2018年9月19日 12:00
タカラトミーは、「ダイアクロン」シリーズの最新アイテム「ワルダースーツ ブリンガー」、「ワルダースーツ スタング」を8月25日に発売した。新生ダイアクロンシリーズ初となる、ダイアクロン隊の敵「ワルダー軍団」の商品化であり、敵味方が揃ったところで、シリーズのプレイバリューは大きく広がった。複数合体という、ダイアクロン隊とは全く異なるギミックを採用したこの新アイテムのレビューをお届けしていこう。
ダイアクロン隊の宿敵ワルダー軍団は、1980年から発売された過去シリーズより登場している。高度に発達した科学力を持つ「惑星ワルダー」のワルダー帝国は、エネルギーの枯渇により壊滅の危機に見舞われ、繁栄のもととなる超物質「フリーゾン」が豊富に存在するという地球へと襲来。
これに対抗すべく編成された地球防衛隊ダイアクロンとし烈な戦いをくり広げるというストーリーが、当時のカタログなどで展開されていた。ワルダースーツも当時から登場しているが、ワルダー軍団の「ウォークインセクター」に付属したもののみで、単独ではニットー製のプラモデルでしか発売されなかった。
この新型ワルダースーツは、太陽系に再襲来したワルダー軍団の新型機動歩兵マシンで、カルプスゾーン・スマトラ島のフリーゾン採掘プラントにてその存在が確認され、プラントを防衛するダイアクロンのパワードスーツ機動守備部隊を壊滅状態にするという戦闘力を誇るという設定がある。
「ワームポッド」と呼ばれるミミズかボウフラのような気味の悪いコクピットと、「ラルヴァユニット」という本体が合体したワルダースーツは、単独でも4つのフォームへと変形が可能だ。搭乗員は宇宙生物を寄生させたアンドロイド「ワルダロイド」で、ダイアクロン隊員と同様に全身9カ所が可動する小型フィギュアである。
そしてその最大の特徴となるのは「マルチプライズ∞」という「増殖合体」の機構だ。本体には複数の3mm径のジョイントが設けられ、バクテリアが増殖するように縦横無尽に結合できるギミックを持っている。これにより本体をブロックトイのように結合させて、あらゆる形へのへ系合体を可能としているのだ。もちろん合体遊びは単独の商品では不可能であり、複数買いが必要となるわけだが、実際に触ってみるとこれが実に“多々買い”したくなる設計となっていた。
ワルダースーツの合体機構は5パターンあり、機体同士を上下左右前後の様々な方向から合体させられるようになっている。これにより、複数合体させたときでもさらに合体の余地があり、無限に合体させることも可能だ。2体合体を「X2(バイツー)」、3体合体を「X3(バイスリー)」といった具合で、4体までの複数合体のパターンを公式に提示しているが、もちろんどう合体させるかはユーザーの自由だ。
この手の自由度の高い合体おもちゃは、全体のバランスを考えることでより格好いい合体後の姿を楽しめるわけだが、このワルダースーツの場合は、あまり深く考えずに繋げ合わせていくだけでも、それっぽい姿になっていくのが面白いところだ。不自然なバランスなほど、宇宙からの侵略者の得体の知れない不気味さが強調され、敵キャラクターとしての存在感が増していくのである。
ここまで合体が自在だと、1体2体では正直もの足らないというのも事実で、ダイアバトルスV2やビッグパワードなどと絡ませるとなれば、最低でも4体ぐらいは欲しくなってしまうほどだ。筆者も最初は4体買ったのだが、我慢できなくなってもう2体追加で買ってしまい、後で合計価格を計算してちょっと青くなってしまった。
それでも複数買いするファンは多かったようで、筆者が最初に購入した秋葉原のショップは、発売日当日に数十個単位で入荷していたにもかかわらず、翌日には綺麗さっぱり売り切れていて、現在市場在庫はほとんど残っていないような状況にある。再販に期待がかかるところだが、そのときに追加購入したいと思っている人も多いはずだ。
1つ気になったのは、一部の製品にちょとした不具合があったということ。ラルヴァユニットの脚部の関節にクラックが入った個体が6個中2個あり、他のユーザーからの報告もいくつか確認している。いじっている最中に割れてしまうようなことはなく、保持力にも変わりがなかったので交換などには出していないが、決して安い製品ではないので、品質管理は確実にしてもらいたいと思った次第だ。
満を持して登場したワルダー軍団は、ファンの意表を突く意外な設計の合体マシンとして発売となった。フレキシブルな合体機構はさすがと思える設計で、イベントで展示された「強化マシン(仮)」の発売も楽しみとなった。その一方、ワルダーと聞いて当時のファンが思い出すのはやはり「ワルダロス」のような大型の合体マシンであり、公式のストーリーで描かれているような巨大戦闘マシンの発売にも期待したい。
(C) TOMY