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★モバイルゲームレビュー★

幽霊の記憶を読み解きながら謎の真相に迫れ
主人公の恋は、あなたの手にかかっている

「時死恋」

  • ジャンル:ホラーアドベンチャーゲーム
  • 開発元・配信元:セガ
  • 利用料金:月額315円
  • プラットフォーム:EZweb、iモード、Yahoo!ケータイ
  • 対応機種:BREW 3.1以上(EZweb)、FOMA 903i/703i以降(iモード)、SoftBank 3G(Yahoo!ケータイ)
  • 配信日:1月21日(EZweb)、3月2日(iモード)、4月(Yahoo!ケータイ)
  • アクセス方法:
    EZweb : au oneトップ → カテゴリ → ゲーム → 総合 → ★ぷよぷよ!セガ
    iモード : iMenu → メニューリスト → ゲーム → ゲームパック → ★ぷよぷよ!セガ
    Yahoo!ケータイ : メニューリスト → ケータイゲーム → ゲームパック → ★ぷよぷよ!セガ



 極度に怖がりなくせに、ホラーは大好きな私。ホラー映画を見ていて思わず悲鳴を上げてしまったり、遊園地のオバケ屋敷を本気で怖がったり、ホラー小説を読んだ後ひとりでエレベーターに乗れなくなったりした経験がある自分にとって、ホラーゲームは正直言って鬼門だった。見たい、読みたい、でも怖い。そんな好奇心に振り回されては痛い目に合うパターンを繰り返してきた。そろそろ学習してもいいんじゃないかとは思うものの、怖いもの見たさには勝てない。今回も“ホラーアドベンチャー”という言葉につられ、ついホラーゲームを始めてしまったのだ。



■ 霊が見える女子高生が活躍。命の恩人を探して街を駆け回る

主人公は少し向こう見ずだが、一見ごく普通の女子高生。幽霊が見え、記憶を見られる能力を持っている
 主人公は「日入町」という架空の町で暮らす女子高生の泉宮美咲。母親とふたり暮らしではあるが、母が仕事で留守がちなため比較的自由に行動できる。一見、ごく普通の高校生の美咲は、幽霊が見え、幽霊に触れると彼らの記憶が読める特殊な能力を持っていた。

 ある目的のため、美咲は今まで忌まわしく思うだけだった能力を駆使しようと決める。それは、子どもの頃に死んでしまった男の子を捜すこと。タイヨウ館という児童保護施設に入所していた、ネックレスがトレードマークの男の子。幼い美咲と彼は施設で遊んでいたときに火事に巻き込まれた。男の子は美咲を助け、代わりに命を落としてしまう。命の恩人である彼にもう一度会って話をし、なぜ自分を助けたのかを聞くのが美咲の目的となる。

 ゲームシステムはベーシックなテキストアドベンチャー。文章を読みつつ主人公を操って幽霊と出会い、話をする中で謎の解明に取り組む。幽霊の過去は「ホロウ・ビジョン」と呼ばれる特殊な形式で手に入れる。「ホロウ・ビジョン」については別項で詳しく説明する。

【スクリーンショット】
自分の部屋を拠点にストーリーは進む。町中のさまざまな場所を訪れてみよう

 町中を走り回って幽霊を探し、彼らの記憶の中からタイヨウ館や男の子に繋がる情報を得るのが当初の目的。町で噂になっている、タイヨウ館でアルバイトをしていた男性の幽霊を探すところから物語は始まる。「わたしの部屋」を中心に、「住宅街」、「交差点」などの自宅周辺と、幽霊目撃情報の多い日入町の「トンネル」や、捜し求める男の子との思い出の場所「秘密基地」など、7カ所のスポットを巡って話を進めよう。

【スクリーンショット】
「日入町」には幽霊スポットが多い。幽霊の目撃された場所を重点的に探し回ろう
夜の街を歩くのは、主人公と幽霊だけではない。恐ろしい存在も町をうろついているので気をつけよう



■ 幽霊のビジョンを読み解き、すべての謎を解明せよ

「ホロウ・ビジョン」はゲーム中にいつでも確認できる、確認しなければストーリーが進まなくなることも
 幽霊と出会い、話す中で「ホロウ・ビジョン」という幽霊の記憶が手に入る。幽霊たちが体験した、時に幸せな、時に悲惨な記憶を読み解くうちにストーリーは少しずつ進む。中には彼らの死に際の記憶もある。

 4人登場する幽霊たちは、何者かに殺された霊ばかり。思わず目を背けたくなる陰惨な話や少々グロい表現もあるのはホラーゲームならでは。幽霊たちは主人公に好意的だとは限らない。中には悪霊と化して、主人公を襲うこともある。幽霊と関係することは、常に危険と直面していることを忘れてはならない。

【神堂辰人】 【町田節子】
【安住広乃】 【浅生一馬】
生身の人と違い、幽霊は体が透き通っている。どんな風に生き、死んだのか「ホロウ・ビジョン」で確認しよう

【ホロウ・ビジョン】
「ホロウ・ビジョン」の中ではビジョンの持ち主視点で話が進む。幽霊たちの記憶を追体験しよう


 「ホロウ・ビジョン」は、ストーリーの中で手に入るもののほか、特別な条件を満たすと読めるビジョンも用意されている。誰のものかわからないビジョンもあり、謎の解明には重要な意味を持っている。「ETC」と表示される謎のビジョンもできるだけ多く手に入れよう。

 タイミングを逃すと読めないものや、特定のエンドに到達することで手に入るものもあるので、すべて読むのは相当難しい。全ビジョンを読んだとき、4人の幽霊と主人公の周囲で起こった事件の謎に光が当たる。何人もの思惑が交差してできた複雑な謎は、恐怖と試練を乗り越えた先で初めて明らかになる。

【ホロウ・ビジョン(ETC)】 【悪霊】
誰のものかわからない「ETC」のビジョンが物語のカギを握っている 主人公に害をなそうとする悪霊も存在する



■ エンディングは全部で9種類。すべて見るにはトライ&エラーが不可欠

 エンディングは9種類。バッドエンドのほか、4章からはいくつかのルートに分かれるマルチエンディングが採用されている。幽霊探しや謎の解明と同時に、ゲーム中に登場する男性との恋も進んでいく。主人公と同じ部活に所属する先輩・吾妻、主人公を助けてくれる不思議な青年・天方、そしてもうひとり。彼らそれぞれにグッドエンドが1つずつあり、計3種類の幸せな未来が待ち受けている。分岐条件は何度もプレイして確かめよう。

【吾妻】
主人公をサポートしてくれる頼りがいのある先輩だが……

【天方】
素性のわからない謎の青年。ネックレスにヒミツがありそう


 話を進める中で、選択肢が表示されることもある。選択肢の結果によっては、バッドエンドに直結したり、ルートが変わったりすることもある。携帯電話の画面だけに、1ページに表示されるテキスト量が少なく、量が膨大なため、ついテンポよく読み進めようとボタンを連打しがち。つい選択肢を見逃してしまい、1番上に示された選択肢を選んでしまうことも少なくないので注意が必要だ。

 狙ったエンディングを登場させるためには、特定の人物の好感度を上げる選択肢を選ぶことも大切。行動や選択には常に細心の注意を払いたい。

【スクリーンショット】
主人公の行動が物語の行方を左右する。選択肢はよく考えて選ぶこと


 残念ながら1つのエンディングを読んだだけでは、すべての謎は解けない。スタッフロールを見ながら「あれ、そういえばあの謎、どうなったんだっけ?」とか、「あの人のあのセリフ、結局どんな意味だったんだろう」などと、疑問が膨らんでしまうこともあるだろう。1度のプレイで物語に隠されたすべての真実を解明するのは、非常に困難なようになっている。

 幸いなことにセーブはいつでも可能で、ファイルは5つも用意されている。もちろん、好きなセーブデータを何度でもロードできる。セーブデータはスポットに入る直前段階のものが記録されるため、少しばかり戻ってしまうものの、いつでもどこでもセーブできるのはモバイルゲームとしても、ゲームの攻略としてもかなり嬉しい。悩ましい選択肢の前やストーリーが大きく動く際には忘れずセーブすることで物語世界を遊び尽くすことができるだろう。「セーブ1秒、ケガ一生」と心得て、堅実なセーブマネジメントを徹底してほしい。

 難しくて進めない人のためにヒントも用意されている。ヒントはバッドエンドになった時に聞けるものと、1日1回決まった場所で聞けるものの2種類。「独り言を聞く?」と聞かれ、「はい」を選ぶと聞くことができるヒントはすぐに役立つものばかりではないが、よく聞いてメモを残しておくと後々役立つものが多い。忘れずに聞くと今後の謎解きの助けになる。

【スクリーンショット】
独り言には必ず耳を傾けよう。今後の攻略がぐっと楽になる



■ 携帯電話ならではの手軽さで、ホラーが苦手な人でも楽しめる

 「雰囲気があって、非常に怖い」が遊んでの感想だった。物語を進める部分とホラー部分の配分が心地よく、時折はじまる違和感のある世界や主人公の命を狙うさまざまな存在、なんとなく不自然さを感じる親友との会話など、心がザラザラするような不気味さと怖さが付きまとう。

 怖さを煽るための演出も用意されている。わざと乱れる画面や真っ赤に染まる世界。目の前に血しぶきがかかったように見える演出など、きめ細かな配慮で遊ぶ人の精神力や気力を削っていく。とくに小心者の心をくじいたのは、携帯バイブレーターと連動した演出だった。要所要所で振動が起こり、ただでさえビクビク怯えている自分に追い討ちをかけてくれた。

 携帯アプリなのをいいことに、電車の中やリビングなど常に誰かいる場所でプレイできたのは、個人的にはとても有難かった。「いつでも始められて、いつでもやめられる」という手軽さは、「いつでも逃げられる」という安心感に繋がっているのかもしれない。「ホラーは苦手だけれど、このゲームは遊びたい」という人は、明るい場所や衆人環境を選んで遊ぶと、少しは怖さも和らぎそうだ。

【スクリーンショット】
怖がりには正視できないシーンも多い 毎日電話をする仲良しの親友「いっちゃん」。会話の中で時折違和感を覚える


 しっかりした内容とボリュームのあるテキスト。怖いからゲームをやめたいのに、続きが気になってやめ時を見失ってしまい、時間を忘れて没頭してしまった。途中、携帯電話の充電を2回も行なったほどに謎の答えが知りたくなって、ついつい先を読み進めてしまう。人を翻弄する中毒性もまた恐ろしい。

 個人的には「逃げる」という行為に最も怖さを感じた。悪霊から、謎の人影から必死で逃げる。画面には「逃げろ!」と表示され、逃げる以外の一切の行為を許してはくれない。どこへ逃げればいいのか、どうすれば安全な場所へとたどり着けるのかわからず、パニックになって町中をさまよった。怖いという感覚にはさまざまな種類があるが、追われて追い詰められるのは現実生活でもあり得るだけに恐ろしい。

 幽霊というオカルトな存在から受ける悪意と、実在する人物から受ける悪意。同じようでまるで違う種類の悪意の波状攻撃。暗闇を歩くときに、後ろを振り返る回数は確実に増えるだろう。



■ 少しずつしか明らかにならない謎は、計算しつくされた不可解さか?

 複数のエンディングが用意されていて、何度も遊べるのはユーザーには嬉しい。しかし、グッドエンドを見ているはずなのに回収されない謎が多すぎるのは少し気になる。

 バッドエンドをいくつか通り抜け、なんとかひとつのグッドエンドにたどり着いた。しかし、なんだか腑に落ちない。わからない謎がいくつもある。かなりの「ホロウ・ビジョン」を見落としたままエンディングに到達してしまい、誰のものかわからないため「ETC」に分類されるビジョンに至ってはたったの2つしか手に入れられていないせいか、かなりの謎が残ってしまったのだ。

 気になると落ち着かない性分なので、もう1度ゲームをはじめ、いくつかのビジョンを手に入れ、いくつかのエンディングを追加で見た。そこで明かされた謎は驚愕に値するものであり、ますます心がザラザラする恐ろしくも哀しい内容だった。1つ目のグッドエンドだけで満足していたら「時死恋」を半分も理解できなかっただろうと思う。

 ゲームを遊び尽くす勢いで何周も楽しむ人も多いが、1度エンディングに到達すると満足してしまう人も少なくはないだろう。“ゲームは1周で十分”派の人にも、すべての謎が明らかになった恐ろしい世界を体験してもらいたいと願っている。もちろん「ひとりで怖い目に合うのはイヤだ」なんて気持ちからでは、決してないことは強調しておきたい。じわじわと謎が明らかになる展開はホラーらしくていいと思うが、謎を解いた爽快感も味わえるともっとよかったと思うのは少し贅沢が過ぎるのだろうか。

 幽霊の記憶を探り、モザイクのように事件の全貌を明らかにする展開や、幾人もの人々の思いが絡み合って複雑な恐怖を作り出す構造は非常に魅力的。続編は考えにくいストーリーではあったが、同じシステムを生かした別の物語が作られるなら、恐怖心を乗り越えてもぜひ遊びたいと思う。

(C)SEGA

□「★ぷよぷよ!セガ」のホームページ
http://sega.jp/kt/kddi/puyosega/(EZweb)
http://sega.jp/kt/docomo/puyosega/(iモード)
http://sega.jp/kt/softbank/puyosega/(Yahoo!ケータイ)

(2009年3月11日)

[Reported by 南奈実]



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