【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

★PS3ゲームレビュー★

“オンリーワンの魅力を持つまじめバカゲー”侍よ好きに生きろ!
「侍道3」

  • ジャンル:アクション・アドベンチャー
  • 発売元:株式会社スパイク        
  • 開発元:株式会社アクワイア
  • 価格:7,770円
  • プラットフォーム:プレイステーション 3
  • 発売日:発売中(11月13日発売)
  • プレイ人数:1人
  • CEROレーティング:D(17歳以上対象)



 例えば「侍道3」のパッケージを店頭で見た時、“渋めのビジュアル”、“和風の世界観”あたりから、お堅い雰囲気の時代物ゲームなのかなと捉える人が多いかもしれない。そうしたところから、このゲームを誤解している、敬遠している人もいるのではないだろうか。「侍道3」は、渋いテイストの戦国時代に、これでもかとおバカなセンスが盛り込まれた、異様な魅力を持つゲームだ。

 もし、戦国の世を1人の侍として、自由に生きることができたら。いくつもの勢力とそれらの思惑が交錯する世で、自分の好きな道を選べたら。そして、その世界が、おバカなノリで包まれていて、なんだか例えようもない独特の味わいをかもしだしていたら。戦国時代に生きる人々や、侍の生き方が、くだけたセンスで描かれる。でも、ゲームとしてはしっかりとしていて、やりこみ要素もたっぷり。愛すべき“まじめバカゲー”「侍道3」を紹介していこう。

【オープニングストーリー】
時は戦国。舞台は祇州天奈。天奈の地には、新興の戦国大名「藤森家」、桜井家再興を目指す「桜花党」の思惑が渦巻いている。プレーヤーは、大きな戦からかろうじて生き残った1人の侍となり、いずれの勢力に加担するもよし、村人や町人の味方となるもよし、悪鬼の人斬りとなるもよし。自由に生きていく



■ 侍は、悪ノリに近いセンスで存分に楽しむべし

和風の時代劇テイストというとお堅いイメージがあるが、「侍道3」はおバカなくだけたノリが満載だ
主人公は名前や顔を自由に設定して自分好みのキャラにできる。とはいえ、最初に使えるフェイスパーツは画像のように、どれも渋めで怖い顔。でも、これが「侍道3」の世界にとても合っている
 「侍道3」は、和風のシリアスな渋みのなかに、バカバカしい笑いのセンスが満ち溢れているゲームだ(言うまでもないけど褒め言葉だ)。そのセンスは、ちょっとした笑いどころがあるとか、ユーモアが効いているとかそういうレベルじゃない。いい意味で、悪ノリや悪ふざけをしているという感じだ。だが、それがいい。

 キレイに整えられた、まじめで厳かなゲームが多いなか(もちろん、そういうゲームもとてもいい)、この悪ふざけにも近いセンスは新鮮で希少だ。侍道のセンスに初めて触れたときは、「こんなノリのゲームがあるのか!」と驚くのではないかなと思う。

 自分が最初に「侍道3」をプレイしはじめた時のことを書いていってみよう。まずは主人公の名前や容姿を決める。名前にはひらがな、カタカナ、漢字、アルファベットや記号などが使えるので、和風な名前に限らずともいい。容姿は最初はパーツが少ないが、これはやりこむことで開放されていく。マゲをほどいたハゲ頭に長髪の落ち武者フェイスをはじめ、どれもけっこう冴えないというか、渋みの強い三枚目フェイスだ。

 正直なところ格好よくはないんだけど、これが遊んでいるうちにだんだん良く思えてくる。侍がベラベラと喋るのは雰囲気に合わなかったり、ゲームの方向性としてもユーザー自身が主人公になりきるためなど、いろいろ理由があったとは思うが、口数少なめな主人公のたたずまいに、渋い三枚目フェイスがいい感じに合っている。黙して語らず、行動で示す。これぞ侍という渋みだ。こういう、だんだんクセになってくるという魅力は「侍道3」全体の魅力にも通ずるものがある。一応、開放すると使えるようになるパーツには、2枚目系のフェイスもある。ちなみに名前や容姿はプレイのたびに変更できるので、悩まず気軽に選べる。

大戦でかろうじて生き残った主人公。拾った命以外は何もない侍だ
 主人公は大戦で傷つきながらも、かろうじて生き延びた侍だ。この、拾った命以外は何もないというところからゲームは始まっていく。今にも倒れこみそうな主人公が、降りしきる雨の中で村人たちと出会う。

 ここで本来なら、主人公は倒れてしまい、村人たちが高種村へと運んでくれるという展開になるのだが、このときイベントシーン中には、L1と書かれた刀マークのアイコンが出てくる。これはなんだろうと試しにL1ボタンを押してみると、刀に手をかけるカットインが入り刀を抜いた! それを見た村人は、「かんにんしてくれ!」と叫びながら逃げ出してしまう。突然侍が刀を抜いたら、そりゃあ逃げ出しもする。

 このように「侍道3」は、イベントシーン中であっても、L1ボタンで刀を抜いたり、またはL2ボタンで土下座ができる。イベントシーン途中からでも戦闘に入ったり、土下座してイベントの進行を避けることができる。もちろん抜刀するのは明らかな敵対行為で、イベント中の抜刀はその後の展開を大きく変化させる。なかには、抜刀することが大事な分岐ポイントになるイベントもある。

イベントシーン中でも抜刀、または土下座ができる。それによって、イベントの展開も変化する。画面の場面では、抜刀しない場合、意識を失った主人公を村人たちが村へと運んでくれるのだが、途中で抜刀したため逃げ出していった


ゲームの説明をしてくれる娘に、チンピラ2人組が絡んでいた
戦闘は、シームレスに始まる剣劇アクション。技を駆使し、ときには峰打ちで止めをさして、情けをかけることも大事だ
 移動は、エリア同士の繋がりを歩いていってもいいし、マップ画面からエリアを指定してショートカットすることもできる。とりあえず普通に歩いて高種村に入ると、村の入り口では村娘が、刀を下げた2人組の柄の悪い男に「俺らとお茶しない?」なんて言われながら絡まれていた。2人組はどちらも「チンピラ」という名前だ。お茶しない? っていう誘い文句やチンピラっていう言葉はたぶん戦国時代にはないと思うが、とりあえずわかりやすい。こういう言葉選びのセンスも「侍道3」は突き抜けている。

 チンピラに話しかけると、会話の選択肢が出た。「嫌がっているだろ」と「お手伝いしましょうか?」だ。とりあえず普通に「嫌がっているだろ」を選ぶと、チンピラ2人が刀を抜いて襲ってきた。こちらもL1ボタンで抜刀し、そのまま戦闘に入る。

 「侍道3」は弱攻撃、強攻撃、防御、足技による崩しなどを駆使して戦う剣劇アクションだ。画面の切り替えなどはなくシームレスに戦闘に入る。隙の少ない弱攻撃で相手の防御を崩し、威力の高い強攻撃を浴びせていく。刀を使い込んでいくと技を覚えていくのだが、この技は戦闘中に習得でき、その数は武器のタイプや構えのタイプによって分かれているものの全部合わせると750種類以上あるという。敵を浮かせる技からのコンボなど、覚えた技を連続的にうまく繋げられないか、いろいろと試してみるのも、本作の戦闘における醍醐味のひとつだ。

 防御においても、捌きや崩し、そして敵の放つ技をかわす「見切り」など、たくさんのテクニックがある。見切りは、実戦で敵の攻撃タイミングにベストなタイミングでR1ボタンの防御を合わせることで、まれに習得できるもので、見切った技は自動的に防御の合わせが発生するようになる。覚えた技や見切りは全て主人公の能力として引き継がれていくので、果てしない道のりではあるが、全ての技を覚え、見切るという、プレイの極みを目指すのもいいかもしれない。それもまた侍の道だ。

 もうひとつ大事な戦闘テクニックが、セレクトボタンで切り替える「峰打ち」。刃を逆さにして、敵を殺さないように倒す。命を奪うほどではない、もしくは奪ってはいけない場面では、切り替えを忘れないようにしたい。このときは娘にちょっかいを出しているチンピラが相手なので、命をとるほどのことではない。ここも峰打ちに切り替えてチンピラを痛めつける。チンピラは「てめぇ……峰打ちなんて……気取るんじゃねぇよ……」と、捨て台詞を言いながら崩れ落ちた。いいセリフだ。

会話のセンスが異様にエキセントリックな「侍道3」。画面のように主人公の返答は選択肢から選べる
高種村で渡世を与えてくれるみさえお婆ちゃん。妙に若々しい言葉を使うが、笑い声は「ヒェ~ヘッヘッヘ」と不気味
お婆ちゃんの勝負下着を探しに朽葉ヶ原へ。死体に残された金目の物を漁る村人が、そこらをウロウロとしている
 村の中へと進んでいくと、「ちょっと、アンタ!?」と呼び止められた。「ゆず」という名前のおばちゃんだ。どうやら主人公が独り立ちした息子に似ているそうで、怪我している姿を見て呼び止めたらしい。「ケンカでもしたのかい?」と聞いてくるおばちゃんに対して、主人公の返答は、「余計なお世話だ」、「お嬢さん、今日も貴女は美しい」、「……うぅ……おふくろ……っ!」という3つ。一つ目はまだしも、2つ目と3つ目は突然何を言いだすのかという内容で困ったもんだ。

 とりあえず2つ目を選んでみると、「こんなときまでなに言ってるんだい、あきれてものが言えないよ」という、そりゃあそうだよなぁという反応を見せたあと、なんだかんだで怪我を手当してくれた。ちなみにこのゆずおばちゃん、会話次第で伴侶として一緒に同行してもらったり、自宅で同居することもできる。妙な方向にばかりところどころゲームが作り込んであるところが、「侍道3」のクセになる魅力だ。

 ほかにも、「渡世」をくれる高種村のみさえお婆ちゃんは、見た目は完全にヨボヨボなのに口調は「みさえの渡世なんか、どう?」というように異様に若々しい。しかもその渡世の内容が、いつも肌身離さず大事に持ってる勝負下着を落としちゃったから持ってきて欲しい、なんていう内容だ。おそらく多くの「侍道3」プレーヤーが最初に受けることになりそうな渡世が下着探しだなんて! しかもその依頼を受けるときの主人公の返答が「そういうの得意だ」だし、得意ってどういうことだ、とか、もうツッコミどころが多すぎて大変だ。

 ちなみにキャラクタの声は、一部メインシナリオなどのイベントシーンだとフルボイスで喋るが、それ以外は、ちょっとした挨拶の言葉だったり、かけ声だったり、死ぬ間際のセリフだったりと、短いセリフだけ声を出すようになっている。例えば、道行く人が死体をみつけて、「なんまいだぶ、なんまいだぶ」と声を出しながら拝んだり、お婆ちゃんが斬られて死ぬ時には「嫌じゃあ、200まで生きるんじゃあ……」と喋ったり、パターンが豊富で細かく作り込まれている。

 和風のゲームは、生々しさやおどろおどろしさが出るが、「侍道3」にもそういうところがある。死に際のボイスあたりは妙に生々しい。でもセリフの内容が、シリアスなものが半分で、残りはおバカセンスの妙なセリフという感じで、生々しいけど内容はおかしいという、例えようもない独特の感じに仕上がっている。

 このレビューでは、おバカセンスな部分をだいぶ強調して書いているけれど、全部が全部そういうノリなわけではなくて、半分シリアス、半分おバカという感じだ。レビューのキャッチに「まじめバカゲー」とつけているのはそのあたりから。さすがに全編おバカノリだとやりすぎだが、そのあたりの感覚がうまく調節されている。いいバランスにおバカノリが入ってきて、絶妙で、異様で、独特な魅力になっている。


■ 侍は、勢力に加わるもよし、加わらないもよし

自らが仕えていた桜井家を滅ぼし、祇州天奈の国主となった藤森主膳。この地から天下をにらむ野心家だ
桜井家再興を旗頭に掲げる「桜花党」。頭領の松崎源十郎を中心に荒くれ者が集まっている
貧困に苦しむ村人の村「高種村」。桜井家の家臣であった梅宮家の梅宮宗近が中心になっている。争い事を持ち込むとして、侍を嫌っている
 物語の舞台となる祇州天奈の地には、いくつかの勢力がある。まず、藤森主膳をはじめとする国主の新興大名「藤森家」。藤森主膳は、かつて彼が仕えていた桜井家を下克上して滅ぼし、力ずくで天奈の地を奪い取った乱世の英傑だ。好戦的な性格で天下を望むゆえ、彼が国主となってからは戦が絶えず、民は苦しい生活を強いられている。

 藤森家に対して、桜井家再興という大義の下に集結している集団もいる。それが「桜花党」だ。藤森によって滅ぼされた桜井家ゆかりの人物や、藤森に恨みを持つ人物を中心に、落ち武者や山賊などの荒くれ者が集まっている。だが、その乱暴狼藉はもはや本来の目標とは違っていて、打倒、藤森主膳という名目で好き勝手をしているのが実情だ。

 重い税によって貧困にあえいでいる村人が暮らすのが「高種村」。この村の中心となっているのは、旧国主桜井家の家臣であった梅宮家の梅宮宗近だ。桜井家が滅ぼされて以来、刀を捨て村人と共に生きる決意をした彼は、侍を嫌っている。高種村は主人公が最初に訪れる場所で、寝床とする自宅もある。いわば活動の中心になってくる場所だ。

 メインシナリオはこの3つの勢力が中心となって進んでいく。メインシナリオにはかなり多くの分岐があって、主人公がどの勢力と関係を持つかによってシナリオの流れも大きく変わってくる。イベントが発生するときはマップ上に「小さな予感」というマークがでるのでわかりやすい。プレイのたびに、「藤森家に加わってみよう」とか、「今回は高種村を中心にしてみよう」、といったようにして、自由にプレイしていける。特にどの勢力のシナリオも積極的には追わずに、ひたすらお金を稼いだり、アイテム収集したっていい。

 ひとつの勢力に加担したら他の勢力には入れないように思えるかもしれないが、実はそんなことはない。全部の勢力の状況や内部事情を楽しみつつ、途中で裏切り寝返るようなプレイも可能だ。プレイ内容によって最終的なエンディングが変わっていき、その種類もとても豊富に用意されている。全エンディングのコンプリートを目指して遊び込むというのが、プレイ開始当初にオススメな「侍道3」のオーソドックスな楽しみ方だ。

それぞれの勢力には個性的なキャラクタたちがいて、それぞれに思惑を抱えている。彼らと主人公の間には好感度のシステムがあって、話しかけたり、特定のイベントシーンを見たりすることで変化する


勢力の信頼度が高まり、報酬ももらえる「渡世」。仕事の依頼のようなもので、様々な種類がある
 お金を稼ぐ方法はいろいろとあるが、それぞれの勢力から「渡世」という仕事の依頼を受けて報酬を得るのが基本になる。渡世は、「藤森家」、「桜花党」、「高種村」のほか、「御幹町」の町人勢力からも受けられる。

 渡世の種類は様々。山賊がさらった村娘を救出したり、血に飢えた辻斬り人を始末したり、女性に土下座しに行って蹴り飛ばされたり、女性の着物の下半分だけを斬りに行ったり、家出した子供を探しに行ったら見つけた子供にガスガスけっ飛ばされたり、みさえお婆ちゃんの勝負下着を拾いに行ってカラスに追いかけまわされたり。侍らしいまじめな依頼から、おバカなセンスの依頼まで、たくさんある。

 渡世に成功すると、報酬としてお金がもらえるだけでなく、それぞれの勢力からの信頼度が上がる。信頼度が上がると、勢力の人から好意的に接してもらえたり、向こうから声をかけてくれるようになる。信頼度が上がると、報酬額が増えて新しい渡世が増える。また、イベントシーンの発生にも関わってくるものがある。

渡世の内容は、各勢力ごとに用意されている。赤子の誘拐事件やら、人斬りの始末やら、村人や浪人の小競り合いを沈めたりといった、戦闘のあるものから、ユニークなものまで、いろんな種類がある
渡世とは少し異なるが、報酬がもらえるミニゲームもある。野菜を刀で斬ってあげたり、マグロをさばいたり。伴侶を連れていれば、餅つきや真剣白刃取りのチャレンジもできる


その回のプレイが終わったときにでる「侍評価」。プレイ内容によって、侍度、称号が決まる。侍点は累計ポイントになっていて、プレイごとにポイントが増減する。これが貯まると隠し要素が開放されていく
 「侍道3」のプレイは、特定のエンディングにたどり着くか、戦闘に負けてゲームオーバーになるか、または他国に出て行くと終わっていく。次にプレイするときは、時間の流れは最初からで、武器や道具などの所持品や技など全て引き継いだ状態になる。繰り返し繰り返し、いろんなルートのシナリオやたくさんの要素を味わい尽くすように何周も遊び込んでいくわけだ。

 その回のプレイが終わったときには、侍評価というプレイ内容の評価がされる。侍らしい行動を取ったり、その逆に非道な行ないをしたりで、評価が増減する。特定の条件を満たせば称号も与えられる。評価には侍点というポイントがあって、これはセーブデータにずっと引き継がれていくポイント。例えば、3,000点の侍点を獲得したとして、次のプレイでは非道行為が多くてマイナス点だった場合、3,000点から差し引かれる。蓄積されていくポイントだ。一定量ポイントが貯まると、主人公の容姿変更のパーツや装飾品など、様々な隠し要素が開放される。

 ちなみに、「勢力とか渡世とか、そんなの知ったことかー!」と言わんばかりに、人々を片っ端から叩っ斬っていったって構わない。悪鬼の如く非道行為を繰り返すのも、「侍道3」の遊び方のひとつ。ただし、そのときのプレイの侍点はがっつりとマイナス点になるので、それは覚悟しよう。

プレイスタイルはまさに自由。桜花党の頭領になるも、藤森主膳の片腕となるも、悪鬼のごとき人斬りになりきるも自由自在だ。ちなみに右の画像は非道行為を繰り返しているところで、女性の着物のすそだけを斬っている。「辱斬り」だ



■ 侍は、伴侶を持つも、愛用の刀を作り上げるも、自由に楽しめばそれでよし

鍛冶屋で愛用の刀を鍛える。特に硬度は高くしておきたい
プレイ中に集めたパーツを組み合わせ、自分だけのオリジナル刀を作ることもできる
 「侍道3」は他にもやりこみ要素がたっぷり用意されている。まず醍醐味でもある戦闘に関してだと、先にも書いたように、技の種類や見切りなど、習得できる数がとてつもなく豊富だ。刀自体の種類も100種類以上存在する。

 刀の構えかたは、上段、中段、下段、脇、居合い、片手、忍者があって、さらに刀以外に槍も使える。槍を含めて8種類だ。刀ごとに構えが決まっていて、それぞれに技も決まっている。自分の好みの構えと技が使える刀が欲しくなるが、入手が難しいレアな武器が多数存在するところもあって、武器探しもまたやりこみプレイになっていく。威力や技の使い勝手がいい武器を見つけたら、技がうまく繋がるコンボを模索していく。

 刀や槍は、落ちているものを拾ったり、敵が使っていたものから入手するほかに、刃、鍔、柄、頭の4パーツを組み合わせて、自分のオリジナル武器を作ることもできる。オリジナル武器は、構えを自由に設定できるほか、習得している技から好きな技を設定できる。ただし、技をひとつも習得していない構えの武器は作れないし、習得している技が少ないと設定できる技も少ない。まずは普通の武器を手に入れて使い込むのが先だ。

 戦闘時に常に意識しないと危険なのが、武器の硬度と硬度メーター。敵の攻撃を防御したり、斬りかかったときに武器の硬度メーターが赤く上がる。硬度メーターの枠を振り切ると、武器は音を立てて折れてしまうのだ。夢中で攻防を繰り返している最中、パキィィンと音を立てて刃が折れたときは衝撃的。特に愛用の武器が折れたときのショックは、なんとも言えないものがある。

 折れた武器はダメージが激減し、防御もできなくなる。ようは使いものにならなくなるので、まず折れないように鍛冶屋で硬度を上げてもらうこと、そして戦闘中は、折れないようにメーターを常に意識することが大事だ。この硬度と硬度メーターのシステムは厄介ではあるが、攻めるにしても守るにしても戦闘が単調になれば折れるし、もちろん、敵の武器も同じように折れる。変化をつけてくれるシステムだ。アイテムで手入れし鍛冶屋で鍛えてもらい、長く使い込んでいると武器にも愛着が沸いてくる。

 向かってきた相手の斬撃をヒラリと交わし、一瞬の隙をついて息の根を止める。それが「必殺」だ。相手の攻撃にR1ボタンの防御をタイミングよく合わせると、相手の隙「死線」がでるので、このときに素早く○ボタンを押せば、一撃必殺となる。必殺が成功すると、主人公は連殺状態となり、周囲の敵にも次々と死線がみえるようになる。連殺は最初の必殺と違って、○、×、△、□ボタンを使うので、慣れるまでは反応するのが難しいが、周囲を囲んでいた雑魚敵を次々に連殺できたときの爽快感は格別だ。

爽快感抜群の「必殺」、そして「連殺」。シャキィィンという気持ちいい音とともに、敵が崩れ落ちる。多数の雑魚敵を相手にしたときは「連殺」を狙いたい。必殺自体は、R1ボタンの防御を相手の攻撃タイミングにあわせて入力し、「必殺の予感」と言われる○ボタンの入力に成功すれば成立する。ちなみに必殺が通用しない敵もいる


伴侶候補のひとり「もみじ」。行動や会話によって、伴侶候補が一緒に行動してくれるようになる。その後好感度が高まれば、一緒に暮らすこともできる
 侍たるもの、伴侶を持たねばならない。というわけで「侍道3」の世界には10数人の伴侶候補がいる。伴侶候補の女性を見つけ、うまく会話などの条件を満たすと、同行してくれるようになる。伴侶が一緒にいると、敵と一緒に戦ってくれたり、キズを癒してくれたり、本来自宅でないと扱えない箪笥を外でも使えるようにしてくれたりと、伴侶によって様々なメリットがある。

 伴侶を連れたプレイは、1人で歩き回っているときとは違った面白さだ。歩いているときにも、いろいろとセリフを言ってくるので、それを見るのも面白い。伴侶を連れているときでないとできない餅つきや真剣白刃取りなどのミニゲームもある。

 伴侶とは主人公の自宅で同居することもできてしまう。ある程度の時間を伴侶と共に行動して好感度が高まると、自宅へ連れ帰ったときに、“同居してくれないか”と話す選択肢が登場する。これで伴侶との同居生活がスタートだ。同居している伴侶は、寝る時や起きるときに話をしてきたり、内職をしてお金を稼いできたりと、伴侶によって様々なことが起こる。話しかけて外へ連れて行くことも可能だ。

 同居は嬉しいこともある反面、困ったことになるときもある。例えば、何日も家に帰らないでいると、伴侶は怒ってしまい、最悪の場合だと戦闘になる。このときはL2ボタンでひたすらに土下座あるのみだ。また、伴侶によっては金庫のお金を使いこんでしまったり、しまっておいた道具を無くしたりといったことも起こる。まぁそうしたトラブルも、1人のときには楽しめないハプニングと思えば、かわいいところがある。

行動を共にしている間は、話しかけてきたり、一緒に戦ってくれたり。一緒に暮らすようになると、怪我して帰ってきた主人公をいたわったり、寝る時や起きる時に話しかけてきたり。1人の時には無かった面白さが楽しめる



■ 侍の道は、やりこみもたっぷりで、遊ばないなんてもったいないと悟るものなり!

傷つき倒れてしまうと、画面がどす黒い血に染まり、妙な辞世の句が詠まれる。ゲームオーバーになっても特にペナルティは無いので、大胆なプレイも気軽に楽しめる
 侍道の魅力を理屈で表現するのはとても難しい。度重なる戦で荒れている祇州天奈。広がる光景にはどことなく悲壮感があって、BGMにも和の“わびさび”が感じられる。夕方や夜には人斬りが徘徊し、独特の薄気味悪さもある。でも、そこで生きる人々は、くだけたノリのおバカセンスなセリフを炸裂させてくる。そんな真面目半分おバカ半分のギャップがクセになる世界を、自由に、たっぷりと遊び倒せる。

 遊び込める内容量を重視したためか、グラフィックスはそこまで美麗とは言えなかったり、人物の動きやオブジェクトの動き方などに、ちょっとチープさが感じられたりといったところがある。

 そうは言っても、プレイのテンポがよくてストレスが少なく、ゲームとしての面白さはしっかりとしている。愛されるB級作品といったところだろうか。A級のクオリティになった侍道も見てみたいような気がするが、そうしたら、笑える変な動きとかが消えてしまうかも……と思うと、愛されるB級作品のままであって欲しいようにも思う。

 オンリーワンの独特な魅力を持つ「侍道3」。長くやりこめて、自分の好きに行動できて、ところどころ笑わせてくれて、でも本筋は真面目でしっかりとしている。何が起きるか予想がつかない、油断ができない、ワクワクできるゲームを遊びたい人にオススメだ。


(C)2008 Spike / ACQUIRE

□スパイクのホームページ
http://www.spike.co.jp/
□アクワイアのホームページ
http://www.acquire.co.jp
□「侍道3」のページ
http://kloweb.namco-ch.net/

(2009年1月7日)

[Reported by 山村智美]



Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c)2009 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.