【特別企画】

Stay at home! 今だからこそ任天堂の「テニス」の"幻のエンディング"を見よう!

これまで誰も語らなかった、最強の「レベル5」に打ち勝つ攻略法を伝授!

 「昔のゲームってシンプルで直球の面白さがある。世代を超えて伝わる楽しさがある。ゲームセンターに今でも出入りし、レトロゲームを愛している鴫原さんなら、読んで楽しいゲームレビュー、オススメ記事が書けるのではないか?」

 そうGAME Watchの編集者に言われ、筆者・鴫原盛之が出した答えが、"任天堂の「テニス」”である。ファミリーコンピューター用のスポーツゲームで、発売は1984年1月14日。ファミリーコンピューター発売から1年も経たずに発売された最初期のゲームだ。編集からは、「どうしてそれなんですか?」と聞かれた。その理由はズバリ、「俺の人生においてどうしても書きたいゲーム」だからだ。

 任天堂の「テニス」は歴史に埋もれた名作だと、筆者は強く思っている。初めて触れたのは小学生の頃だったが、相手側のコートに向かってボールを打つだけという、極めてシンプルな内容でありながら、ついつい夢中になってしまう面白さに魅了された。だが、後に相次いで創刊されたファミコン専門誌ではあまり注目されず、詳細な攻略記事が載った例は皆無だったと記憶している。

【「テニス」(1984年1月14日発売)】
今回の画像は、全てNintendo Switch Online版

 このままでは、かつて雑誌の裏技コーナーに紹介された「審判はマリオ」とか、「『スーパーマリオブラザーズ』で、256ワールドが遊べる裏技に必要」みたいな小ネタばかりが後世に伝わり、本作の本当の面白さや魅力が伝わることなく、やがて永遠に忘却されてしまうかもしれない。もしそうなったら、あまりにももったいないと思ったのも本稿執筆の大きな動機となった。

 本作は現在、Nintendo Switch Onlineにて配信されているので、加入していれば気軽にプレイできる。筆者の記事で興味を持っていただけたら、ぜひプレイしていただきたい。新型コロナウィルスの影響で外出がしにくい昨今、楽しい時間を過ごしてほしいと思う。

 ちなみに筆者は気軽に楽しめて、筆者が書きたい、読みたいゲームタイトルをまだいくつも抱えている。今後も機会があれば、本誌で紹介していくつもりだ。

プロローグ:なぜ、令和の時代に「テニス」なのか?

 では、2020年にもなって、なぜ36年も前に発売された「テニス」を皆さんにご紹介しようと思ったのか?

 理由は単純明快、今遊んでも面白いからだ。

 操作もいたって簡単。十字キー(左スティック)で選手の移動、Aボタンでショット、サービス、スマッシュまたはボレーを打ち、Bボタンでロビングを打つ。要は、ロビングを打ちたいとき以外はAボタンで打つ、と覚えるだけでいいので、老若男女を問わず誰でもすぐに遊べる。

 プレーヤー同士での対戦こそできないが、相手のCPU選手が打つボールをただ打ち返しているだけでも不思議と楽しい。たとえテニスのルールを知らなくても、「1ゲーム4ポイント先取」、「1ゲームごとにサーブ・レシーブが入れ替わる」とだけ覚えておけば大丈夫。相手がクロス、またはストレートに打つのか、ロビングを上げるのか、あるいはネットプレイで勝負を仕掛けてくるのか? 打つコースやポジショニングを読んで逆を突き、ノータッチエースやスマッシュを打ち込んでポイントを奪ったときの爽快感がすこぶる高いのが、本作の一番のだいご味だ。

 本作にはダブルスモードもあり、家族や友人同士で協力しながら遊べるのも、おすすめする理由のひとつだ。前述したように、Nintendo Switch Onlineに加入していれば追加料金ゼロでいくらでも遊べるし、知らない間に子供が課金してしまった、なんてことももちろん起きないので、保護者の方々も心配ご無用だ。

 難易度は、レベル1~5までの全5段階が用意され、プレーヤーの実力に応じて楽しめるよう配慮されているのもうれしい。腕に自信のある人は、ぜひ最初から最高難易度のレベル5で遊んでみてほしい。ボールのスピードがレベル1とは比較にならないほど速く、しかもCPUは機敏な反応でこちらの打ったボールを返してくるので、白熱すること間違いなしだ。

 そして、皆さんにぜひ知っていただきたい、ご自身の目で見ていただきたいことがもうひとつある。

 それは、エンディング(優勝)のシーンだ。

  エンディング到達の条件は、レベル5を選択してCPUに2連勝することである。 元祖ファミコン版の発売から35年以上が過ぎた現在でも、本作にはエンディングが存在することをあまり知られてない感がある。筆者が小学生時代、偶然にもエンディングがあることを発見し、初めてファンファーレを聞いたときの感動を、この機会に皆さんにもぜひ体験してほしいと思い、筆を執らせていただいた次第である。

これが「テニス」のエンディング画面。知らなかったという人も多いのでは?

 そう、なぜここの章が"プロローグ"なのかは今おわかりいただけただろう。「テニス」は気軽に遊んでも楽しいが、レベル5を、エンディングを目指すことで真の面白さが見えてくる。筆者が何としても書きたい、皆さんにお勧めしたいのは、まさにこのためなのである!

 それでは、レベル5の攻略法を解説していこう。見事、攻略法をマスターすれば、60分以内にエンディングまで到達することも十分に可能なのでとても濃密なゲームプレイが楽しめる。家にいることが長い今、この機会にぜひ最強の相手を倒して感動を味わっていただきたい。

【レベル5のCPUは強敵!】

写真のようなペースでストレート勝ちができるようになれば、60分以内でのクリアも十分に可能だ

サービスゲームを必ずキープせよ

 レベル5を勝ち抜くためには、「テニス」を上達しなければいけない。まず第一にサービスゲームを必ずキープできるようになることが鉄則だ。

 具体的には、サービスエースまたはサーブ&スマッシュ(またはボレー)のどちらかで、ポイントをなるべくたくさん稼ぐこと。レベル5にもなると、ベースラインに下がってのストローク合戦ではポイントを奪うのが非常に難しいからだ。よって、 サービスエースとサーブ&スマッシュが2大ポイント源となる。

 サーブを打つときは、トスしたボールが少し落ちるのを待ち、写真の瞬間に打つのがベスト。タイミングがバッチリ合うと、球速が非常に速くなり、高確率でCPUが空振りしてくれる。もしファーストサーブでフォルトになった場合でも、ひよらずにセカンドでもエースを狙えるようになるまで練習すること。1ゲームのうち、最低でも2本はサービスエースでポイントが稼げるようになればベストだ。

【サービスエースで点をもぎ取れ!】

【POINT1:サービスエースを狙え!】
サーブ時は右端に立って打つのがオススメ
トスしたボールが落下してから少し待ち、ボールが写真の大きさになった瞬間に打つと……、
スピードの速いサーブとなり、最強CPUでも豪快に空振りして……、
エースがバッチリ取れる。超重要!

 サーブを打ったら必ずネットに詰め、サーブが返された場合に備えるともに、すかさずスマッシュを打ち込んでポイント奪取を狙う。サービスエース、またはサーブ&スマッシュでポイントが取れるようになれば、プレイ時間が大幅に短縮できるので(特に香川県民の方には!)一石二鳥だ。ダブルスの場合はサーバーが後衛、もう1人は前衛に固定し、前衛のプレーヤーがどんどんスマッシュを打ち込んでポイントを狙おう。

 もしスマッシュを返されてしまった場合は、CPUがベースラインに下がっていたときはそのままネット付近で待ってスマッシュを再び狙い、逆にCPUがネットに近付いてきたときは、いったんベースラインまで戻ってボールを打ち返してから、もう一度ネットに詰めてスマッシュを狙う。お互いがネットに詰めた状態で打ち合うと、CPUはこちらのスマッシュを超反応で打ち返し、しかも軌道を確認してから走ったのでは追い付けないコースを狙ってくることがあるので、ネット際での打ち合いは避けたほうが安全だ。

 また、CPUに深いロビングを打たれた場合も、ネット付近にいるとラケットが届かず空振りしてしまうので、打ってきたらすぐにベースライン付近まで下がって打ち返そう。

【逆サイドにスマッシュをたたき込め!】

【POINT2:サーブ&スマッシュでポイントゲット】
サーブを打つと同時に、相手に向かって突っ込むように前に出る
相手がロブを打ってきたらバックハンドの体勢で待って……、
逆サイドを狙い、引っ張るようにスマッシュ
サーブ&ボレーに大成功! わずか数秒でポイントゲット
ダブルスの場合は、前衛のプレーヤーにどんどんスマッシュを打たせよう

【サーブ&スマッシュに失敗した場合の対処法】
CPUがベースライン付近にいる場合は、もう一度スマッシュを狙いにいく
CPUがネットに詰めてきたら、いったん下がって打ち返す。スマッシュされないよう、ロビングで返すと安全だ
ネット付近で打ち合うのは避けたほうが無難。たとえスマッシュが打てた場合でも……、
CPUに超反応で打ち返され、逆にポイントを失ってしまうリスクが高まる

 もうひとつの注意点は、CPUがネットをスレスレの低いボールを打ってきた場合はスマッシュが打てず、ラケットを横に振るボレーでしか返せない、つまりミートポイントが変わってしまうこと。しかも、ボレーはスマッシュに比べかなり遅いのでCPUに返されやすく、無理に逆サイドを狙って引っ張り過ぎるとアウトになる可能性が非常に高いデメリットもある。

 そこで、緩いをボレーを打った直後もベースラインまでいったん下がり、CPUが打ったボールを1、2球打ち返してから、再びネットに詰めるのがオススメ。難しいが、この切り替えができるようになるとポイントロスを大幅に減らすことができる。

【低空飛行のボールには要注意!】
写真のような低いボールはスマッシュが打てず、緩いボレーでしか返せない。スマッシュのタイミングでボタンを押すと、空振りまたは引っ張り過ぎてアウトになってしまう

リターンゲームと、ラリーが続いた場合の戦い方

 リターン時に必ずマスターしなければいけない最重要ポイントは、リターン時の体の向きと、CPUがサーブを打った直後のポジショニングを確認することの2点だ。

 正クロスの場合は必ずフォアハンドで、逆クロスのときはバックハンドで打つのが鉄則。さもないと、ボールがサイドラインを超えてアウトになる可能性が非常に大きくなるからだ(※これはストローク時にも同じことが言える)。

 CPUもサーブ&ボレー(またはスマッシュ)をよく仕掛けてくるので、相手がサーブを打った直後に、ネットに向かって走ってくるかどうかを絶対に見落とさないこと。もしサーブ&ボレー時に通常ショット(Aボタン)でリターンをした場合は、ほぼ100パーセントスマッシュまたはボレーを決められてしまうので、 「CPUがネットに詰めてきたら、必ずロビングで返す」 と覚えておこう。また、ダブルスの場合はリターンが甘いと相手の前衛にすぐ捕まってしまうので、すべてロビングで返したほうが無難だ。

【ロビングで返してイニシアチブを握れ!】

【リターン時の鉄則】
正クロスの場合は必ずフォアハンドで打つ
逆クロスのリターンはバックハンドに変えよう
CPUがサーブ&ボレーを狙ってきた場合は、必ずロビングでリターン!
ロビングを打てば、スマッシュされずにCPUをベースラインまで下げることができる

 リターンゲーム、およびラリーが続いた場合のポイント源もネットプレイ、すなわちスマッシュだ。低レベルのCPUであれば、リターンエースでどんどんポイントを稼げるのだが、レベル5の相手にはリターンエースをまず奪えないからだ。

  まずは左右いずれかのサイドライン寄りにボールを打ち、CPUをコートの角付近に誘導してから前に出るのが、スマッシュを決めるコツだ。 筆者の経験上、バックよりもフォアハンドのほうがスマッシュを打ちやすい、かつ決まりやすい。よって、CPUを画面向かって右端、すなわちコートの右奥に誘導してバックハンドでボールを打たせてから、すかさずネットに詰めて逆サイドに向かってスマッシュを打ち、ポイントを狙うのがオススメだ。

 ストローク時もリターンと同様に、コートの右サイドに飛んできたボールはフォアで、左サイドはバックで打つのが基本だ。CPUをコートの右奥に誘導する場合は、フォアのときは打つポイントをやや遅めに、バックのときは少し早めに打てば、ボールを右奥に向けて狙い打つことができる。 もしCPUが先にネットプレイを仕掛けてきた場合は、通常ショットで打ち返すと即スマッシュまたはボレーを決められてしまうので、必ずロビングで返すこと。これも鉄則だ。

【CPUをコートの右奥に寄せてからスマッシュ!】
コートの左サイドでボールを打ち、CPUを右奥に誘う一例。バックハンドで、打つポイントを少し早めにして逆クロスに打ち返す
すかさずネットに詰め、CPUがバックハンドで打ち返したボールの軌道をよく見て……、
フォアハンドで思い切り引っ張ってスマッシュ!
CPUがネットに詰めてきても関係ナシ。スマッシュがCPUの頭上または横を抜いてバッチリ決まる

 なお、本作は3セットマッチの2セット先取(※1セット6ゲーム先取。6オールの場合はタイブレークに突入)制となっている。サービスゲームさえきっちりキープしておけば、1セットでリターンゲームを2、3回落としてもまったく問題ナシ。よほど長いラリーを続けない限り、ストレート勝ちができるようになれば30分以内に試合が終わるハズだ。

 また、2人目のCPUの強さは1人目とまったく変わらない(※筆者の体感による)ので、上記の攻略パターンがそのまま通用する。あとはいかにサービスエースやネットプレイによる速攻を決め、プレイ時間を短縮できるかが60分クリアの成否を分けるポイントとなる。特にサービスゲームは、なるべく1分以内に終わらせるようにしたい。

まずはレベル5の1人目に勝つことを目標に練習していただきたい
この時点ではゲームがまだ終わったわけではないので、うっかりリセットしないように(笑)
2人目の攻略法もまったく同じでオーケー。ここまで来れば、エンディングまでもうあとひと息!

 以上、「テニス」のレベル5攻略法をざっとご紹介してみたが、いかがだっただろうか?

 私事で恐縮だが、筆者が本作の存在を初めて知ったのは、田舎のおもちゃ屋で見せてもらったファミコンのパンフレットだった。実は、そこに載っていた画面写真こそが、まさに前掲のエンディング画面だったのだ。

 だが、いざ遊んでみたら、試合に何回勝ってもパンフレットで見た場面が全然出てこない。「あの写真は単なるサンプルで、実際のゲーム内には存在しないハッタリなのでは?」と一時期思っていたこともあったので、後に自力でエンディングの存在を発見できたときには本当に感激した。

 自由に外出できない厳しい状況が続くなか、かつて筆者が味わった素朴な感動を、本稿を通じて1人でも多くの皆さんに体験していただき、少しでも楽しい時間を過ごせる一助となれれば幸いだ。