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【特別企画】2018年、「ハースストーン」はこう変わる
Blizzard日本法人設立の影響は? eスポーツ周りがどう進化するのか解説する
2018年1月24日 07:00
- 【ハースストーン】
- 正式サービス中
- 利用料金:無料(アイテム課金制)
PC/モバイル向けオンラインカードゲーム「ハースストーン」の世界大会「Hearthstorn Championship Tour 2017 World Championship(HCT 2017 World Championship)」が現地時間の1月21日幕を閉じ、全4回の世界大会の歴史において、初のアジア勢となる台湾のtom60229選手が栄冠を獲得した。
その模様については、大会レポートをご覧頂くとして、本大会には、Blizzard関係者も数多く参加しており、会期中「ハースストーン」に関する数多くの情報を仕入れることができた。エグゼクティブへの取材は別途レポートとしてまとめている(「ハースストーン」エグゼクティブプロデューサーHamilton Chu氏、「ハースストーン」eSports Manager Matt Wyble氏、「ハースストーン」ディレクターBen Brode氏)ので、本稿ではそれ以外の情報、特に「ハースストーン」そのものと、日本運営の今後についてまとめておきたい。
「HCT 2017 World Championship」を終えると、名実共に2017年の“マンモス年”は終わりとなり、新たな年がスタートする。2018年は「ハースストーン」にとって、あるいは日本の「ハースストーン」コミュニティにとってどういう年になるのだろうか。
まずゲームについて大きく変わるのは、繰り返しになるが「年が変わる」ということだ。「ハースストーン」において年が変わるということは、スタンダードの内容が入れ替わることを意味する。具体的には「旧神のささやき」(2016年4月)、「ワン・ナイト・イン・カラザン」(2016年8月)、「仁義なきガジェッツァン」(2016年12月)という2016年にリリースされた3つのカードセットがスタンダード落ちし、スタンダード戦では使用できなくなる。
使えなくなるタイミングは、2018年4月に配信が予定されている新しいカードセットがリリースされた日。「HCT 2017 World Championship」でも猛威をふるったハイランダープリースト、翡翠ドルイドの主軸カードがこの中に含まれており、4月のカードセットリリースと同時に、スタンダードでは使えなくなる。上記3つのカードセットのカードをデッキに組み込んでいるというユーザーも多いと思われるため、少しずつ新しいスタンダード向けのデッキを考えていきたいところだ。
気になる4月のカードセットについては、まだ情報は出せないということで、新たに殿堂入り(スタンダード落ち)するクラシックカードの有無などについても、現時点ではまだ情報は出せないということだった。ただ、Hamilton Chu氏によれば、今後もネムシーのような新たなヒーローは登場するという。
その一方で、「ハースストーン」でもっとも重要視されるeスポーツについては、かなりの情報が公開されている。その内容は、非常に膨大で多岐にわたるため、詳細については公式サイトの情報を直接参照いただきたいが、大枠としては、「ハースストーン」のeスポーツへの参加を促す施策の拡充と、世界大会に出場するようなトッププレーヤーの支援の2つのアプローチで構成されている。
前者については、「マンスリーカップ」が「チャレンジャー・カップ」と名前を変えて拡張される形で継続し、「炉端の集い」内のトーナメント「酒場のヒーロー予選」も継続される。これの大会優勝者には「チャレンジャー決勝大会」への出場機会が与えられ、「チャレンジャー決勝大会」上位8名には、現在行なわれている「HCT World Championship」の予選大会となる「ハースストーン・チャレンジャーズ プレイオフ」への参加権が与えられる。
実際には「HCT World Championship」を目指すためのパスは複数用意されており、日々のランク戦の延長線上にも存在するし、これまで「メジャー大会」と呼んでいたオープントーナメントは「HCTストップ」と名前を変え、このHCTストップで、HCTポイントを稼ぐことでも可能となる。2018年、HTCストップは開催数を増やし、その名の通り世界中をツアーしていく。ちなみにアジア地域最初のHTCストップは2月にシドニーでの開催が予定されている。これ以上の情報は煩雑になるので、興味のある方は公式サイトを参照いただきたいが、今年も「ハースストーン」では、ランク戦から「HCT World Championship」に至るパスが複数用意される、と理解しておけばいい。
「ハースストーン」eスポーツに興味のあるすべてユーザーにとっての関心事であるHCポイント(ハースストーン・コンペティティブ・ポイント)については、獲得ポイントの量とルールが変わり、より平等になる。具体的には、もっとも手軽なHCポイントの獲得手段となるランク戦については、各月の高いほうから3つをポイント算出に適用する。これはひと月サイクルで実施されるランク戦において、月末にプレイが集中してしまう結果、オフライン大会が月末に被った場合、出場選手が不利になってしまうことを避けるための措置となる。これにより全プレーヤー心置きなく大会への参加が可能となる。
その上で、「ハースストーン」の“プロプレーヤー”および“プロを目指すプレーヤー”を支援するプログラムがスタートする。これは「ハースストーン・マスターズシステム」と呼ばれるもので、スポーツにおける世界ランキングに相当するものだ。三つ星、二つ星、一つ星の3つのランクが用意され、3つのHCTシーズンにおける獲得HCポイントの累計に基づいて決定される。三つ星マスターになると、シーズンプレイオフや賞金付きオンライン大会への出場権が自動的に与えられるようになり、さらに1シーズンにつき最大3つのイベントまで2,500ドルの出場ボーナスが受けられるなど、「ハースストーン」のプロゲーマーとして活動しやすい環境が提供される。
また、個人戦のみの「ハースストーン」においても、腕を磨くためにプロチーム化の波が押し寄せてきており、トップ選手のほとんどがチーム単位で活動するようになっている。Blizzardは、このプロチームに対しても賞金を提供してその活動を支援する。といってもチーム戦がスタートするわけではなく、3人の代表メンバーのHCTポイントの合計値によってチーム順位を決めるシステムになっており、上位10チームまでに賞金が与えられる。賞金額は、1位チームに対しては各選手に対して7,500ドルずつということで、それで生活したり、ゲーミングハウスを運営維持できるような規模ではないが、「ハースストーン」でチームを支えるシステムはこれが初めてで、これを機に「ハースストーン」のプロチーム設立が増えそうだ。
さて、視点を変えて、日本運営はどうなるだろうか。2017年との大きな違いは、正式にBlizzardの日本法人が設立されたことだ。これまでもあるにはあったものの、オフィスは韓国にあり、メディアリレーションやパートナーとの協業、なんといっても人材のリクルーティングの面で不利な状況にあり、完全な状態ではなかった。現在は東京渋谷にオフィスを構え、人材も増やして「ハースストーン」と「オーバーウォッチ」を重点タイトルとして運営が行なわれている。
日本運営に関する具体的な内容、スケジュールについては「正式発表を待って欲しい」ということだが、日本でもHCTポイントが付く大会、付かないカジュアル大会も含めて、様々なグレードの大会を開催していく予定で、草の根のコミュニティ支援システムである「炉端の集い」もこれまで以上に積極的に展開していく考えだ。
「炉端の集い」は、ユーザーが主催できる「ハースストーン」のオフラインイベントで、公式サイトから申請し、承認を受けることで、誰でも公認イベントを開催できる。一定のフォーマットや条件を満たすことで、参加して対戦を楽しむことで、「炉端の友」カード裏デザインやウォーロックの新ヒーロー「ネムシー」が獲得できるなど、メリットも大きい。
「炉端の集い」は公式サイトを見てもわかるように、日本中のどこかで毎日のように開催されている。リアルカードゲームの魅力は、未知のプレーヤー同士が対戦会場に集い、そこで生まれるフレンドシップにあるが、それと同じ事をデジタルカードゲームでも実現しようというのがそもそものコンセプトで、右も左もわからないビギナーから名の売れた熟練者まですべてが対象となるユーザーイベントだ。既存のコミュニティに入っていく形となるため最初の1回のハードルが高いのが難点と言えるが、今後は“公式の炉端の集い”も実施することでハードルを下げていきたいということだ。
2017年度も日本はHCT World Championshipの出場を逃してしまったが、Blizzardとしてはすべてのシーズン選手権に日本人選手が出場しており、他のアジア地域の選手との実力差はほとんどないと感じているようで、2018年シーズンこそは日本人選手の活躍に大いに期待できそうだ。
今年の目標は、日本のゲームファンにとって「ハースストーン」を身近に感じられるように、プロモーションを強化し、HCポイントが稼げるようなメジャー大会改めHCTストップを日本でも開催したいという。大小の予選大会も含めて年に1度のペースで世界大会が開催できるのは「ハースストーン」最大の強みであり、さらに今年はeスポーツに対する支援も充実させ、さらなる飛躍を目指していく考えだ。
「ハースストーン」は始めたらすぐ勝てる、試合で活躍できる、というほど甘いゲームではないのも事実だが、無料で始められるのが良いところだ。往年のカードゲームファン、他のデジタルカードゲームのユーザーはぜひ1度遊んでみてはいかがだろうか?
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