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韓国Gigassoft訪問レポート
「十二之天2」成功の秘訣とは? 「天地大乱」の開発現場も紹介

11月14日 収録

会場:韓国Gigassoft本社

Gigassoft戦略事業本部長のソ・ヒョジョン氏
 韓国Gigassoftは、MMORPG「十二之天」シリーズの開発を手がけるデベロッパー。現在はその続編となる「十二之天2」を開発し、先日、YNKJAPANとパブリッシング契約を行ない、「天地大乱」と改名してサービスすることを発表している。

 筆者が先日、日本で行なった「天地大乱」のインタビューの際に、G-Starに合わせて会社を訪問させて欲しいとお願いしたところ、快く受けていただけた。そこで「天地大乱」の開発状況の話を伺い、Gigassoftのオフィスを紹介しよう……と思っていた。

 オフィスには予定通り11月14日に訪問できただが、実は約1週間後の20日にオフィスを移転予定で、引越し準備を進めているところだという。また「天地大乱」の情報についても、YNKJAPANとの契約の都合上、あまりお話できないということだった。何ともタイミングが悪かったようだが、まだ同オフィスで開発作業は行なわれていたので、その様子を見せていただくとともに、韓国での「十二之天2」の状況などについて伺うことにした。お話を聞かせてくれたのは、戦略事業本部長のソ・ヒョジョン氏と、海外事業部のイ・ソンヨン氏。



■ 都落ちから這い上がったGigassoft。「十二之天2」の成功の秘訣とは?

 Gigassoftのオフィスの移転は、これが初めてではない。「十二之天」のサービスを始めた頃は、ソウル市内にオフィスを構えていた。しかし業績が振るわず、G-Starの会場であるKINTEXの近くのビルの一室に移転した。ソウル市からは車で30分はかかる郊外で、いわば都落ちである。

 しかしその後、「十二之天」の外国への展開も始まり、業績は徐々に回復。さらに新作の「十二之天2」が韓国で大ヒットとなり、最初は1室だったオフィスは9室分にまで拡大していった。ただ、場所的に広いスペースをまとめて取れず、同じフロアながら飛び飛びの配置になってしまったので、今回改めてソウル市内のビルを1フロア取って移転するのだという。

韓国で久々のヒット作となった「十二之天2」
 韓国での「十二之天2」は、2008年4月2日にオープンβテストを行ない、その2週間後に正式サービスを開始。当初は10個のサーバーで運営していたが、現在は30個にまで増えている。同時接続者数は、サービス当初が6万人、現在も4万人をキープしている。18歳未満は禁止のタイトルだが、ユーザー層は20代から40代と幅広く人気を集めているという。韓国内において、ここ1~2年で登場したタイトルとしては、唯一成功したタイトルとなっている。

 本作の魅力は、「十二之天」から続く戦争システム。シンプルな操作とスピード感で人気を集めている。その上でイは、本作がヒットした理由について、「『World of Warcraft』や『リネージュ II』など、もっとゲーム性の高いタイトルはあるが、初めてやるには難易度が高い。『十二之天2』はそういうユーザーでも遊びやすい」と語った。

 具体的には、まずレベルが上がるのが早いこと。「十二之天」に比べてもスピードアップさせており、ほとんど時間をかけずに、最大の魅力である戦争に参加できるレベルに到達する。そして戦争では、自分自身の利益だけでなく、集団の利益になっていることを感じさせる要素を盛り込み、目的意識をはっきりさせる。成長要素による縦の楽しさが薄れないうちに、他のプレーヤーと協力し、コミュニケーションをとるという横のつながりが生まれる仕掛けになっている。

 それと同時に、ゲームシステムの強化も図られている。「十二之天」はシンプルなゲームシステムで人気を呼んだものの、コアユーザーには物足りなさを感じさせるところもあったという。本作ではその反省点も踏まえて開発しているという。

 逆に、本作の対抗作についての問題点も指摘。「ライバルとしては『蒼天』、『プリストンテール2』、『ロード・オブ・ザ・リングス オンライン』、『Hellgate: London』などがあるが、これらのゲームはユーザーができることが多いので、逆に目標を見失っている。『十二之天2』はゲームの目的が明確で、知らなくても楽しめるカジュアル性がある」と語った。ゲームの早い段階から、プレーヤーに「戦争で自分の勢力を盛り上げる」といった目的を持たせることが、成功の秘訣だったと考えているようだ。

 「十二之天2」はGigassoftの収益のうち、既に半分以上を占めているという。ただ「十二之天」も海外展開でそれなりの成績を出しているので、「十二之天2」ほどではないが、それに近い収益はあげているという。



■ 緻密なローカライズ作業を進める「天地大乱」。更なる新作は武侠から離れた世界へ

新勢力「浪人」を強く打ち出している日本バージョン「天地大乱」。YNKJAPANがサービスを予定している
 気になる日本版の「天地大乱」についても、可能な限り話を聞いた。日本向けの要素としては、第4勢力の「浪人」が発表されているが、こちらは既に「十二之天2」で実装が終わっているという。ただこれについても、「そのままの内容が日本に入るわけではない。ユーザーが違うので、詳細はアップデートしていく中で発表する」としている。

 開発においては、「日本の作家を使ってストーリーのアレンジを行なっている。またコンソールが強い日本では、もっとクオリティの高いものを要求されるので、韓国よりもペットの色が鮮やかであるとか、手の込んだものを用意する。ローカライズも、韓国の発想で作られたものをそのまま日本語にしても理解しづらいので、キャラクタ名やアイテム名を修正している。ユーザーが寄りゲームの中に入り込めるよう気を配りたい」と、細やかなアレンジを加える姿勢を見せた。

 このほか同社で開発中の新作タイトルについて尋ねたところ、「Project-G」、「Project-N」の2タイトルが進んでいるという。いずれもサービス時期は未定で、ゲーム内容についても公開できないという。そこで「『十二之天』シリーズとは別の方向のゲームになるのか」と質問すると、「別の方向のユーザーを狙う。『十二之天』は成人向けの武侠タイトルだったが、この2つの新作で、多様なタイトルを作れるデベロッパーとして認識してもらいたい」と話してくれた。

 さらにコンソールゲームの進出を考えているかと聞くと、「今のところ考えていない。ただユーザーの要求に応じて、ゲームパッドに対応するといったことは考えている」とした。他には、モバイルゲームの開発依頼があり、準備を始めているという。来年のG-Starが開催される頃には、「十二之天」シリーズ以外の角度からGigassoftを見られるようになっていることを期待したい。

【天地大乱】
先日新たに公開された「天地大乱」のキャラクタメイキングとゲームスタート直後のスクリーンショット。タイトル発表後の情報に乏しいが、開発は順調に進められているようだ



■ 引越し間際のGigassoftを紹介

 最後に、Gigassoftの現オフィスを、「天地大乱」開発部署を中心にご紹介しよう。前述のとおり、まもなく引越しするというのが少々残念であるが、また来年も取材させていただけるという前提で、比較資料として押さえておきたいと思う。

 中を見せていただいたところ、一室が狭いために部署があちこちに散っており、それでもかなり手狭な印象を受けた。社員は約120名ということで、そろそろ拡張も限界といったところだろう。また面白いところでは、運営チームの部屋の隣に警備員が張り込んでいる。「時折、怒ったユーザーが乗り込んでくることがありますので、警備上置いています」だそうだ。これもゲームの人気を示すものではあるかもしれない。

サーバーのモニタリングを行なうシステム室。外国のサーバーもここで管理できるという プログラムや企画が入っている一室。奥の一角は社長室になっている
プログラムチームはちょうど「天地大乱」のプログラム修正の会議をしているところだった グラフィックスやサウンドのチーム。他と比べると少し部屋に余裕がある 「天地大乱」のグラフィックス作成の様子。奥に続いているのがグラフィックスのチームで、間仕切りがない
こちらはサウンド開発者。席の後ろにも楽器や機材が山積みで、少々窮屈そうではあった 運営チームのオフィス。「24時間、常に1分で対応」をモットーに、ここにいる担当者だけでなく全社員がサポートしているという 運営チームの入り口に用意された守衛室。もちろん、怒鳴り込んでくるユーザーがいないようなサービスを目指してほしい


□Gigassoftのホームページ
http://gigassoft.co.kr/
□関連情報
【11月12日】YNKJAPAN、WIN「天地大乱」開発者インタビュー
日本ユーザー主体のサービスで“運営のタブー”を打破する
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081112/ten.htm
【10月23日】YNKJAPAN、WIN「天地大乱」発表会開催
「十二之天2」を日本向けに大規模改修、新勢力などを実装
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081023/ten.htm

(2008年11月17日)

[Reported by 石田賀津男]



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