のひとりだ。

 この先、どのような物語がプレーヤーを待ち受けているのだろう。あの美しい黄金樹は、本当にただ美しいだけのものなのか。あの輝きに見合う、煌めきに満ちた物語を見せて……くれることは、恐らくないだろう。ならばあの美しさの裏に、どのような闇が隠されているのか。この先を想像しながら、引き続きこの世界を楽しんでいきたい。

素性や形見、新エリア「円卓」など、ネットワークテストとは異なっている点

 ここからは余談だが、注目すべきポイントとして、ネットワークテストとレビュー版との違いとそこから見えてきた注意点をまとめておきたい。

「素性」一覧

 素性は、「放浪騎士」、「剣士」、「勇者」、「盗賊」、「星見」、「預言者」、「侍」、「囚人」、「密使」、「素寒貧」の、全10種。それぞれの初期レベルやステータスを簡単に紹介する。素性は一度選んだら変更不可なため、自身の戦い方に合ったものを選びたい。

・「放浪騎士」は、生命力が初期値から15あり、筋力、技量共にバランスの良いステータスが特徴。
・「剣士」は、生命力が11と低めな割に、技量が16ある。ただし筋力は10。精神力が12あるので、戦技を中心に戦いたい人に向いている。
・「勇者」は、筋力が16、技量が9。精神力や知力、信仰はかなり低いので、とにかく武器で殴りたい人向けだ。

・「盗賊」は、剣士と似た技量寄りのステータスになっているが、神秘が高く、アイテム発見率を上げたい人にオススメだ。
・「星見」は、知力が16と高く、精神力も高い。一方で筋力は8しかないという、魔術特化型。
・「預言者」は、信仰が16の代わりに知力は7の、祈祷特化型となる。

・「侍」は、技量が15と高めではあるものの、生命力、精神力、持久力、筋力がほぼ同じ値となっている。
・「囚人」は知力が高いものの、筋力11、技量14と、初期状態でも星見より扱える武器が多い。
・「密使」は信仰が高めだが、精神力、筋力、技量がほぼ横並びで、祈祷を主軸には戦いにくいゲーム序盤を、カバーしやすい。

・そして本作の「持たざるもの」ならぬ「素寒貧」は、レベルが1。ステータスは全て10。装備もほぼ0という、まっさらな状態に近い。こだわりのステータスで育てたい人は、素寒貧でいこう。

素寒貧は最も自由度が高いように見えるが、不要なステータスにも最初から10振られているというのはデメリットとも言える。基本的に上級者向けの素性だ。

 素性は完全に好みで選んで良いと思うが、例えばアイテム発見率を高める神秘は、初期値からあまり上げることがないステータス。そのため、唯一神秘の初期値が高い盗賊は重要だろう。

 筆者は祈祷をメインにして戦う密使でスタートしているが、魔術や祈祷は遠距離から安全に敵を攻撃できる反面、新しい武器を手に入れても大抵はステータス不足で装備できない、という残念さもあるので、武器を振るためだけに勇者でも1キャラ作成した。

序盤から大きな敵を入ってこれない狭さの場所にひっかけて、安全地帯からひたすらボッコボコにできるのが魔術・祈祷系の良さ。ただし、FPはすぐに枯渇する。FP回復手段が乏しい上に最大FP値も少ない序盤は、苦しい。ちなみに祈祷は開始時こそ攻撃系の術を所持していないが、序盤で攻撃系の術を入手できるため、回復と攻撃どちらもFP消費で行なえる

「形見」は非常に重要

 キャラクター作成時には、素性や見た目以外に「形見」として何か一品を選んで持つことができる。

・「緋琥珀のメダリオン」(※永久装備):装備するとHPの最大値を上昇させる、タリスマン。
・「狭間の地のルーン」(※使用すると消失):使用すると、3000ルーンを得られる。
・「黄金の種子」(※使用すると消失):聖杯瓶の使用回数を増やす。
・「牙鬼インプの遺灰」(※永久装備):牙鬼インプを呼び出せるようになる。
・「ヒビ壺(3個)」(※永久装備):投擲アイテムの容器となる。
・「石剣の鍵(2個)」(※使用すると消失):インプ像の封印を解くことができる。
・「誘惑の枝(5個)」(※使用すると消失):敵を誘惑して未了するアイテム。
・「ゆでエビ(5個)」(※使用すると消失):物理カット率を一時的に高める。
・「シャブリリの禍」(※永久装備):装備すると敵に狙われやすくなる、タリスマン。

 以上、9個となる。いずれも不要ならば「なし」を選んでもいい。

 形見の選択は、慎重に行ないたい。基本的には「大半のアイテムは他のどこかでいずれ手に入れられる」のだが、入手のしやすさの点は大きく異なる。例えばHP最大値を上げてくれる「緋琥珀のメダリオン」などは、いずれ入手できるとは言え、入手難度は比較的高めだ。それを考慮しても、生命の値が低い素性を選んでいる場合、序盤から活躍してくれるアイテムになるだろう。

 一方で、「狭間の地のルーン」は3,000ルーンと言えば聞こえは良く、ゲームを開始してすぐに使用すればレベルを上げたりショップでの買い物に充てたりできるものの、ゲームを進めれば割とすぐに稼げるルーンでもある。貴重な枠を、3,000ルーンのために消費していいのかというと疑問が残る。

 聖杯瓶の使用回数を増やす「黄金の種子」は使用したら消失するものの、聖杯瓶の使用回数をいきなり1回増やせるのは非常に大きい。黄金の種子はゲーム中でも回収できるものの、非常に貴重品なのでそう簡単に見つけられるものではない。……という点からも、黄金の種子を選ぶ効果は、かなり高い。

 「牙鬼インプの遺灰」は、使ってもなくならない点は良いのだが、そもそも遺灰は「霊喚びの鈴」という重要アイテムを手に入れるまで使用できない。また、「霊喚びの鈴」の入手時に他の遺灰も同時にもらえるので、それらも考慮して決めてほしい。

 「石剣の鍵」は、主に白い霧で遮られた入り口を解放するために使用することが多いが、一部の「封牢」というエリアの解放にも使用するため消費量が激しい一方で、入手手段も割と豊富に用意されている。

白い霧壁の近くにはインプ像があり、石剣の鍵を使うことで霧がなくなり通れるようになる。その先は新しいエリアのこともあるが、貴重なアイテムが回収できることもある。ただし攻略上必須になるようなアイテムなどはなさそうなので、鍵を持っていない時は後で開けに来れば良い。
封牢と呼ばれる場所の解放にも、石剣の鍵が必要
封牢の中には、強敵が封印されている。勝つと、貴重なアイテムなどを入手できる。負けても一度開けた封牢はそのままなので、使った鍵が無駄になることはない。

 「ヒビ壺」は序盤で比較的まとめて購入可能なアイテムのため、優先度は低い。

ヒビ壺自体は消失アイテムではないが、所持しているヒビ壺の総数までしか投擲アイテムを作成できない。レシピを入手できれば、猛毒を振りまく糞壺なども作成できるようになるが、序盤は火炎壺くらいしか作れないのも注意。

 形見はあくまでオマケ的なアイテムとなるので好みで選んで良いのだが、筆者のオススメは「緋琥珀のメダリオン」か、「黄金の種子」だ。しかし序盤から石剣の鍵を求められる場所も多いので、「どうしてもここの白い霧壁を開けたい」という場合は、石剣の鍵でも良い。ちなみに白い霧壁はインプの封印で、ボスの前は黄金の霧壁となっているようだ。なお、扉を開けた先がボスということもあるため、ボスの前に必ず黄金の霧があるわけではないので注意。

褪せ人が集うエリア「円卓」が追加

 褪せ人が集う新エリア「円卓」が登場する。円卓に導かれる条件の詳細は不明なものの、恐らく最初にメインストーリー上で戦うボス「忌み鬼、マルギット」の撃破、或いはそれ以前に一定以上の死亡回数を超えると、円卓へと招かれることになると思われる。

円卓には、様々な褪せ人が集う。円卓では、不戦の約定により、戦闘行為が禁止されている。そのため基本的に円卓内では、R1ボタンを押しても武器を振るうことはできない。これで間違ってNPCを攻撃してしまうことがなくなった(もちろん、ダンジョンやオープンフィールドにいるNPCは普通に攻撃できてしまうし、倒してしまったらおしまいだ)。
祈祷を教えてくれるNPC
鍛冶師は、鍛冶台ではできない、上位の強化をしてくれる。
本作屈指の尊いNPC

 円卓は、メインストーリーだけではなく、サブイベントの進行などによっても、状況が変わっていく。円卓自体が広いひとつのエリアとなっているので、まずは円卓を色々と回って、人々の会話に耳を傾けてみたり、できることを確認してみよう。

イベントを進めていくことで円卓に加わるNPCもいる。

 また、円卓にある「化粧台」でキャラクタークリエイトをやり直すことができる。素性は変えられないが、名前、性別、年齢、細かな外見のクリエイトまでやり直せるので、とにかく早くゲームを始めたいけれどキャラクタークリエイトにもこだわりたい、という人は、取り急ぎ素性や形見だけを決めてゲームをスタートさせてから、円卓の化粧台で改めてキャラクタークリエイトを行っても良い。

キャラクリは、有志によるレシピの登場を待ってからじっくり取り組んでも良いかもしれない。筆者はキャラクリだけで1時間悩み、途中で諦めて、素直にゲームを開始した

入手アイテムなどは、ネットワークテストと全く異なる

 ネットワークテスト時はボスを倒すと「FOE VANQUISHED」と表示されていたが、レビュー版では「ENEMY FELLED」に変わっていた。このような、細かい部分での調整はかなりされている。ほかにもネットワークテストでは見落としやすかった学びの洞窟が、解りやすく変更されているなどの調整もあった。

 また、ボスや宝箱から入手できるアイテムは、レビュー版では全く変わっている。「この宝箱から、あの装備が出たのに」という部分は、ほぼ全部入手手段が変わっているので、ネットワークテストをプレイした人ほど注意したい。

 その中でも特に、防具は入手手段がかなり限られているように感じる。武器はそこそこ入手機会があるのだが、防具は30時間経過しても、初期装備のままだ。ショップで他の素性の初期装備程度は稀に売られていたりもするのだが、あとは敵のドロップ品くらいしかない。筆者のメインの素性が密使のため、重い装備を身につけられないという点もあるが、防具は相当長い間、初期装備のものを使い続ける覚悟をしたほうが良いだろう。衣装の調整ができるツールを入手できれば、性能は全く同じまま見た目だけを変更することは可能となる。

 などといったように、プレイに際して押さえたいポイントや注意点、知っておきたいことは山ほどある。あるが、広大な世界を旅しながら、まだ見ぬ自分なりのセオリーを見つけていくこともまた楽しいものだ。願わくば、これから始まるみなさんの「ELDEN RING」の旅がいいものになりますように……。

衣装の調整ができるようになると、現在装備している「密使のフード」を「密使のフード(軽装)」に変更できるようになった。