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「任天堂カンファレンス 2008.秋」レポートその1 ハードウェア編
「自分専用DS」を目指した「ニンテンドーDSi」

10月2日 開催

【ニンテンドーDSi】

11月1日 発売

価格:18,900円



岩田 聡代表取締役社長
 任天堂株式会社が10月2日に開催した「任天堂カンファレンス 2008.秋」。メディア、流通関係者を主に集めて行なわれたこのカンファレンスで、携帯型ゲーム機ニンテンドーDSの新型「ニンテンドーDSi(以下DSi)」が岩田 聡代表取締役社長の手によって公開され、そのコンセプトやスペックなどの説明が行なわれた。なお、DS LiteはDSi発売後も併売され、「お客様の望む声があるかぎり販売していく」(岩田氏)という。

■ ユーザーニーズを取り込み、さらに所有欲を満たす仕掛けを取り入れた「DSi」

本体カラーはホワイトとブラック。いずれも光沢のないマット仕上げとなっている
 ニンテンドーDSは、現在国内では2,300万台を超えて出荷され普及しており、一時期の異常ともいえるほどの勢いはなくなったものの、ゲーム機として過去最高のスピード(プレイステーション 2が2,000万台普及までに6年のところをDSは3年)で、日本のみならず全世界に普及している。ではDSの普及が頭打ちになったのかといえば、岩田氏は、「一時よりも落ち着いたとはいえ、今でもこれまでの主流プラットフォームの普及機に遜色ないほど売れているということも事実ですし、携帯型ゲーム機独自の新しいライフスタイルがご提案できれば、DSというプラットフォームにはまだまだ普及の余地がある」と切り出した。

 任天堂が独自に調べた「1世帯あたりのプラットフォーム別ユーザー数」によれば、ニンテンドーDSは昨年度の同時期のデータにくらべ、3.0→2.8人と、まだまだ同じゲーム機を共有していることがうかがえる。そこで任天堂としては、普及の究極の姿である「1人に1台」への流れを生み出す“自分専用のDS”としてDSiを開発したという。「リビングでみんなで楽しんでもらうこと」をコンセプトにしているWiiとは逆の方向性を目指しているわけだ。それでも日本国民の6人のうち1人が所有しているという驚異的な販売数ではあるのだが。

 DSiは、上下スクリーンの大きさをDS Liteの3.0型から3.25型に大型化しつつ、厚みを21.5mmから18.9mmへと耐久性を犠牲にしない範囲で薄型化。その代わり、縦横のサイズは 133×73.9mmから137×74.9mmへと、それぞれ微妙に大きくなっている。内蔵されるタッチペンも約87.5mmから約92mmへと大型化。これは、上画面背部と折りたたみヒンジ中央部に30万画素のカメラ「ニンテンドーDSiカメラ」が搭載されたこと(マイクはそれに伴い横にずれている)、そしてゲームボーイアドバンス用スロットを廃止し、代わりにSDメモリーカードスロットを搭載したことなどによる。重量は約218gから約214gへと4グラム軽量化。SDメモリーカードスロットにはあらかじめフタが付いている。液晶バックライトの輝度は、DS Liteの4段階から、5段階へと変更されている。

 従来ヒンジ右側にあった電源と充電ランプがヒンジ左端に移動。さらにACアダプタ接続時に点灯すると思われるランプが増設され、3つのインジケータとなった。十字ボタン、A、B、X、Yボタン、L/Rボタン、START/SELECTボタンの配置はDS Lite同様だが、見た目若干薄型になっているようだ。特にL/Rボタンは横に回りこむようなサイズだったが、かなり薄くなっている。また、下画面下左にあったスライドボリュームは下画面左に移動し、プッシュ式になっている。さらに、右サイドにあった電源ボタンは、下画面横でプッシュ式に変更されているなど、使い勝手などに影響する改良が行なわれている。スライドボリュームはケースなどにしまった場合、取り出しおよび収納時などに動いてしまうことがあったからだろう。

 また、スピーカーも音質、音量を改善しているという。よりこだわりの強いユーザーに対して、シンプルかつ機能的なデザインと、従来のDSにない機能を持たせることで、2台目、3台目のニーズをも明確に狙ったつくりになっている。

 なお、バッテリー関連も変更がある。充電時間は30分短縮の2時間30分で充電できるが、電池継続時間(ソフトにより変動)は液晶最低輝度で約9時間~14時間と6時間~5時間ほど短くなっている。最高輝度では3時間~4時間で、こちらはDS Liteでは5~8時間となっているため、2時間から4時間の差となっている。バッテリーパックの容量に関しては公開されていない。

【ニンテンドーDSi(ブラック)】
【ニンテンドーDSi(ホワイト)】
【会場に展示されていたニンテンドーDSi】
スライドボリュームからプッシュタイプに変更されたボリューム 電源ボタン、電源ランプなどの位置が変更されている
GBAスロットが廃止され、下画面下にはヘッドフォン端子のみとなった 外側のカメラ。横にはランプが搭載されている
【ニンテンドーDSiとニンテンドーDS Liteの比較】
DSi(右)のほうが画面が大型化。スピーカーの開口部が若干下がった タッチペンの太さは変わらないようだが若干長くなっている
本体、上画面部ともに薄くなっているDSi(左)。L/Rボタンの形状の違いに注目 横幅はDSi(上)のほうが若干長い。電源コネクタはDSi専用となっているのに注意したい


■ 内蔵メモリへのデータ保存が可能になることで、ソフトのDL販売を実現

内蔵メモリと、SDカードスロットへセットするSDカードによってDSiの独自機能が実現
DSiメニュー。DS Liteまでになかった内蔵メモリからのソフトの起動が可能となった
 岩田氏の説明によれば、DSiからは内蔵メモリへのデータの記録が可能(メモリ容量は不明)となり、「ニンテンドーDSiウェア」と呼ばれる本体メモリ内に収録されたDSi専用ソフトがメニューから起動できるようになる。カメラで画像を撮影し、エフェクトをかけられる「ニンテンドーDSiカメラ」、AACフォーマットに対応したサウンドプレーヤー「ニンテンドーDSiサウンド」の2タイトルは出荷状態で収録されている。こうした内蔵ソフトによって、カメラで撮影した画像のアルバム閲覧(岩田氏いわく写真立て)や、音楽プレーヤーとして、ゲームだけでなく、個人で利用する機会を増やす機能をDSiに搭載することで、DSiによるパーソナルユースを狙った戦略が伺える。

 しかし、このレベルなら、携帯電話と同じ、もしくはそれ以下ではないか? と考える方も多いだろう。岩田氏は「ゲーム以外の機能を本体に内蔵することは任天堂らしくないのでは? という印象をお持ちの方もいらっしゃると思うが」と、来場者の懸念を先取りする形で各機能の詳細に触れたが、これらの内蔵ソフトに関しては、「携帯電話のツールとしての機能ではなく、生活の中にカメラやオーディオプレーヤーを持ち込んで、映像や音で遊び楽しんでいただく、ゲーム機で生活を豊かにするという提案」と、あくまで映像や音をただ見たり聞いたりするだけでなく、“そのデータをDSの機能を使って、いじって遊ぶこと”をアピールした。

 たとえば、DSiカメラでは、写真をどんどん撮影して保存する機能だけでなく、顔認識機能、そして各種特殊効果をリアルタイムに利用できる。撮影した画像の顔と顔を合成する「顔合成カメラ」、2人の似てる度を測る「似てる度カメラ」、画像をゆがめる「ゆがみカメラ」、表情を変える「表情カメラ」、さらには手書きでイラストなどを書き込める「らくがきカメラ」などといった、機能を思いっきり遊びに振ったものが搭載されている。画像は日付順に整理され、スライドショー機能も搭載され「写真手帳」として作られている。DSiサウンドでは、音楽の再生はもとより、タッチスクリーンによる再生速度や音程の変更(逆再生も可能)、ボーカルを聞こえにくくするカラオケ機能や、音量や波形にあわせた映像の変化が楽しめるビジュアライザーが搭載されているだけでなく、マイクによる10秒間の録音が可能で、その音を変化させてラジオ風やインコ風、さらには3人ハーモニーなどのエフェクトをかけることもできる。これをネタにして、友達同士などで遊んでほしいという狙いのようだ。

【ニンテンドーDSiカメラ】【ニンテンドーDSiサウンド】
カメラ機能を使ってリアルタイムにエフェクトを楽しむ 音楽プレーヤーだけでない機能も搭載

【ニンテンドーDSiカメラ】
 
【ニンテンドーDSiサウンド】


 さらに、新たにDS専用のショッピングチャンネルとなる「ニンテンドーDSiショップ」から、DSiウェアをダウンロードし、本体に保存、ソフトを利用することが可能になることも明らかにした。DSiショップは、無線LAN機能を使ってDSiから直接アクセスできるショッピングサイト。発売後のDSiウェアとしては、「ニンテンドーDSiブラウザー」、そして「うごくメモ帳」が無料でダウンロードできる。

 「DSiブラウザー」は、DSi発売と同時に配信を開始。書き換え可能な内蔵メモリによって、DS/DS Lite時代には別売だったブラウザーソフトを内蔵し、さらにメモリの利用可能量を増やすことでキャッシュを活用した高速化が行なわれている。また、「DSiブラウザー」使用時の通信速度は、従来のDSよりも高速なモードで通信が可能という。ちなみにゲームプレイ時は従来のニンテンドーDSと同じスピードでの通信速度となる。DSi専用にソフトを開発すれば、この高速モードが利用可能になるようだ。

 うごくメモ帳は、自分でイラストや文字などをタッチペンで書き込むメモ帳としての機能がメインだが、カメラで取り込んだ画像も使うことができ、パラパラ漫画のように動かすことができる。作った動画はともだち同士で交換することが可能だ。

【ニンテンドーDSiブラウザー】【うごくメモ帳】
Operaとの共同開発によるブラウザであることは変わらないが、DSi用に最適化されている 画像メモ、音声メモにも対応している手書きメモ帳

 DSiショップでは、「ニンテンドーDSiポイント」を利用してソフトDSiウェアを購入できる。DSiポイントはWiiの「ショッピングチャンネル」における「Wiiポイント」と同じ概念のものだが、DSiウェアの価格は、無料、DSiウェア200(コンパクトなツールやゲーム)、DSiウェア500(シンプルなパズルゲームや大規模なツール)、DSiウェアプレミアム(仮)(800ポイント以上で展開)と4段階となっており、ショッピングチャンネル上で登録したWiiポイントをDSiポイントに振り替えて使うことはできないようだ。同社が販売しているプリペイドカード「Wiiポイントプリペイドカード」は、11月以降「ニンテンドーポイント プリペイドカード」となり(ポイント数は変化なし)、ショッピングチャンネルでチャージすればWiiポイントに、DSiショップでチャージすればDSiポイントとなる。

 なお、2010年3月末までに、初めてDSiでDSiショップに接続したユーザーに、1,000DSiポイントがプレゼントされるお試しキャンペーンを展開する予定という。詳細は後日発表となる。

ニンテンドーDSiショップでは、DSiのみでソフトを購入できる 「Wiiポイントプリペイドカード」は、「ニンテンドーポイント プリペイドカード」となる 「ニンテンドーポイント プリペイドカード」をWiiかDSiでチャージすることでポイントが使用可能となる

 また、DSiウェアのラインナップに関しては、近日発表予定としたが、岩田氏がそれに先駆けて公開したのが、「脳トレ」のDSiウェアである「ちょっと脳を鍛える大人のDSiトレーニング」だ。文系編、理系編の2タイトル配信を予定しており、写真を使ったトレーニングなどの新作トレーニング、そしてDSiの機能を使った新要素を盛り込んでいる。細菌撲滅もちょっとずつプレイしてもらえるように、途中で保存できるようになっているそうだ。

【「ちょっと脳を鍛える大人のDSiトレーニング」】
DSiならではのトレーニングが導入される

マクドナルドで展開されるWi-Fiサービス第2弾「nintendo zone」
 さらに、DSのWi-Fi接続拠点として展開中のDSステーションに続き、サービスの第2段階として「nintendo zone」が、関東、中京、近畿地区のマクドナルド店舗で展開される。この店舗にDSiを持って入った場合、アイコンが点滅してサービスが行なわれていることが通知される。DS、DS Liteで利用する場合は、DSダウンロード機能によって、毎回「nintendo zone」ビューワーをダウンロードする必要があるが、DSiはこの過程が必要ないわけだ。「nintendo zone」では個別のネットワーク設定は必要ない。

 「nintendo zone」ではその店舗、地区オリジナルの情報サービスが提供されるほか、DSソフトの体験版の配信も行なわれる。DSソフトの追加コンテンツの配信、ニンテンドーWi-Fiコネクションも利用できるという。

(C) Nintendo

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.nintendo.co.jp/corporate/release/2008/081002.html
□ニンテンドーDSiのページ
http://www.nintendo.co.jp/ds/dsi.html
□関連情報
【10月2日】任天堂、「ニンテンドーDSi」を発表
30万画素カメラ付、SDカードスロット付で11月1日発売 【速報版】
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081002/nin1.htm

(2008年10月2日)

[Reported by 佐伯憲司]



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