「アサシン クリード オデッセイ」レビュー

アサシン クリード オデッセイ

さらに進化して快適になったシステムで、地中海世界を冒険しよう

ジャンル:
  • アクションRPG
  • アクションアドベンチャー
発売元:
  • ユービーアイソフト
開発元:
  • ユービーアイソフト
プラットフォーム:
  • PS4
  • Xbox One
  • Windows PC
  • Nintendo Switch
価格:
8,400円(税別 通常版)
 
8,400円(税別 ダウンロード版)
 
無料配信予定(ソフト内購入あり)
 
発売日:
2018年10月5日

「これは俺の物語だ」
 これは、初代「アサシン クリード」から「III」まで主人公を務めたデズモンド・マイルズのセリフだ。そして10月5日に発売する「アサシン クリード オデッセイ(以下、オデッセイ)」では、デズモンドに代わって、プレーヤーがこのセリフを実感することになる。

 古代ギリシアを舞台にした「オデッセイ」は、前作「サシン クリード オリジンズ」のシステムを引き継ぎつつ、「選択」という新たな要素によってプレーヤーごとに違う物語を楽しむことができる。今回のレビューでは、プレーヤーが自分の意思で選択肢を選べるように、なるべくネタバレを避けつつ、このシステムの面白さを解説していきたい。

本作らしいプレイがしたいなら「探索」モードで決まり!

 本作のプロローグを飾るのは、映画「300(スリーハンドレッド)」の舞台にもなったテルモピュライの戦い。紀元前480年、スパルタの英雄レオニダスは、300人の親衛隊だけを連れて100万人の古代ペルシア軍と戦い、壮絶な戦士と遂げた。本作にはこの時レオニダスが使っていた槍が「レオニダスの槍」として登場する。

 プレーヤーは乱戦の中、レオニダスを操作して闘う。この戦いはチュートリアルにもなっており、基本的な戦い方やスキルの使い方、回避やガード崩し、受け流しなどを練習することができる。チュートリアルとしてはかなり短めで、本当に基本の基本だけ覚えたらあとはプレイの中で練習してくださいねといったところだ。

【テルモピュライの戦い】
プロローグは、勇将レオニダスがペルシア軍とたたかったテルモピュライの戦い
レオニダスを操作してのチュートリアルでバトルの基本を学べる

 カットシーンを挟んでから、難易度とゲームモード、キャラクターの設定を決めることになる。難易度は「イージー」、「ノーマル」、「ハード」、「ナイトメア」の4段階。イージーは「アビリティや装具の選択やアップグレードに無頓着でも快適にプレイ」できるというモードで、とにかくストーリーを進めたいという人向け。「ノーマル」、「ハード」はアクションゲームに自信があり、戦闘を楽しみたい人向けで、「ナイトメア」は「苦難にこそ最上の喜びを感じる、マニア向けの難易度」。「クリアできるあなたは、まさに英雄」という一般人お断りのベリーハードモードだ。難易度はプレイ中にも、いつでも変更できる。今回は限られた時間の中でゲームを進めるために「イージー」でプレイしている。

 ゲームモードの選択は「ガイド付きモード」と「探索モード」の2つから選ぶことができる。「ガイド付きモード」は次の目標が自動的に表示される、これまでのシリーズで使われていたシステム。「探索モード」は「オデッセイ」から導入された、世界を探索しながらターゲットやクエストを発見していくという本作が目指すプレイスタイル。今回はやはり「探索モード」を選ぶべきだろう。

 そして最後に主人公を「アレクシオス」か「カサンドラ」の2人から選ぶ。この選択は選び直しがきかない。この2人は単に性別が選べるというだけではなく別々の人間としてゲーム内にも登場する。ストーリーを進めていけば、この2人の関係性なども明らかになってくる。とはいえ、キャラクター選択が決定的な部分を左右するわけではないので、好みで選んでしまって問題はない。筆者は以前の試遊でカサンドラを使ったことがあったので、今回はアレクシオスを使ってみた。

【モード選択】
プレイ難易度の選択
主人公キャラクターの選択

選択肢に迷ったら、思い描く主人公像でロールプレイ

 ストーリーはどこを紹介してもネタバレになりそうなので、さらりと紹介するにとどめたい。ゲームのスタート地点は、ギリシアの東岸に広がるイオニア海に浮かぶケファロニア島。アレクシオスはここでマルコスという男の傭兵として働いている。だが、ある人物との出会いをきっかけに、アレクシオスはギリシア全土を巡る長い旅に出ることとなる。

 今作のストーリーはキャラクターの選択によって分岐していく。選択は永続的にゲーム世界に影響を与えるので、多くの選択肢を選んでいく中には、失敗したと後悔するものも出てくる。もちろん複数のデータをセーブすることはできるので、自分の選択した結果が気に入らなかった場合はそこからやり直すこともできる。とはいえ、その選択肢の意味が分かるのは、ずいぶん後になってからということもある。

【会話の中の選択肢】

 本作では選択肢に正解はなく、どの選択肢を選んでも物語は進行する。選んだ時点ではそれがハッピーエンドに繋がるのか、それともバッドエンドに向かっているのか予測するのは難しい。一見悪役に見えるような相手でも、それをする理由があり、弱者を救ったことで後から思わぬ形で足をすくわれることもある。単純な正解はないのだ。

 しかしそうなると、いったいどれを選べばいいのか迷ってしまう。筆者の場合は、自分なりのアレクシオス像を作り、その人物像に合う「らしさ」を重視して選択してみた。会話の選択肢を選ぶとその選択肢に応じたカットシーンが入る。アレクシオスは選択肢によって、お金に細かかったり情に厚かったり、相手の事情を一切斟酌しないバトルマシンだったり、女たらしだったり、ナイーブだったり、真面目だったり、激情家だったりと、様々な一面を見せる。時には問答のように質問と選択肢が繰り返されることもある。敵に囲まれた状態での会話では、戦闘以上にドキドキさせられることもある。

【馬の選択】
自分の馬を3頭の中から選ぶ。当然決定後の変更はできない

広大なオープンワールドのギリシアは山あり谷あり紺碧の海あり

 「オリジンズ」ではどこまでも続く砂漠を旅したが、「オデッセイ」では紺碧の海と港町そして険しい山岳地帯が主な冒険の舞台となる。ギリシアにも平野部はあるが、今作の舞台となっている古代の遺跡が多く残る地域はかなり山がちな地形で、海岸沿いにわずかな平地がある以外は岩が付きだした険しい山道になっている。

 マップはいくつかのエリアに分かれており、そのエリアに入るまでは詳細がマスクされている。マップが開いた直後の地図にはビューポイントと船着き場という最低限移動に必要な情報しか表示されておらず、街やクエストで訪れる敵の砦などは「未発見のロケーション」として「?」マークで表示されている。これらの場所は実際に足を運んで発見することで、地名やどういった施設なのかが判明する。

【ワールドマップ】
広大なマップの一部。南はクレタ島から、北はマケドニア付近までギリシアほぼ全土を巡ることができる

 さらに冒険を進めていくうちに、鍛冶屋や「オリンピアのアイコス」などの必須施設や、傭兵や指導者などターゲットの場所、沈没船や船着き場の場所など冒険に必要な情報が徐々に増えていく。また地図上には表示されない、小さな山賊の拠点やちょっとした洞窟なども多数存在している。

 「アサシン クリード」シリーズではおなじみのビューポイントは、一度シンクロすれば「オリジンズ」同様、ファストトラベルのポイントとして機能するようになる。ビューポイントは建物の上や山の頂上などにあるが、山の頂上付近にあるビューポイントはどれも背筋にぞくっと寒気を感じるような怖い場所が多い。その分絶景も楽しめるのだが……。

【ビューポイント】
山の上に立つ巨大な雷神ゼウス像にも上れる
ケファロニアの雷神ゼウス像からの眺め

フィールドに散りばめられた多くの遊び

 「アサシン クリード オデッセイ」はアクションゲームと銘打たれているが、今作ではますますRPG要素が強くなっており、アクションRPGと言ってまったく差し支えないゲームになっている。当然、プレイも単に敵を倒すだけではなく、様々な遊び方が用意されている。ここからは、美しいギリシアのオープンワールドにどんな遊びが用意されているのかを紹介したい。

メインやサブのクエストでレベル上げ

 RPGの常道であるレベル上げとクエストは本作においてもプレイの中心的な存在だ。クエストにはメインストーリーに当たる「果てなき旅」と、それ以外のサブクエストに大別される。サブクエストには「ワールド」という、マップ上のNPCや掲示板から受けるもの、「キャラクター」という闘技場を使ったクエスト、「戦争請負」という征服戦争に関連するものなどに分かれている。

 「ワールド」のサブクエストは、メインクエストを進めている最中に出会うNPCから請け負ったり、街にある掲示板から請け負うことができる。報酬としてドラクマ(通貨)や経験値、アイテムが手に入る。また後述する船の副官を雇うためのクエストもある。掲示板から配信されるクエストには、デイリーやウィークリーの期限が付いたものもある。

 「戦争請負」は、本作の特徴である征服戦争に参加することが条件になるものや、オリハルコンという特別なアイテムと交換できる素材が手に入るものなどがある。

【クエスト】

ロケーション目標にチャレンジ

 敵の拠点となる場所には、それぞれ「ロケーション目標」が設定されている。そのロケーションの指揮官や隊長を倒したり、隠されている宝箱を見つけたりといくつかの目標があり。すべて達成するとボーナスが手に入る。

【ロケーション目標】

傭兵たちとの闘い

 「オリジンズ」でプレーヤーを悩ませた警備兵は、「オデッセイ」では「傭兵」として登場する。傭兵にはそれぞれ固有の名前があり、使ってくる技なども違っている。傭兵のランクは9のティアに分かれていて、倒すと自分がそのティアに昇格できる。傭兵を倒してティアを上げていくと、ショップが安く使えるようになったりと、様々な優遇措置が受けられる。ちなみに今作の傭兵はお金で買収することができる。クエスト中に邪魔をされたくない場合、お金を払えばゲージが下がって追いかけてこなくなる。

【傭兵】

素材集めと装具の強化

 フィールドにはオリーブの木や鉱石などの素材が点在している。また野生動物を狩ることで生皮が手に入る。これらは装備や船の強化や、装備に性能を付加する「彫刻」に使用する。

 装具の強化やアイテムの販売などは、鍛冶屋が一手に引き受けている。交易品はすべて鍛冶屋に売却してドラクマに変えてしまえばいいが、使わない装具は「□」で分解することで素材を取り出すことができる。

【鍛冶屋】

都市国家の弱体化

 征服戦争を起こすには、その国の国力を下げる必要がある。国力を下げるには、その都市国家の指導者を倒すのが最も効果的だが、国力が高い間は厳重に警護されていて近づくのが難しい。その国の兵士を倒したり、軍需品を燃やしたり、財産を略奪することで国力を下げていくと、次第に指導者が弱体化していき、警護が手薄になっていく。国力を十分に弱めることができると、そのエリアでアテナイとスパルタによる戦争が始まる。

【都市国家の弱体化】
都市の指導者を倒せば大幅に弱体させることができる
軍需品を燃やすと国力を削れる。近くで燃やし過ぎて自分にも火が燃え移っているのはご愛敬

海中の探索

 「オデッセイ」の海中には難破船や遺跡など様々なものが沈んでいる。時には大きな宝箱が沈んでいることもある。これらを探索して発見するのも、本作の遊びの1つだ。水中では呼吸ができないため、一定時間ごとに海上に戻らなければならないうえに、巨大なサメも襲ってくるので簡単にはいかない。地上と違う制限の多さでスリルを味わうことができる。

【海中の探索】
海中で宝箱を発見
海面に浮かんだ壺や板きれが、水底に何かがあると告げる
海中の遺跡を探索中、突然巨大ザメに遭遇
息がー! 必死で海面を目指す

謎かけの陶片の謎を解く

 ロケーションの中で、たまに「謎かけの陶片」が手に入ることがある。陶片には場所のヒントとなる文章が記載されており、その場所を探索すればキャラクター強化のためのアイテムなどが手に入る。

【謎かけの陶板】

大勢の兵士が入り乱れて戦う「征服戦争」

 「征服戦争」はアテナイとスパルタによる戦争に参加するというコンテンツ。アレクシオスは傭兵なので、スパルタ、アテナイのどちらからでも参戦することができる。防衛側は難易度がノーマルで勝利するとエピックの装具が1つ手に入る。攻撃側は難易度がハードでより難しいが、勝利するとエピック装具を一挙に2つ手に入れることができる。

 戦争の勝利条件は、自軍のゲージが0になる前に相手のゲージを削り切る必要がある。一般兵でもゲージは減るが、2人いる隊長と、指揮官、そして途中で現われる強敵の英雄を倒せば、相手のゲージを大きく減らすことができる。隊長2人は毎回その戦場にいる兵士の中からランダムで選ばれるため、毎回隊長を探すところから戦争が始まる。

【征服戦争】
防衛側
攻撃側

 英雄は戦いの途中で現われると、以降はずっとアレクシオスを付け狙ってくる。かなり強いので、多数を相手にしているときに絡まれると厄介だ。英雄の処理に手間取ると、指揮官を倒す間もなく負けてしまったりもするので、この当たりの立ち回りでプレーヤースキルが問われる。

 戦争中にシンクロ解除してしまうと、直前のセーブからのやり直しになる。勝利か敗北が決すると、そのエリアは勝利した勢力の新しい指導者が現われ、国力も回復する。

 征服戦争はメインストーリーにもわずかに絡んではくるが、どちらかというといい装具を手に入れるためのサブコンテンツであり、当時の雰囲気を味わうためのエッセンスだと言えるだろう。

 各勢力の拠点を訪れる時、筆者が遭遇して、ぜひ気を付けたほうがいいというトラブルが1つある。それは拠点にいる兵士も、攻撃の対象になるということだ。うっかりかすり傷でも付けようものなら、その拠点にいる全員が一斉に襲い掛かってくる。拠点では「R1」と「R2」は絶対触らないほうがいい。

【征服戦争】
今回は攻撃側のアテナイ軍から参戦
戦場では大勢の兵士が入り乱れて戦っている
途中で敵の英雄が現われる。特殊な攻撃を使ってくる強敵だ

遊びやすくなったバトルシステム

 「オデッセイ」のバトルシステムは「オリジンズ」の進化系だが、「オリジンズ」に比べてかなり遊びやすくなっている。最も大きな違いはアビリティをボタンにセットして使えるようになったことだろう。近接攻撃で4つ、弓攻撃で4つの合計8つのアビリティを「○」、「×」、「△」、「□」のいずれかにセットして「L1」と「L2」で切り替えつつ戦う。

 アビリティには防御やイーグルダイブなど基本となるベースラインアビリティと、主に弓の能力を高めたり特殊な矢の制作が可能になる「ハンターアビリティ」、近接攻撃の能力を高める「ウォリアーアビリティ」、ステルス攻撃の能力を高める「アサシンアビリティ」がある。3系統のアビリティはレベルを上げることで順次開放されていく。一度開放されれば、どのアビリティでも自由に選ぶことができ、一部は能力を3段階まで強化することもできる。

【アビリティ】

 これらのアビリティを使うには、攻撃や防御で貯まるアドレナリンゲージが必要だ。ゲージは最大4つまで溜めることができ、どの攻撃でも1回で1ゲージを消費する。

 通常攻撃には弱攻撃とガードが崩せる強攻撃があり、「□」ボタンで回避、「L1」と「R1」の同時押しで受け流しが発動する。受け流しは白い線のようなエフェクト、相手の強攻撃は敵の身体が赤く輝くエフェクトで判別できるので、相手の状態に合わせて使い分ける。

 イージーモードでは強攻撃のダメージがそれほどシビアではないので、つねに受け流しを待ち構えつつたまにくる強攻撃には当たってから逃げるような戦いでも十分勝つことができた。スキルの選び方や使い方などで、今まで以上に個人の個性が発揮しやすくなっており、自分の戦いかたを突き詰めることができるようになった。

 「オデッセイ」では暗殺も活躍する。「オリジンズ」では見つかるとすぐにかがり火が灯されて、援軍と警護兵がわらわら押し寄せどうにもこうにもならなくなったこともあったのだが、「オリジンズ」ではそのあたりも多少緩和されており、暗殺者プレイがしたい人にとってもより遊びやすい進化を遂げているように感じられた。

【バトル】
イカロスを使った空からの偵察で敵やターゲットの位置を把握できる
物陰に隠れての暗殺
上空からのステルスアタック
遠距離の敵は弓を使って処理
白いエフェクトの攻撃は受け流しではじき返す
敵が赤く光る強攻撃は回避する

ガレー船の船長になって、大海原を旅しよう

 チュートリアルであるケファロニア島でのストーリーが一段落すると、アレクシオスはガレー船を手に入れることができる。この船は海の移動に使うのはもちろん、外洋をうろついている海賊や、アテナイ軍船、スパルタ軍戦との戦闘にも活躍する。

 ガレー船の操作は、通常の移動と同じで、右にレバーを倒せば右に、左にレバーを倒せば左に曲がる。スピードの上げ下げも簡単にボタンでコントロールすることができる。船が港に停泊している時には、乗組員は腰かけてくつろいだり、寝転んでいたりするが、アレクシオスが号令を出すとすぐにポジションについて、船底からも続々と出てくる様が見ていて楽しい。

【船のカスタマイズ画面】

 航海中には船員の唄声が響き、波間にはイルカやクジラの姿も垣間見ることができる。船が入れない場所には近づけない親切設計なので座礁の心配もなく行きたい場所にどんどん進むことができる。

 航海をしていると、時折海賊が襲ってくる。そんな時には弓や槍を射かけたり、船首のラムで体当たりしたりして相手の体力を削る。ある程度削った相手には、船を横付けしてアレクシオス自ら乗り込むこともできる。相手の船を沈没させることなく物資を奪うことに成功すれば、自分たちの船の耐久が回復する。

 船の船体やラム、オールなどは強化することができる。乗組員も防御力や攻撃力を個別に強化するだけではなく、最初は寄せ集めだった乗組員をより精鋭へと変えることができる。さらに「副官」を置くことで、船の能力を上げることができる。

 「副官」はNPCを勧誘することで増えていく。クエストでの選択肢で雇うこともできるが、敵の拠点にいる隊長など、一部のネームドNPCを気絶させて強引に勧誘することもできる。雇った副官は最大4人までセットすることができる。

【海戦】
大海原の航海。海のリアルな質感に感動する
遠距離の時にはお互いに弓を射かける
相手の耐久が減ってきたら、体当たりで一気にカタを付けることも
相手の船に横付けして乗り込む
船の上にいる兵士をすべて倒すと、宝箱が2個手に入る
海賊船以外の船は、ちょっかいを出さなければ襲ってはこない

好きな場所を探索すれば、どこにでも冒険が待っている!

 いろいろと細かい遊び方を説明してきたが、これらを一言にまとめると「ぶらり旅」という言葉がぴったりだ。人に会う目的で行った場所で、サメ退治を頼まれ、目的の相手を待たせたまま海へと向かったり、暗殺しにきたのに、ロケーション目標のクリアに血道を上げたりと、その時々にやりたいことで遊んでいれば、だんだんとレベルが上がりストーリーも進んでいく。美しく飽きの来ない風景を眺めながら、地図の「?」マークを追いかけるだけでもたっぷりの冒険感を味わうことができる。

 そして、今作は古代ギリシアらしいミステリアスで神話的なストーリーがかなり楽しい。何しろ日本人が大好きなファンタジー要素が凝縮された地域だ。装具や武器のデザインや装飾も「かっこいい!」と思えるものが多い。さらに、山の頂に巨大な蛇の骨が横たわっていたり、洞窟の奥に謎の古代遺跡があったりと、「アサシン クリード」らしい謎と不思議が世界中に散りばめられている。

 ゲームとしても、前作で感じていたストレスが解消され、アクションRPGとしてより遊びやすくなっている。たくさんのシリーズを重ねてきた本作ではあるが、この「オデッセイ」は新しい進化の道筋をはっきり示すことができた良作に仕上がっている。

 通常のプレイに飽きたら、ぜひ作り込まれた風景を見て歩いて欲しい。今作でも、ディスカバリーモードの搭載が予定されているが、歴史的なビューポイントだけではなく、街中の革工房や市場、ブドウやオリーブの畑、神殿で祈りをささげる人や音楽に合わせて踊る人など、沢山のNPCやオブジェが古代ギリシアの生活を再現している。そんな人々の生活を見ながら街中をぶらついているだけでもかなり楽しめる。

 そしてゲームの合間には、ぜひコントローラーを置いて放置して主人公の腕に止まってぴいぴい鳴きながら甘えてくる、鷹のイカロスのかわいい仕草に癒されて欲しい。