【特別企画】
有機ELモデル登場! INZONE新型ゲーミングモニター試遊レポート
ゲーミングモニター第2弾は有機ELQHD/480Hz27型と4K/160Hz27型の2機種
2024年9月25日 10:00
- 【INZONE M10S】
- 2024年10月25日発売予定
- 市場想定価格175,000円前後
- 【INZONE M9 II】
- 2024年10月25日発売予定
- 市場想定価格132,000円前後
ソニーは9月25日、ゲーミングモニターの新製品「INZONE M10S」と「INZONE M9 II」を発表した。発売は10月25日を予定し、価格は「INZONE M10S」が175,000円前後、「INZONE M9 II」が132,000円前後の見込み。
同社は2022年6月29日に、新たなゲーミングギアブランド「INZONE」を立ち上げ、その第一弾となるゲーミングモニター2機種、ゲーミングヘッドセット3機種を発表した。その後、2023年10月にはインナーイヤータイプのヘッドホンとゲーミングヘッドホンの新製品が登場。今回は、約2年3か月振りにゲーミングモニターの新製品「INZONE M10S」と「INZONE M9 II」が発表された。
型番を見て分かるように、INZONE M9 IIは、現行の「INZONE M9」の後継となる製品であり、2022年6月に発表された下位モデルの「INZONE M3」はそのまま継続販売となる。INZONE M10Sは、INZONEブランドのゲーミングモニターで初めて有機EL(OLED)を採用したハイエンドモデルであり、今後は3機種での展開となる。両製品とも10月25日発売予定で、市場想定価格はINZONE M10Sが175,000円前後、INZONE M9 IIが132,000円前後である、。
今回、短い時間だが、実際にINZONE M10SとINZONE M9 IIの実機を試すことができたので、ファーストインプレッションをお届けしたい。
有機EL搭載で480Hzという超高リフレッシュレートを実現した「INZONE M10S」
INZONE M10Sは、FPSコアゲーマーを対象とした有機EL搭載27型ゲーミングモニターであり、「VALORANT」の国際大会を2連覇した世界有数のトッププロチームFnaticと企画段階から共同開発した商品である。
最大の特徴は、INZONEブランドのゲーミングモニターとして初めて有機EL(OLED)を採用し、広いダイナミックレンジと、480Hzという現時点トップレベルの超高リフレッシュレートを実現したことだ。有機ELは、液晶と違って自ら発光(自発光)するため、バックライトが不要で、応答速度も非常に高速だ。液晶の応答速度は通常、高速なものでも1ms(GTG)程度だが、INZONE M10Sは0.03ms(GTG)という桁違いの応答速度を誇り、FPSなどで素早く頭を振るような動きでも、残像感を感じることはない。
また、自発光なので、黒がしっかり締まり、いわゆる黒浮きなどがない、非常に高いコントラストを実現する。解像度はQHD(2,560×1,440ドット)で、入力端子はHDMI×2とDisplayPort×1で、2ポートのUSBハブ機能も備えている。ただし、前モデルが備えていた1つのキーボードとマウスとモニターを複数のPCで切り替えて使うオートKVMスイッチ機能は削除されている。
有機EL採用だけあり、スタティックコントラスト比は150万:1と非常に高い。また、ピーク輝度も1,300cd/m2と、液晶パネルを採用したモニターの数倍となっている。もちろんHDR対応で、DisplayHDR True Black 400を満たしている。視野角も水平/垂直178度と広い。可変リフレッシュレート機能としては、VESA Adaptive SyncとNVIDIA G-Syncの両方に対応しており、ティアリングなどを防ぐことができる。
画質モードも多く、SDR時は「FPS Pro+」、「FPS Pro」「MOBA/RTS」、「シネマ」、「ゲーム」、「標準」、「sRGB」の全7モード、HDR時は「DisplayHDR」、「シネマ」、「ゲーム」、「RPG」の4モードから選べる。HDR時は画質モードを選択できないモニターも多いが、HDR時でもゲーム用にチューニングされた画質を選べることも嬉しい。ゲーミングアシスト機能として、ブラックイコライザー、24.5インチモード、クロスヘア、タイマー、フレームレートカウンターが用意されている。画質モードの選択や画質の細かな調整などは、OSDと背面のスティックによる操作で行なう。OSDメニューの表示も分かりやすく、操作はしやすい。
スタンドのデザインも一新され、コンパクトな円形の台座で支える形になっている。スタンドの自由度も高く、画面の高さの調整や上下の角度の調整はもちろん、左右のスイーベルも可能だ。スイーベルは360度クルリと回すことができる。また、バックライト不要な有機ELを採用していることもあり、パネル部分の厚みが非常に薄く、額縁部分も狭い。
24.5インチモードや敵を見やすくする「FPS Pro+」や「FPS Pro」モードを搭載
INZONE M10Sは、FPSコアゲーマーをターゲットにした製品であり、Fnaticとの共同開発よるFPSに特化した機能を備えていることが魅力だ。Fnaticと共同開発した仕様は大きく3つある。
1つ目が、24.5インチモードである。24.5インチモードは、その名の通り、27型モニターを24.5型モニターとして使うモードだ。せっかくの27型なのにわざわざ画面を狭くする意味があるの?と思う方もいるだろうが、「VALORANT」のようなFPSでは視線を動かさずに、画面内の全てを瞬時に把握することが重要であり、そのためには27型だとやや大きすぎると、Fnaticのメンバーからの指摘があったのことだ。また、FPS国際大会の公式モニターも24.5型であり、普段の練習での環境と大会での環境を揃えたいという意図もある。INZONE M10Sでは、24.5インチモードでの表示の仕方も2種類用意されており、画面をセンターに寄せるモードと下に寄せるモードがあるので、プレイしやすい方を選べばよい。
2つ目の機能が、「VALORANT」などのFPSで敵を見やすくする画質モード「FPS Pro+」と「FPS Pro」である。FPS Pro+は、有機ELの性能を最大限に活かし、FPSで敵が見やすくなる画質モードであり、FPS Proは、一般的なゲーミングモニターで使われているTNパネルと見た目が同じになる画質モードだ。後者があることによって、TNパネルを使ったゲーミングモニターと同じ感覚で利用できるので、移行がしやすいというメリットがある。実際にFPS Pro+とFPS Proの画面を見比べてみたが、FPS Proは確かにTNTパネルを使ったゲーミングモニターと見た目がよく似ている。FPS Proでも十分快適にプレイできるが、FPS Pro+にしたところ、色がよりビビッドに鮮やかに表示されるようになり、敵の輪郭が強調されるため、遠くの敵の識別がより容易になったと感じた。FPS Pro+と比べると、FPS Proでは緑に少し赤みがかかり、赤がやや朱色っぽい発色に感じられる。
そして3つ目の機能が、新しいスタンドデザインである。スタンド台座の面積を縮小し、直径159mmで、マウスパッドと同じ厚さ4mmにすることで、デスクトップ上の利用スペースを拡大。調整範囲も広く、高さは120mmの範囲で調整でき、チルトはー5度~25度、スイベルは左右180度(合計360度)に回転できるため、デスクの前に座ったまま180度回転させて、ケーブルの着脱をすることも可能だ。
有機ELということで焼き付きが気になるが、アルミパネルで熱を拡散し、サーマルパッドとヒートシンクで効率的に放熱することで、焼き付きを防いでいるという。ゲーム以外の映像に関しても、有機ELならはのダイナミックレンジの広さにより、よりメリハリが効いた表示が実現されていた。
リフレッシュレートが160Hzに向上した4Kゲーミングモニター「INZONE M9 II」
INZONE M9 IIは、主にRPGやアクションなどのFPS以外のゲームをメインでプレイする人向けの27型ゲーミングモニターであり、INZONE M9の後継となる製品だ。INZONE M9は4K/144Hz対応だったが、INZONE M9 IIでは4K/160Hz対応にスペックが向上しており、FPSなどフレームレートを重視するゲームもより快適にプレイできるようになった。
解像度は4K(3,840×2,160ドット)であり、応答速度は1ms(GTG)と高速だ。IPS液晶を採用しており、ダイナミックコントラスト比は8万:1と高く、HDR機能はDisplayHDR 600に準拠している。ピーク輝度は800cd/m2で、視野角も水平/垂直178度と広い。可変リフレッシュレート機能としては、VESA Adaptive SyncとNVIDIA G-Syncの両方に対応。入力端子はHDMI×2とDisplayPort×1で、2ポートのUSBハブ機能も備えている。なお、本モデルも、前モデルが備えていたオートKVMスイッチ機能は省略されている。
画質モードも多く、SDR時は「FPS」「MOBA/RTS」、「RPG」、「シネマ」、「ゲーム」、「標準」、「sRGB」の全7モード、HDR時は「DisplayHDR」、「シネマ」、「ゲーム」、「RPG」の4モードから選べる。前モデルのINZONE M9では、SDR時の画質モードは「FPS」、「シネマ」、「ゲーム」、「標準」の4モード、HDR時は「DisplayHDR」の1モードしかなかったため、画質モードの選択肢は大きく増えている。ゲーミングアシスト機能としてINZONE M10Sと同じく、ブラックイコライザー、24.5インチモード、クロスヘア、タイマー、フレームレートカウンターが用意されている。
スタンドのデザインも旧モデルからは一新され、INZONE M10Sと同じく円形の台座で支える形になっている。スタンドの自由度も高く、画面の高さは130mmの範囲で調整でき、上下のチルトはー5度~25度、スイベルは左右180度(合計360度)に回転できる。
INZONE M10Sに搭載されている「FPS Pro+」モードと「FPS Pro」モードは有機ELの特性を活かしたモードであるため、INZONE M9 IIには用意されていないが、Fnaticとの共同開発による24.5インチモードと新しいスタンドデザインは、INZONE M9 IIでも採用されている。
画質モードの選択や画質の細かな調整などは、OSDと背面のスティックによって行なう。スティックの形状はINZONE M10Sとは異なるが、OSDメニューの構成はほぼ同じで分かりやすい。
直下型LED部分駆動ならではのバックライトスキャニングを採用
現行モデルのINZONE M9では、従来からバックライトに直下型LED部分駆動方式を採用していることがウリであった。直下型LED部分駆動とは、液晶パネルの直下(真裏)に数多くのLEDを配置し、画面全体をいくつかのエリアに分け、映像の明るさに応じてそのエリアのLEDの明るさをリアルタイムに制御する技術である。同じ画面の中に明るい場所と暗い場所が混在する場合、暗い場所ではバックライトを暗くし、明るい場所ではバックライトを明るくすることで、コントラストをさらに高めることができる。
新モデルINZONE M9 IIでは、同じく直下型LED部分駆動を採用しているが、新たにバックライトスキャニングという技術を採用している。バックライトスキャニングは、フレームとフレームの間に黒画面を挿入することで、残像感を減らす黒挿入をより高度にした技術であり、バックライトの光っている領域を高速に制御することで、輝度を下げずに残像感を減らすことに成功している。
実際にINZONE M9 IIで動画を再生したり、ゲームをプレイしてみたりしたが、バックライトスキャニングにより、残像感がほとんどなくなっていると感じた。
最高の環境でゲームをしたい人におすすめの高性能ゲーミングモニター
今回発表されたINZONEブランドのゲーミングモニター2製品は、どちらもAV機器メーカーとして長い歴史を誇るソニーらしさが感じられる製品である。有機ELを採用したINZONE M10Sは、480Hzという高いリフレッシュレートと0.03msという超高速応答を実現し、競技レベルのFPSプレイヤーにも満足できる性能を誇る。24.5インチモードや「FPS Pro」「FPS Pro」モードの搭載により、これまで24.5型ゲーミングモニターを使っていた人も違和感なく利用できる。FPSにおいて相手よりも有利に立ち回り、競技レベルで勝ちを追求したいという人におすすめしたい。
4Kながらリフレッシュレート160Hzを実現したINZONE M9 IIは、バックライトスキャニングの採用により、旧機種を上回る残像感の少なさを実現。高解像度と高リフレッシュレートを両立させているため、解像度が重要なアクションゲームやRPGから、フレームレートが重要なFPS/TPSまでオールラウンドに対応できる製品だ。4Kかつ高リフレッシュレートで遊びたいというハイエンドゲーマーにおすすめしたい。もちろん4Kで高いフレームレートを出すには、高いマシンスペックが要求されるが、逆に高性能なゲーミングPCを持っていながら、それと組み合わせるモニターがフルHD/144HzではPCの性能を十分に引き出すことはできない。高性能ゲーミングPCとINZONE M9 IIの組合せは、あらゆるゲームを快適に楽しめる最高の環境といえるだろう。
両製品とも価格は高めだが、それだけの価値はある製品といえるだろう。最高のゲーム環境を追求したいという人におすすめの製品だ。