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会場:ジー・モード本社
同社はコンシューマゲームなどで知られる一流のクリエイターを招いて、本格的なモバイルゲームを制作するという、モバイルゲームでは異例の豪華なスタッフによるタイトルを制作していることで知られている。また他社とのタイアップや版権キャラクタのアプリなども積極的に展開し、幅広いユーザーに受け入れられるラインナップを整えている。
そんな中で登場した「空気読み。」というアプリは、画面に示された内容を見て、「空気を読んだ行動を選ぶ」という、ユニークな内容のミニゲームとなっている。このアプリを企画したのは、ジー・モード 国内事業本部 ゲームデザイン部 品質管理グループの栗田祐介氏。先日配信されたばかりの「史上最強 宮本ジュリア」も栗田氏の企画タイトルで、こちらも独特なテイストで描かれたアクションRPGになっている。これらのオリジナリティの強いタイトルをどう企画したのか、栗田氏に直接尋ねてみることにした。
■ たまたま空席があって始めたモバイルゲームの企画業
栗田氏 : ジー・モードの前は別のゲーム会社にいました。そこでもモバイルゲームを作っていました。モバイルゲームしか作ったことがないです。 ――開発者になられてから何年ですか? 栗田氏 : 2002年からだから、7年目に入ったくらいですかね。ジー・モードに入社したのは2006年です。 ――以前はどんなタイトルを作られていたのですか? 栗田氏 : その前のゲーム会社の時も、ジー・モードのゲームを作っていました。前の会社には、モバイルゲームについてあまり知らない状態で入ったんですよ。とりあえずゲームを作る仕事ができそうだったので、企画書を書いて送って。そうしたら「携帯の部署でちょうど人の空きができるから来てみれば」と言われたのが入ったきっかけですね。 ――ちなみに更にその前は学生ですか? 栗田氏 : 大学を卒業してから2年半くらいふらふらしていて。ちょっと音楽の方向に行きたいなと思っていました。 ――なぜそれがゲーム会社に行くことになったのですか? 栗田氏 : 何ででしょうね。その頃に音楽をやっていたから、ゲームの音楽を作る仕事ができたらいいなと思っていました。でもよくよく考えると、ずっと音楽作るとかって辛いなと思って。でもゲーム好きだから作るのはやってみたくて。中学生くらいまでは漫画家になりたいとか思っていたので、絵は描けるしゲーム好きだから、企画の仕事はできるかなと思って、企画に募集しました。 ――デザイナーとか、サウンドじゃなくて。 栗田氏 : そうですね。最初から企画ですね。 ――「空気読み。」など開発されたタイトルのイラストを描かれていると伺いましたが。 栗田氏 : そうですね。自分のオリジナルタイトルは、基本、全部自分でデザインしています。 ――「空気読み。」の前にはどんなタイトルを開発されていましたか?
栗田氏 : 「マジカルファンタジスタ3」ですかね。このシリーズ作品はずっと前の会社のときから作っていました。
■ 一言も喋らないプレゼン、不評を買いつつ制作、そして大ヒットした「空気読み。」
栗田氏 : 早い話が思いつきです。朝、新宿駅の西口の地下で急に思いついたんです。一番最初に思いついたのが、「穴に四角いブロックを動かしてはめる」という問題です。実は以前から、モバイルゲームを企画する上で、わかりやすさは重要だとしつこく言われていたのですが、それが正直、すごく面倒くさいなと感じていました。 ――社内でそういう風にしろと言われているのが? 栗田氏 : そうですね。“ユーザビリティ”と言う部分ですね。ずっと面倒くさいと思っていました。でも昔のファミコンのゲームなんかは、あまり説明がなくて、不親切だったと思うんですよ。例えば、穴があったら飛び越えるとか、ドアがあったら入るとか、そういうのはユーザーが空気を読んで行動を起こしていたと思うんです。それでいいじゃないかと。じゃあ穴があって、四角が近くにあったら、それははめるよなと思って、「ああ、空気を読むというのでゲーム作れるかな」と思ったわけです。 ――そこから企画して、初期はどういうゲームだったのですか? 栗田氏 : もうほとんど今の通りです。入っている問題のバリエーション違いとか、そういう問題を企画書に入れてプレゼンしました。スライドショーで自動的に問題が次々と流れていくようにして、一言も喋らないプレゼンをしましたね。 ――説明もしなかったのですか? 栗田氏 : そうです。 ――それに対しての周囲の反応はどうでしたか? 栗田氏 : すごくよかったですよ、身近な人間には。この企画は結構ドラマチックな展開なんです。最初は新宿西口の地下でアイデアを思いついたものの、それを提案するつもりもなかったのです。その後、同じ企画の人と2人で飲みに行く機会があって、企画同士だから、「今どういうの考えてる?」という話になったときに、自分は空気を読むゲームというのを思いついたというようなことを言ったら、「それはもう是非提案すべきだ」と言ってくれて。その日、帰って、1時間もかからないくらいで最初の企画書を作ったんです。身近な人に見せたら、とても評判がよかったんです。 それをですね、その前に社長や役員が出席する会議に提案するという機会があったんですよ。そこでも一言も喋らないというのをやったんです。そうしたらすごく反応が悪くて。 ――ですよね(笑)。 栗田氏 : 「これはフラッシュゲームで無料で配るならいいけれども、アプリにするのはどうか」みたいなことを言われました。でも、協力者と一緒に、黙って進めようといって、勝手に企画会議に出しちゃったんですよ。そうしたら結構ウケたからよかったな、という話です。 ――実は何より、この独特な内容の「空気読み。」を経営陣に見せたときの反応を知りたかったのです。やはり最初は冷ややかでしたか。 栗田氏 : 年齢が上になるほど、あまり反応はよくないですね。ちょっと聞いた話によると、その反応が悪かった社長が、今ではそれをよその人に見せて笑いを取りまくっているらしいんですよ。ちょっと納得いかないですよね。 ――作品としてはヒットしたのですか? 栗田氏 : ものすごく売れて、この間、社長賞をもらいました。 ――制作中の開発スタッフの様子はどうでしたか? 栗田氏 : 本当に、楽しそうにやってくれましたね。ノリノリで。 ――何人で作られたのですか? 栗田氏 : どれくらいだろう……。99問目に出ている人で全部ですね。全100問あるうちの99問目がスタッフロールになっていて、そこに載っている人が全部です。 ――開発期間はどれくらいですか? 栗田氏 : 去年の今頃に提案して、半年近くはかかっていた感じですね。 ――ユーザーの反応などはありましたか? 栗田氏 : 携帯で見られるゲームの評判が書かれた掲示板を見たら、かなりいいですね。電車の中でやっていて笑いを堪えていたとか書いてありました。 ――全部で100個のゲームが入っていますが、1人で全部考えられたのですか? 栗田氏 : いえ、全部ではないですね。でも8割から9割くらいは自分で考えて、後は開発の人たちと協力してという感じです。 ――問題を考えるのが大変だったのでは? 栗田氏 : 大変でしたね。60問くらいまではすぐアイデアが出たのですが、そこからは段々思いつくペースが遅くなって。 ――100問というのは、何かノルマがあったわけですか? 栗田氏 : ノルマはないですが、プレゼンの資料に100問と書いてしまったので。ああ、言っちゃった、考えなきゃなと。そこが一番苦労したところですかね。 ――完全クリアみたいなものは存在するのですか? 栗田氏 : ありますよ、全問正解。 ――全ての問題に正解があるのですか。 栗田氏 : 一応ありますよ。明確な答えはゲームの中では説明されないので、何が正解か、正解じゃないか、というところもぼやけさせて面白がっている感じですね。全問正解だと、神様という称号になります。神様級の空気読み。 ――遊んでいても、何が正解なのかわからないものもあるのですが、正解はどうやって決めたのですか? 栗田氏 : 私が勝手に決めていますね。なにかわからない問題があれば、聞いていただければ今お答えしますが。 ――いやいや、攻略するわけではないですから(笑)。最終目的として、完全クリアを目指すゲームなのか、1回遊んで楽しかったらそれでいいのか、というのは気になります。 栗田氏 : 楽しかったらそれでいいです。あまりゲームゲームしたものではなく、周りの人間と面白がってワーワー使えるツールみたいなニュアンスで考えてはいましたね。だからプレゼンの資料にも、これこれこういうゲーム、というのは書かないで、ただただ空気読むだけのアプリと書いておいたんですよ。 ――このゲームは、何か中に込められたメッセージのようなものはあるのですか? 栗田氏 : ないですよ。ただ1つあるとしたら、このゲームは一見ギャグのようですが、実は最後には「おまえ(主人公)」の彼女が死んでしまいます。空気を読むということは、日常では面白い場でもそうだし、神妙にしなければいけないような場でもそうですし、色々なところで空気を読むことが求められますよ、というようなことは考えながら作っていました。 ――100問が最初から最後まで、何かしらのストーリーをイメージしていたと。 栗田氏 : そうです。一応ストーリーはありますよ。登場人物にはそれぞれバックグラウンドがあります。何回か遊んでみれば気づくかもしれないですね。登場したときはマイナーだったアイドルがだんだん有名になっていくとか。この「おまえ」というキャラクタで言えば、彼女と出会ってから彼女との別れまでを順番に描いています。 ――そして最後には彼女が死んでしまう。 栗田氏 : そうです。でも、死んだかどうかは謎にしている部分はありますが。 ――笑えるだけのゲームじゃないぞと。 栗田氏 : いや、笑うだけでいいです。 ――あ、そうですか(笑)。 栗田氏 : ほかにも、すごく太った「ウルトラマン」みたいなのが出てくるのですが、あれは戦隊物のオーディションに来たイエローの人なんですよ。彼が宇宙人に途中でさらわれるという問題もあるのですが、それでヒーローと二足のわらじを履いてやっていくという。そういう設定が色々あります。 ――その資料が面白そうですね。どこかで出さないんですか?
栗田氏 : うーん、特に出すつもりはないです。気づいた人だけ楽しんでいただければ。
■ 格好よさと馬鹿らしさが共存する「史上最強 宮本ジュリア」
栗田氏 : SF物のアクションRPGなのですが、シチュエーションが会社ノリというものです。不況でワーキングプアの時代を生きる派遣社員が主人公です。現代社会っぽい世界観なのですが、仕事の内容が「ドラゴンボール」みたいに戦いまくるというものです。 ――これはどんなところから企画が立ち上がったのですか? 栗田氏 : 元々、うちから出しているアプリに「雪合戦。」というのがありました。それが開発会社さんからの持ち込み企画で、たまたまそれを担当するうちのディレクターが新人だったので、そのサポートとして私がついて見ていました。そのときに、「あ、このゲームのシステムを基に『ドラゴンボール』みたいなシリアスなアクションゲームを作りたいな」と思いました。 ――「雪合戦。」と「ドラゴンボール」は、繋がりがわからないのですが……。 栗田氏 : 雪合戦の雪玉が、「ドラゴンボール」のエネルギー波に置き換わったというような感じですね。敵がいっぱい出てくるゲームなのですが、そこから敵をどんどん倒していくようなアクションゲームを作れたらいいなと思って、それを形にしたという感じですね。ちょうどRPGサイトの「R.P.G-mode」で大きなタイトルを配信する間の繋ぎになるような軽めの作品が欲しいと言われていたので、これを提案しました。 ――ゲームシステムはわかりましたが、この世界観はどこから来たのですか? 栗田氏 : これも思いつきですね。弊社では通常のRPGだと、制作に1年くらいかかるのですが、今回は小規模で作るというミッションもありましたし、ぶっちゃけて言えばあまり期待もされていないから、自由にやってしまおうと。SF物ってあまり受け入れられなかったりとか、アクションゲームがモバイルでは敬遠されたりというところはあるのですが、そこで思う存分、変な世界観の物を作ってみよう、ということです。 ――変な物を作りたかったんですか、やっぱり。 栗田氏 : 変な物は作りたいですね、常に。格好よさと馬鹿らしさが共存しているようなものが一番好きなので、その方向でやっています。 ――格好よさと馬鹿らしさの共存で、栗田さんがイメージするものは何ですか? 栗田氏 : 原点は「タイムボカン」ですね。 ――ああ、なるほど。 栗田氏 : あのシリーズは、子供の頃に大好きで、幼心に、自分の一番好きな世界観はこれだと思ったんですよ。 ――そして、また企画書を作られたわけですね。 栗田氏 : そうですね。今回は至極真っ当に喋ってプレゼンして納得してもらいました。 ――開発期間はどれくらいですか? 栗田氏 : これも半年くらいですかね。 ――基本的にはアクションRPGですよね? 栗田氏 : そうですね。でも厳密にはRPG要素は結構薄くて、どちらかというと「三國無双」に近い内容だと思います。RPGで街からお城まで歩いていくとか、そういう面倒な要素をどんどん省いていって、手軽にできるものを追求してこのシステムにしました。 ――ゲームの見所はどの辺りですか? 栗田氏 : システム的に言うと、尋常じゃなく強くなれるというところです。戦闘力が表示されるのですが、まさに「ドラゴンボール」のノリでどんどん強くなって、1億近くまで行けるようになります。敵に与えるダメージも、もの凄い桁数の数字が画面内に入り乱れます。 やり込み要素もかなりあります。システム的には桁違いに強くなるというのがあって、ストーリー的にはシリアスだったり、そうかと思えば合コンに行ってみたりと、会社のノリもありつつ、共存している世界観というのは、楽しんでいただけると思っています。ストーリーもすごく楽しいので。 ――主人公はこの「宮本ジュリア」ですが、彼女は派遣社員で、何をしようとしているのですか? 栗田氏 : 「時給10倍」に釣られて来ただけなんですよ。簡単な清掃作業と聞かされていたのに、実は惑星の資源開発のために、そこに住んでいる人たちをどんどん抹殺していかなければいけない仕事だった、という内容ですね。 ――軽そうな感じで話されていますが、内容は結構重いですね。 栗田氏 : でも「ドラゴンボール」みたいなものをやりたいと言っていただけあって、ベジータがフリーザの手先になっていろんな星を滅ぼしに行っているという、あの感じをやりたいと思っていたんですよ。あの漫画を読んでいたら、誰しもサイヤ人になりたいと思うんですよね。そういう夢を叶えるゲームです。 ――その星に住んでいる生物をどんどん倒していくような話になるのですか? 栗田氏 : でも、単純に主人公が悪者だと、なかなか思い入れはできないので、シナリオ担当の者と話を詰めました。最終的には企業と国家の陰謀みたいなところに立ち向かっていくことになります。後味が悪い物にはしていません。 ――プレーヤーキャラクタは彼女だけですか? 栗田氏 : そうです。 ――サブキャラクタ達は? 栗田氏 : 同僚とかですね。イベントの中に出てきます。 ――この同僚たちのイラストのセンスも独特ですね。何を考えながら作られたのですか? 栗田氏 : 何も考えていないですね。これがいいだろうと思うデザインをしているだけです。ベジータをやりたいというのを思いついたところで、でもやっぱり主人公は女の子の方が格好いいだろう、上司は山田さんという名前だけれど宇宙人っぽいほうが面白いだろう、という感じで。 ――それはスタッフと相談しながら決めるわけですか? 栗田氏 : まずは自分の方でざっとコンセプトをまとめて、それをシナリオライターと話し合いながら、だんだん内容を変えていく感じですね。 ――作っていて苦労した点は? 栗田氏 : 最初はキャラクタデザインを外部のフリーの人に頼もうと思っていたんですよ。でも、その人が音信不通になって。じゃあわかった、僕が描きますと。そこが大変でした。 ――元々はどういう絵にしようと思っていたのですか? 栗田氏 : この路線ではあります。絵を発注するときに、テイストが掴みやすいように、こういうテイストでいけば間違いないというのは伝えられるように、完成系をイメージしたようなデザインはしていました。 ――それ以外は順調に進みましたか? 栗田氏 : 実際に開発している開発会社さんは大変ですよ。私は方向性を指示するだけですから。 ――するとプロデューサー的な仕事なのですか?
栗田氏 : プロデューサーといっても、お金の計算までやったりはしませんね。方向性を示す、ゲーム内容を着地点に向けてみんなを引っ張っていくということはします。ディレクターですね。
■ 企画のベースは“暇つぶしを届けます”
栗田氏 : 特別意識はしていないですね。自分の中から出てきたものをストレートに出しているだけです。何しろ、コンシューマで作ったことがないので、自分でもそこはわからないです。 ――例えば1つの作り方として、「今こういう世間の情勢なので、こんなのを出したら売れるだろう」といった発想でゲームを作ることもありますよね。 栗田氏 : それができる人は偉いと思います。ちゃんと社内ではそういうことを考えてやっているんですよ。でも私はいい加減なので。 ――ゲームの企画を立てるときに、一番必要なことって何だと思いますか? 栗田氏 : アイデアが降りてくるのを待つだけですね。 ――そのアイデアを出すときの方向性というのは? 栗田氏 : いや、あまり考えていないですね。これがいいだろうと思ったから。それだけです。 ――日常からパッと思いつくものなのですか? 栗田氏 : それはありますよ。どういう時にアイデアが降りてくるかはわからないですが。机に向かって、さあ考えるぞ、といって思いつくことはあまりないですね。 ――そういう時、焦ったりはしませんか? 次を早く出さなきゃと。 栗田氏 : 今まさにそれですね。何にもないですね、アイデアが。 ――そういうときにはどうするのでしょう? 栗田氏 : どうもしないですね。無駄なんですよ、何かやっても。一生懸命考えて出てくることもあるし、出ないこともあります。何となく、突然思いつくというのもあったり。そこはあまり意識しすぎず、自然体でやっていますね。 ――1つの発想として、「空気読み。」が売れたから続編出しましょう、といった方向は? 栗田氏 : もちろんそういうことは会社的には考えているし、欲しいのだろうと思うのですが、何しろネタがないですね。100問で出し尽くしました。ネタができれば出してもいいかなとは思います。 ――「100問以上の、違うストーリー展開で作ろう!」と積極的に考えたりはしないと。 栗田氏 : 何でしょうね、この「空気読み。」というものが売れたからといって、すぐその続編を作るというのは格好悪いなと思いますね。むしろ毎回毎回、違うものを出していこうというのは意識しています。 ――企画を練る中で、最終的にどういうものをユーザーに届けたい、どういうゲームを作りたい、と目指しているところはありますか? 栗田氏 : モバイルゲームしか作ったことがないので一概には言えませんが、そんなに色々と思っていることを届けたいというよりは、お客様が電車の中で暇つぶしできる、ということを考えているような気がします。暇つぶしを届けます、という感じですよね。それがモバイルゲームの使命だとも思いますし。 ――栗田さんの性格的には大規模なものよりは、こぢんまりとしたアプリの方が作りやすかったりするのですか?
栗田氏 : いや、そこは別に決まってはいないですね。やりたい方向性が1つではないので、真面目なRPG作るのも好きだし、ギャグ物を作るのも好きですから。
■ 意識せず、こだわらず、“まだない組み合わせ”を探す ――ちなみに栗田さん自身はどんなゲームが好きですか? 栗田氏 : 一方向に決まってはいないですね。結構まんべんなくやる感じです。 ――例えばアーケードゲームとか。 栗田氏 : ゲームセンターは行かないですね。中学生以来、行っていません。 ――では家でコンシューマゲームやPCゲームをやると。 栗田氏 : はい。 ――モバイルゲームはどうですか? 栗田氏 : やらないですね。 ――それはなぜでしょう? 栗田氏 : 何ででしょう。あまり興味があるのがないですね。 ――でも自分で作っているのは携帯アプリだけですよね。 栗田氏 : はい。すいません。 ――いや、謝られても困るのですが(笑)。ジー・モードさんで作るものは、当然モバイルゲームになるわけですが、コンシューマもやりたいと思うことはありますか? 栗田氏 : 前の会社で、他のチームがコンシューマも作っていたのですが、それを見ていて、ああ地獄だな、というイメージがあるので、あまりやりたいとは思いませんね。1本のタイトルの開発期間がすごく長くて、会社で寝泊まりしているのを見ていると、私は開発期間は短くて、次々にいろんなものを発表できる携帯アプリの方がいいかなという気はしています。とはいうものの、最近はゲーム作りも、流石にしんどいですね。無限にこれが続くのかなと思うと、げんなりしたりもします。 ――ジー・モードさんにいらっしゃる限り、基本的に無限に続くでしょう(笑)。ともあれ、ゲームを作るならば、やはり暇つぶしを届けるというのが重要だということでしょうか。 栗田氏 : そうだと思います。その中で、自分の中に出てくる変な世界観を表現できたらいいかなと思うくらいですね。何か駄目ですね、私。そういう風に考えると、訳がわからなくなってきます。あんまり考えていません。 ――次に何かやりたいことはありますか? 栗田氏 : この「宮本ジュリア」の後に、2つくらいもう案件が動いてはいます。今はそちらにかかりっきりです。 ――その2つの企画はどういうものですか? 栗田氏 : 1つはバカゲーのミニゲーム集ですね。もう1つはアプリではなく、サイトみたいなものを作っています。 ――「空気読み。」もミニゲームではありますが、方向的にはこれとは違うものですか? 栗田氏 : 違いますね。もっとちゃんとゲームの形になっています。原案自体は結構前のものなんですよ。1年以上前に、1回企画書を書いたんですが、お蔵入りにしていたものを、システムなどを練り直して作ってみようということになりました。 ――ではその先で、今後どういったことをやっていこうとお考えですか? 栗田氏 : うーん、ないですね。これまでと同じ調子で、アイデアが出てきたらそれを提案して作っていくという感じだと思います。 ――ゲームにこだわっていないという印象を受けるのですが、ゲーム以外楽しめるという方向で考えたりすることはありますか? 栗田氏 : それは思ってはいますね。ページを送っていくだけの漫画みたいなものを、自分の絵だけで作るというのもやってみたいような気がします。 ――なるほど。他には何か。 栗田氏 : ないですね。やはりモバイルゲームは、作ってきた本数がすごく多いですから、自分のやりたいことはたいていやってきているんですよね。ある程度、納得できている部分はあるから、この先、あれをやっていないから絶対やりたいというものは、すぐにはないです。 ――では少し質問を変えて、こういう企画を思いつくコツみたいものはありますか? 栗田氏 : 日頃からいろんな事を気にしているというのが大切かと思います。変なところに着眼点を置いて。引き出しの多さだとは思うんですよ。0から1を生むというよりは、世の中に色々あるんだけれども、まだない組み合わせを見つけるというのですか。そこは重要だと思います。 ――引き出しを増やすために何か意識している事はありますか? 栗田氏 : いや、特に意識していないです。そんなに無理に意識しようと思いながらはやっていないです。 ――そういうゆるさが、逆にこういったタイトルのイメージに繋がるのかな、と思ったりもします。って私がまとめてはだめですね(笑)。ではジー・モードさんのゲームのユーザーさんに、一言いただけますでしょうか。 栗田氏 : 遊んでくださいというくらいです。暇な時間にどうぞ。 ――わかりました。ではインタビューを終わらせていただきます。 栗田氏 : はい、なんだかすみません。
――いえ、今までのガチガチなゲームの作り方ではなく、アイデア1つでできるんだという、モバイルゲームならではの夢を感じられました。ありがとうございました。
□ジー・モードのホームページ (2008年12月17日) [Reported by 石田賀津男]
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