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G-Star 2008現地レポート

Nexon、「G-Star 2008 Nexon Media Conference」を開催
“ストーリー”シリーズの新作「カバティーナストーリー」や「カートライダー」のエアレース版「エアライダー」など、新作5タイトルを発表

11月13日~16日開催(現地時間)

会場:韓国国際展示場(KINTEX)

入場料:4,000ウォン(前売り2,000ウォン)
子供2,000ウォン(前売り1,000ウォン)


 韓国大手メーカーのNexonは、今年も例年通り、G-Star初日にプレスカンファレンスを開催し、韓国内外のゲームメディアやパートナーに、5タイトルの新作を披露した。

 会場には、韓国Nexonの2人の代表取締役社長グォン・ジュンモ氏とカン・シンチョル氏を筆頭に、取締役や本部長、プロデューサー陣が勢揃いし、年に1度の発表を大勢の関係者と共に祝う場となった。なお、韓国Nexonの親会社ネクソンジャパンの代表取締役社長デビッド・リー氏は姿を見せず、同氏を中心に推進している米国法人NPNA(Nexon Publishing North America)の事業の進捗についての報告は行なわれなかった。

 本稿では発表会の模様と新作タイトルの概要についてご紹介したい。なお、煩雑さを避けるために、あらかじめ触れておくと、今回発表されたタイトルはすべて基本プレイ無料のアイテム課金制を採用し、韓国でのサービス開始時期、並びに日本展開については未定となっている。各タイトルについては、別途インタビューも収録したので、後ほど詳しくお伝えしたい。


■ 新作5タイトルを発表。北米方面は動きなし

Nexonのプレスカンファレンスは3年連続。G-Starの恒例イベントとしてすっかり定着した印象がある
今回発表を行なった各タイトルのプロデューサー
 Nexonのプレスカンファレンスは、今年で3年連続となり、すっかりG-Star恒例行事のひとつになった感がある。発表内容の傾向としては、グローバル展開を目指す同社の取り組みを告知する場として活用されてきた。一昨年は米大手メディアグループViacomとの業務提携や米国の著名なゲームクリエイターアレックス・ガーデン氏を招いてNPNAを設立、昨年は、米Valveと提携して「Counter-Strike Online」を発表するなど、米国との活発な動きをアピールしていた。

 今年は、米国方面に関する発表は一切なく、定例の自社開発とパブリッシングタイトルを織り交ぜた新作5タイトルの発表に留まった。これが北米展開の縮小を意味するものなのか、戦略の転換を意味するものなのかは北米方面のプロジェクトを統括するデビッド・リー氏が欠席していたため不明だが、いずれにしても新規タイトルの投入に積極的である点は変わっていない。

 新作のプレゼンは、動画映像の公開やQ&A込みで、わずか10分という短さだった。中だるみせずにプレゼンを受けられたという点では良かったが、新作の紹介に10分とはいくらなんでも短すぎる。来年はぜひ改善して欲しいところだ。

 ただ、一応Nexonを弁護しておくと、今回発表されたタイトルはいずれも2009年以降のサービスが予定されており、多く語れる内容がないということもある。オンラインゲームは、正式サービスの直前までゲームの仕様が大幅に変わることもしばしばであるため、クローズドβテストでユーザーの評価を見定めるまでは、あまり具体的なことを言いたくないというのがメーカーの基本的な考え方だ。

 「だから出展しない、発表しない」という後ろ向きなメーカーが多い中で、しっかり発表会を開き、試遊台も設置するNexonのスタンスは大きく評価できるところだ。それではさっそく新作ゲームを順番に紹介していこう。


■ 「メイプルストーリー」に続く“ストーリー”シリーズ第2弾「カバティーナストーリー」

今回もっとも高い注目を集めたのは、現在韓国でトレンドとなっている横スクロールアクションの真打ち的存在となる「カバティーナストーリー」。「メイプルストーリー」に続く“ストーリー”シリーズ第2弾だ
「カバティーナストーリー」を発表するWizetスタジオチーム長のイム・テヒョン氏
 「カバティーナストーリー」は、「メイプルストーリー」の開発元として知られるNexonの社内スタジオWizetスタジオの最新作。「メイプルストーリー」の続編ではなく、“ストーリー”シリーズという大きなくくりの第2弾作品として紹介された。“ストーリー”シリーズの定義は、「メイプルストーリー」の開発運営によって蓄積された横スクロール型のオンラインアクションゲームのノウハウを活かしたものだという。

 「カバティーナストーリー」では新たに3Dグラフィックスを採用し、低年齢層でも親しみやすいテイストという点を除けば、「メイプルストーリー」の面影はまったく残っていない。横スクロールアクションという点では変わっていないが、「カバティーナストーリー」ではキャラクタの移動できる範囲が横一列から手前と奥の2列になっており、手分けして2列の敵を同時に倒したり、列を変えて一時避難するなど、「メイプルストーリー」よりも戦術性の増した戦いが楽しめる。

 デモでは、ステージのギミックを活用して、離れたフィールドに飛んでいくといったシーンも見られ、3Dグラフィックスのメリットを活かしたゲームデザインとなっている。デモステージのラストには、画面を埋め尽くすほどの巨大なボスモンスターが登場。襲いかかる巨大な手を避けながら、ボスを攻撃していくといった風景は、さながら日本のベルトスクロールアクションを彷彿とさせてくれる。協力プレイで挑戦すると楽しそうだという印象を持った。

 ひとつユニークな特徴としては投げるアクションが導入されているところ。これは投げ技という意味ではなく、フィールド上を歩いている中立モンスター“テンイ”を投げつけて敵を攻撃したり、障害物を越えるために仲間を投げるなど、ユニークな使われ方をしている。

 サービススケジュールは、今回発表された5本中もっとも早そうで、11月25日に韓国でのクローズドβテストの開始が予定されている。オープンβテストは3月。老舗デベロッパーの最新作だけに、作りは非常に丁寧で、グラフィックスの質感も高い。日本展開についても、「メイプルストーリー」の人気が高いだけに展開する可能性は高い。今後の発表に注目したい。

【カバティーナストーリー】
非常に質感の高いハイデフグラフィックスが特徴的。若干重そうな雰囲気だが、韓国横スクロールアクション界における次世代タイトルの登場といえそうだ

【「カバティーナストーリー」プロモーションムービー】


■ ダッジ、ダオの次の戦いは空中戦!! 「エアライダー」

「エアライダー」の説明を行なうチェ・ビョンリャン室長。フライトシューティングから操作の難しさを取り除いたものが「エアライダー」と紹介した
「エアライダー」は時期尚早ということでインタビューは行なわれなかったが、実機によるデモンストレーションが行なわれた
 「エアライダー」は、「BnB」、「カートライダー」、「Babble Fighter」を手がけたLodumaniスタジオのシリーズ第4弾。人気キャラクタ“ダッジ、ダオ”が派手なエアレースを繰り広げるという、「カートライダー」の空中版といった雰囲気のレースゲームだ。

 こちらは説明するより見る方が早いということで、実機を使ったデモンストレーションが行なわれた。マッチングロビーからスタートし、8機によるレースがさっそくスタートした。陸上が空中に変わり、空中ならではの疾走感が心地よい。ステージは、立体構造になっており、左右移動のみならず、高度も自由に変更でき、一定の3次元空間の中を疾走していくスタイルとなる。

 周回の途中でアイテムを拾い、アイテムを活用することで自機や敵機にさまざまな効果をもたらすところは「カートライダー」と一緒だが、常に画面中央付近に照準があり、眼前の敵機を銃撃できるところが大きな違いと言えるだろうか。感覚的には、戦闘機同士の空中戦をしながらレースをしているような感じだ。

 銃撃を一定以上敵機に浴びせると撃墜することができる。それで即負けということにはならず、一定時間で復活するが、レースは大きく有利となる。逆に銃撃を受けると画面内に弾痕が残り、HPバーが削られダメージを受けたことがわかる。撃墜されないようにするためには、スッと機体を横滑りさせて敵の弾を避ける必要があるというわけだ。

 チェ氏によれば、空中ミサイルといった即効性のあるアイテムの実装や、2人乗りモードなど、初心者向けの新しいモードの開発も行なっていくという。サービススケジュールは、2009年上半期クローズドβテスト実施予定としており、完成にはまだしばらく時間がかかりそうだ。

【エアライダー】
「エアライダー」は、「BnB」や「カートライダー」と同様に、非常にシンプルな操作で楽しめることを大前提にした比較的低年齢層向けのオンラインゲームとなっている。中でも、初心者でも熟練者のレース展開を楽しめる2人乗りモードは感心させられた


■ Nexon2,000万ユーザーのコミュニティスペース 「ネクソンスター」

「ネクソンスター」を発表したNexonポータル本部長ギム・ヒョミン氏。2,000万人の会員の遊び場を提供しますと語った
 「ネクソンスター」は、かわいらしいアバターとバーチャルワールドによる生活を軸とした新しいコミュニティサービス。こちらも自社開発タイトルで、Nexon.comを運営するNexonのポータル本部が開発を手がけている。

 基本的なゲームデザインは、プレーヤーは、三頭身のかわいいアバターと、自らの居住スペースである星を提供され、仲間とのコミュニケーションや、共同での生産活動やミニゲームを楽しむことができるというもの。かわいらしいアバターが野良作業や釣りにいそしむ姿は任天堂の「どうぶつの森」を彷彿とさせ、ゲームメーカーが取り組むエンターテインメント性の高いバーチャルワールドという点ではダレットの「ダレットワールド」に若干雰囲気が近いかもしれない。

 詳細は不明だが、「ネクソンスター」には、日々のアクセスを促す、生産要素、育成要素、成長要素があり、自らの星のほか、コミュニティスペースとなる共有の星も存在するという。そこでユーザーは、自分と同じゲームのユーザーを見つけ、ゲーム外のコミュニティを広げていってもらう。ゲーム内のコミュニティはゲームの中で、ゲーム外のコミュニティは「ネクソンスター」で、いずれにしてもすべてのコミュニティサービスをNexonが提供するというのが最終目的のようだ。

 Webとの連動機能も備え、「ネクソンスター」内のデータをWebに引っ張って、Webサイトでもさまざまな遊びを用意していくという。ポータルメーカーのゲームビジネスは比較的成功例が多い一方で、ゲームメーカーのポータルビジネスはことごとく失敗しているのが現状だが、大手Nexonのチャレンジを見守りたいところだ。

【ネクソンスター】
ターゲットは、Nexonのゲームユーザーだというが、根本的な疑問として「ネクソンスター」をプレイする時間の余裕があれば、自分の好きなゲームをプレイするのが普通である。「ネクソンスター」に呼ぶためには、究極的にゲームの魅力をうわまわる強力なモチベーションが必要不可欠だと思うが、その点がまだ弱いという印象を持った

【「ネクソンスター」プロモーションムービー】


■ 丸いプラネットを舞台にした惑星間MMORPG 「エバープラネット」

「エバープラネット」について説明を行なうNclipse代表取締役社長バック・セヒ氏。Nclipse設立前は、Neowizで「FIFA Online」の開発に携わり、その前はNexonで「メイプルストーリー」を担当していたという移植の経歴の持ち主だ
 「エバープラネット」は、韓国大手メーカーの元開発者を中心に設立されたNclipseが現在開発しているカジュアルMMORPG。

 その特徴はなんといっても視覚的な楽しさにある。「グローブビュー(Globe View)」と呼ばれる独自の描画方式で、球状なのが視覚的にわかるデフォルメされた惑星を活動する楽しさが味わえる。真上に移動していくと、地平線の向こうから山や建物がにょきにょきと起き上がってくる感覚は非常に新鮮で、アイデアの勝利といった感じである。

 グラフィックスは3Dをベースに、キャラクタや一部の細かいオブジェクトは2Dを採用。明度と彩度を極端に高めたカートゥーンタッチの独特の雰囲気を生み出している。基本的なゲームデザインは、韓国のオーソドックスなMMORPGのスタイルをベースに、自らの星を育成させていくというシミュレーション要素が加味されている。

 ゲーム世界は、自分の星に加えて、冒険フィールドとなる複数の星で構成されており、レベルが上がり、ストーリーが進むごとに活動可能な星の数が増えていく。牧歌的な雰囲気は女性に受けそうだという印象を持った。サービススケジュールは2009年第1四半期にクローズドβテスト開始、第2四半期にオープンβテスト開始予定としている。

【エバープラネット】
「エバープラネット」のファーストインプレッションは強烈だ。「フィールドが丸い」。ムービーを見ると、そのおもしろさがよく理解できるはずだ

【「エバープラネット」プロモーションムービー】


■ コンシューマゲームを彷彿とさせるハイスピードアクションオンラインゲーム 「ドラゴンネスト」

Eyedentity Games代表取締役社長のイ・ウンサン氏。元SCEKという韓国では数少ないコンシューマ畑の人間である
 5本目の新作は、Eyedentity Gamesが現在開発している「ドラゴンネスト」。発表そのものは2007年の時点で行なわれているが、プレイアブル出展は今回が初めてだ。

 「ドラゴンネスト」は、韓国で「NINETY NINE NIGHTS」や「キングダムアンダーファイア」といったコンシューマゲームを手がけたスタッフ達が開発しており、コンシューマゲームを彷彿とさせるスピード感とアクション性、ハイテンポなゲーム性が特徴となっている。今回のNexonのタイトルの中でもダークホース的な存在と言える。

 基本的なゲームデザインは、コーエーの「真・三國無双」シリーズと真っ向からぶつかる、ダイナミックなアクションがウリとなっている。大地を割るような剣戟、超人的な弓の速射、足技から敵を浮かせてからのコンボなど、爽快感の高いアクションが目白押しである。動きも良く、アニメーションも多彩で、非常にコンシューマゲームに近い作りである。

 ゲームの作りもステージクリア型を採用しており、対戦プレイより協力プレイが中心となりそう。発売プラットフォームはPCのみで、キーボードを使ってこれらの複雑なアクションを実現するという。コンシューマゲームのPCゲーム化というアプローチは韓国では非常に珍しいケースだけに、どのように軟着陸するのか注目したいところだ。

【ドラゴンネスト】
PS3やXbox 360向けのゲームと言われればそのまま信じてしまいそうなコンシューマライクなグラフィックス、ゲームデザインとなっている。その優秀なゲーム性はぜひ動画で確かめてほしい

【「ドラゴンネスト」プロモーションムービー】

□G-Star 2008のホームページ
http://www.gstar.or.kr/
□関連情報
【2008年11月13日】韓国最大規模のゲームショウ「G-Star 2008」が開催
業界再編後初のショウ、自社開発からパブリッシングへの流れが顕著
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081113/gstar08_01.htm
G★2007 記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071111/gslink.htm

(2008年11月14日)

[Reported by 中村聖司]



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