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★PS3/Xbox 360/PCゲームレビュー★

歴史的FPSシリーズの最新作がついに日本上陸!!
シリーズの伝統を墨守したゲーム性をどう評価するか

「アンリアルトーナメント3」

  • ジャンル:FPS
  • 開発元:Epic Games
  • 発売元:エレクトロニック・アーツ
  • プラットフォーム:プレイステーション3/Xbox 360/Windows XP/Vista
  • レーティング:CERO:D(17歳以上対象)
  • 価格:7,329円(PS3)/7,140円(Xbox360)/7,485円(PC)
  • 発売日:9月18日(発売中)



 9月18日、Epic Gamesの新作「アンリアルトーナメント3」が正式に日本上陸を果たした。プレイステーション 3、Xbox 360、Windows PCの3プラットフォームで展開する本作は、FPSの歴史に大きな足跡を残した歴史的作品「Unreal」のシリーズ名を冠する最新作である。

 本作「アンリアルトーナメント3」は、Epic Gamesの看板シリーズの最新作として、同じくEpic Gamesの製品である「Unreal Engine 3.0」とともに多くを語られてきた。であるだけに、長くゲーマーからの期待を集めてきた作品とも言える。本稿では、そんな本作「アンリアルトーナメント3」がどのような作品となったのかをお伝えしたい。


■ シンプルすぎるほどにシンプル。スポーツ系FPSとしての遺伝子を頑固に継承した作品

特に断りのない場合のスクリーンショットはPC版でお届けする
 「アンリアルトーナメント」と言えば、スポーツ系FPSの歴史を語る上では絶対に外せない、大きな存在感を持つシリーズである。開発元Epic Gamesの出世作でもある「Unreal」から対人戦要素だけをクローズアップしたタイトルとして初代「Unreal Tournament」が1999年に登場するや、同時期の「Quake III: Arena」とともに人気を分け合い、ネット対戦文化の火付け役となった。

 そして2004年に登場した前作「Unreal Tournament 2004」では、当時としては目新しい要素であった各種の乗り物や、基地を巡っての攻防など新しいルールが導入され、スポーツ系FPSの進化を象徴する作品として人気を集めた。それから4年を経て本作「アンリアルトーナメント3」が登場したわけである。

 こうしたシリーズの遺伝子を受け継ぐ本作は、シンプルにしてストイックな純粋スポーツ系FPSである。搭載されたゲームモードや中身のゲーム性は、シリーズの特徴をそのまま継承した内容になっており、前作「Unreal Tournament 2004」からの劇的な変化は見られず、今となっては非常にクラシックな印象を受ける。

 スクリーンショットでおわかりの通り、本作のプレイは一人称視点で進行する。戦場となる各ステージは様々な意匠で作られているが、すべては闘技場的な閉鎖空間であり、その中に配置された武器やアイテムを獲得しながら戦闘を繰り広げるという内容で一貫している。いかに立ち回り、正確に照準して敵を撃破するか、これのみをひたすらに追求するストイックなゲーム性となっている。

本作はシリーズの伝統を守り、オーソドックスな対戦型FPSとなった。もちろんゲームエンジンには「UnrealEngine 3.0」を使用している


■ ゲーム内容は前作「Unreal Tournament 2004」を継承。本質的な進化はなし

武器類はシリーズのものを継承しており、経験者であればすんなりプレイできる
 プレーヤーが装備する武器類は、シリーズの伝統を継承したものになっている。ハンドガンタイプの「エンフォーサー」、トリッキーな使い方もできる「ショックライフル」、直撃すれば多大な攻撃力のある「フラックキャノン」、3発まとめての発射が可能な「ロケットランチャー」など、主要武器は9種類。挙動も前作からほぼ変わっていないので、経験者であればすぐに使いこなせるだろう。

 シリーズ伝統の演出も健在だ。複数の敵をまとめて倒せば、「DOUBLE KILL!」、「MULTI KILL!」、「ULTRA KILL!」と迫力のナレーションが流れる。ただ今回、これの最上位バージョンが「MONSTER KILL!」ではなく「MEGA KILL!」と以前と変わり、ちょっと残念だ。

 敵に倒されることなく倒し続れば「KILLING SPREE!」、「RAMPAGE!」、「DOMINATING!」・・・となっていくのも同様で、今回は「GODLIKE!」の上に「MASSACRE!」が追加されている。連続30キルくらいが必要なので、高難易度では滅多にお目にかかれなさそうだ。

「ウォーフェア」ルールでは、各チームの本陣にある「パワーコア」の破壊が最終目標となる
 ゲームルールは大きく分けて3種類。個人またはチーム同士でキル数を競う「デスマッチ」、敵陣の旗を奪い自陣に持ち帰る「CTF」、マップ上に配置された「リンクノード」を制圧し、最終的に本陣の「パワーコア」を破壊することで決着する「ウォーフェア」だ。

 「CTF」や「ウォーフェア」用の広大なステージでは、各種の乗り物も登場する。乗り物は本作の2大陣営である人類側とネクリス(エイリアン的な存在)側で別種の系統となっているが、およそ役割的には対応するものが揃えられている。強引にカテゴライズすると、高速機動型、砲撃特化型、耐久力特化型、そして空中兵器という感じで、人類タイプは9種、ネクリスタイプは6種という内訳になる。

 基本的なゲームモードはシングルプレーヤーモードとマルチプレーヤーモードに大別されるが、Xbox 360版に限り、最大2人で画面分割によるマルチプレイが可能だ。

 シングルプレーヤーモードのメインゲームであるキャンペーンモードでは、人類の戦闘集団「ローニン」と侵略者「ネクリス」の戦いを描くストーリーが展開するが、ゲームそのものはマルチプレーヤーモードと同じく、デスマッチ、CTF、ウォーフェアのいずれかを、場所を変えて連戦するという内容になっている。プレーヤーを除く味方と敵チームはBOTとなる以外は、通常の対戦と変わらぬ内容だ。

 このキャンペーンモードでは、オンラインもしくは画面分割で、フレンドと一緒にプレイすることができる。この場合プレーヤー同士は同じチームに所属することになり、言わばCOOPモードのような格好だ。ゲームが難しく、BOTの仲間では力不足を感じたときに、友達を呼んで一緒にプレイするという選択肢は非常にアリと言えるだろう。

シングルプレーヤーモードでは惑星上の各地を巡り、デスマッチ、CTF、ウォーフェアの各ルールで対決を続けていく。ある意味でBOT相手の練習モードのような感じだ

広いマップでは沢山の乗り物が登場する。高速なもの、鈍重だが火力のあるものなど様々だ。うまく使ってリードを広げたい


■ デスマッチ、CTF、ウォーフェア……いずれの戦いでも、立ち回りと照準能力が命!

デスマッチモードで競うのは、倒し、倒された数のみ。アイテムを独占して有利に戦うことが要求される
 ここまでお伝えしたように、シリーズ伝統のゲーム性をそっくり継承している本作では、自分のプレイをいかに磨いていくか、という点にゲームの楽しみが集約されている。戦略的優位を得るためにどう立ち回るか、敵と接近したときにどれだけ素早く、正確な攻撃をたたき込めるか……。本作のデスマッチモードでは、その特徴が最も純粋な形で現われる。

 2~4人のデスマッチの戦いを有利に進める上でポイントになるのは、有限のアイテムをいかに“独占”するかだ。限られた人数で濃密な戦いを演ずるなかでは、個々の体力の差、武器の差がそのまま戦果に現われてくる。それを少しでも多く獲得しようとするのは対戦における最も基本的な考え方だ。

 粘り強く戦うために特に重要な体力回復アイテムとアーマーは、ステージ上の決められた地点に置かれているので、その位置を真っ先に覚えよう。武器はロケットランチャーがほぼ万能だが、遠距離で戦う状況が多くなる場合は、ショックライフルかスナイパーライフルを利用したい。こういった武器の出現ポイントを抑えておくのも基本的なテクニックとなる。

広大なマップで戦うときには、乗り物を上手く使って広く展開したい
 一方、CTFやウォーフェアといったゲームルールでは、対戦人数が8~16人と大規模なものとなり、プレーヤーに求められる思考は少々変わってくる。CTFで競い合うのは奪った旗の数であり、ウォーフェアでは陣地の奪取と維持が焦点になるため、1対1のシチュエーションで勝った負けたというのは、ある意味で枝葉末節といえるのかもしれない。

 CTFやウォーフェアでは、一般的にマップが非常に広い。そのため、プレーヤーの移動スピードの差が有利不利に大きく現われてくるので、陣地に用意されている乗り物をうまく使うことが重要だ。シングルプレーヤーモードでBOTを相手に戦う場合には特に顕著で、プレーヤーひとりが素早く展開するだけで、その後の戦況を大きく変えることができる。

 複数の拠点を次々に占拠していくというウォーフェアモードでは、初期状態で各拠点は中立になっており、ここに一瞬でも触れるだけで占拠が可能だ。しかし一度敵に奪われると、時間をかけて破壊するか、本陣から「スフィア」を運んできて接触させるか、という回り道が必要となるため、初動の素早さ次第で戦況進展に大きな差がつく。

 しかし、そういった意味で戦略性のあるゲームルールでも、やはり最後には正確な照準がものを言う。例えばCTFで旗を奪い、自陣に持ち帰る道中で敵に遭遇したとしよう。究極的にはそこで、敵を狙った射撃が命中するかどうかが、旗を持ち帰れるかどうかを決めてしまうだろう。

 ロケットランチャーを5割の確率で命中させることができるならば、複数の敵に追撃されても生還できる公算は高い。しかし、3割しか命中しないのであれば、体力を削られ、やがて倒されてしまう確率が高まる。「アンリアルトーナメント3」は、その積み重ねがチームの勝敗を決めるという、とてもシンプルなゲームなのである。

武器の特性を学習することも高スコアにつながる。遠距離と近距離では適宜武器を切り替えて戦うようにすると、飛躍的に効率が高まるはずだ

ウォーフェアでは、マップをよく見てリンクノードの占拠状況を確認しつつ進めることになる。ひとつのノードは隣接するノードの占領を可能にしてくれる反面、ひとつを失えば先に進めなくなるため、守りを固めることも必要だ


■ プラットフォーム毎の特色。どう選ぶか?

Xbox 360版では画面分割でのローカルマルチプレイができる。このままオンラインに参加することも可能だ
 PS3、Xbox 360、Windows PCの3プラットフォームに展開する作品であるだけに、プラットフォーム間の違いも気になるところだ。簡単に整理してみよう。

 まず、PC版とPS3版では、マウスとキーボードを使ってのプレイが可能だ。素朴なほどのシンプルなゲーム性を持つ本作では、スピード感や操作の的確性の点で言うと、ゲームパッドよりマウス・キーボード操作に一日の長がある。

 ゲームパッドでは若干の照準補正が適用されるものの、PCで生まれたシリーズのゲーム性を実直に受け継いでいる本作では、やや厳しいところ。事実、PC版とXbox 360版を比べてみると、同じ難易度設定における敵AIの動きは、Xbox 360版のほうがかなり緩くなっている。

PC版以外は日本語化されており、チュートリアル的なシーンもあって親切設計となっている
 なお、「Unreal」シリーズの特徴である、ゲームルールを改編するモジュール“Mutator”(MOD)のサポートはPC版のみとなっている。オリジナル英語版ではEpic Games謹製の「PS3 Mod Tools」を使ってプレイステーション 3版でもMODを利用可能とされいたが、日本語版では未サポートとなっている。仮に使えたとしても自己責任ということになるので気をつけよう。

 次に、Xbox 360版では前述したように画面分割にて最大2人のローカル対戦が可能であるほか、プレーヤーアバターとして選択できる追加のキャラクターが2種と、追加マップが5種類組み込まれている。またダウンロードコンテンツのサポートもあるので、この点ではXbox 360版が強い。

 マルチプレイマッチングに関しては、日本語マニュアル版として提供されるPC版は全世界共通の仕様となっており、海外サーバーでもプレイできる。ゲーム内も日本語化されているPS3版とXbox 360版に関しては、国内のみのマッチングとなっているため、ワールドワイドで遊びたいという場合にはPC版という選択になるだろう。

 いずれにしても、複数のプラットフォームが利用可能なユーザーであれば、自分のプレイスタイルに合わせて選択できるのがマルチプラットフォームタイトルとしての最大の強みといえる。本作のストイックなゲーム性を鑑みて、筆者はマウス・キーボードの使えるPC版及びPS3版を推したいところだが、追加要素のあるXbox 360版も捨てがたいところである。


Xbox 360版のスクリーンショットを紹介。映像のクオリティは「Unreal Engine 3.0」であるだけに高く、またプラットフォーム間の違いもさほど見られない。PS3/Xbox360版はゲーム内も日本語化されているので、安心してプレイできる


■ 登場が遅すぎた? Epic Gamesにおける「Gears of War」への主力交代を象徴する作品

PC版は世界中のパブリックサーバーをリストアップすることができるが、現状では少々プレーヤー数が少ないようだ
 レビューの最後に本作の総合的な評価を示したい。何度もお伝えしたとおり、本作は近年のタイトルとしては珍しく、飾り気のない対戦特化型のシンプルなFPSとなっている。スポーツ系FPSとしては前作の時点で既に完成されていたので、それが、今作で目新しい要素に欠ける結果となったように思える。

 つまり、シリーズの特徴を継承しなければならないという宿命を負い、「アンリアルトーナメント3」は純粋なスポーツ系FPSとして制作された。筆者は浴びるほどこの手のFPSをやり続けてきたので、やや評価が辛くなってしまうが、Epic Gamesの技術力を生かし、シリーズに新たな基軸を導入してユーザーを驚かせて欲しかったというのが正直なところだが、本作はそういうクオリティの作品になっていない。

 おそらく、シリーズのファンにとっては、「Unreal Tournament 2004」から代わり映えのしない内容には賛否両論あるだろう。従来の楽しみをそのまま享受できるという点では良く、シリーズに革新性を求めてきたファンにとっては期待外れという感じである。

 このあたり、本作の開発元であるEpic Gamesにおける、「アンリアルトーナメント」シリーズの立ち位置の変化に考えをおよぼさずにはいられない。

 Epic Gamesといえば、今や「Gears of War」を開発したスタジオとしての名声が主流になっている。しかし、そのルーツが「Unreal」であることは動かしようのない事実であり、Epic Gamesの最新ゲームエンジンである「Unreal Eingine 3.0」もまた、発表当初は本作「アンリアルトーナメント3」がローンチタイトルになると目されていた。

 自然、本作は長い間注目を注がれることになった。しかし、前作「Unreal Tournament 2004」から早4年以上という長い期間が経過し、また、その間にXbox 360用「Gears of War」というEpic Gamesの全く新しいシリーズが劇的な成功を収めて衆目の関心が移ってしまったためか、本作はある意味で、“忘れた頃に発売された”感じになってしまったところがある。これは、主戦場をPCからゲーム機に移したEpic Gamesの現在を象徴する出来事と言っていいだろう。

エレクトロニック・アーツの「THE WANTEDキャンペーン」ページ
 いずれにしても、本作は新鮮味のある驚きを与えてくれる作品ではないが、スポーツ系FPSとしては完成の極みにある作品であり、そのクオリティは間違いのないものだ。とにかくストイックに、腕を上げていくのが楽しいというプレーヤーには、大いに楽しみを提供してくれることだろう。

 発売元のエレクトロニック・アーツでは、本作のオンラインに出没するプレーヤー「THE WANTED」を見つけて倒せば賞金10万円をゲットできるという発売キャンペーンを、9月20日から11月19日までの2カ月間実施する。「THE WANTED」の“中の人”は、相当腕利きのゲーマーらしいので、運試し、腕試しの両面で楽しめる催しになりそうだ。

【スクリーンショット】

(c) 1998-2008, Epic Games, Inc. ALL RIGHTS RESERVED.


□エレクトロニック・アーツのホームページ
http://www.eajapan.co.jp/
□「アンリアルトーナメント3」のページ
http://unrealtournament.jp/
□「THE WANTEDキャンペーン」のページ
http://unrealtournament.jp/campaign.html
□関連情報
EA、PS3/Xbox 360/WIN「アンリアル トーナメント 3」
賞金総額100万円の「THE WANTEDキャンペーン」開催決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080829/ut3.htm

(2008年9月19日)

[Reported by 佐藤カフジ]



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