★DSゲームレビュー★
あのマルス達がDSに帰ってきた!
「ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣」 |
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- ジャンル:ロールプレイングシミュレーション
- 発売元:任天堂株式会社
- 価格:4,800円
- プラットフォーム:ニンテンドーDS
- 発売日:発売中(8月7日)
- CEROレーティング:A(全年齢対象)
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8月7日、任天堂株式会社から「ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣」が発売された。
「ファイアーエムブレム」シリーズは、1990年のファミコン版に始まり、スーパーファミコン、ゲームキューブ、Wiiなど数多くのプラットフォームで発売され、10作以上が発売されている人気作だ。
「暗黒竜と光の剣」と聞いて、懐かしいと感じる人がいるのではないだろうか。筆者もその1人である。筆者が初めて本格的にプレイしたシミュレーションゲームが「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」であり、本作のレビューを書かせてもらえることに感謝している。「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」をプレイして以来、本シリーズの虜となり、本シリーズを愛してやまないファンの1人として、このゲームの魅力を語っていきたい。
本作は「新・暗黒竜と光の剣」と名の付く通り、「暗黒竜と光の剣」とは異なる部分が多くある。さっそく、本作で知っておきたい特徴やファミコン版との違いを紹介していこう。
■ 深いストーリー性と個性的なキャラクタ
本作はユニットを動かして敵を倒していくゲームであり、戦闘はシンプルながらも深みがあり、非常に面白い。しかし、本作の魅力は戦闘だけではない。深いストーリー性と個性的なキャラクタ達がゲームを盛り上げてくれる。せっかくプレイするのであれば、この部分にも注目して遊んで欲しい。それぞれのキャラクタには人生があり、何らかの理由があって戦っているのだ。
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戦闘だけではなくストーリーも楽しめる
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それぞれのキャラクタには戦う理由がある |
■ 基本的なゲーム性
本作はターン性となっていて、自軍ターン、敵軍ターンを交互に繰り返していく。自軍の全ユニットを動かすか、ターンを終了すると、敵軍ターンとなる形式だ。自軍ターンに自軍ユニットを動かし、武器や魔法を使って敵軍ユニットを倒しながら、勝利条件を満たせばそのシナリオがクリアとなる。
また特徴的なのがユニットがやられた場合だ。後半のシナリオで1人だけ復活する可能性はあるものの、基本的にやられたユニットは2度と復活しない。全員を生かしてクリアを目指すのか、やられても気にせずプレイし続けるかはプレーヤーのスタイルによるので好きな方を選ぼう。当然、ユニットは育っていくので、育てたユニットがやられてしまうとその後苦しい展開が待っている場合が多い。
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勝利条件を満たせばクリアとなる
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ユニットがやられると帰ってくることはない |
■ 携帯ゲームに適したセーブシステム
セーブには通常のセーブとシナリオ中でも可能な中断セーブの2種類がある。
通常のセーブは決まった場面(章と章の間、マップ内のセーブポイント)でしか行なえないが、中断セーブはいつでも可能なので通勤や通学中のプレイも安心だ。
通常のセーブはセーブした時点から何度でも再開が可能だが、中断セーブは一度再開すると消えてしまうので注意が必要となる。筆者のように中断セーブで再開したものの、ボーっとしていて数十ターンかけて育てた自軍ユニットを失ってしまい、シナリオの最初からやり直すハメになる場合もあるので、中断セーブから再開する場合は、自軍や敵軍の状況をしっかり把握してからプレイすることをお勧めする。やられたユニットは帰ってこないのだから。
■ 基本戦術
自軍ユニットがなるべくダメージを受けることなく、敵軍ユニットには大きなダメージを与えることが重要となる。そのため、武器の性能、敵軍ユニットの情報、地形、移動距離などを把握していくことが重要。
それぞれプレーヤーによってスタイルは異なるが、簡単に筆者お勧めの戦闘手順を紹介したい。
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攻める 基本的な攻撃戦術 |
1 |
攻撃対象に自軍ユニットを敵軍ユニットに近づける。 |
2 |
攻撃する武器を選択し、攻撃対象にカーソルを合わせる。
・武器が適切か?
敵軍ユニットの武器に対して有利な武器であったり、特定のユニットに対して強い武器なども存在する。詳しくは後述の「武器の3すくみ」を参照してほしい。
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3 |
敵軍ユニットと自軍ユニットの情報を見比べて問題がないか確認する。
・ユニットがやられないか?
攻撃を受けた場合に攻撃したユニットがやられないか確認し、やられることが事前にわかる場合は攻撃をやめる。
敵軍ユニットのパラメータに必殺が1以上ある場合は間接攻撃をするなど、他の安全策を探す。
・どれくらいのダメージを与えられるか?
敵軍ユニットにいくつダメージが与えられるのかを確認し、成果が得られない場合は攻撃をやめる。
・命中はどれくらいあるか?
100以外の場合は外れる可能性を考慮にいれておく。
・戦闘後の可能性はどうか?
現在のユニットで倒しきれるか、その後の自軍ユニットで倒せるか、倒しきれない場合に敵軍ターンを生き残れるかを考える。
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攻撃回数が1回なので倒しきれない |
攻撃回数が2回あるので倒せる |
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誘い込む 敵軍ターンでダメージを受けない戦術 |
1 |
敵軍ユニットの攻撃範囲が届かないギリギリの場所で待機してターンを終了する。
・敵軍ユニットの攻撃範囲を知るには?
Xボタンを押すと敵全体の攻撃可能範囲がわかる。
敵軍ユニットにカーソルを合わせると敵軍ユニットの攻撃範囲がわかる。
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2 |
敵軍ユニットに対して有利となるユニットで攻撃する。
誘い込む戦術の弱点
攻撃範囲に入らないと動かない敵軍ユニットや複数方向から敵軍ユニットが来て、移動場所に余裕が無い場合には誘い込む戦術が使えない。
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敵軍ユニットの攻撃範囲を調べ、攻撃範囲外に自軍ユニットを置き、ターンを終了 |
敵軍ターンで攻撃を受けずに自軍ターンへ |
敵軍ユニットに対して有利な自軍ユニットを選び攻撃 |
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地形を活かす 同時に多数の相手をしないようにする戦術 |
1 |
狭くなっている地形に守備の高いユニットを配置して1方向からしか攻撃を受けないようにする。
・守備の高いユニットとは?
アーマーナイトやパラディンなどは基本的に守備が高いので壁役にうってつけ。
攻撃された際に敵軍ユニットを倒してしまうようなユニットを配置すると、ダメージを受け続けてやられてしまう場合があるので注意しよう。
思い切って壁役に武器を持たせないのも手だ。
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2 |
魔法や弓などの間接攻撃で攻撃する。
地形を活かす戦術の弱点
戦術を行なおうとしている地形を無視できる敵軍ユニットがいる場合には使えない。
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壁役を設置し、敵軍ユニットを通さないように |
守備の低いユニットへの攻撃を阻止し、ダメージを最小限に抑えられた
| 有利な武器で攻撃
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基本的な戦術ではあるものの、使う場面は多いと思われる。お役に立てれば幸いだ。しかし、戦場では何が起きるかわからない。どうしても必殺のある敵軍ユニットと戦う場面もあるだろう。命中が低いが、命中させねば自軍ユニットを失う場合もあるだろう。そんな時はすべてを委ねて戦うしかない。残酷な結果が訪れても受け入れるのか、シナリオをやり直すのかはプレーヤーである貴方が決めるしかないのだから……。
基本的なシステムはここまでとし、ここからはDS版ならでは新要素を中心に紹介していこう。
■ 難易度選択
本作では最初からゲームを始める場合、「ノーマル」、「ハード(5段階)」から難易度を選択できるようになった。
初めて遊ぶ場合、これまでのシリーズでハードモードの経験がない場合は「ノーマル」が推奨となっている。しかし、筆者は初心者だけでなく、「暗黒竜と光の剣」をプレイしたことがある人にも「ノーマル」を選択して欲しいと思う。「ノーマル」では起承転結の4章からなる新マップをプレイできるからだ。ただのチュートリアルしてはあまりにも勿体ない内容となっている。主人公マルスの祖国アリティアが陥落し、1章に繋がるストーリーが展開されるのだ。さらに新キャラクタも登場する。「ハード」でもこのストーリーを楽しめるよう、オプションで選択できるようにして欲しかった。
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「ノーマル」以上でしか新キャラクタは登場しない |
初心者に優しくゲームをプレイしながらゲーム性を理解できる |
■ 武器の3すくみと特定の武器の効果
シリーズ作品である「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」から導入された武器の3すくみが本作でも実装されている。この武器の3すくみは非常に重要な要素なので頭に叩き込んでおこう。
剣は斧に強く、斧は槍に強く、槍は剣に強い。主に命中率に補正が加えられる。敵軍ユニットの武器をよく見て、こちらの武器を選択しよう。
武器の3すくみから、魔法と弓は除外されている。次に魔法と弓、そして特殊な武器について説明しよう。
魔法は守備を無視し、魔防によりダメージが決定する。守備が高い相手に非常に有効な攻撃手段だ。魔法は近接でも間接でも使える上に、一部の魔法は3マス以上の有効射程を持つものもある。ただし、魔法を使うクラスは大抵守備が弱いので武器による攻撃を受けるとやられる可能性が高い。
弓は飛んでいる相手に大きなダメージを与えられる。ペガサスナイトやドラゴンナイトが多く登場するマップには2名以上弓を使えるユニットを戦闘に参加させたい。弓は魔法と違い間接攻撃のみ可能なので、近寄られないように注意しつつ、敵軍に弓兵がいる場合には積極的に直接攻撃を狙っていきたい。
一部のユニットに有効な特殊な武器が存在する。例えばアーマーキラーという武器であれば、アーマーナイトやジェネラルに大して大きなダメージを与えられる。有効に活用しよう。
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敵軍ユニットの情報を確認し、斧を持っていると判明 |
斧に強い剣で攻撃することで、こちらの命中率は上昇し、敵軍ユニットの命中率は下がり、有利に戦闘ができる |
■ 兵種変更と上級職へのクラスチェンジ
なんと本作では兵種変更ができるようになっている。
従来からある上級職へクラスチェンジだけでなく、ソシアルナイトから僧侶へといった変更が可能。ユニットごとに定められた兵種の範囲内で変更でき、上級職への変更と異なり兵種変更はアイテムなど何も必要としない上に、変更回数に制限はない。上級職が兵種変更を行なう場合は上級職の中で変更することになる。また、ロード、盗賊、マムクートなど、一部のクラスは兵種変更ができない。
愛着のあるユニットだが、どうしても兵種のバランスが偏ってしまう場合などに使っていくといいだろう。ただし、兵種は変更できるものの、不向きなクラスを選択すると成長率が悪いようなので、兵種変更する場合は成長率がよいかどうか調べながらプレイする必要がありそうだ。
兵種が回数制限なく変更できるとはいえ、兵種毎に所属できる数が決まっているので、登場させる全ユニットを同じ兵種にするなどといったことはできない。
なお、このシステムは自由度を上げるものであって、無理に使わずともゲームは進められるので安心して欲しい。
また、上級職へのクラスチェンジシステムには少し変更が入った。
クラスチェンジに必要なアイテムがマスタープルフに統一されたのだ。上級職へのクラスチェンジ条件がレベル10以上という部分は変わっていない。上級職へのクラスチェンジはレベル20で行なった方がレベル上昇時のパラメーター分強くなるので、育てられる余地があればなるべくレベル20で上級職にクラスチェンジしたいものだ。また、上級職にクラスチェンジできないロード、盗賊などはレベル上限が30に変更されている。
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所属できる兵種数には制限がある |
シスターを剣士にすることも可能 |
■ 練成について
進撃準備画面の武器屋で練成を行なうことができる。練成は各マップ毎に1回ずつ可能で、お金を払うことで武器や魔法の性能を向上させることができる。変更できるのは威力、命中、必殺、重さの4つのパラメータだ。練成後には名称を付けることができる。また、ゲーム中に1つしか登場しない伝説の武器や杖などは練成できない。相当な金額をつぎ込めば、普通の武器が伝説の武器を上回る性能を持つこともある。ただし、武器には使用可能限度数があることを忘れてはいけない。
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進撃準備画面の武器屋で各マップ1度だけ練成が可能 |
お金さえ払えばただの鉄の剣も高性能に |
元々強い武器を限界まで練成すると恐ろしいことに…… |
■ ニンテンドーWi-Fiコネクションを使った遊び
ニンテンドーWi-Fiコネクションを使うとさらに遊びが広がる。目玉となるのが通信対戦だ。
通信対戦では育てたユニットを使って対戦できる。細かい対戦設定も可能な上、フレンド登録した相手と対戦する際にはボイスチャットを使用することもできる。通信対戦はレベル差があり過ぎると、どんな戦術も通用しなくなってしまうため、ある程度ユニットを育ててから対戦することをお勧めする。
通信対戦は通常のマップより狭い専用マップで行なわれ、対戦設定で索敵がオンになっている場合は自軍ユニットの周囲2マスまでしか見えなくなり、対戦相手がどんなユニットを使っているのか、どこにいるのかを探りながら対戦するという状況になる。ターンには時間制限があり、悠長に構えてもいられない。制限時間内に急いで決断し、ユニットを動かそう。勝利すると通信対戦でのみ使用可能な護符を入手できる。護符には自軍ユニットの力を1上昇させるなどの効果があるので、使うと有利に戦闘を進められる。
他にもニンテンドーWi-Fiコネクションを使えば、オンライン専用のショップが利用できたり、他のプレーヤーからユニットを借りることもできる。もし、環境が許すのであればニンテンドーWi-Fiコネクションを利用して、これらの遊びを体験してみてほしい。
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通信対戦では、見知らぬ相手と戦えるワールド対戦と友達と戦えるフレンド対戦を選べる |
オンラインショップでは通常では買えないアイテムが売っている |
■ その他の新要素
また、本作ならではの要素として、「外伝シナリオ」が存在する。筆者調べではあるが、部隊にいるユニットを一定数以下にすると特定のシナリオ後に発生するようだ。“全員無事でクリアする”スタイルの筆者には非常に厳しい条件である。セーブデータを別に作成し、泣く泣く愛着のあるユニットにやられてもらって発生させることができた。本シリーズのファンであれば外伝はきっとプレイしたいと思うので挑戦してみてほしい。ここで初めて登場する新ユニットも仲間にできる。
初心者救済策として、部隊にいるユニット数が一定数以下だと、ユニットが補充されるようになっている。マルスや部隊の平均レベルから補充されるユニットのレベルが決定されるようで、十分戦力となる強さだが、レベルアップ時のステータス上昇はいまいちと感じた。他にもシナリオ中にセーブできるポイントが設置されたりしている。
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外伝シナリオにはどんな出会いが待っているのか? |
シナリオ中に通常のセーブができるポイントも追加されている |
■ 最後に
DSで発売されたことで、移動中などでも気軽にファイアーエムブレムを楽しめるのは素直に嬉しい。本音を言えば、全シリーズをDSで発売して欲しいとすら思っている。
本作は単純な移植ではなく、全体のバランスが調整されていたり、ファミコン版では厳しかった斧の存在が3すくみや2回攻撃に勝る威力によって救われていたり、上級職にクラスチェンジできなかったクラスが上級職になれたりと、本シリーズを“難しい”と考えて敬遠していた人でも気軽にプレイできるようになっているし、ファミコン版をプレイしたことがある人でも、新たな遊び方で楽しんでもらえるように仕掛けが用意されている。
今回紹介した以外にも、細かな変更点が数多くあり、全てを紹介しきれないのが残念ではあるが、プレイして探して欲しい。ファミコン版をプレイしたことがある人には、小さな発見がいくつも見つかると思う。筆者はミネルバが斧を使っていることだけでも驚いてしまった。
本シリーズに興味を持った方は、WiiやWiiのバーチャルコンソールでもシリーズタイトルがプレイできるので、試してみてはかがだろうか?
(c) 2008 Nintendo/INTELLIGENT SYSTEMS
□任天堂株式会社のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□「ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣」のページ
http://www.nintendo.co.jp/ds/yfej/
□「ファイアーエムブレム 新・暗黒竜と光の剣-BACKGROUND-」のページ
http://www.nintendo.co.jp/fe/ankoku_bk/
□「ファイアーエムブレムワールド」のページ
http://www.nintendo.co.jp/fe/
□「ファイアーエムブレム-Wi-Fi通信対戦-」のページ
http://www.nintendo.co.jp/fe/wifi_battle/
□「ファイアーエムブレムミュージアム」のページ
http://www.nintendo.co.jp/fe/fe_museum/
(2008年9月12日)
[Reported by 木原卓]
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