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神戸にて大規模LANパーティーイベント「RIZeST Gamer's Base」が開幕
プロへの登竜門「Logicool G Cup」はケイン・コスギ、Ceros選手ら豪華ゲストが登場し、“山”が2連覇を達成!
2018年12月23日 03:03
- 12月22日~24日開催
- 会場:神戸ファッションマート
RIZeST(ライゼスト)は12月22日、LANパーティーイベント「RIZeST Gamer's Base(RGB)」を兵庫県神戸市神戸ファッションマートにて開催した。会期は24日までで、初日の22日は同イベントの中核コンテンツとなっている「Logicool G CUP」の決勝戦が実施され、「ロケットリーグ」部門は1NE、「League of Legends」は山がそれぞれ優勝し、優勝賞品「ロジクールG製品100万円分」をゲットした。「LoL」決勝戦については大会レポートを参照いただくとして、本稿では、初日のイベント全体の模様をお届けしたい。
RIZeSTは、ひょっとしたらゲームファンにはあまり馴染みがないかもしれないが、開始から5年目を迎えた「Logicool G CUP」をはじめ、有名どころでは「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS JAPAN SERIES(PJS)」、「PLARUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS WINTER INVITATIONAL 2018(PWI 2018)」などなど、様々なeスポーツイベントの運営を手がけている会社で、eスポーツ関係者なら知らぬものはいない存在だ。
そのRIZeSTが“年に一度のゲームファンへの還元祭”と銘打って昨年より始めたLANパーティーイベントが「RGB」だ。2017年の第1回RGBは、2017年12月31日から2018年1月1日という前代未聞の年末年始開催を決行。年末年始、ヒマを持て余しているゲームファンには好評を集めたが、年末年始の帰省の機会を失ったスタッフから大不評を買い、今年は計画を変更。2018年はクリスマス連休を使って3日間に渡って実施されることになった。
今年の大きな特徴は、地方イベントになっているところだ。今年は企画の時点で、地方開催を前提に、全国を対象に開催場所を検討し、その中でもっとも誘致に熱心だった神戸市を選択。神戸市には特別協賛という形で、会場選定や告知協力の面で全面協力を受け、2回目にして初の地方開催となった。
会場の都合から、LANパーティーのお約束である“無休止オールナイト”ではなく、毎日18時には会場を閉めるという通常イベントスタイルで行なわれ、その代わり、参加費は、PC利用料も含めてすべて無料。10時の入場開始から18時にLANパーティーエリアが閉まるまで、ハイスペックゲーミングPCを無料で遊び倒すことができる。
会場に設置されたゲーミングPCは、前述の「PWI 2018」で使用されたユニットコムのゲーミングPC「レベル∞」。4トントラックを使って東京から神戸まで一気に100台を運搬し、ゲーミングエリアほか、会場の様々な場所に設置。こうした芸当ができるのも、eスポーツ大会運営を長年手がけるRIZeSTならではだ。
イベント会場は、共催イベントとなっている「Logicool G CUP」のステージエリアと、LANパーティー会場となるエキシビションスペース、そして食事もできるカフェエリアにわかれており、参加者はいつでも席を立って自由に行き来することができる。
エキシビションスペースでは、40台のゲーミングPCが設置されたゲーミングエリアをメインに、小規模なイベントが実施できるステージエリア、スポンサー各社による企業ブースなどが設置され、参加者はすべて無料で楽しむことができた。
カフェエリアは、カードゲーム、ボードゲーム専用エリアとなっており、明日23日も「ポケモンカードゲーム」や「ハースストーン」、「Magic: The Gathering」などをテーマにしたコミュニティイベントが開催される予定となっている。
初日のメインイベントとなったのは「Logicool G CUP」だ。プロへの登竜門としてアマチュア選手の育成、出場機会の創出を目的に2014年から開催されている歴史と伝統のあるアマチュアeスポーツイベントだ。
今回は、RGB同様に、初の地方開催となったが、実況に「League of Legends Japan League(LJL)」でもお馴染みのeyes氏、解説には「LoL」の国内トッププロであるCeros選手(DetonatioN Gaming FocusMe)が入り、さらにゲストには、eスポーツ界を代表する芸能人ケインコスギ氏が参戦。RGB メインMCのお笑い芸人のばしぼんの2人と“パーフェクトボディ”な掛け合いを見せ、笑いを集めていた。
実はケインコスギ氏は、RGB2017でもゲスト出演し、本物の「LoL」ユーザーであることを実証し、それが実質的なeスポーツ界デビューとなった。ケインコスギ氏も、eスポーツ界デビューのきっかけを作ってくれたRGBには特別な想いがあるようで、繰り返し感謝を述べつつ、生“パーフェクトボディ”を披露。のみならず、本来1戦のみだった1on1のエキシビションマッチを、なんと4戦も行なうなど、大車輪の活躍だった。
肝心の決勝戦のほうは、今年は「LoL」と「ロケットリーグ」の2種目で行なわれた。2種目になるのは5年目にして初めての試みで、主催のロジクールの方で今年は種目を増やしたいと考え、PCでももっともポピュラーなゲームジャンルであるFPSを想定してユーザーアンケートを行なったところ、「ロケットリーグ」が1位となったため採用を決定。
「ロケットリーグ」は、セミファイナルから計3試合が行なわれたが、「ロケットリーグ」は国内にプロリーグやプロ大会が存在しないため、国内のトップ選手が集う非常にレベルの高い見応えのある大会となった。
「ロケットリーグ」は、通常のゲームとeスポーツで驚くほど中身が異なるタイトルだ。通常のゲームだと、地上でボールを追いかけ回すサッカーライクな球技に過ぎないが、eスポーツになると、「ファイナルファンタジーX」のブリッツボールを彷彿とさせるような空中戦まみれの三次元スポーツに様変わりする。
空中でシュートを放ち、空中でブロックし、パスも空中で繋いでいく。ボールのみならずクルマも物理法則に則った動きをするため、壁を巧く駆使して、次の移動先の自分に対して巧妙にパスを繰り出し、自分で決める。まるで曲芸のようだ。
決勝戦は「最初から優勝するつもりで練習に臨んでいた」と宣言した1NEが圧倒的な強さで優勝。メンバー3人に優勝後話を伺ったところ、「Logicool G CUP」の種目になることが決定してから半年近く練習を重ね、絶対的な自信を付けていたという。
ランクは、ゲーム内のトップランクであるグランドチャンピオンのさらに上位のトップ層ということで、11月に実施された「ロケットリーグ」の世界大会に出場しても上位に食い込める実力を持つという。そんなに強い彼らがなぜ世界大会に出場していないのかというと、日本のチームにはまだ参加資格すら与えられていないためで、「Logicool G CUP」がPsyonix公認大会として開催が決まったときは本当に嬉しかったという。
「Logicool G CUP」の開催と、優勝実績によって、来年度の日本からの予選大会への参加資格が得られるかどうかはわからないが、日本で「ロケットリーグ」そのものがeスポーツ種目として盛り上がってきており、2019年は、新たに幾つかの大会が企画されていることもあり、1NEのメンバーが臨むような展開になるかもしれない。今後の動きに注目したいタイトルだ。
メインイベントとなった「LoL」部門の決勝戦は、ディフェンディングチャンピオンである山(YMA)と、元プロ選手を擁するセミプロチームQTX。この山には、筆者が先週取材に訪れた岡山共生高校2年生の赤バフ選手が所属しており、25日に開幕する全国高校eスポーツ選手権のいわば前哨戦として出場していた(参考記事)。大規模なオフライン大会は初出場として、試合前はせわしなくメモを開いたり閉じたりしながら、緊張を隠せない様子だったが、いざ試合が始まると、ADCの役割をしっかり果たす活躍ぶりで、注目選手の1人としてたびたび名前を挙げられる存在として優勝に貢献。BO3の戦いをあっさり2:0で勝ちきり、見事2連覇を果たした。
試合後に話を伺ったところ、色々驚くべき事実が明らかになった。出場メンバーでの合同練習は実は1度もやっていないという。本大会で見せた連携はすべてその場でのアドリブで、全員がチャレンジャーランクで「LoL」を知り尽くしているからこそ実現できたのではないかという。では、全員まともに練習していなかったのかというと、当然そう言うことはなく、絶えずメンバーが変わりながらも練習自体は行なっていたという。山自体が、梁山泊のような組織で、常に離合集散を繰り返しているため、そういうことになったようだ。
ちなみに、この山は、RGB 2017で優勝後に一端解散している。解散した理由は、もともとRGB 2017に出場するために結成し、その役割を終えたたためで、再結成した理由も「RGB 2018に出場するため」と、まことに屈託がない。リーダーの機動戦士ガベダム選手は、“かべお”というハンドルでストリーマーとして活動しており、追っかけもいるぐらいの人気選手だが、「チームに入ると縛られるじゃないですか」ということでプロになるつもりはまったくないという。元Cloud9で、現人気ストリーマーのshroud選手を彷彿とさせるような話だが、eスポーツのキャリアパスが必ずしもプロだけではないということを雄弁に示すエピソードだと思う。
本大会で話題を集めた最年少17歳のADC 赤バフ選手については、「最初はカバーしてあげなければ行けないかなと思っていたら、めっちゃ勝ってたけど、緊張しすぎててまだ一人前ではないかな」(yasai7428選手)、「朝からガチガチに緊張していて、表舞台に立ったことがないと聞いて、観客を前にして大丈夫かなと思ったんですけど、次第に慣れてきてめちゃくちゃ上手いと思う」(機動戦士ガベダム選手)と褒める声が多かった。
当の赤バフ選手は「本当にガチガチで、(生徒会長として人前で話すより)100倍ぐらい緊張しました。ゲーム始まったらいつも通りにできました」と笑顔で語ってくれた。勝因は「得意チャンプが使えたこと」だという。特に2試合目は、本来相手がピックすべきチャンプを相手が先にバンして、バンピックの段階でかなり有利な状況になっていたという。
25日に開幕する全国高校eスポーツ選手権の抱負を訪ねると、「たぶんドレイヴン(赤バフ選手がLogicool G CUPで使用し、大活躍したチャンプ)がバンされるんですよ。高校生大会はチームのサポートが弱いのでポケットピック(敵の予想を外すピック)で考えていて、(山のサポートの)吉岡さんは最強で、150%ぐらいの力を出させてくれるんですけど、サポートが下手だと80%ぐらいの力しか出せない。ですので、山で優勝するより、高校生大会で優勝する方が段違いに難易度が高いと思います」と冷静に分析してくれた。ちなみに、先日組み合わせが発表され(参考記事、赤バフ選手の見立てでは幕張(ベスト4で出場権が得られる)には行けそうだという。「Logicool G CUP」に続いて有言実行となるのか注目したい。
RGBは24日まで実施される。ゲーミングエリアが引き続き無料開放されるほか、ゲーミングエリアの一部スペースやステージエリア、カフェテリアにおいて、各種コミュニティイベントが開催される予定となっている。関西のゲームファンはぜひ参加してみては如何だろうか?