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「バブルファイター」は、キャラクターの後ろから眺めるTPS(Third Person Shooting)ゲーム。「BnB」、「カートライダー」といった、Nexonの人気フランチャイズである「クレイジー」シリーズの最新作に相当する作品だ。水鉄砲をモチーフにした武器を使用して、敵を水玉に閉じ込めて割ってしまうというユニークなゲームルールが最大の特徴となっている。マルチプレイは最大8人までサポートしている。
本作は「G-Star2007」で初めて公開された作品で、コアゲーマー向けのFPSが市場を占める中でユニークなゲームシステムや世界観が注目された作品だ。本連載50回目の節目としてふさわしいNexonの意欲作を早速紹介したい。 ■ 殺伐とした世界観から開放されコミカルでほのぼのとしたゲーム風景に注目 「バブルファイター」は、子供の“水鉄砲遊び”をコンセプトにしており、FPSの操作感覚を基本として視点のみを3人称としたTPSだ。「クレイジーアーケード BnB」、「クレイジーレーシング カートライダー」に登場した「ダオ」や「ベッジ」など、ドデカイ頭のキャラクターたちがところ狭しと戦場を駆け回るというシリーズ同様のコミカルな仕上がりになっている。 まずは、本作の最大の特徴であるゲームルールを見てみよう。本作に登場する武器はすべて“水鉄砲”になっている。ライフル、ショットガン、スナイパーライフルをモチーフにした3種類のメイン水鉄砲と、ハンドガンタイプのサブ水鉄砲、そして接近戦用のハンマーを使用できる。 水鉄砲で敵キャラクターを射撃して相手のHPを0に減らすと水玉に閉じ込めることができる。この際に水玉に近づいて、蹴って割ることで、相手キャラクターを完全に倒したことになる。逆に敵から攻撃を受けて水玉に閉じ込められてしまっても、水玉を割られる前に味方がその水玉に接触することで、水玉に閉じ込められた状態から救い出すことが可能だ。 本作では水玉に閉じ込める事を「バブル」と言い、水玉を割る事を「パン」、味方を救う事を「ヘルプ」と言う。またゲームの膠着を防ぐために1回のゲーム中に「ヘルプ」を5回以上して貰うと、以降は味方が「ヘルプ」できなくなり、HPが0になった瞬間「パン」になる「スーパーパン」というシステムが盛り込まれている。 敵を「バブル」状態にすると1ポイント、敵を「パン」もしくは味方を「ヘルプ」すると2ポイントが加算される。味方が近辺に多く居るほど「パン」にされにくくなり、「ヘルプ」しやすくなるため、プレーヤーたちは比較的固まって行動を共にするケースが多かった。
射殺や爆破など、殺伐とした光景が繰り広げられる従来のFPSやTPSとは一線を画し、コミカルなグラフィックスとユニークなゲームシステムのおかげで、激しい戦闘にもかかわらず非常にほのぼのとした風景になっていることが印象的だった。
■ ほぼ100%の命中率!? 掟破りの新感覚ゲームシステムに注目 本作は様々な要素ユニークな試みが目立つ。まず、照準の基本となるターゲットカーソルが笑ってしまうほどでかい。スナイパーライフルこそ1か所に集約されたクロスヘアになっているが、ライフル、ショットガン、ハンドガンは巨大な円形になっている。 その巨大な円の中に敵を入れた状態で射撃すれば100%命中するように設定されている。紙一重のエイミングを競うFPSやTPSアクションのセオリーを完全にぶち破ったゲームとなっている。敵が照準内に入ると、フレームが赤く表示されて射撃がガイドされる。 FPS好きの筆者としては射撃の爽快さと楽しさが半減してしまっているようにも感じたが、射撃の面よりも水玉に閉じ込められた敵に近づき、蹴って「パン」する動きが非常にエキサイティングだった。「バブル」状態になるとゆっくりとではあるが、移動することが可能で、特に必死に逃げようとする敵に追いついて、水玉を蹴り壊すという意地悪なシチュエーションは本当に楽しい。さらには「パン」されて倒れた敵の死体に近づいてFキーを押すと、倒されたキャラクターがフェードアウトするまでゲシゲシと踏んづけるという遊びも用意されており、得点とは一切関係ないが憎らしい相手との戦いには本当に熱くなってしまう。 一方、スナイパーライフルはクロスヘアがドットとなっており、キャラクターの体が大きいため当てやすい点を除けば、射撃の難しさは従来のFPSゲームとほぼ変わらなかった。ただし、遠距離での射撃が多いため、敵を「バブル」にしても「パン」は放棄することが多くなるためポイントは稼ぎにくい。スナイパーライフルで敵を倒すにも最低2発以上は撃ち込む必要があり、後方支援に回される武器だった。 射撃以外の要素でも注目すべき点が多い。壁際で前進のWキーを2回押すと壁に張り付くことができる。この状態で前進、右、左キーを押すと壁際の側面や上部から頭だけを出して射撃することができる。また、ジャンプを押すと壁を乗り越えることもでき、最新コンシューマーゲームでも取り入れられているギミックが採用されている。マップもこうしたインタラクションを活かすために壁や障害物が多く設置されていた。 ゲームの視点が3人称になっていることで後ろの壁越しに隠れていることは丸見えになるので、壁は射撃に対する遮蔽物といった扱いだった。ある程度プレイに慣れると壁越しの奇襲攻撃にやられることは少なくなった。 アクション面では、ジャンプ時に前に壁や障害物が無ければ転がって敵の攻撃を素早く避けることができるようになっている他、前進キーを2回押すとダッシュになるなど、操作性としては非常に奥深いつくりになっている。
■ ゲームモードは最大8人によるチームデスマッチのみ。モードとマップのバリエーションの充実に期待 現在のオープンベータテストで公開されているゲームモードは最大8人による4対4のチームデスマッチのみで、アイテム使用の有無のみ設定可能な、比較的シンプルなマルチプレイモードとなっている。 アイテム戦は、キャラクターが倒される度にドロップされるアイテムが使用できるというものだ。ゲットすると画面の真上に獲得したアイテムがセットされてShiftキーを押すことで使用できる。アイテムは1つのみセットできる。中には「カートライダー」とも重複するコンテンツもあり、キャラクターを含めて世界観を柔軟に踏襲し、新しい試みに取り組んでいると評価できる。 アイテムには、移動速度アップの「ブースター」、自分1人で「バブル」から脱出できる「針」、チーム全体のHPを回復する「チームファーストエイド」などがあるほか、体を巨大化して水爆弾を落とす「ジャイアンツ」や、体を縮小化して攻撃から当たりづらくなる「ちびっ子」などの変身系のアイテムも用意されている。様々なアイテムの登場でゲームがより一層ドタバタした感じになっている。元々エイミングのハードルが低いため、取得したアイテムによる影響が大きかった。 用意されたマップは6つで、基本的にAサイトとBサイトに分かれて2~3カ所の中間接点を持つ対称構造になっている。そのため、ユーザーには平均的にどのマップも遊ばれていたが、各マップならではの特徴は薄かった。モードとマップにおけるバリエーションの増強が今後の課題になるだろう。 総合的に見るとゲームのハードルが非常に低く設定されており、真剣な腕試しよりインタラクションなどの様々な要素で楽しく遊ぶことに重点が置かれている。従来のFPSとは全く異なるオリジナリティーの高い意欲作だった。Nexonの2月3日リリースによると同時接続者は1万を越えており、成績もまずまずだ。今後の展開が楽しみになる作品だ。
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□Nexonのホームページ(韓国語) (2009年3月5日) [Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦尋一]
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