「ワルダースーツ」レビュー

ワルダースーツ

ダイアクロンシリーズ最新アイテム、宿敵ワルダー軍団が、増殖合体可能なパワードスーツをまとって地球に再襲来!

ジャンル:
  • アクションフィギュア
発売元:
  • タカラトミー
開発元:
  • タカラトミー
価格:
3,300円(税別)
発売日:
2018年8月25日

 タカラトミーは、「ダイアクロン」シリーズの最新アイテム「ワルダースーツ ブリンガー」、「ワルダースーツ スタング」を8月25日に発売した。新生ダイアクロンシリーズ初となる、ダイアクロン隊の敵「ワルダー軍団」の商品化であり、敵味方が揃ったところで、シリーズのプレイバリューは大きく広がった。複数合体という、ダイアクロン隊とは全く異なるギミックを採用したこの新アイテムのレビューをお届けしていこう。

「ワルダースーツ」パッケージ。ダイアクロン隊の赤に対し、黒と緑が基調となっている
赤のブリンガーの内部パッケージ。なおスタンド等は付属せず、本稿では市販のフィギュア用スタンドを仕様している
付属のミニブックには、ワルダー軍団幹部「将軍インガム」があしらわれた過去シリーズと同じロゴを採用

 ダイアクロン隊の宿敵ワルダー軍団は、1980年から発売された過去シリーズより登場している。高度に発達した科学力を持つ「惑星ワルダー」のワルダー帝国は、エネルギーの枯渇により壊滅の危機に見舞われ、繁栄のもととなる超物質「フリーゾン」が豊富に存在するという地球へと襲来。

 これに対抗すべく編成された地球防衛隊ダイアクロンとし烈な戦いをくり広げるというストーリーが、当時のカタログなどで展開されていた。ワルダースーツも当時から登場しているが、ワルダー軍団の「ウォークインセクター」に付属したもののみで、単独ではニットー製のプラモデルでしか発売されなかった。

「ダイアクロンEXPO 2017」で展示された過去シリーズのワルダー軍団。右手前が「ウォークインセクター」、左と中央奥が合体マシン「ワルダロス」だ

 この新型ワルダースーツは、太陽系に再襲来したワルダー軍団の新型機動歩兵マシンで、カルプスゾーン・スマトラ島のフリーゾン採掘プラントにてその存在が確認され、プラントを防衛するダイアクロンのパワードスーツ機動守備部隊を壊滅状態にするという戦闘力を誇るという設定がある。

 「ワームポッド」と呼ばれるミミズかボウフラのような気味の悪いコクピットと、「ラルヴァユニット」という本体が合体したワルダースーツは、単独でも4つのフォームへと変形が可能だ。搭乗員は宇宙生物を寄生させたアンドロイド「ワルダロイド」で、ダイアクロン隊員と同様に全身9カ所が可動する小型フィギュアである。

左からラルヴァユニット、ワームポッド、ワルダロイド。右下が付属の可動ジョイント
左がブリンガー付属、右がスタング付属のワルダロイド。色だけでなく、椀部の形状も異なる
ワームポッド先端はコクピットになっていて、ワルダロイドを搭乗させられる
尾の部分の「フレキシブルテイルユニット」の節々は、ジョイントにより可動する
ワルダースーツの本体となるラルヴァユニット。中央の大きな穴にワームポッドが入る
ワームポッドを収納するとワルダースーツの完成。これは飛来フォーム「ハマーヘッド」
脚部は左右に割れるように開く。この状態は捕獲フォーム「ハンター」だ
肩に収納された腕を展開すると、人型の第1戦闘フォーム「グラップラー」となる
上下を逆にして脚部を頭に、腕を脚にすると恐竜的な第2戦闘フォーム「シュリーカー」に

 そしてその最大の特徴となるのは「マルチプライズ∞」という「増殖合体」の機構だ。本体には複数の3mm径のジョイントが設けられ、バクテリアが増殖するように縦横無尽に結合できるギミックを持っている。これにより本体をブロックトイのように結合させて、あらゆる形へのへ系合体を可能としているのだ。もちろん合体遊びは単独の商品では不可能であり、複数買いが必要となるわけだが、実際に触ってみるとこれが実に“多々買い”したくなる設計となっていた。

 ワルダースーツの合体機構は5パターンあり、機体同士を上下左右前後の様々な方向から合体させられるようになっている。これにより、複数合体させたときでもさらに合体の余地があり、無限に合体させることも可能だ。2体合体を「X2(バイツー)」、3体合体を「X3(バイスリー)」といった具合で、4体までの複数合体のパターンを公式に提示しているが、もちろんどう合体させるかはユーザーの自由だ。

マルチプライズ∞の合体パターン1。肩部のジョイントを合わせて横に合体
合体パターン2。付属の拡張用ジョイントパーツを使って前後に合体
合体パターン3。肩部のジョイントを胴体のジョイント穴に差し込んで合体
合体パターン4。脚部を胴体のジョイント穴に差し込んで合体
合体パターン5。開いた脚部同士を重ね合わせて合体
イレギュラーな方法で保持力は弱めだが、開いた脚部をこのように合体させる手もある
説明書で提示しているX2~X4の合体例。各合体パターンを上手く使っている

 この手の自由度の高い合体おもちゃは、全体のバランスを考えることでより格好いい合体後の姿を楽しめるわけだが、このワルダースーツの場合は、あまり深く考えずに繋げ合わせていくだけでも、それっぽい姿になっていくのが面白いところだ。不自然なバランスなほど、宇宙からの侵略者の得体の知れない不気味さが強調され、敵キャラクターとしての存在感が増していくのである。

筆者による合体の例。フレキシブルテイルユニットを上手く使うと、生物っぽさも出てくる
対ワルダースーツ用に開発されたパワードスーツ マニューバシリーズとの戦いを再現
合体変形を繰り返し、ダイアバトルスV2を苦しめるワルダースーツ群

 ここまで合体が自在だと、1体2体では正直もの足らないというのも事実で、ダイアバトルスV2やビッグパワードなどと絡ませるとなれば、最低でも4体ぐらいは欲しくなってしまうほどだ。筆者も最初は4体買ったのだが、我慢できなくなってもう2体追加で買ってしまい、後で合計価格を計算してちょっと青くなってしまった。

 それでも複数買いするファンは多かったようで、筆者が最初に購入した秋葉原のショップは、発売日当日に数十個単位で入荷していたにもかかわらず、翌日には綺麗さっぱり売り切れていて、現在市場在庫はほとんど残っていないような状況にある。再販に期待がかかるところだが、そのときに追加購入したいと思っている人も多いはずだ。

7月の「ダイアクロンEXPO 2018」に展示されたX16とX60の合体例。あまり現実的ではないが、物理的にはここまで可能だ

 1つ気になったのは、一部の製品にちょとした不具合があったということ。ラルヴァユニットの脚部の関節にクラックが入った個体が6個中2個あり、他のユーザーからの報告もいくつか確認している。いじっている最中に割れてしまうようなことはなく、保持力にも変わりがなかったので交換などには出していないが、決して安い製品ではないので、品質管理は確実にしてもらいたいと思った次第だ。

 満を持して登場したワルダー軍団は、ファンの意表を突く意外な設計の合体マシンとして発売となった。フレキシブルな合体機構はさすがと思える設計で、イベントで展示された「強化マシン(仮)」の発売も楽しみとなった。その一方、ワルダーと聞いて当時のファンが思い出すのはやはり「ワルダロス」のような大型の合体マシンであり、公式のストーリーで描かれているような巨大戦闘マシンの発売にも期待したい。

「ダイアクロンEXPO 2018」で展示された現在開発検討中の「ワルダースーツ 強化マシン(仮)」